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【平成25年度補正創業補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など
平成27年度経済産業省概算要求 中小企業関連政策についての雑感

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2017年07月14日

創業補助金の書面審査をして感じたこと(自治体はもっとしっかりせよ)


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 《参考記事》
 「うさんくさい補助金申請書」を見極める7つの審査ポイント(その1~3)(その4~7)
 採点審査に困る創業補助金の事業計画書(その1~5)(その6~10)
 創業補助金の書面審査をして感じた7つのこと

 3年ぶりぐらいに「創業補助金(創業・事業承継補助金)」の書面審査員をやらせていただいた。正直な感想を言うと、3年前に比べて応募者の質が落ちたように思える。まず、「誰に」、「どんな製品・サービスを」、「どのような差別化要因で」提供するのかという戦略の基本的なコンセプトすらはっきりしていない計画書が多すぎる。製品・サービスに関しては、いくら創業前であるとは言っても、文章だけではなく、何かしらビジュアルで説明する資料をつけてほしいものである。

 まさかとは思うが、製品・サービスのプロトタイプが全くないのに創業しようとしているるのだろうか?今回の創業補助金は、補助事業期間中に1人以上社員を採用することが要件となっている。販売する製品・サービスがないのに、創業間もない企業に入社してしまった社員は不幸である。私はそういう社員を前職のベンチャー企業で嫌というほどたくさん見てきた。

 前職は組織・人事コンサルティングと教育研修サービスを提供する企業であったが、私より前に入社したマネジャーは、「一緒にキャリア研修を売っていこう」と社長に誘われて入社した。ところが、入社後に実はそんな研修はないことが判明した。それどころか、社長はそのマネジャーにキャリア研修の開発をやらせたのである。後に、同じような手口で入社してしまった人は他にもいることが解った。しかも、社長が非常に飽きっぽく、「この研修がダメなら次はあの研修だ」とすぐに心変わりするため、いつまで経ってもまともに売れる研修プログラムが完成しなかった。

 差別化要因が明確でないということは、競合他社の分析が不十分ということでもある。ターゲット市場・商圏において、どのような競合他社が存在するのか把握している応募者があまりにも少ない。例えば、飲食店を開業するのであれば、ターゲットとする商圏の中に既にどのような飲食店が存在し、誰をターゲットにどのようなメニューをいくらぐらいの価格帯で提供しているのか、味やサービスの質はどの程度のレベルなのか、といったことを調査する必要がある。競合他社に潜入するのが難しい場合でも、せめてHPの情報を分析したり、知り合いを使って競合他社の評判を聞いたり、帝国データバンクなどで競合他社の情報を入手したりするべきである。

 以前、あるスーパーマーケットの競合分析の話を聞いたことがある。このスーパーマーケットは、ある地域への出店を検討する際、調査員をその地域にへばりつける。調査員に何をさせるのかと言うと、既存の競合スーパーの品揃え調査はもちろんのこと、競合スーパーから出てくる買い物客の買い物袋の中身を観察させる。それを何か月も続けて、商圏内の顧客の大まかな需要をつかむ。その次には、商圏内のゴミ捨て場で、ゴミの調査をさせる。顧客が購入した食材のうち、実際に消費したものは何か、消費せずに捨てられたものは何かを分析する。こうして、1年ぐらいかけて、精度の高い需要情報を獲得していく。さすがに、創業希望者にここまでやれとは言わないが、競合分析とはこのくらい本気でやるものだということは解っていただきたい。

 冒頭の参考記事でも書いたが、異質な製品・サービスを単に組み合わせただけの事業も相変わらず散見される。確かに、イノベーションは異質なものの組み合わせから生じると言われる。だが、単に異質なものをくっつけるだけでは不十分であり、その組み合わせによってどのような相乗効果が期待できるのか、異質なもの同士の組み合わせを全体としてどのようにシステマティックにデザインするのかということまで考えないと、イノベーションとは言えない。また、創業当初から、異質な事業をいくつも同時並行で進めようとする計画も多い。個人的には、中小企業は規模を大きくして多角化した方が、リスクヘッジもできるし、研究開発に対する投資も、社員に支払う給与も増やすことができると考えている(『中小企業白書』のデータにも表れている)。しかし、創業間もない企業がいきなり多角化するのは、いくら何でも無理がある。

