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【ベンチャー失敗の教訓(第45回)】取引先から大事にされたかったら、取引先にとって大事な顧客になれ
この場を借りて中小企業診断士が作った「ダメ診断(アセスメント)」を糾弾する!(2/2)
この場を借りて中小企業診断士が作った「ダメ診断(アセスメント)」を糾弾する!(1/2)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年11月24日

【ベンチャー失敗の教訓(第45回)】取引先から大事にされたかったら、取引先にとって大事な顧客になれ


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 どんな企業でも、自社の製品やサービスを1から10まで自ら製造・提供することは不可能に近いから、どこかの部分は外部企業に頼らざるを得ない。その際、たとえ取引先にお願いする仕事がノンコア業務であったとしても、取引先を大切にしなければ、QCD(品質・コスト・納期)に問題が生じて、結果的に自社の本業に支障をきたすようになる。トヨタには「前工程は神様、後工程はお客様」という言葉がある。前段の部分は、神様である前工程が困るような発注をしてはならない、という意味で使われる。これは社内に限らず、部品メーカーとの関係においてもあてはまる。

 X社の研修サービスの中には、付随サービスとして受講者のスキルレベルやマインドセットを測定する診断(アセスメント)がついているものがあった。そしてこの診断は、外部の診断サービス専門会社に依存していた。以前の記事「【ベンチャーの教訓(第23回)】サービスのコアな部分を外部企業に頼らなければならないという構造」で述べたように、この構造自体が重大な問題であったのだが、仮に外部企業がX社と同じベンチャー企業で、スピード感があり、小回りが利く企業だったとしても、問題は解決しなかったと思う。というのも、外部の診断サービス専門会社に支払っているフィーが少なすぎたからだ。

 診断サービス専門会社に支払っていた正確な金額は解らないが、ある程度推測することはできる。診断サービスがついていたのは、主に「若手社員向けキャリア開発研修」であった。この研修のある年の売上高は、約1,600万円であった(そもそも、これが少なすぎるのだが・・・)。

 この研修は2日間コースであり、1日あたりの平均単価が40万円だとすると、年間で1,600万円÷(40万円×2日)=約20回開催されたことになる。1回あたりの平均受講者数が約20名、1人あたりの診断料が5,000円とすると、診断サービスにかかる費用は20回×20人×5,000円=約200万円となる。ただし、全ての顧客企業が診断サービスを利用したわけではない。そこで、診断サービスを使った企業が70%~80%とすると、診断サービス専門会社に支払ったフィーは、200万円×70%~80%=150万円前後という計算になる。

 この金額は実に微妙である。取引先が大企業ならば、X社は間違いなく小口顧客として扱われるだろう。売上高が数十億円規模の中堅企業でも、X社をあまり重要視しないに違いない。売上高が数億円程度のベンチャー企業ならば、中には必死で150万円の売上高を取りに来るところもあるかもしれない。だが、売上高が2億円弱のX社は、150万円程度の売上しかない顧客企業、すなわち、年間に研修を3日程度しかやってくれない顧客企業の対応は後回しにしていた。このことを踏まえると、ベンチャー企業であっても、X社を大切に扱ってくれるかどうか疑わしい。

 そのくせX社は、診断サービス専門会社に対して、診断結果レポートを早く出してくれだの、診断項目を追加してくれだの、レポートの体裁を変えてくれだのと、あれこれ注文をつけていた。診断専門サービス会社が診断やレポートのカスタマイズ費を要求してくると、X社の営業担当者は、そんな高い金額は払えない、もっと安くしろと価格交渉を繰り返していた。

 診断サービス専門会社にとっては、お金にならない上に要求だけはやたらと多い顧客などは利益にならないのだから、相手にしたくないのが本音だろう。診断専門サービス会社がカスタマイズ費を高めに設定したのは、もうX社と取引したくないから、価格交渉をこじらせて、あわよくばX社との取引を中止に持ち込みたかったためかもしれない。X社が診断サービス専門会社と良好な関係を築くための方法はただ1つ、「若手社員向けキャリア開発研修」をたくさん売ることである。

