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森繁和『勝ち続ける力』―落合氏と森氏に共通する7つの思考(2)
森繁和『勝ち続ける力』―落合氏と森氏に共通する7つの思考(1)
森繁和『参謀』―阪神が涙目になる中日の投手王国の仕組み

プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2013年02月08日

森繁和『勝ち続ける力』―落合氏と森氏に共通する7つの思考(2)


勝ち続ける力勝ち続ける力
森繁和

ビジネス社 2012-10-12

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 (前回の続き)

(4)孤独に負けない精神力をつけさせる
 (最近の若い選手は)自分の時間は1人で過ごしたいのに、グラウンド(仕事)では「どうすればいいですか」「指示を出してください」「これで間違っていませんか」という頼りなげな視線を向けてくる。

 それでは困る。自分1人で決めねばならないのだ。(中略)野球は9人対9人で戦うチームスポーツだが、実際は投手と打者による1対1の勝負である。しかも、投手の指先をボールが離れると、コンマ何秒で勝負がついてしまう。そんな一瞬の勝負に、長々とアドバイスしている時間はない。(『采配』)
 潰れない選手、伸びる選手には、共通点がある。特に投手の場合、この共通点は、大成するために絶対必要不可欠な条件だと感じる。それは、孤独な時間をきちんと過ごせることだ。(中略)

 相手を知る前に、孤独に慣れ、技術的にも精神的にも、自分をしっかりわかっておかないといけないのだ。そのためには孤独な時間をうまく過ごせるようになる必要があるのだ。山本昌や浅尾や吉見は、何だかんだ言ってもそれができる投手だった。ランニングを1人で黙々とやりながら、自分のことを考える。野球のことを考える。ピッチングのことを考える。そのひとときこそが大事だと私は思う。(『参謀』)
(5)30代で一人前になることを目指す
 現在のドラゴンズには、27歳の野本圭と岩崎達郎を筆頭に、26歳の堂上剛裕、大島洋平、24歳の松井佑介、23歳の平田良介、堂上直倫、福田永将ら、将来はレギュラーになってもおかしくない若手野手が何人もいる。彼らを私の一存でレギュラーに抜擢すれば、1年くらいはそこそこの成績を残してくれたかもしれない。

 しかし、基礎体力に加えて、長いペナントレースを戦い抜く体力をつけてくれないと、2年、3年と実績を残していくのは難しい。だからこそ、25歳から30歳くらいの間は、しっかりとした土台をつくる時期だととらえている。

 せっかく若くしてレギュラーになっても、30代半ばでユニフォームを脱ぐことになったら寂しい。ならば、20代で足場を固め、30歳でレギュラーの座を手に入れ、40代まで第一線でプレーできたほうが幸せなのではないだろうか。(『采配』)
 なにもあせる必要はない、選手の本格的な活躍は30代からでもいい、20代で一瞬活躍して、すぐケガや勘違いで活躍できなくなり、プロ野球界を去るケースを私もたくさん見てきたし、監督もそうだろう。だったら、じっくり下積みを経験して、練習を積み、森野(将彦)(筆者注:落合政権8年間の間に、野手でレギュラーをつかみとったのは森野だけである)のように、30代でレギュラーになり、欠かせない選手になったほうがよっぽど幸せだろう。

 ドラゴンズが誇る「アラ・イバ」コンビ、荒木雅博と井端弘和もレギュラーに定着したのは20代なかばである。選手のためを思えば、長い目で見て3年後、5年後にレギュラーになれるような育て方をすればよい。特にピッチャーは、体ができていないうちに無理をすると、短命で終わる危険が高くなる。1~2年ですぐ結果を求めるのは、選手のためと言うよりは、監督やコーチが実績をあせるからだろう。(『参謀』)
(6)「点をやらない野球」を徹底する
 監督になったつもりで考えてほしい。0対1の悔しい敗戦が3試合も続いた。ファンもメディアも「打てる選手がいない」と打線の低調ぶりを嘆いている。この状況から抜け出そうと、チームでミーティングをすることになった。監督であるあなたは、誰にどんなアドバイスをするか。(中略)

