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『生産性―競争力の唯一の源泉(DHBR2017年7月号)』―生産性に関するデータを収集・分析する業界団体・シンクタンクが必要、他
東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】
中小企業向けの補助金・助成金を検討されている皆様へ(リスクを覚悟しましょう)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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マネジメント・フロンティア
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2017年07月12日

『生産性―競争力の唯一の源泉(DHBR2017年7月号)』―生産性に関するデータを収集・分析する業界団体・シンクタンクが必要、他


ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 07 月号 [雑誌] (生産性 競争力の唯一の源泉)ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 07 月号 [雑誌] (生産性 競争力の唯一の源泉)

ダイヤモンド社 2017-06-09

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 ○偏見を叩くだけでは効果は上がらない 差別の心理学:ダイバーシティ施策を成功させる方法(フランク・ドビン、アレクサンドラ・カレフ)
 2016年のマッキンゼー賞受賞論文である。ダイバーシティ・マネジメントが未だに女性活躍推進とほぼ同義で使われている日本企業に比べると、諸外国ではダイバーシティ・マネジメントが進んでいるだろうと勝手に思っていたが、実際にはそうでもないようだ。ダイバーシティ・マネジメント推進のための研修、業績評価制度における公正な評価の実施、公式な苦情申立制度などを導入しても、かえってマイノリティに対する偏見を助長するだけだと論文の著者は指摘する。

 ではどうすべきかというと、1つにはメンター制度が有効であると言う。ただ、同じ人事制度でも、業績評価制度はNGでメンター制度はOKであるという理由が判然としなかった。仮に、マイノリティ中心にメンターをつけたとすれば、それもやはりマイノリティに対する偏見を生むのではないかという疑念が拭えない。著者はもう1つの方策として、ダイバーシティ・マネジメントに関して社会的な説明責任を負わせることが重要であると言う。人は対外的に説明する責任を負うと、より公正であらねばならないと感じることが心理学の研究で明らかになっている。ただし、これもやはり、業績評価制度との違いを説明できないと感じた。というのも、業績評価制度においても、評価結果の根拠を少なくとも社内にはオープンにしなければならない。社内への説明では不十分で、対外的な説明なら効果があるとする理由が論文からは読み取れなかった。

 ダイバーシティには「表層のダイバーシティ」と「深層のダイバーシティ」の2層がある。表層のダイバーシティとは、人種、性別、年齢、障害の有無など、違いが目に見える属性のことである。これに対して深層のダイバーシティとは、価値観、考え方、文化、出身地、学歴、職歴、収入、コミュニケーションスタイル、所属組織、支持政党、宗教、結婚の有無、働き方のスタイルなど、目に見えない違いを指す。ダイバーシティ・マネジメント後進国の日本に住む私がこんなことを言うのはおこがましい話だが、ダイバーシティ・マネジメントは表層レベルのダイバーシティを追求してはならないと思う。深層レベル、特に考え方や価値観の多様性を追求することを第一とし、結果的に表層レベルのダイバーシティが実現されるという形になるのが望ましい。

 ダイバーシティ・マネジメントの目的は、市場の変化や多様性に対応することである。企業は放っておくと、市場/顧客と同じ考え方を持った社員が集まる。市場の変化が小さい時には、その方が効率的に製品・サービスを顧客に提供することができる。ところが、市場や顧客のニーズが変化すると、新しいものの考え方を組織に注入しなければならない。その新しいものの考え方を組織に取り込み、あるいは先取りして、新しい製品・サービスを開発・提供するためにダイバーシティ・マネジメントが必要となる。社会学者のニクラス・ルーマンは、組織が外部の複雑性に適応するためには、組織内部にその複雑性を取り込むことが重要であると述べている。

 もちろん、多様な考え方を持った社員を誰彼構わず採用すればよいというわけではない。企業には、企業として絶対に譲ることができない価値観が存在する。この価値観については、どの社員も共感している必要がある。これを第1層の価値観と呼ぼう。通常、第1層の価値観は5~10程度で簡潔に表現されることが多い。ところが、企業にはそれ以外にも大小合わせると多くの価値観が存在する。日常の意思決定やオペレーションには、実に様々な価値観が投影されている。これを第2層の価値観と呼ぼう。ダイバーシティ・マネジメントにおいては、この第2層の価値観について、企業側の価値観と社員の価値観の衝突を敢えて推奨する。そこから新たな価値が生まれる可能性があるからだ。よって、企業は、単に多様な考え方を持った社員を採用するのでなく、価値観の衝突を上手にマネジメントできる能力を有する社員を選ぶ必要がある。