 取引先にとって重要な顧客にならなかったがために、取引先から大切に扱われなかったことを象徴する出来事がある。Y社がグループ企業から離脱してしばらく経った頃、高すぎる家賃の負担に耐えられなくなったX社とZ社は、オフィスを移転することに決定した。X社とZ社は、今後も事業シナジーが見込めないとの理由で、別々のオフィスに引っ越した。この時、私がいたX社は、社員数がわずか10名弱にまで減っていた。X社の新しいオフィスは、10名分の作業スペースと、2つの会議室だけになった。人事担当者向けのセミナーを開催する時には、会議室の仕切りを取り払い、部屋をつなげて使うことになっていた。

 入口付近には、自動販売機が1台あった。社員が使うことはもちろんだが、セミナーを実施した際に、参加した人事担当者が飲み物を購入できるようにするのが目的であった。当時の顧客企業の中に自動販売機のベンダーがおり、その企業にお願いして自動販売機を設置してもらった。

 ある秋のことである。通常の自動販売機であれば、製品ラインナップが変更されて、一部の冷たい飲み物が温かい飲み物に置き換わる。ところが、X社の自動販売機には、いつまで経っても冷たい飲み物しか並んでいなかった。温かい飲み物がほしい社員は、わざわざオフィスビルを出て近くのコンビニまで行かなければならなかった。

 しかし、よく考えれば、ベンダーの対応もむべなるかなである。社員数が10人弱だから、自動販売機の売上も少ない。しかも、この頃になると、実はセミナーも開催されなくなっていたため、追加の売上も見込めなかった。そのため、ベンダーの担当者が製品の補充にやって来なかったのだ。おそらく、ベンダーの中では自動販売機を設置している企業のランクづけがされていて、X社はほとんど訪問する必要がない最下層のランクに位置づけられていたことだろう。

 ある日、自動販売機に、誰が書いたのか解らないが、「担当者の方へ、そろそろ温かい飲み物を入れてください。お願いします」と貼り紙がされていた。それを見た時には、さすがに失笑を禁じ得なかった。そもそもベンダーの担当者がX社のオフィスに来ないのだから、こんな貼り紙をしてもムダである。ベンダーから”大切に”とまではいかなくとも、せめて”まとも”に扱われたいのならば、一定量の製品を買って、ベンダーの売上を立ててあげなければならない。
(※注)
 X社(A社長)・・・企業向け集合研修・診断サービス、組織・人材開発コンサルティング
 Y社(B社長)・・・人材紹介、ヘッドハンティング事業
 Z社(C社長)・・・戦略コンサルティング
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2013年07月10日

この場を借りて中小企業診断士が作った「ダメ診断(アセスメント)」を糾弾する!(2/2)


 (前回の続き)

 前回の記事で、私が考える標準的・理想的な診断(アセスメント)の開発の仕方を述べたが、それに照らし合わせて「独立コンサルタントの適性診断(ただし、このテストはあてになりません)」を眺めてみると、言いたいことが山ほど出てくる。最大の問題は、プロのコンサルタントに一体どのような能力やマインドセットを求めているのかが全く見えてこない点である。

 この診断は、営業活動などに多額の投資をして、幅広い人脈を作り、毎日新聞や雑誌をたくさん読んで、いろんなテレビ番組を観ている人の方が得点が高くなる。だが、よく考えてほしい。毎月20誌・紙以上も新聞や雑誌を読み、様々なジャンルのテレビ番組を観ている時点で、仕事をする時間などあるのだろうか?それに加えて、営業活動に多くのリソースを割いているとなれば、いよいよコンサルティングをしている時間などないように思える。果たしてそんな人がプロコンに適しているといえるのだろうか?

 得点のウェイトづけもバラバラで根拠に乏しい。例えば、Q6で「(1)営業など外部の人と折衝することが多い業務」と答えると、Q6で最高得点となる5点がもらえるが、Q7で「(1)誰にも負けない独特の技術、知識、ノウハウを持っている」と答えると、Q7で最高得点となる10点がもらえる。なぜ、Q7の(1)はQ6の(1)に比べて2倍の価値があるのだろうか?その根拠をはっきりと示すことができるだろうか?意地悪な見方をすれば、「(1)誰にも負けない独特の技術、知識、ノウハウを持っている」というのは主観的な見方であるから、「(1)営業など外部の人と折衝することが多い業務」という客観的な事実よりも劣ると考えることも可能なはずだ。

