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『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他
『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?
『北朝鮮”炎上”/日本国憲法施行70年/憲法、このままなら、どうなる?(『正論』2017年6月号)』―日本はアメリカへの過度の依存を改める時期に来ている

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2017年11月07日

『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他


致知2017年11月号一剣を持して起つ 致知2017年11月号

致知出版社 2017-11


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 近藤:中国の場合、国内にコピー選手をつくるんです。つまり福原愛なら福原愛のコピー、平野美宇なら平野美宇のコピーといった具合に、同じような戦い方をする選手をつくった上でその対策を練ってくる。
 国分:それはすごいな。
 近藤:なんせ中国には指導者と選手のプロが3万人はいますから、そういったことも可能なんです。日本には30人くらいしかプロはいませんから土台からして違う。
(国分秀男、近藤欽司「かくて日本一へと導いてきた」)
 中国と言うと模倣品のイメージがどうしてもつきまとう。そして、それはスポーツの世界でも同じようである。ただ、同記事で紹介されていたが、中国には「人無我有」、「人有我磨」、「人有我創」という諺があるそうだ。最初は自分だけが技術を持っている段階である。しかし、時間が経てば相手が自分の技術を真似してくる。そうしたら、相手に負けないように技術に磨きをかける。さらにそれだけでは飽き足らず、今度は相手に真似されないよう、新しい技術を創ってしまう。

 中国人にはこういうメンタリティがあることを忘れてはならない。私は、中国が21世紀のイノベーション大国になり得る十分なポテンシャルを持っていると思う。そして、日本は、かつて中国から技術や社会制度を学んだように、中国のイノベーションを輸入し、日本流にアレンジすることで生き延びていくのではないかと予想している。非常に格好悪いと思われるかもしれないが、これが小国・日本の一種の宿命である(以前の記事「『視座を高める(『致知』2016年5月号)』―日本は中国がイノベーション大国になることをアシストし、彼らから学べるか?」を参照)。

 さて、米朝関係が膠着状態に陥っている。北朝鮮は体制を維持するために核開発に邁進していると言われることが多いが、体制維持が目的であればアメリカに喧嘩を売る必要はなく、大人しくしていればよいだけの話である。アメリカに喧嘩を売ってでも核兵器の開発を急いでいるのは、体制維持以上の目的があると考えるのが自然である。
 北朝鮮が既に持ってしまった核ミサイルを自ら放棄することはないでしょう。そして、その力の誇示によってアメリカに国交を結ばせ、米軍を撤退させて韓国を併合する。この目標こそ、金日成、金正日、金正恩とその血筋によって継承された、まさに金王朝の究極の目的なのです。
(中西輝政「時流を読む(第2回) 歴史という大きな絵の中に事象を置けば、対処法が見えてくる。北朝鮮問題は日本と日本人に、国として、また人として、いかにあるべきかを問うているのだ」)
 もちろん、アメリカは北朝鮮の非核化を諦めてはいない。アメリカにとって、朝鮮半島での第一目標は北朝鮮の非核化であり、第二目標は南北分裂の現状を維持することである。南北が分裂していることによって、アメリカと中国・ロシアという大国同士の対立、冷戦構造の遺産を、朝鮮半島内の小国同士の対立に代理させることができる。

 以前の記事「『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?」で、朝鮮半島のシナリオの1つを示してみたが、ここで改めて、朝鮮半島で起こりうるシナリオを私なりに整理してみたいと思う。

 ①北朝鮮への経済制裁が一定の効果を上げる場合
 中国、ロシアが経済制裁に協力することが前提であるが、制裁が効果を上げれば、北朝鮮はこれ以上の核開発を断念するかもしれない。ただし、北朝鮮が既に保有している核を放棄することにはつながらない。それに、経済制裁から数年が経ってほとぼりが冷めた頃に、中国とロシアが制裁の隙間を縫って北朝鮮を再び支援する可能性がある。