 ○生産性向上が社会の格差と不満を解消する 知識労働とサービス労働の生産性(ピーター・ドラッカー)
 ドラッカーが1991年に著した論文である。ドラッカーは、知識労働者の生産性を上げるための処方箋として、①必要のない仕事をやめる、②仕事に集中する、③生産性の意味を考える(量が重視されるのか、質が重視されるのか、量と質の両方が重視されるのか)、④労働者をマネジメントのパートナーとする(このように書くと、マネジメントが知識労働者の方に歩み寄るかのような印象を受けるが、実際には、知識労働者に対し、生産性と成果に対する責任を組み込むことが重要であると述べている)、⑤継続して学習する、⑥他人に教える、という6つを挙げている。

 製造業では、IEの発達などによって、生産性を図る指標が整備されている。他方、サービス業では、生産性を図る統一的な指標が存在しない。私は一応IT業界の出身であるのだが、IT投資をめぐっては必ず投資対効果(これも一種の生産性である)が問われる。工場の建設であれば、導入した機械の種類や整備した生産ラインの形状などから、1日あたりの生産量をほぼ正確に計算できる。ところが、ITの場合は、例えば販売管理システムを導入するとどのくらいの投資対効果があるのか、在庫管理システムの場合はどうなのか、などといった問いに答えることができなかった。システムを導入する企業の規模、業務プロセスの複雑さ、プロジェクトの期間や難易度などによってバラバラであると答えるのが精一杯であった。

 ただ、このままではいつまで経っても顧客企業に対して説得力のあるIT投資提案ができない。そこで、IT投資対効果に関するデータを業界全体で収集し、標準的な投資対効果を算出しようという機運が高まった時期があった。現在の私はIT業界から離れてもう長いため、今どのような動きになっているのかご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたい。

 私の前職は組織・人事コンサルティングと教育研修サービスを提供するベンチャー企業であったが、この世界もまた、生産性に関する標準的な指標がない世界であった。一応、経験則的に、「この作業ならばこのぐらいの時間が標準的」というものは存在した。コンサルティングのプロジェクトでは、書籍や資料を読み込み、関係者にヒアリングをし、パワーポイントやワードで資料を作成し、プロジェクトメンバーや顧客企業と会議を行い、会議の議事録を残すというのが大まかな仕事の流れである。私がマネジャーから教わったのは、書籍や資料は1時間あたり約60ページ読み、ヒアリングは相手が経営者であれ現場社員であれ30分~1時間、パワーポイントは1時間で1枚、ワードは1時間で1,000字、進捗会議は30分~1時間、顧客企業と重要な意思決定を行う会議は2時間(逆に言うと、進捗確認や意思決定以外の会議は行うな、ということでもあった)、議事録は会議に費やした時間と同じ時間で作成する、というものであった。

 コンサルティング業界は、業界団体らしい団体が存在しない珍しい業界である。理想的なのは、コンサルティングの業界団体ができて、生産性に関するデータを収集し、作業ごとの標準的な時間を明らかにすることである。そして、これはコンサルティング業界に限らず、他の知識・サービス労働の業界全てに共通して言えることである。業界ごとに生産性に関するデータが集まれば、今度は業界横断的に生産性を研究するシンクタンクが設立されて、どの業界にも共通する生産性の指標が開発され、その指標の数値について業界ごとの比較ができるようになるとよい。そうすれば、日本のサービス業の生産性向上に大きく寄与するに違いない。

 ○1312社のデータ分析に基づく提言 日本企業の生産性は本当に低いのか(永山晋)
 しばしば、日本企業の生産性は低いと言われる。OECDが発表しているランキングでも、日本は下から数えた方が早いくらいである。この現実に対し、本当に日本企業の生産性は低いのか、上場企業の従業員数と営業利益のデータを使って検証した論文である。論文の著者は、日本企業の生産性は必ずしも低くないと結論づけているものの、ちょっと待ってほしい。分析の対象は上場企業1,312社となっているが、この上場企業の内訳が問題である。