 私は投手陣を集め、こう言うだろう。「打線が援護できないのに、なぜ点を取られるんだ。おまえたちが0点に抑えてくれれば、打てなくても0対0の引き分けになる。勝てない時は負けない努力をするんだ」(『采配』)
 バッティングのように、すぐに結果が出ないものは仕方がない。それよりもやるべきこと、「守ること、走ること」をきちんとする。「やるべきこと」はミスをしないことだ。普通に捕れるボールを捕り、暴投しないようにすることだ。

 ヒットを打つことが「やるべきこと」ではない。3回に1回打てば、打率は十分なのだ。それより正面に来たボールを捕って確実にアウトにする。フライを捕る、走る、バックアップ、カバーリングをきちんと行っていれば、勝つことができても負けることもない。(『勝ち続ける力』)
(7)選手の中にリーダーを作らない
 最近の若い選手は、巷でチームリーダーと言われている選手に敬意を表し、「あの人についていけば」とか「あの人を中心に」といった発言をするが、それが勝負のかかった場面での依存心になってしまうケースが多い(筆者注:1点リードを許している展開で、1死2塁でチャンスが回ってきた時に、自分で決めてやろうとするのではなく、後に控えるチームリーダーに決めてもらおうと自分は進塁打に徹してしまうことを指す)。(中略)

 組織に必要なのはチームリーダーではなく、個々の自立心と競争心、そこから生まれる闘志ではないか。年齢、性別に関係なく、メンバーの一人ひとりが自立心を持ち、しっかりと行動できることが強固な組織力を築いていく。(『采配』)
 本来は、全員がリーダーシップをとる能力をもっているのが望ましい。自分はただついていくだけというのではなく、それぞれが考える集団がベストだ。そのうえで初めて、ひとつにまとまる意味がわかるのだ。

 結論としては、私は最初からリーダーを決めるべきではないと思っている。リーダーは育てるものではなく、自然に育つものだ。(『勝ち続ける力』)
 こうした2人の共通価値観に従って、長時間の厳しい練習を通してじっくりと育成された、タフで自立心のある選手たちが、投手も野手もそれぞれに考えながら能力を発揮し、鉄壁の「守りの野球」を実現させていったのだろう。中日の組織能力が一過性でなかったことは、2人がチームを去った2012年のペナントレースでも、勝敗自体は2011年と遜色ない成績を残したことに表れている(2011年が75勝59敗10分、2012年が75勝53敗16分)。問題はブランコ、ソト、ソーサという助っ人外国人が3人とも抜けた今年だ。落合―森文化が活きていれば、代わりの選手はすぐに出てくるに違いない。しかし、その文化が崩れ始めると、2002年から11年続くAクラスの座も危ういかもしれない。いや、個人的には中日の心配はどうでもいいのさ。問題は阪神よ、阪神!

2013年02月07日

森繁和『勝ち続ける力』―落合氏と森氏に共通する7つの思考(1)


勝ち続ける力勝ち続ける力
森繁和

ビジネス社 2012-10-12

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 まず初めに、先日の記事「森繁和『参謀』―阪神が涙目になる中日の投手王国の仕組み」の補足。森氏の下では、1軍と2軍が一体となり、入念に準備された計画の下で緊密に連携しながら投手を育成していたことが伺える箇所を引用しておく。
 先発とリリーフでは部署が違うのだから、2軍でずっと先発として育てていた投手を、1軍に上げてリリーフで使うことはない。2軍でリリーフに配置した投手は、1軍でもリリーフで使って育てることだ。逆もまた然りで、2軍でリリーフしか投げていない投手を1軍で先発させることは、絶対にない。

 1軍の投手不足に困ったら、2軍の投手を上げる。その場合、大切なのは1軍の投手コーチと2軍の投手コーチが、同じ考えで最新の情報を共有していることだ。お互いの状況を常に把握しておく。「今、こういう状況で、この選手の調子が悪い。昇格候補のピッチャーの状態を、いつでも1軍に上げられるように整えておいてくれ」と頼んだりする。(中略)