 私の前職のベンチャー企業(A社としよう)には、グループ会社に人材紹介会社(B社)と、もう1つのコンサルティング会社(C社)があった。こんな会社を選んでしまった私もはなはだ不勉強だったのだが、ベンチャー企業が3つも事業を同時に進めるのは無謀であった。経営資源が分散してしまい、結局どの事業もものにならなかった。また、経営陣は、C社が戦略コンサルティング、A社が組織・人事コンサルティングを行い、コンサルティングの結果浮き上がってきた課題に対するソリューションの1つとして、A社のキャリア研修を提供する、というシナリオを描いていた。ところが、B社が人材紹介事業を行っていたため、キャリア研修の営業に行くと、「我が社の社員をB社の転職サービスで転職させようとしているのではないか?」という疑念を持たれることが少なくなかった。要するに、事業間シナジーを見誤っていたということである。

 通常の戦略策定プロセスにおいては、まずはターゲット顧客層を明確に設定し、現在の市場規模を推定する。次に、地方自治体や調査会社のデータを活用して、将来の市場規模を見積もる。例えば、30代女性をターゲットとする場合、5年後の30代女性の市場規模は、現在の25~34歳の女性の人口からある程度正確に導くことができる。起業する場合、縮小する市場に参入することは稀であろう(※)。普通は成長している市場に参入するものである。当然のことながら、成長市場には競合他社も参入してくる。よって、例えば5年後の戦略目標を設定する場合には、5年後の推定市場規模と、前述の競合他社分析、さらに将来的な競合他社参入の可能性を踏まえて、目標を設定する。具体的には、何%の市場シェアを獲得するのかという目標を立てる。

 (※)ただし、これからの人口減少社会においては、敢えてパイが縮小する市場で勝負するというパターンもあるのかもしれない。この場合、どのように戦略を立てるのが有効なのか?どうすれば持続的な成長が可能となるのか?これらの点は今後の研究課題としたい。

 ところが、戦略コンセプトが曖昧であるから、戦略目標もぼやけている。それなのに、国が用意した申請書のフォーマットにある6か年の収支計画には具体的な数字が並んでいる。一体この数字はどうやって導かれたのか、まるで解らない。毎年、どのくらいの顧客数を獲得するのか、顧客平均単価はいくらを想定しているのかが書かれていない。だから、毎年の目標売上高の妥当性を判断することができない。本来であれば、5年後の目標売上高と、先ほど書いた5年後の目標市場シェアとの整合性が取れているかも確認したいところだが、それもできない。ただし、この点については応募者に責があるというよりも、中途半端な申請書のフォーマットを用意した国が責められるべきであろう。国も、事業計画書とはどういうものなのか理解が足りていない。

 創業補助金では、資金調達の現実性も審査の対象となっている。申請書には、補助事業期間(今回の創業補助金では8月上旬~12月末)の必要資金(設備資金、運転資金)を書き、その資金をどのように調達するのかを記入する。補助金がカバーするのはあくまでも必要資金の一部(上限200万円)にすぎないため、必要資金の大半は自己資金や金融機関からの借入などに頼る必要がある。多くの応募者は自己資金と金融機関からの借入を組み合わせているが、自己資金が極端に少ないケースが見られる。この場合、仮に補助事業者に採択されても、金融機関の審査を通らない恐れがある。一般的に、自己資金は開業資金(開業準備金+開業してから3~6か月の間に発生する費用)の3分の1以上用意する必要があるとされている。

 金融機関からの借入については、申請書に「既に調達済み/補助事業期間内に調達の見込みがある」のいずれに該当するかを記入する欄がある。この「補助事業期間内に調達の見込みがある」というのが曲者である。あくまで「見込み」であるから、金融機関とのリレーション構築がなされていない場合でも、適当な金融機関の名前を書いて提出することができてしまう。

 私はものづくり補助金の事務局に親しい診断士が何人かいるのだが、ものづくり補助金の申請書にも似たような記入欄がある。補助金が支払われるまでの間のつなぎ融資(詳しくは以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」を参照)の目途が立っているかを確認するのが目的である。つなぎ融資であるから、普通に考えれば、金融機関から補助金相当額を借り入れ、補助金が振り込まれたらそのまま金融機関に返済すればよい。ところが、中には、決算資金や給与資金が必要だからという理由で、補助金を早く振り込んでほしいと事務局に懇願してくる中小企業があるという。これは、金融機関からつなぎ融資が受けられていなかったことを意味する。その企業が、仮に申請時に「補助事業期間内に調達の見込みがある」と書いていたならば、これは虚偽記載をしたことになる。