 上場企業業種別企業数

 上のグラフは、上場企業3,805社の業種別割合を示している(「上場企業サーチ:上場企業データベース」より作成)。グラフから解るように、上場企業の半分近くは製造業である(ちなみに、日本の全企業数約400万社のうち、製造業は約40万社で1割程度にすぎない)。そして、これもまたよく言われているように、日本の製造業の生産性は、世界でもトップクラスである。だから、上場企業の生産性を分析すれば、その数値が高めに出るのは当然である。この論文は、我々が既に知っている常識を単に裏書きしているにすぎない。

 日本の生産性の足を引っ張っているのは、日本企業の99.7%を占める中小企業である。これは中小企業庁が発行している『中小企業白書』からも読み取れる。もちろん、大企業を上回る生産性を達成している高業績の中小企業も存在するが、その割合はわずかにとどまる。全体を押しなべて見ると、下図のように、中小企業の労働生産性は大企業のそれを大きく下回る。

労働生産性と労働構成比

 (※)中小企業庁『中小企業白書2016年度版』「第1部 平成27年度(2015年度)の中小企業の動向 第3章 中小企業の生産性分析」より。

 これは、中小企業の作業効率が悪いというだけの問題ではない。中小企業は大企業に比べて、圧倒的に社員1人あたりの売上高が低い。そしてさらに悪いことに、売上高が伸び悩んでいるにもかかわらず、販路開拓に注力していない中小企業の割合が拍子抜けするほど高いのである。販路開拓は、普通の企業ならば普通に行うことである。その販路開拓を行っていない中小企業が20%も30%も存在するのは、はっきり言って異常である。日本の生産性を上げるためには、中小企業の営業力の強化こそが不可欠である。

1人あたり売上高の分布

 (※)中小企業庁『中小企業白書2016年度版』「第2部 中小企業の稼ぐ力 第6章 中小企業の稼ぐ力を決定づける経営力」より。

業種別、商品・サービス別に見た販路開拓の取組状況

 (※)中小企業庁『中小企業白書2015年度版』「第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍 第1章 中小企業・小規模事業者のイノベーションと販路開拓」より。


2017年07月10日

東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】


商売繁盛

 (一社)東京都中小企業診断士協会の理論政策更新研修に参加してきた。この研修は2コマ構成なのだが、1コマ目は必ずその年度の中小企業政策を学習する時間となっている。今回は、東京都が平成29年度に実施する中小企業振興施策について、東京都産業労働局商工部の担当者から説明があった。東京都が中小企業振興施策のために持っている予算は約4,600億円だという。ただし、そのうち約700億円は観光、雇用・就労支援、農業のための予算であり、残り約3,900億円のうち約8割は制度融資のために都内の金融機関に貸し付けているものであるから、純粋に中小企業支援のために使われる予算は約600億円となる。それでも、中小企業庁の予算がだいたい1,500億円程度であるから、いかに東京都がお金を持っているかが解る。

 以下、研修の中で紹介があった主要な中小企業振興施策を列記する。70の施策があるが、実際にはこの倍ぐらいの施策があるそうだ。可能な限り、関連リンクをつけておいた。ただし、古い情報のページも混じっているため、随時最新情報をチェックしていただきたい。補助金・助成金は「●」、専門家派遣が中心のものは「◇」、相談窓口サービスが中心のものは「▽」で示した。