 先発でもリリーフでも、1軍に上がってきたら「今までの投げ方、やり方でいいからな」と言えるようにしておく。2軍で投げてきたことと同じことをやればいい、仕事の内容は同じ、今までやって来たことの延長線上でやれ、と。1軍で投げさせるときは、できるだけ2軍で一番いい状態のときに投げさせる。1軍に上げた以上は、早めに投げさせることだ。結果が出ようが出まいが、すぐ登板させる。(中略)

 そうして、次に進む課題を自分で考えさせる機会をつくる。この経験が今後の本人のステップアップにつながっていくようにしなくてはならない。
 おーい、阪神の首脳陣、聞いているか~!?(苦笑)

 さて、森氏の『参謀』に続いて近著『勝ち続ける力』を読んでみると、落合氏と森氏は共通の考え方を持ってチームを運営していたことがよく解った。落合氏の著書『采配』と森氏の『参謀』、『勝ち続ける力』から、その共通点を7つにまとめてみた。マネジメントが共通の価値観を持っている組織はやはり強い。落合氏と森氏で大きく意見が食い違ったことと言えば、落合政権1年目の時に、落合氏が川崎憲次郎を開幕投手に指名したことぐらいだろうか?当時、川崎はヤクルトからFAで中日に移籍してきて3年目のシーズンを迎えていたが、ケガのため過去2年間は1軍での登板がなかった。落合氏は、その川崎に大事な開幕戦を託そうとした。これにはさすがの森氏も、「開幕戦から捨てゲームをやるのか?」と驚いたそうだ(J-SPORTSの対談より)。

采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17

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(1)上司の仕事はとにかく選手を「観察」すること
 8年間、監督を務めてきて強く感じているのは、選手の動きを常に観察し、彼らがどんな思いを抱いてプレーしているのか、自分をどう成長させたいのかを感じ取ってやることの大切さだ。自分なりに選手の気持ちを感じ取り、その意に沿ったアドバイスをすることができれば、それが厳しさを含んだものであれ、選手がこちらを見る目は変わる。

 「ああ、監督は俺のことを思ってくれているんだ」
 そう選手に思わせることができれば、底から先のコミュニケーションは円滑になるのではないかと考えている。(『采配』)
 (西部の元監督である)根本(陸夫)さんには、まず人を「見る」ことを叩き込まれた。人を見ないまま、いきなり自分の考えを押しつけるだけでは、選手は絶対に動かない。「見る」ことは「育てる」ことのスタートなのだ。(中略)

 「見る」というのは、見える先の、見えないものを見ることだ。技術だけでなく、見る相手の心の中―何を考えているのか、どんな性格なのか、相手のことを本気で考えろ、ということなのだと思い至った。(『勝ち続ける力』)
(2)「心技体」は「体」からスタートする
「技身体」や「体心技」と口にしてみると、確かに「心技体」が最も語呂がいい。では、この3つの要素を大切な順番に並べるとどうなるか。

 私は「体・技・心」になると思う。プロ野球選手だからというわけではなく、ビジネスマンであれ学生であれ、仕事や勉学に打ち込む時には体力が必要だ。病気などで体力が落ちている時は、なかなか気力も湧いてこない。人間の生活を根本的に支えているのは体力なのだから、まずは体力をつけておくことが肝要だろう。(中略)

 技と心は序列をつけにくいが、技術を持っている人間は心を病まないという意味で技を先にした。(中略)セールスポイント、あるいは得意分野を2つ、3つと増やしていけば、ちょっとしたことで悩んだりしないはずだ。仕事自体が嫌いになるような状況にも陥ることにないし、心の健康も保っていられる。(『采配』)
 まずはこの投げ込みができる体力をつくることから始める。「心技体」のなかで、私は「体」が一番だと思っている。どこを鍛えるにも、まず体ができていないと次の目標に向かえないだろう。(中略)