 こういう事態を防ぐためにも、「補助事業期間内に調達の見込みがある」と書く場合には、金融機関と覚書を交わし、そのコピーを提出させるべきではないかと思う。具体的には、「応募者が補助事業者として採択された場合には、融資を検討する(融資を確約する必要は全くない)」といった趣旨の文章を金融機関に書かせるのである。そうすれば、安易に「補助事業期間内に調達の見込みがある」と書く向こう見ずな応募者は減るであろう。

 資金調達の方法として「本事業の売上高」を書いてくる応募者もいる。私は、必要資金全体に占める「本事業の売上高」の割合が高い計画書は低く採点した。創業時には、開業後一定期間全く売上がなくても企業が持ちこたえるだけの資金を準備する必要がある。その一定期間は、一般的には3か月という意見が多いようだが、個人的にはリスクを高く見積もって6か月と考えている。申請書の資金計画は、補助事業期間=8月上旬~12月末が対象である。つまり、5か月弱であり、私の考える一定期間より短い。よって、この5か月間の資金需要を満たすために、「本事業の売上高」に相当程度を依存している資金計画は、破綻していると言わざるを得ない。

 現在の創業補助金は、産業競争力強化法における認定市区町村または認定連携創業支援事業者による特定創業支援事業を受けていることが要件となっている。特定創業支援事業とは、創業セミナーや窓口相談のことである。つまり、創業セミナーや窓口相談を受けた人しか、この創業補助金には応募することができない。それにもかかわらず、申請書の質にははっきり言って失望させられた。市区町村や認定連携創業支援事業者は、一体どのような支援をしたのだろうか?その支援の質も問われかねない事態であると個人的には思う。


2014年11月10日

【平成25年度補正創業補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など


 平成25年度補正予算「創業補助金(創業促進補助金)」の6月30日締切分については、平成26年3月25日(火)から6月30日(月)までに7,649件の応募があり、外部審査委員会での審査を踏まえ、2,363件(創業2,290件、第二創業73件)の補助金交付先が決定した。採択率は30.9%と、平成24年度補正予算の創業補助金よりもかなり低い数字となった。

 「新ものづくり補助金(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)」と同様に、公開されているデータに基づいて、認定支援機関のランキングを作成してみた。が、新ものづくり補助金は比較的特定の認定支援機関に件数が集中していたのに対し、創業補助金では認定支援機関がかなり分散していることが解った。表をブログに貼りつけると相当長くなってしまうため、後述のURLからエクセルをダウンロードしてご確認いただきたい。

 以前の記事「平成27年度経済産業省概算要求 中小企業関連政策のポイント」で述べたように、来年度は本予算で創業補助金が実施される見込みである。補助金の利用を検討されている方は、エクセルに記載されている認定支援機関に相談するとよいだろう。

《2014年11月12日追記》
 認定支援機関が分散しているように見えたのは、新ものづくり補助金の公開データとは異なり、創業補助金の公開データには金融機関の支店名が含まれているためだった。そこで、支店名をエクセルの関数で自動削除して、集計をやり直した(同時に、明らかに同じ会計事務所と思われるものや、表記が全半角混在しているものなども、手作業で補正した。大変だった・・・)。

 集計し直すと、10件以上採択されている認定支援機関が全部で36あった。信用金庫が多いのは当然の結果だろう。その中でも名前が光るのが、「ユナイテッド・アドバイザーズグループ」の一員である「ユナイテッド・アドバイザーズ税理士法人」だ。ユナイテッド・アドバイザーズグループは、弁護士、税理士、会計士、社労士、司法書士、行政書士、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーが常駐してワンストップサービスを提供している。


創業補助金(平成25年度補正予算)_認定支援機関ランキング

 《参考》
 【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募1次締切】
 【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募2次締切】
 新ものづくり補助金(1次公募1次締切)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)
 新ものづくり補助金(1次公募2次締切)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)

 《ダウンロードURL》
 創業補助金(最終締切分)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)
 《エクセルに含まれるシート》
 ・都道府県別採択数
 ・都道府県別採択数、構成比、採択数÷企業数
 ・都道府県別採択数Top10/Worst10
 ・都道府県別採択数÷企業数Top10/Worst10
 ・認定支援機関別採択数
 ・都道府県・認定支援機関別採択数
 ・採択事業一覧(創業・第二)