 選択肢の数も設問によって異なり、また各選択肢の得点が等間隔でないものが多く、理解に苦しむ。Q8.の得点は、(1)5点、(2)4点、(3)4点、(4)2点、(5)1点、(6)△2点となっているけれども、なぜ(1)5点、(2)3点、(3)1点、(4)△1点、(5)△3点、(6)△5点と2点刻みにしないのだろうか?また、前述のQ6の得点は、(1)5点、(2)1点、(3)4点、(4)5点、(5)1点、(6)1点、(7)(得点なし)となっており、全16問のうち唯一マイナスの得点がない。しかし、なぜこの設問だけ全ての選択肢がプラスの得点なのか、その理由がどうもよく解らない。

 他にも細かいところで突っ込みたいところを挙げればキリがない。

 ・Q1の選択肢は基本的に5歳刻みになっているのに、なぜ(3)だけ36~45歳となっているのか?しかも、(3)の得点が5点と最も高く、最高得点を獲得しやすい設問になっている。

 ・Q4は独立後に必要な投資額を尋ねているが、これは独立後のビジネスモデルによって千差万別のはずである。システム会社を立ち上げ、ITコンサルタントとして自社開発したシステムを販売するつもりならば、それなりに多額の資金が必要となる。だが、同じようなシステム会社でも、開発請負をメインにするならば、そこまでの資金は不要である。

 ・Q4は生活費のことも聞いているが、独立して間もないころは仕事がないので、その間耐えられるだけの貯蓄があるかどうかを問うているものと思われる。しかしながら、貯蓄が多ければ多いほどよいと言えるだろうか?ある程度の貯蓄はあった方がよいとはいえ、あまりに多額の貯蓄があると、それに甘えていつまでも事業に身が入らないということもありうる。私の前職の会社は、経営陣が潤沢な資金を持っていたがゆえに、赤字を垂れ流しても経営陣が補填してくれるという空気が社内に生まれ、いつまで経っても事業が軌道に乗らなかった。

 ・Q5は営業活動などの費用に関する設問だが、やみくもに営業にお金を費やせばよいというわけではない。重要なのは、投資に見合ったリターンが得られるかどうかである。この診断を作った診断士は、コンサルティング先の中小企業に対しては「売上高に対する販管費の比率が高すぎる」などと指摘するのに、自分自身は営業に青天井でお金を突っ込んでよいと考えているようだ。

 ・Q6は、「(6)役員、自営など経営全般業務」が1点と最低得点になっている。だが、自営業はともかく、企業の役員をやっている人の方が、会社のことを俯瞰的に見る視点を持っており、かつ中小企業の社長の悩みもよく解っているので、プロコンに向いているような気がする。

 ・Q6に「(4)社員教育などのコンサルティング」とあるが、前職の会社で教育研修とコンサルティングの両方をやっていた経験から言わせてもらえば、社員教育に求められる能力と、コンサルタントに求められる能力は別物である(もちろん共通のスキルもあるが)。社員教育の講師には、プレゼンテーション力に加えて「スピーチ力」が求められるし、グループワークを切り盛りする「ファシリテーション力」や、ワークの中身を開発する「企画力・構想力」が要求される。また、講師にもコンサルタントにも「ドキュメンテーション力」が必要だが、コンサルタントのドキュメントは「精緻な読み物」としてのレベルが要求されるのに対し、講師のドキュメントはどちらかと言うと「視覚的な理解しやすさ」が求められる。

 ・Q11は年賀状の枚数を尋ねているけれども、年賀状を出す習慣がなくなりつつあるこの時代に、この設問が人脈の広さを測る指標として適切かどうかはなはだ疑問である。この診断は、将来的に独立を予定している企業勤めの診断士がメインの対象となっているのだが、企業内診断士で年賀状をたくさん出すチャンスがあるのは、おそらく営業担当者に限られるだろう。しかし、いろいろな独立診断士から聞いた話によれば、はっきり言ってサラリーマン時代の人脈から仕事につながったことはほとんどないという(実際、Q10で「(2)勤務先や取引先関係を中心に幅広い人脈を持っている」は、0点と低評価になっている)。

 ・Q14は定期購読している新聞、雑誌の数に関するものだが、なぜ書籍は対象外とされているのだろうか?個人的には、新聞や雑誌は誰もがアクセスできるものであり、情報としての価値が低い。診断士が持つべき情報は、その人しか持っていないような情報であって、そのような情報は書籍の方が圧倒的に獲得しやすいはずだ。