 【経営革新支援】
 ○経営革新計画
 ●団体向け課題解決プロジェクト支援事業

 【経営安定支援】
 ▽小規模企業対策(地域持続化支援事業)
 平成27年度から都内6か所に支援拠点を整備し、小規模事業者が抱える事業承継などの課題解決を支援するとともに、商工会や商工会議所が取り組む地域ブランド開発などの事業を促進し、地域全体の活性化を実現する。平成29年度は多摩・島しょにおける支援を充実。
 ◇中小企業活力向上プロジェクト
 ▽取引改善指導(ADR)
 ●受注型中小企業競争力強化支援事業
 ●新・目指せ!中小企業経営力強化事業
 ◇東京都BCP策定支援事業
 ○団体向けリスクマネジメント普及啓発事業【新規】
 ▽事業承継・再生支援事業
 ●技術・技能承継事業
 ▽中小企業サイバーセキュリティ対策の普及促進
 中小企業をサイバー空間の脅威から守るため、警視庁や各中小企業支援機関と連携し、平成28年度から相談窓口を設置するなどサイバーセキュリティ対策の普及促進を実施。東京五輪を控え、中小企業自らがサイバーセキュリティの重要性を実感し、早急な対策に取り組むことができるよう、企業1社1社への働きかけを強化する。
 ●中小企業における危機管理対策促進事業【新規】

 【販路開拓支援】
 ○東京ビッグサイトの拡張整備
 ○中小企業グローバル連携促進事業
 ▽海外販路開拓支援事業
 ▽都内中小企業の海外への魅力発信事業
 平成27年12月、東京都中小企業振興公社タイ事務所が業務を開始し、現地において経営相談やマッチングなどを実施。引き続き、都立産技研バンコク支所、タイ工業省、カシコン銀行などと連携し、都内中小企業の海外展開を現地できめ細かくサポート。
 ○海外展開人材育成事業
 企業の現状や発展段階に合わせて、貿易実務者養成講習会、国際化対応リーダー養成講座を開催し、中小企業の海外展開に資する人材の育成を総合的に支援。
 ○アジア特別商談会
 ○医療関連機器等の海外展開支援【新規】
 海外市場におけるPR(世界最大級の医療機器展示会「COMPAMED」への出展など)やビジネススキル・ノウハウの取得支援を実施する他、現地政府機関や企業、産業クラスター、研究機関などとの連携によるネットワークの構築を図る。
 ○産業交流展
 ○地域連携型商談機会創出事業

 【ネットワークづくり支援】
 ○広域多摩イノベーションプラットフォーム
 ○広域産業交流・連携の促進
 埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の近隣8県市と共同で、年1回、中小企業と大企業による商談会を実施する。
 ○被災地等中小企業ビジネス革新支援事業
 都内および被災県等中小企業と、東日本を中心とした大企業開発試作部門との連携を促進することで、被災県の産業を立て直すとともに、都内産業の活性化を図る。
 ●新事業分野創出プロジェクト

 【技術支援】
 ●新製品・新技術開発助成事業
 ●製品開発着手支援助成事業
 ○ものづくりイノベーション企業創出道場
 ▽知的財産総合センターの運営
 ●知財戦略導入支援事業(ニッチトップ育成支援事業)
 ○知的財産活用製品化支援事業
 ○デザイン活用への支援
 ●次世代イノベーション創出プロジェクト2020
 ●成長産業分野の海外展開支援
 ●先進的防災技術実用化支援事業
 ●海外展開技術支援事業
 ○生産性向上のための中核人材育成事業
 ●革新的事業展開設備投資支援事業【新規】
 ○未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト【新規】
 東京には世界屈指の大企業が拠点を有しているが、現状では大企業と中小・ベンチャー企業の連携は低調である。今後、広く中小企業全体に波及効果をもたらすイノベーションを創出するため、リーディング企業、ベンチャー・中小企業を巻き込んだオープンイノベーションを活用して、新製品・新技術開発や新事業への展開を促す仕組みの構築に向けた調査・検討を実施(平成30年度から採択プロジェクトへの支援を予定)。