 ビジネスパーソンでも同じことが言える。体力をつけてから次のステップに進む。体力をつけながら、技術や心を少しずつ伸ばしていくほうが結局は早いのだ。(『勝ち続ける力』)
(3)階段は1段ずつその選手に合ったペースで登らせる
 仮に、身につけなければならないことが10段階あり、5のレベルに達すれば1軍でプレーできるとしよう。私はドラフト1位で入団した選手にも、6位や7位といった下位で入団してきた選手にも、別け隔てなく、1のレベルから取り組ませる。中には、ドラフト下位指名でも春季キャンプの間に5のレベルをクリアし、オープン戦を経て開幕から1軍でプレーできる選手もいる。反対に、1位という期待を寄せられながら、1年経っても2、3のレベルで苦戦する選手もいる。

 プロ野球界でよくあるのは、ドラフト1位で入団した選手が2や3のレベルで伸び悩むと、途中を端折って6のレベルのことを教え、無理して1軍で使ってしまうケースだ。(中略)本人が気づいてしっかりと足固めをすればいいのだが、多くの選手は壁にぶつかった途端に自信を失い、ルーキーの時の輝きは何だったのかという選手になってしまう。

 それでは選手が不幸だ。(中略)指導者が肝に銘じなければいけないのは、1のレベルから2、3、4と、ある程度の時間がかかっても辛抱強く、段階を踏んで教えていくことだろう。(『采配』)
 すぐ結果を求めたほうがいいのか、まず体づくりを数ヶ月やらせたほうがいいのか。すぐやらせたら故障につながる選手には、段階を踏ませる。みんなに同じことをやらせることはできない。しばらく2軍に行かせて2軍の選手たちと、ひとつ下げたところから鍛えて、1軍でできる体力になってからゲームに参加させるといった仕組みをつくる。1年間はこれでいい、2年目からこういう練習メニューをやらせようと考える。大学卒か社会人か、一人ひとりが違う状態で入団してきているから、全員同じメニューをやらせることは無理だ。(『勝ち続ける力』)
(続く)

2013年02月05日

森繁和『参謀』―阪神が涙目になる中日の投手王国の仕組み


参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」
森 繁和

講談社 2012-04-06

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 落合博満氏と森繁和氏が中日を去って2年、森繁和氏の後を継いだ権藤博氏も1年で投手コーチを退いてしまい、2013年のペナントレースに向けた春季キャンプも始まって完全に時期外れになってしまったが、落合氏の著書『采配』に続いて森氏の本も読んでみた(近著『勝ち続ける力』も読了)。中日は、主力の投手がメジャー挑戦や故障などで抜けても、次から次へと新しい選手が出てくるイメージがある。先発の層の厚さはもちろんのこと、中継ぎ陣も充実しており、ロングリリーフ、ワンポイント、勝ち試合の8回・9回を投げるピッチャーなど、駒が豊富だ。この本を読むと、森氏が非常に計画的に投手を育成していたことが解る。

采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17

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 中日には投手が30人いる。通常、1軍の投手には、表ローテ・裏ローテの先発6人、7回・8回を1イニングずつ任せられる中継ぎ2人、クローザー1人、そしてロングリリーフや敗戦処理を担当する投手3人、合わせて12人が登録されるが、中日は控え捕手の枠を1人削って捕手を谷繁と小田の2人とし、投手13人体制を敷いていた。その13人の将来を見据えた場合に、誰がいつ頃にFAやメジャー挑戦で抜けそうか?故障でダメになるリスクが高いか?年齢による衰えが出てきそうか?といった点を踏まえて、2軍にいる残りの17人について、いつまでに、どの役割を任せられるように育成するかを綿密に決めていたと思われる。そして、2軍のメンバーで賄えない場合には、ドラフトやトレードによる獲得を画策した。