 ②金正恩斬首計画を実行する場合
 金体制を打倒すれば北朝鮮は核開発を止めるだろうとの予測の下に、金正恩の斬首が計画されたことがある。アルカイーダのウサーマ・ビン・ラーディンはパキスタンで暗殺された。ただ、ビン・ラーディンの場合は、彼の行動をアメリカ側がある程度トレースすることが可能になっており、かつ、ビン・ラーディンの側近にスパイがいて、彼の居場所をアメリカにリークしていたと言われる。これに対して、金正恩の場合は居場所を突き止めるのが困難である。何せ、北朝鮮には地下施設が何千と存在するからだ。また、金正恩を裏切ってアメリカに位置情報をリークするような人物も現れていない。よって、この斬首作戦は実現可能性が低いと言わざるを得ない。

 ③アメリカと北朝鮮が武力衝突する場合
 韓国は米韓同盟に基づいてアメリカと一緒に北朝鮮を攻撃するはずである。「はずである」と書いたのは、最近の韓国は左傾化が激しく、アメリカ側につくという確証がないからである。文在寅大統領も、経済制裁が行われている間に北朝鮮に人道支援を行うぐらいの親北派である。
 ⅰ)韓国がアメリカを裏切らなかった場合
 韓国・アメリカ(・日本)VS北朝鮮・中国・ロシアという構図になる。これはまさに朝鮮戦争と同じであり、アメリカが勝つ可能性は五分といったところであろう。アメリカが勝利すれば北朝鮮の非核化に成功し、北朝鮮は韓国に併合されて単一の資本主義国となる。一方、アメリカが敗れた場合は米朝間で和平条約が締結され、アメリカは北朝鮮の核兵器を認めるとともに、韓国から米軍を撤退させることになる。上手くいけば南北の分裂は維持されるが、韓国から米軍の脅威が消えたのを見た北朝鮮は、南北統一に乗り出すかもしれない。その場合、韓国の資金が北朝鮮の核に投入され、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生することになる。
 ⅱ)韓国がアメリカを裏切った場合
 アメリカ・日本VS北朝鮮・韓国・中国・ロシアという構図になる。これはアメリカにとってかなり不利な状況となる。仮にアメリカが勝利すれば、以前の記事「『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?」で書いたようになる。ただ、これは可能性の低いシナリオを仰々しく書いてしまったと反省している。ⅱ)ではアメリカが敗れる可能性の方が高く、その場合は、ⅰ)よりも速いスピードで南北統一が進み、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生する。

 ④アメリカが北朝鮮と対話する場合
 ⅰ)アメリカが北朝鮮の核兵器を認めて国交を樹立する場合
 北朝鮮がこれだけの核兵器を保有してしまった以上、アメリカは北朝鮮の核を認め、平和条約を締結して国交を結ぶべきだという意見が、主にアメリカの民主党内から出始めているようである。だが、アメリカが北朝鮮と国交を結ぶというのは、かつてアメリカが中国と国交を結んで台湾を捨てたのと同様に、韓国を捨てることを意味する。もっとも、捨てられた韓国は喜んで北朝鮮と一緒になるかもしれない。すると、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生する。

 ⅱ)アメリカが北朝鮮の核兵器放棄を迫る場合
 これは非常に難しい交渉になる。核兵器の放棄を迫られた北朝鮮は、間違いなくアメリカに対して在韓米軍の撤退を要求してくる。北朝鮮が韓国を併合するためである。アメリカとしては、これは到底呑める条件ではない。だが、アメリカの第一目標は北朝鮮の非核化であり、左傾化した韓国を見て、第二目標である南北分裂の現状維持を犠牲にしてでも、在韓米軍の撤退を実現させるかもしれない。この場合、朝鮮半島には、非核化された社会主義国家が誕生する。仮にこの交渉が長引くと、その間に北朝鮮は核兵器(アメリカ本土に届くICBM)を完成させてしまう。そうなると米朝の武力衝突のリスクが高まり、そのシナリオは③で示した通りとなる。