 【創業支援】
 ○次世代アントレプレナー育成プログラム
 ○インキュベーション施設の運営
 東京コンテンツインキュベーションセンター(中野区)、ベンチャーKANDA(千代田区)、白鬚西R&Dセンター(荒川区)、ソーシャルインキュベーションオフィス・SUMIDA(墨田区)、タイム24ビル内創業支援施設(江東区)、青山創業促進センター(通称:青山スタートアップアクセラレーションセンター、渋谷区)、インキュベーショオフィス・TAMA(昭島市)の運営。
 ●インキュベーションHUB推進プロジェクト
 ○青山創業促進センターの設置・運営
 ●ライフサイエンス系ベンチャー支援
 ●創業活性化特別支援事業
 ▽創業支援拠点の運営
 ○東京都ベンチャー技術大賞
 ○多摩ものづくり創業の促進【新規】
 ○グローバル・ベンチャー創出プラットフォーム【新規】
 海外で成功するベンチャー企業を育成するために、海外のベンチャーキャピタルや大企業とのビジネスマッチングを重視する。
 ○女性ベンチャー成長促進事業【新規】
 国内外でトップベンチャーとして活躍する女性ベンチャーのモデルケースを輩出することを目的に、社会課題の解決やグローバル市場への進出など、スケールアップする可能性の高い事業ビジョンを持つ女性起業家を支援する。

 【地域工業の活性化】
 ○産業立地情報収集・提供事業
 ●産業集積活性支援事業
 ●都内ものづくり企業立地継続支援事業
 ●ものづくり企業グループ高度化支援事業
 ●地域の魅力を活かした新ビジネス創出事業【新規】
 ▽東京都企業立地相談センター業務委託事業【新規】
 今後、都内へ立地を希望する企業に対し、立地に関するよりきめ細やかな情報や適切なアドバイスをワンストップで提供できるよう、相談センターを設置する。

 【地域商業の活性化】
 ●商店街への支援
  -商店街補助事業
  -政策課題対応型商店街事業
  -商店街グランプリ
  -広域支援型商店街事業
  -進め!若手商人育成事業
 ◇商店街ステップアップ応援事業
 ●商店街空き店舗活用モデル事業
 ●商店街起業・承継支援事業
 ●若手・女性リーダー応援プログラム

 【総合的支援】
 ▽中小企業ニューマーケット開拓支援事業
 ○新事業分野開拓者認定・支援事業
 ●航空機産業への参入支援
 ●医療機器産業への参入支援
 ○東京発「クールジャパン」の推進
 東京の「クールジャパン」を世界へ発信・浸透させ、東京の産業力とブランド力の強化を図る。
 ○中小企業世界発信プロジェクト
 ○中小企業新サービス創出事業
 ●障害者スポーツ用具開発の促進【新規】
 東京2020パラリンピック競技大会に向けて、中小企業や地域が取り組む障害者スポーツ用具などの開発を支援。障害者スポーツ用具の開発が活性化され、中小企業の同用具市場さらには福祉機器市場への参入にもつなげていく。

 【試験研究機関】
 ●ロボット産業活性化事業
 ●中小企業へのIoT化支援事業【新規】

 ここからは余談。理論政策講師研修の2コマ目は「中小企業の海外展開支援」であったが、これが最悪であった。私の知り合いに海外経験が豊富な診断士の先生がいて、一部の「国際派」診断士なる人たちを非常に毛嫌いしている(まず、「国際派」の意味が解らないと言う)。彼らが勉強会や会合を開くと、何十年も前に海外で自分が経験したことを、「私が○○にいた頃の話『では』・・・」などと言って、永遠と自慢話を続けるそうだ。「国際派」診断士に対して否定的なその先生は、彼らのことを「出羽山地の神々」をもじって「ではの神」と揶揄している。

 研修の前日にその先生に会う機会があって、「明日、理論政策更新研修で、○○先生の『中小企業の海外展開支援』を聞くことになっている」と話したら、その先生は「それは一番最悪な講師だ。絶対にFOBとかL/C(信用状)とかの話をするに決まっている」とおっしゃった。案の定、蓋を開けてみたら、2時間半の研修のうち、大半はFOBやCIF、L/C、NEXIなど貿易実務の話であった。この程度の知識なら、貿易実務をやったことがない私でも知っている。それに、我々はそもそも診断士であって、貿易業務のプロを目指しているわけではない。

 診断士が関心を持っているのは、あくまでも経営の話である。例えば、輸出をする際には、どういう視点でターゲット市場を評価すればよいのか、展示会で効果的に見込み客のリストを集めるにはどうすればよいのか、販売店・代理店はどうやって見つけるのか、販売店・代理店の信用評価はどのようにして進めるのか、販売・代理店の育成、モニタリングはどうやって実施するのか、代理店とトラブルになったらどう対処すればよいのか、といったことを聞きたかった。もしも講師がこれらの論点に答えられないなら、「海外展開支援を専門としている」などと言ってほしくない。