 そして、1軍の投手がたまたまケガや不振で戦線を離脱した機会を「利用して」、その選手の後釜候補となる2軍の選手を1軍に上げ、予定しているポジションの適性が本当にあるかどうか?育成計画通りに能力を身につけているか?首脳陣が想定していなかった強み・弱みは何か?1軍で通用するようになるための課題は何か?といった点を見極めていたようだ。
 30人の投手陣を<シーズンを通してフル回転させることが重要になる。ケガ人が出ても、成長が止まってしまっても、先発投手のスランプが長くて登板間隔をあけなければいけない状況が生まれても、必ず、それをカバーする投手を作り上げていくことが必要なのだ。

 私はそのためにこう考えた。まず、30人強の投手を、ローテーションに入っている投手や抑えのエースたち以外も、全員常に60から70パーセントの状態にしておく。いわば3回を3点に抑えられるレベルの投手を増やしておけばいい。その上で、できるだけ投手全員に1軍のマウンドを経験させておく。1軍のベンチに入る投手は12人が普通だが、これを13人にする。2軍の投手の情報もしっかり把握して、すぐ入れ替えられる組織を作る。すなわち2軍の投手コーチから情報をしっかり吸い上げる。
 落合政権の終盤にはヘッドコーチも務めた森氏は、投手だけでなく野手についても同様に中長期的な視点を忘れていなかった。その代表例が「アライバ」のニ遊間コンバートである。落合氏はインタビューで、「2人が下手になったからコンバートした。技術的に何がダメになったかは、君たちには解らなくてもよい」と述べていたが、森氏の本には具体的な理由が書かれている。
 日本一の二遊間として、2004年からほとんどずっとゴールデン・グラブ賞を2人で取り続けていたセカンドの荒木とショートの井端を、コンバートする。監督がそう宣言したのは2008年のことだ。監督は、その時点で3~4年先の最悪のことを想定して動いていたのではないかと思う。鋭い観察眼で井端の左右の動きなどフットワークに少し衰えがあることを見抜いていた。

 近いうちに、井端のショートが厳しくなるのではないか。そうすると肩はいいのだが、井端、森野の三遊間では守備範囲が狭くなる。一塁ブランコがあまり打てなかったこともあり、やがては、一塁・森野、二塁・荒木、遊撃に外国人か新戦力、三塁・井端の内野陣となる可能性がある。優勝争いをしながら、その将来に備えるためのコンバートだったのだろう。(中略)

 そのとき将来は二塁に戻す荒木にショートを経験させたのがミソである。荒木がショートを経験することで、ゆくゆくセカンドに戻ったときには、荒木の動き方とか送球が楽になるだろうという判断だ。
 翻って我が愛する阪神タイガースを見てみると、あまりの育成下手に嫌気がさす(苦笑、それでもファンは辞められないのが悲しい性だが・・・)。抑えの藤川がメジャー挑戦で抜けそうであることは数年前から解っていたにもかかわらず、ポスト藤川の育成を怠り、慌てて先発の久保を抑えに回すありさまである。そうすると、先発が1枠足りなくなるのだが、そこに2012年のドラフト1位である藤浪を充てようというのだから、何とも虫がいい話だ。どんなに甲子園で騒がれたエースであっても、高卒1年目が1年間ローテを守れるかどうかは全くの未知数である(今年1年は丸々体作りに費やしてもいいくらいだ)。2軍で先発候補が育っていない証拠である。

 1軍と2軍の風通しの悪さも課題だ。阪神では、2軍から上がった投手を、1軍で一度も使わずに再び2軍に落とすということが頻繁に起こる。1軍で塩漬けにされている間、選手は実戦経験を積むことができず、かえって成長スピードが止まる。何のために1軍に上げるのか?1軍でどういうふうに使ってほしいのか?という情報が、2軍から1軍にちゃんと上がっていないのだろうと思われる。私は個人的に、2軍でノーヒットノーランを達成した若竹に期待していた。若竹は何度か1軍に上がったものの、結局チャンスらしいチャンスは与えられずに、昨年日本ハムにトレードで放出されてしまった。はぁ、今年も先行きが思いやられるなぁ・・・。




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