 ・Q16で「(5)テレビはほとんど見ない」と回答すると△8点ですか・・・。他の設問は概ね最低点が△5点なのに、なぜQ16だけ最低点が△8点、つまり他の設問に比べて1.6倍という中途半端なウェイトがつけられているのだろうか?私に言わせれば、バラエティーやニュース、ドラマなどを幅広い番組を観ているということは、毎日3~4時間はテレビを観ているということであり、とても仕事がデキる人の習慣ではない。

 総合結果を読むと、0点以下には「貴方は、プロコンになるべきではありません。それが、貴方自身のためであり、クライアントや意欲ある他の中小企業診断士のためでもあります」と厳しい評価が突きつけてられている。そこまで言い切る以上は、診断の中身やロジックに相当の説得力がなければならない。にもかかわらず、この体たらくである。いい加減な診断でこんな結果を下されたならば、診断を受けた人はたまったものではない。0点以下の人が中小企業診断士を断念すべきなのではなく、むしろこんな診断を作る診断士こそプロコンになるべきではない。それがクライアントや他の診断士のためである(ちなみに、私の得点は10点でした、ふざけるな!)。

2013年07月09日

この場を借りて中小企業診断士が作った「ダメ診断(アセスメント)」を糾弾する!(1/2)


 「独立コンサルタントの適性診断(ただし、このテストはあてになりません)」の診断結果の見方。各設問の得点を合計してください。

 Q1.(1)△2点、(2)3点、(3)5点、(4)3点、(5)2点、(6)1点、(7)△3点、(8)△5点
 Q2.(1)5点、(2)0点、(3)△3点
 Q3.(1)△5点、(2)△2点、(3)0点、(4)3点、(5)4点、(6)5点、(7)10点
 Q4.(1)△5点、(2)△2点、(3)0点、(4)3点、(5)4点、(6)5点
 Q5.(1)△5点、(2)△2点、(3)0点、(4)1点、(5)5点、(6)10点
 Q6.(1)5点、(2)1点、(3)4点、(4)5点、(5)1点、(6)1点、(7)(得点なし)
 Q7.(1)10点、(2)7点、(3)3点、(4)0点、(5)△2点
 Q8.(1)5点、(2)4点、(3)4点、(4)2点、(5)1点、(6)△2点
 Q9.(1)5点、(2)2点、(3)0点、(4)△3点
 Q10.(1)5点、(2)0点、(3)△3点
 Q11.(1)△5点、(2)0点、(3)2点、(4)5点、(5)7点、(6)10点
 Q12.(1)△5点、(2)△2点、(3)2点、(4)3点、(5)4点、(6)5点
 Q13.(1)0点、(2)△2点、(3)5点
 Q14.(1)△5点、(2)1点、(3)2点、(4)3点、(5)5点
 Q15.(1)△5点、(2)2点、(3)3点、(4)5点
 Q16.(1)△3点、(2)0点、(3)5点、(4)2点、(5)△8点

 <総合結果>
 ・81点以上:貴方は、独立プロコンとして十分やってゆける力があります。
 ・71~80点:貴方は、もう少しの努力と工夫を続けることで、独立プロコンとしてやってゆけるでしょう。
 ・51~70点:貴方に独特の実務経験やノウハウがあれば、独立プロコンとしてやってゆけるでしょう。
 ・31~50点:貴方に、多大の努力と工夫および自己投資を5年続ける覚悟があれば、独立プロコンの可能性はあるでしょう。
 ・11~30点:貴方は、自分自身の意識や周囲の条件が変わらない限り、プロコンになることは、相当厳しいと思われます。
 ・0~10点:貴方は、プロコンへの道は断念することがよろしいかと存じます。
 ・0点以下:貴方は、プロコンになるべきではありません。それが、貴方自身のためであり、クライアントや意欲ある他の中小企業診断士のためでもあります。

 以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第23回)】サービスのコアな部分を外部企業に頼らなければならないという構造」で診断(アセスメント)の作り方について触れたが、今日の記事では私が最近受けた「ダメ診断」を思い切って断罪したいと思う。この診断は、ある中小企業診断士が開発したもので、独立したプロのコンサルタント(略してプロコン)としてやっていける適性があるかどうかを判定するのが目的だそうだ。

 適性診断を開発する場合、まずはその職種に求められるスキルやマインドを漏れなくリストアップする。今回であれば、プロコンに必要な能力とは何かを考える必要がある。コンサルティング業務は、(1)クライアントなどから情報を収集する、(2)収集した情報を構造化し、提案をまとめる、(3)クライアントに提案し、納得してもらう、という大きく3つのプロセスから成り立っている。そして、各プロセスに求められる能力をさらに細分化すれば、以下の10個になると私は考える。