 このように見てくると、アメリカが第一目標、第二目標をともに達成できるのは、韓国が裏切らず、アメリカが北朝鮮との戦争に100%勝てる自信がある場合に限られることが解る。逆に、下手にアメリカが動こうものなら、朝鮮半島が社会主義国家として統一されることを誘発する恐れがある。最悪のシナリオは、韓国の資金が北朝鮮の核に注入されることである。だから、アメリカとしては経済制裁以上に動きようがないというのが正直なところだろう。左派はよく、「解決策は対話しかない」などと言うが(『世界』2017年11月号の特集タイトルは「北朝鮮危機―解決策は対話しかない」であった)、アメリカが北朝鮮と対話を成立させるということは、上記で見たように韓国を捨てることを意味する。この点を左派は理解していないように思える。

 中国は北朝鮮問題で手を焼いていると言われる。だが、実はこれも怪しい面がある。中国はずっと、金正男をかくまっていた。北朝鮮に対して、「いつでも金正男を中心とした政権を北朝鮮内に打ち立てることができる」というメッセージを送るためである。いわば、金正男は中国が握っている「玉」であった。だが、金正男が暗殺されたということは、中国がその玉を放棄したということである。つまり、中国は金正恩政権と上手くやっていく道を選択したと言えなくもないのだ。

 日本にとって最悪なシナリオは、アメリカが北朝鮮の非核化に失敗して朝鮮半島に凶悪な核保有国家の出現を許した挙句、中国の一帯一路構想にトランプ大統領がビジネス的な視点で安易に乗っかってしまうことである。アメリカが中国と手を結べば、日米同盟の意義は希薄化し、日本の周りをアメリカ、中国、朝鮮国家という3つの巨大核保有国が取り囲むことになる。さらに言えば、中国が提唱する一帯一路構想は南シナ海を通っているため、アメリカが一帯一路構想に賛同するということは、南シナ海の諸問題をアメリカが黙殺することにつながる。こうなると、日本は太平洋上のシーレーンを確保できなくなる。となれば、残る選択肢はロシアと同盟を結ぶことしかない。ロシアが注力している北極圏ルートの開発に日本が協力するのである。

4大国の特徴(これまで)

 従来、私が考える現代の4大国、すなわちアメリカ、ドイツ、ロシア、中国は、上図のような関係にあった(詳細は以前の記事「マイケル・ピルズベリー『China 2049』―アメリカはわざと敵を作る天才かもしれない」を参照)。基本的には、アメリカ・ドイツという資本主義国と、ロシア・中国という旧共産圏の国が対立している。ただ、アメリカ・ドイツ、ロシア・中国は必ずしも一枚岩ではなく、しばしば対立する。一方で、表向きは対立しているアメリカと中国、ドイツとロシアが協力する局面もある。アメリカと中国の間、ドイツとロシアの間では貿易が盛んであり、経済的な結びつきが強い。このように、4大国はやや複雑な関係にある。

4大国の特徴(これから)

 ところが、アメリカが中国に接近することで、この構図が変わる可能性がある。まずはアメリカ・中国とドイツ・ロシアが対立するのである。ただ、細部を見れば、アメリカと中国の間、ドイツとロシアの間で対立を抱える一方、アメリカとドイツ、中国とロシアが協力するという関係がある。日本はロシア・ドイツ側につくことになる。日本はロシアの北極圏ルートを通じてドイツとつながり、さらにはEUとの関係を深化させる。こういうシナリオが現実味を帯びてくるかもしれない。

 ただ、日本はアメリカ・中国との関係を完全に断ち切ることはできないだろう。基本スタンスはロシア・ドイツに寄りながら、アメリカ・中国のよいところは引き続き吸収し続ける。これが大国に挟まれた小国の生きる知恵であり、私は「ちゃんぽん戦略」と呼んでいる(以前の記事「『巨頭たちの謀事/朴槿恵政権崩壊(『正論』2017年2月号)』―ますます可能性が高まった「朝鮮半島統一」に対してどう対処すべきか?」を参照。同記事は米中に挟まれた日本のちゃんぽん戦略を想定しているが、米中・露独に挟まれた場合も同様である)。


2017年10月03日

『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?