 それに、輸出というのは、中小企業の海外展開の一面でしかない。神奈川県が実施した「海外展開している又は計画がある県内中小企業の動向調査」によると、最も割合が高い進出形態は「現地生産」である。「輸出」が2位、3位にあるが、4位には「販売拠点の設置」がランクインしている。これは、中国、ASEANなど、従来はコスト削減のための生産拠点として見てきた国が経済成長し、有望な市場としても評価できるようになったという事情を反映している。

海外展開している(した)進出形態

 ややデータが古いが、中小企業庁『中小企業白書(平成22年版)』によると、直接投資企業は、輸出企業と比較して、「人材確保・労務管理」や「投資費用の調達・資金繰り」といった人材面や資金面の課題を挙げる割合が高くなる傾向が見られる。

国際化における課題

 さらに、日本政策金融公庫『中小企業の海外進出に関する調査結果』(2012年5月)を見ると、海外直接投資先の経営課題(複数回答)として「外国人従業員の教育や労務管理が難しい」が製造業で1位、非製造業で2位になっている。とどのつまり、直接投資の場合は、人材マネジメントが中小企業にとって最大の経営課題となっていると言える。

海外直接投資先での経営課題

 人材マネジメントに関する経営課題を細分化すると、様々な問題が出てくると思う。現地の労働法が複雑で対応に苦労する、当局とのやり取りが煩雑である、政府の裁量で最低賃金がどんどん上昇し収益が圧迫される、ワーカーやスタッフの育成が難しい、仕事に対する意識が日本人と違いすぎて、日本人の指示通りに仕事をしてくれない、せっかく育成しても給与が高い企業にすぐに転職してしまう、ちょっとでも労働条件が悪いと感じるとストライキをちらつかせてくる、労働組合との対立が深刻である、ローカル社員の不正に悩まされている、リーダー・マネジャークラスの人材が育たない、ハイクラスの人材を外部から採用しようとしても適材がいない、経営の現地化が進まず、いつまでも日本人駐在員を引き上げられないなど、挙げればきりがない。

 進出国の最新事情を考慮に入れつつ、かつこれらの課題に対応しながら、現地企業が持続可能な成長を遂げるためにどうすればよいかアドバイスするのが診断士の仕事というものではないだろうか?そういう仕事ができるようになるために、我々は研修を受けているのである。そうでなければ、理論政策「更新」研修は、「知識の更新」にならない。


2016年11月02日

中小企業向けの補助金・助成金を検討されている皆様へ(リスクを覚悟しましょう)


お金

 安倍政権になってから補正予算などによって中小企業向けの補助金・助成金(以下、単に補助金とする)が増加しており、これらの制度の利用を検討している企業も多いと思う。個人的には、補助金はリスクマネーであると考えている。すなわち、優れたアイデア・技術を持ちながら、外部環境の急激な変化によって一時的に経営難に陥り、金融機関の通常の審査では融資を受けることが難しい企業に対して、資金を供給するのが補助金である。言い換えれば、市場の失敗をカバーする役割を持つ。苦境に陥っている中小企業の救済が目的であるから、本来的には迅速に補助金を支払い、中小企業の創意工夫によって補助金を自由に使わせるのが筋である。

 ところが、実際にはそのようになっておらず、補助金がかえって経営の足かせになる場合があるので、注意が必要だ。まず、補助金は交付を受けるまでに時間がかかる(「交付を受ける」とは補助金がもらえることではない。多くの補助金は、使用した経費の事後精算であり、「交付を受ける」とは、事後精算時に最大いくらまで補助金をもらうことができるのか、その権利を付与されたものととらえるべきである)。金融機関から融資を受ける場合には、事業計画を提示してから通常は1~2か月で資金が振り込まれる。だが、補助金の場合はそうはいかない。