《2014年11月12日追記》
 集計し直したエクセルは下記リンクよりダウンロード可能。シートの構成は上記と同じ。
 創業補助金(最終締切分)認定支援機関分析結果(修正版)(旧ブログサーバ、右クリックで保存)


 上記エクセルより、都道府県別の採択数Top10とWorst10を掲載しておく。Top10を見ると、福岡県がかなり頑張っている。エクセルをご覧いただくと解るが、認定支援機関別の採択数ランキングの上位には、福岡県の認定支援機関がいくつかランクインしている。

都道府県別採択数Top10・Worst10

《2014年11月12日追記》
 Top10、Worst10と言わず、全都道府県のデータをグラフ化してみた。東京都だけ件数が488件と突出しているので、途中でグラフを省略した点はご了承いただきたい。

創業補助金(平成25年度補正予算)_都道府県別採択数ランキング

 もう1つ、都道府県別に見た「採択数÷企業数」のTop10とWorst10も掲載。これは、各都道府県の採択数を、その都道府県の企業数で割ったものである。各都道府県の企業数は、総務省「平成24年経済センサス―活動調査」より取得した。「採択数÷企業数」の割合が高い都道府県は、創業補助金によって創業が促進されたところと言える。福岡県と静岡県は県内の企業数がほぼ同じだが、補助金の効果は両極端に分かれている。

都道府県別採択数÷企業数Top10・Worst10

《2014年11月12日追記》
 こちらも全都道府県のデータをグラフ化してみた。左軸が採択数、右軸が採択数÷企業数の割合である。グラフの左側に行けばいくほど、創業補助金によって創業が促進されたことになり、右側に行けばいくほど、創業が促進されなかったことになる。


創業補助金(平成25年度補正予算)_都道府県別データ



2014年09月03日

平成27年度経済産業省概算要求 中小企業関連政策についての雑感


 昨日の記事「平成27年度経済産業省概算要求 中小企業関連政策のポイント」の続き。

 (1)ここ2年ほど補正予算で実施されていた「創業補助金」が本予算に組み込まれている。予算規模は25億円で、以前の記事「「開業率アップ」を掲げながら創業補助金には及び腰になった中小企業庁」で試算した”適正規模”からするとちょっと少ないように感じるが、まずはこのくらいの規模から始めるということなのだろう。

 ただ、私が創業補助金の書面審査をやらせていただいた中で感じたことは、国はどうやら、創業すれば何でもよいと考えているのではないか?ということである。先ほどの記事の中でも書いたことだが、国が創業率アップに躍起になっているのは、1人あたりGDPの額を伸ばすためである。ところが、提出された事業計画を見ても、小粒な案件が多い。将来的に雇用を増やす予定がなく、創業者の報酬も低く設定されているような、あまり夢のない案件が散見される。

 個人的には、設備投資を伴う製造業での起業がもっと増えてほしいと思う。そうすれば、マクロ経済にもプラスの影響が出るだろう。また私は、20世紀が自動車産業中心であったのに対し、21世紀は医療・介護が中心になると考えている。自動車業界は、最終メーカーを中心として、川上には多数の部品メーカーが、川下には多数のサービス業者がいる。医療・介護業界も、これと同じように広い裾野産業を必要とするはずだ。そういう裾野を担う企業がもっと現れてほしい(残念ながら、私が審査した中では、製造業や医療・介護業界での起業は、ほとんど皆無であった)。

 (2)日本再興戦略におけるKPIの1つに「今後5年間(2017年度まで)で新たに1万社の海外展開を実現する」というものがある。現在、輸出をしている中小製造業が6,000社前後、海外に直接投資をしている中小企業が約5,500社であるから(「中堅・中小企業の海外展開における国際連携動向調査」を参照)、かなり野心的な目標である。

 私は、海外展開を推し進めることは、海外からの日本進出を促すこととセットだと考える。日本は、先進国の中でも海外直接投資は多いが、海外からの国内直接投資は少ない。このアンバランスは、いつまでも続くものではない。「日本企業は海外市場を積極的に取りに行くけれども、海外企業が日本市場に入ることは認めない」というロジックは、諸外国には通用しない。