月刊正論 2017年 10月号 [雑誌]月刊正論 2017年 10月号 [雑誌]
正論編集部

日本工業新聞社 2017-09-01

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 《参考記事》
 ○日本にとっては、朝鮮半島は南北分裂の現状維持がベスト。
 『「慰安婦」戦、いまだ止まず/台湾は独立へ向かうのか/家族の「逆襲」(『正論』2016年3月号)』―朝鮮半島の4つのシナリオ、他
 『トランプ大統領/進まぬ憲法改正/「生前退位」でいいのか/「死刑廃止」宣言(『正論』2017年1月号)』―朴槿恵問題は一歩間違えば朝鮮半島の”革命”を引き起こしていた、他

 ○朝鮮半島が社会主義国として統一される可能性がある。
 『巨頭たちの謀事/朴槿恵政権崩壊(『正論』2017年2月号)』―ますます可能性が高まった「朝鮮半島統一」に対してどう対処すべきか?
 『愚神礼讃ワイドショー/DEAD or ALIVE/中曽根康弘 憲法改正へ白寿の確信(『正論』2017年7月号)』―日本は冷戦の遺産と対峙できるか?

 ○アメリカが中国と手を組んで日本のはしごを外したら、ロシアと手を結ぶべき?
 『非立憲政治を終わらせるために―2016選挙の争点(『世界』2016年7月号)』―日本がロシアと同盟を結ぶという可能性、他
 『小池劇場と不甲斐なき政治家たち/北朝鮮/憲法改正へ 苦渋の決断(『正論』2017年8月号)』―小池都知事は小泉純一郎と民進党の嫡子、他

 一介の経営コンサルタントが書くアジア情勢に関する記事など、上記のように矛盾だらけで取るに足りない内容が多いのだが、その矛盾をさらに複雑にしかねない記事をこれから書くことをどうかご容赦いただきたい。ブログ別館の記事「牧野愛博『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』―アメリカも北朝鮮も本気で戦争をする気はないと思う」では、アメリカが北朝鮮の報復を抑えるために制圧すべき拠点、ミサイル基地などが膨大な数に上るため、アメリカは本気で北朝鮮を攻撃することはできないと書いた。しかし、本号には次のような記述があった。
 主戦論の民間における主唱者、ジョン・ボルトン元国連大使は、作戦計画をある程度知る立場から、ソウルに向けた北の高射砲群を大部分一斉破壊することは、「なしうる」(doable)と強調している。
(島田洋一「アメリカの深層 第26回 まさに開戦の時―」)
 現在、韓国には20万人強のアメリカ民間人や在韓米軍人の家族が滞在している。そのことを理由に米軍の攻撃開始はない、という見方をする向きも少なくない。自国民間人の命を危険にさらしてまで、米軍は攻撃を始めないし、始めるときは、彼らを退避させるはずだ、という理屈だ。また、日本に住む在日米軍人家族を含む米国人も退避させない限り、軍事攻撃はないと見る人もいる。