 例えば、近年の補助金の目玉の1つである「ものづくり補助金」を例にとると、2~3月に公募が始まり、5月に締切となる。その後審査が行われ、6月末ぐらいに採択結果が公表される。採択されたからと言ってすぐに事業を開始することはできない。公募の次に交付申請というもう一段階別の審査を受ける必要があり、最終的に交付決定が下りるのは7月末ぐらいになる。交付決定を受けると、ようやく事業を開始することができる。そうすると、2月に事業計画を作成しても、7月末までの約5か月間、事業計画が塩漬け状態になることを意味する。早く事業を開始して経営難から脱したい企業としては、これは非常にリスキーである。

 補助金は事後精算であると書いたが、補助金をもらうためには、購入物に関連する各種伝票類を漏れなく揃える必要がある。その事務処理が非常に大変である。この点については、以前の記事「【補助金の現実(2)】補助金の会計処理は、通常の会計処理よりはるかに厳しい」でも書いた。通常の取引であれば、見積書や注文書を何度かやり取りしているうちに、見積書の日付が注文書の日付より新しくなることがある。税務署はこの点を全く問題視しないのだが、補助金ではNGとなる。見積書の日付は注文書の日付より古い日付でなければならず、もしそうなっていなければ見積書を取り直すか、注文書を再作成する必要がある。

 日付の矛盾だけでなく、金額の矛盾にもうるさい。細かい原材料を何種類も一度に購入した場合などに起こるのだが、消費税の計算がメーカーと中小企業によって若干異なる場合がある。請求書の金額と実際に支払った金額が1円違っていたりする。これも、税務署ならば全く気にしないが、補助金ではその1円の違いを説明させられる。「消費税計算の四捨五入の考え方の違いで1円異なっており、メーカーもその差異について了承している」という文書を作成しなければならない。あまりに事務処理が大変なので、「事務処理用に社員をもう1人雇わなければならない」と悲鳴を上げる中小企業もあるくらいだ。事務処理のために、本来業務が圧迫されるリスクがある。

 金融機関からの融資の場合、申請した資金使途に反していなければ、借りたお金を自由に使うことができる。これに対して、補助金の場合は資金使途などに関して細かいルールがたくさん定められている。そのルールを無理やり中小企業に適用すると、組織がおかしくなる危険性がある。ものづくり補助金に関しては、以下のような話を聞いたことがある。

 ものづくり補助金では、外注加工費を補助対象経費総額の2分の1以下にしなければならないというルールがある。ある中小企業は外注先を使って新しいソフトウェアを開発しようとしたが、普通に計算すると外注加工費が経費総額の2分の1を超えてしまう。そこで、一時的に外注先からその企業に社員を出向させたという形にして、直接人件費として処理した。また、別のある企業はソフトウェアの内製を検討していた。平成27年度補正予算のものづくり補助金からは直接人件費が補助対象経費から外れたため、このままでは補助金が受けられない。そこで、社員を辞めさせて個人事業主にし、その社員に発注することで、補助金のスキームに乗せたという。こういうケースで最も不幸なのは、企業側の都合で出向させられたり、退職させられたりした社員である。

 安倍政権になってから、日本の開業率をアメリカ・イギリス並みの10%に引き上げるという目標が掲げられており、創業支援にも力が入っている。創業希望者を支援する企業・団体向けの「創業支援事業者補助金」という制度がある。補助金を受けた支援事業者は、創業希望者に対して窓口相談業務を提供したり、創業・経営に必要な知識を学ぶセミナーを開催したりする。

 この補助金では、支援事業者の直接人件費も補助対象になっているのだが、要件として、「新たに採用した社員の人件費」を補助対象とすると定められている。創業支援事業者補助金は、地方自治体が定めた3~5年の「創業支援事業計画」と連動した補助金であり、毎年公募が行われる。すると、継続的に補助金を受けたいと考える支援事業者は、毎年新たな社員を採用しなければならない。おそらく、創業は雇用を生み出すものだから、支援事業者も同じように雇用を生み出すべきだという考え方が背景にあるのだろう。しかし、この事業のために毎年新たに社員を採用するのも大変である。そこで、ある団体では、1年だけ社員と雇用契約を結び、翌年は別の社員とまた1年だけ雇用契約を結ぶ、ということを繰り返していると聞く。

