2015年08月18日
『「最後のフロンティア」アフリカ われわれは何を学ぶのか(『一橋ビジネスレビュー』2015年SUM.63巻1号)』―アフリカ基礎データ集
一橋ビジネスレビュー 2015年SUM.63巻1号 一橋大学イノベーション研究センター 東洋経済新報社 2015-06-12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前回の記事「『「最後のフロンティア」アフリカ われわれは何を学ぶのか(『一橋ビジネスレビュー』2015年SUM.63巻1号)』」の続き。アフリカに関する無知を放置しても仕方がないので、基礎的なデータを集めてみた。
○アフリカ人口ランキング(2014年、単位:100万人)
人口1億人超の国はナイジェリア1か国のみ。6位で人口5,000万人を切る。人口3,000万人以上の国は11か国。20か国以上が人口1,000万人未満の小国である。
(※)IMF - World Economic Outlook Databases(2015年4月版)より。
○アフリカ主要国人口ピラミッド(2013年)
ケニア、ナイジェリア、エチオピアの人口ピラミッドはきれいなピラミッド型をしている。一方、南アフリカでは既に少子化が進行している。
(※)WirelessWire News「アフリカ編2013(1)急成長するアフリカ携帯電話市場の現況」(2013年9月7日)より。
○アフリカ名目GDPランキング(2014年、単位:10億USドル)
1位ナイジェリアの名目GDPは、5,736億5,000万USドル=68兆8,380億円(1ドル=120円で計算)。日本の名目GDPが約500兆円なので、日本の約7分の1である。
(※)IMF - World Economic Outlook Databases(2015年4月版)より。
○アフリカ1人あたり名目GDPランキング(2014年、単位:ドル)
赤道ギニアとセーシェルが、世界銀行が定義する「アッパーミドル(1人あたり名目GDP15,000ドル超~35,000ドル以下)」に属する。「ローワーミドル(1人あたり名目GDP5,000ドル超~15,000ドル以下)」は8か国、残りは「低所得国(1人あたり名目GDP5,000ドル以下)」である。
一般に、1人あたりGDPが1,000ドルを超えると、オートバイや生理用品が普及し始めると言われる。また、3,000ドルを超えると子ども用紙おむつ、家電、肉・卵・魚などのタンパク質製品が、5,000ドルを超えると自動車、医療機器(メタボや成人病が増加するため)が普及し始める。
(※)IMF - World Economic Outlook Databases(2015年4月版)より。
○アフリカ実質GDP成長率ランキング
5%以上の高成長国が23か国ある。ガンビア(-0.22%)、赤道ギニア(-3.11%)、リビア(-24.03%)はマイナス成長。
(※)IMF - World Economic Outlook Databases(2015年4月版)より。
○実質GDP成長率、1人あたり名目GDPによる分類
実質GDP成長率と1人あたり名目GDPの2軸でマトリクスを作り、53か国を分類してみた。
■横軸=実質GDP成長率
高成長(5%以上)、中成長(2%以上5%未満)、低成長(2%未満)
■縦軸=1人あたり名目GDP
アッパーミドル(15,001ドル以上)、ロワーミドル(5,001~15,000ドル)、低所得国(906~5,000ドル)、貧困国(905ドル以下)
アッパーミドル、ロワーミドル、低所得国の分類は世界銀行の分類に従った。また、貧困国については、国連開発政策委員会(CDP:United Nations Committee for Development Policy)が定める「最貧国(後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries))」の定義の中に、「国民総所得(GNI)の 3 年平均値が905ドル以下であること」とあるのに倣った。
○世界の対アフリカ輸入額の推移
アメリカと中国がアフリカから買いまくっている。
(※)JETRO「在アフリカ進出日系企業実態調査(2012年)」より。
○世界の対アフリカ輸出額の推移
グラフ上はEUが1位だが、国別にみると中国が独走している(アメリカの2倍以上)。
(※)JETRO「在アフリカ進出日系企業実態調査(2012年)」より。
○対アフリカ直接投資(FDI)(フロー/ストック)
対アフリカの直接投資額(フロー)は年間約572億ドル(上図)、直接投資残高(ストックは約6,870億ドル(下図)となっている。参考までに、日本への海外直接投資額は年間約90億ドル、直接投資残高は約1,900億ドルである(JETRO「直接投資統計」より)。
(※)UNCTADより。
○アフリカ投資コスト比較
JETROが調査したエジプト、モロッコ、チュニジアの投資コストを比較してみた。いずれも1人あたりGDPは3,000~4,000ドルの国であるが、日本と比べると思ったほど安くない。
(※)JETRO「投資関連コスト比較調査(欧州・ロシア・CIS・北アフリカ)」(2014年10月)、「第24回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較」(2014年5月)より。日本については東京のデータを採用。棒グラフの下部が白く切れているものは上限値と下限値を、通常の棒グラフは平均値を表す。単位はドル。
(左)法定最低賃金(月額)
(右)ワーカー賃金(月額)
(左)エンジニア賃金(月額)
(右)中間管理職賃金(月額)
(左)工業団地(土地)購入価格(1m2あたり)
(右)工業団地借料(月額)(1m2あたり)
(左)事務所賃料(月額)(1m2あたり)
(右)駐在員用住宅借上料(月額)
(左)国際通話料金(日本向け3分間)
(右)インターネット接続料金(ブロードバンド)
(左)産業用電気料金(1kWhあたり)
(右)一般用電気料金(1kWhあたり)
(左)産業用水道料金(1m3あたり)
(右)産業用ガス料金(1m3あたり)
○アフリカビジネス環境ランキング
本号では、フロンティア・アドバイザリーが2015年3月に日本企業に対して行ったインタビューへの言及があった。「日本企業にとって近年重要となっている市場」として、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、タンザニア、アンゴラ、ザンビア、モザンビーク、マダガスカル、南アフリカの9か国の名前が挙がったという。この9か国のビジネス環境の評価について、世界銀行の”Doing Business”からデータを取得した。世界銀行は10の項目について、全世界189か国の順位をつけている。
(※)The World Bank, "Doing Business (2015)" より。
○アフリカ民主主義指数
ビジネス環境ランキングと同様に、民主主義指数も一覧化した。民主主義指数(Democracy Index)は、イギリスのエコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが世界167ヶ国を対象に、各国の政治の民主主義のレベルを5つの部門から評価した指数である。
(※) The Economist Intelligence Unit, "Democracy Index 2014" より。