 (1)クライアントなどから情報を収集する
  (1)-1.「インタビュー力」・・・クライアントが自社のあるべき姿や現状の課題についてどのように認識しているか、仮説を持ってヒアリングする力。
  (1)-2.「リサーチ力」・・・インタビューだけでは集められない業界・市場動向や競合他社などの情報について、書籍、雑誌、インターネットなどを活用したり、独自のアンケートを設計したり、調査会社の力を借りたりして調べる力。
  (1)-3.「観察力」・・・工場や店舗などの現場を実際に見て回り、インタビューやリサーチだけでは明らかにならない重要な情報を発見する力。

 (2)収集した情報を構造化し、提案をまとめる
  (2)-1.「フレームワーク活用力」・・・インタビュー、リサーチ、観察によって収集した情報をフレームワークを活用して整理し、クライアントにとって有益な示唆を導き出す力。
  (2)-2.「専門知識」・・・フレームワークを活用する前提として、自分が専門とする領域に関する体系的かつ最新の知識を有し、いつでもフレームワークを使える状態にしておく力。
  (2)-3.「コーディネート力」・・・中小企業診断士はチームで活動することが多い。自分とは異なる専門分野を持つ診断士や、時には他の士業の先生(弁護士、公認会計士、税理士、弁理士など)をうまく活用して、クライアントが求める成果を創出する力。
  (2)-4.「人脈力」・・・コーディネート力を発揮する前提として、普段から幅広い分野の人たちと積極的に交流し、彼らと良好な関係を保つ力。

 (3)クライアントに提案し、納得してもらう
  (3)-1.「ドキュメンテーション力」・・・提案内容を読み手にとって解りやすく文書化する力。
  (3)-2.「プレゼンテーション力」・・・提案内容を聞き手にとって解りやすく説明する力。
  (3)-3.「動機づける力」・・・クライアント内の利害関係者とそのニーズを理解し、提案内容を実行してもらえるよう彼らを粘り強く説得する力。

 次に、各能力のレベルを測定するのにふさわしい設問を設定する。1つの能力につき1個の設問だと、その設問の内容が不適切な場合、点数が極端に上下にぶれてしまうため、1つの能力につき3~5個ぐらい設問を設定するのが望ましい。そうすれば、不適切な設問が1問ぐらい混じっていても、他の設問によってある程度中和される(もちろん、厳密さを追求するならば、トライアル診断を通じて、不適切な設問が混じっていないかどうか、統計的手法を用いて検証する必要はある)。例えば、「リサーチ力」であれば以下のような設問が考えられる。

 ・新しいクライアントを担当することになったら、業界の関連書籍や専門雑誌をまとめ買いする。
 ・検索エンジンを駆使して、業界・市場の動向や競合他社の情報を集めるのは得意だ。
 ・クライアントの顧客ニーズ調査やクライアント内の社員意識調査など、独自のアンケートを設計し、分析した経験がある。
 ・市場調査会社に市場・顧客動向の調査を依頼し、レポートを作成してもらったことがある。
 ・場当たり的に情報をかき集めるのではなく、仮説を持ってリサーチをしている。

 設問の選択肢は、「5.あてはまる」、「4.ややあてはまる」、「3.どちらとも言えない」、「2.あまりあてはまらない」、「1.あてはまらない」の5つとする。非常に細かい話だが、「5.”よく”あてはまる」、「1.”全く”あてはまらない」のように、5と1の表現を極端にすると、受診者は5や1を避けるようになり、回答が中央=3付近に集まりやすくなってしまう。したがって、このような表現はできるだけ使わない方がよい。10の能力について5問ずつ設問を用意すれば、全部で50問となる。

 最後に、各選択肢の得点を設定する。今回は、5=2点、4=1.5点、3=1点、2=0.5点、1=0点とすると、合計100点満点の診断が完成する。10の能力のうち、他の能力よりも重要な能力がある場合、その能力だけ得点を2倍にするなどウェイトをつけることがあるが、個人的にはあまり好きではない。なぜならば、得点を2倍にしたならば2倍という数字の根拠が求められるものの、そのような根拠を探すのは難しいからだ。また、ある設問は5段階、別の設問は3段階というふうに、設問によって選択肢の数を変えるのも、設問間の公平性が崩れるため望ましくない。

 (続く)




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