 私は以前、公益財団法人東京しごと財団が実施する「高齢者職域拡大モデル事業」という補助金の申請支援をしたことがある。これは、高齢者を活用した新たなビジネスモデルに対して補助金が出るというものである。私が支援させていただいたのは、主に高齢者向けの健康関連製品を販売する企業であった。高齢者のニーズをよく解っているのは高齢者自身であるから、高齢者を販売員とする新しい販売モデルを構想した。具体的には、販路開拓のために、地方にある代理店に向けて新たな教育プログラムを整備することとした。ところが、補助金の要件が「都内で雇用すること」となっている。そこで、地方の代理店で販売員を採用し、補助金を受ける間は東京の本社に出向させ、教育が完了したら元の代理店に帰任するというモデルを描いた。

 しかし、入社後いきなり出向させられることを条件に入社を決める社員などいないし(ましてそれが高齢者となればなおさら難しい)、本社側も出向者受け入れ期間中の家賃などを負担しきれないということで、結局は申請を見送った。企業側の担当者は当初、「この補助金が自社にぴったりだ」と熱が入っていたのだが、かなり無理をして補助金のスキームに当てはめようとしていたため、申請を断念してよかったと私は思っている。

 以上のような話があるため、現行の補助金制度は、リスクマネーの迅速な供給という本来の役割を果たしていないと感じる。補助金に頼ると、事業がなかなか開始できない⇒事務処理に時間がかかり本業に集中できない⇒業績が回復しない⇒再び補助金に頼るという、魔のループに陥る恐れがある。だから、私が中小企業を支援させていただく際には、私の方から積極的に補助金を勧めることはない。やはり王道は、金融機関から融資を受けることである。一時的な経営難により通常の審査では融資を受けることが難しいのであれば、金融機関の心証をひっくり返せるような納得性の高い事業計画を練り上げることに時間をかける。補助金の事務処理やルール遵守(ルールのすり抜け?)に振り回されるより、そちらに頭と時間を使うべきだと思う。

 《余談》
 以前の記事「「開業率アップ」を掲げながら創業補助金には及び腰になった中小企業庁」で、補助金の適正規模について触れ、直観的に「1%」という数字を使った。創業補助金であれば、毎年の創業者数の1%、ものづくり補助金であれば、その年に新製品開発をする中小製造業の1%といった具合だ。この「1%」にもっともらしい説明をつけるとすれば、次のようになる。

 前述の通り、補助金の本来の役割は市場の失敗をカバーすることである。個人の世界において、市場の失敗をカバーする役割を持つのは生活保護である。生活保護の受給率は約1.7%である。ただし、生活保護の場合は、本来生活保護を受ける資格があるにもかかわらず、何らかの事情で生活保護を受けていない人がいる。日本の場合は特にその数が多いと言われる。そこで、本来生活保護を受ける資格がある人のうち、実際に生活保護を受けている人の割合のことを捕捉率と呼ぶ。日本の場合、捕捉率は15.3~18%である。この数字を基に、生活保護を受ける資格がある人の割合を計算すると、約26~31%となる。

 生活保護の場合は、憲法25条で生存権が保障されており、生まれたからには生きる権利があるから、保護対象が広くなるのは当然である。一方、企業の場合は、ゴーイングコンサーンという言葉はあるものの、企業が永続的に存続する権利はない。仮に市場が失敗したとしても、市場から退出しなければならないケースもある(その代わり、やり直しがきく)。そこで、本当にカバーすべき市場の失敗を、生活保護よりも相当辛く見積もって1%としたわけである。

 中小企業向けの補助金を生活保護と同列で論ずることには異論もあるに違いない。だが、生活保護を受けている人は、そのことを堂々と宣言せず、どこか後ろめたさを感じているのと同様に、補助金を受けている中小企業も、同じような後ろめたさを感じている部分があるのではないかと思う。ある企業は、補助金を使って開発した製品のパンフレットに、経済産業省の補助金を受けたことを記載することで、経済産業省の”お墨つき”をもらったとアピールしたがっていた。しかし、「経済産業省 ○○補助”金”事業」と書くのは嫌だという。そこで、「経済産業省 ○○補助事業」と書くことにした、という話を聞いたことがある。



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