 だから、日本が海外展開を推進することによって、将来的には多数の外国企業が日本になだれ込むと予想される。日本企業が1万社海外に進出するならば、海外から日本市場に1万社入ってくると考えた方がよい。今まではグローバル化と全くの無縁だった企業でも、ある日突然外国勢と競争しなければならなくなる。「海外展開1万社」という目標は、「チャンスが大きい海外市場への展開をサポートしますよ」というプラスのメッセージであると同時に、「国内の中小企業をグローバル競争に巻き込みますよ」という脅しが入っていると解釈している。

 (3)いくつかの補助事業では、「認定支援機関」からの支援を受けることが補助金交付などの条件となっている。認定支援機関制度は2012年から始まった制度で、現在は全国で2万以上の組織が認定されている。国は意地でもこの制度を使い倒したいようである。しかし、認定支援機関の評判はあまりよろしくない。

 認定支援機関の大半は税理士である。これは、TKCグループが傘下の税理士に「認定支援機関になれ」とハッパをかけた結果である。ところが、彼らは税務のプロかもしれないが、経営のプロではない。会計処理はできても、経営支援に関しては十分な知識がない。いや、私がいろいろと話を聞く限りでは、帳簿をつけたり書類を作ったりという最低限の仕事もできていないのではないか?と疑いたくなることが多々ある(もちろん、全ての税理士がそうだとは言わないが)。

 例えば、ある中小企業の事業再生プロジェクトに参画した中小企業診断士の先生は、その企業の顧問先であった税理士の会計処理があまりにもずさんであったため、会計処理を全てやり直さなければ経営の実態が把握できないと嘆いていた。借方と貸方が逆になっているというような、初歩的なミスも含まれていて唖然としたらしい。税理士が知らない間に”粉飾決算”に手を染めているというケースは、本当によく耳にする。

 また、最近の中小企業向け補助金は、認定支援機関が中小企業の事業計画を事前に確認し、採択後は事業計画の遂行を支援することが要求される。認定支援機関は「確認書」という書類を作成して、中小企業が提出する事業計画書にそれを添付しなければならない。だが、ある公的機関の関係者は、認定支援機関は本当に事業計画書を確認したのか首をかしげたくなる、とこぼしていた。補助金の公募要領などに記載されている形式要件を満たしておらず、審査の初期段階で失格になる事業計画書が非常に多いのだという。

 それでも国が認定支援機関にしがみついているのは(「失敗を簡単に認めたくない」というお役所的な心理も働いているのだろうが)、本来は中小企業を支援する立場にあるはずの我々中小企業診断士が知名度も実力もなく、みっともない状態にあるからなのだろうと思う(以前の記事「認定支援機関制度で岐路に立たされる中小企業診断士」を参照)。最近は「よろず支援拠点」なるものまでできて、いよいよ我々の肩身が狭くなってきた。もっと頑張らないと、本当に中小企業診断士という資格そのものがなくなるかもしれない、と改めて危機感を持ったところである。

 (4)個人的に1つ注目していたのは、ここ2年ほど創業補助金と同様に補正予算で実施されていた「ものづくり補助金」が本予算に組み込まれるかどうかであった。結論から言えば本予算には取り込まれなかったのだが、私は内心ちょっと安心した。というのも、以前の記事「「開業率アップ」を掲げながら創業補助金には及び腰になった中小企業庁」で述べたように、ものづくり補助金は規模が大きすぎて、単なるバラマキになっているのではないかと感じていたからだ。

 補助金に詳しいある関係者は、「補助金漬けになっている人たちというと、第一に農家、第二に商店街が思い浮かぶが、最近は第三のグループとして中小製造業が急浮上している」と語っていた。また別の関係者は、採択された企業のレベルがだんだんと落ちていることを嘆いていた。「こんな事業計画で1,000万円ももらえるのか?」と驚くことが多々あるそうだ。

 ただ、来年度は消費税が10%に上がる予定であり、かつ中小企業向けに外形標準課税の導入が検討されている。よって、中小企業の景気対策とガス抜きのために、補正予算で何らかの補助金が組まれる可能性が高い。先ほどの関係者は、「過去の経験からして、同じ補助金が4回以上実施されることはない」と述べていた。これは、裏を返せば、同じ補助金でも3回までは実施される、ということだ。ものづくり補助金も、最後の1回が来年行われるのかもしれない。



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