 本当だろうか。筆者は、彼らの退避はなくとも攻撃は始まり得ると考える。そのための手段があるからである。簡単に言えば、奇襲攻撃だ。(※この後、具体的な奇襲攻撃の説明が続くが、軍事面の詳細な話に入るため割愛する)
(香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」)
 以前の記事「『北朝鮮”炎上”/日本国憲法施行70年/憲法、このままなら、どうなる?(『正論』2017年6月号)』―日本はアメリカへの過度の依存を改める時期に来ている」で、アメリカは北朝鮮の軍事力が上がるのを敢えて待っているのではないかと書いた。北朝鮮の軍事力が中途半端なままでは、インテリジェンス頼みのアメリカは十分な情報が収集できず、適切な対北戦略が立てられない。北朝鮮の軍事力が上がってくれば、巨大化した北朝鮮の基地を衛星写真で正確に知ることができるし、またサイバー攻撃を仕掛けて北朝鮮の機密情報を大量に入手することも可能になる。これらの情報に基づいて、様々な選択肢を検討しながら、北朝鮮を短時間で一気に潰す戦略を構想する。上記の引用文は、その戦略が相当程度まで完成していることを意味し、同時にやはりアメリカはこれまで時間稼ぎをしていたのだと私は感じた。

 朝鮮半島をめぐる各国の思惑を私なりに整理してみると以下のようになる。

 ・アメリカ・日本=北朝鮮を非核化する。南北分裂はそのままとし、現状維持を目指す。

 ・北朝鮮=核の恫喝によってアメリカから体制の維持を認めてもらう。というのは建前であって、実際には、アメリカをICBMで牽制しながら韓国を攻撃し、最終的には朝鮮半島を社会主義国家として統一したいと目論んでいる。

 ・韓国=北朝鮮を非核化する。だが、これもまた建前であって、左傾化が著しい韓国は、実は北朝鮮と一緒になりたいと願っている。文在寅大統領が、国連の制裁決議が通った後で、北朝鮮に対して人道支援を行ったのは、文大統領が左傾化していることの表れである。統一国家は親中国家となる。アメリカとの同盟は放棄する。北朝鮮の核に韓国の資金を投入して、強力な核保有国となる。共産主義の38度ラインを朝鮮半島の南まで押し下げて日本と対立する。

 ・中国・ロシア=香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」では、中国・ロシアも北朝鮮の非核化には賛成しており、金正恩体制を崩壊させないのであれば、アメリカの軍事攻撃をギリギリ容認するだろうと書かれていた。しかし、中ロは、金正恩体制が存続さえしてくれれば、国際世論のほとぼりが冷めた頃に再び北朝鮮の核開発支援を再開するに違いない。日本では、北朝鮮の暴走に中ロが手を焼いていると報道されることが多いものの、中ロとしては、朝鮮半島に核保有国を作り、将来的には日本を奪取したいというのが本音である。

 こうして見ると、朝鮮半島に核保有国を誕生させたがっている国の方が多いことが解る。朝鮮半島の核保有国を容認すると、いわゆる「核ドミノ」が発生する恐れがある。具体的には、まず朝鮮半島の核に反応して日本が核を保有する。それにつられて、東南アジア諸国も朝鮮半島や中国の核に対抗するために核の保有を目指す。こうなると、核拡散防止条約(NPT)は事実上骨抜きになる。NPTに関しては、既にインドという例外を作ってしまっている以上、さらなる例外の発生は避けたいところである。それに、核保有国が増えることは、先般成立した核兵器禁止条約の流れにも逆行することになる。だから、何としてでも北朝鮮を非核化しなければならない。

 北朝鮮を非核化するには、①外交による解決と②軍事的手段の2つがある。まず、外交による解決だが、アメリカと北朝鮮が直接対話をする。アメリカは北朝鮮に対して核の放棄を迫る代わりに、北朝鮮はアメリカに対して金正恩体制の維持を約束させる。だが、北朝鮮の要求はこれだけにとどまらないであろう。前述の通り、北朝鮮の真の狙いは南北統一であるから、北朝鮮は韓国との戦いを優位に進めるため、在韓米軍の撤退を要求する。これは、アメリカとしては到底呑める条件ではない。ただ、韓国の文大統領がアメリカの意向に反して左傾化している現状を踏まえると、アメリカが韓国を捨て石にする可能性もゼロではない。朝鮮半島の非核化の価値と、米韓同盟の価値を天秤にかけた場合、アメリカは前者を選択するかもしれない。

 しかし、そもそもこの交渉は決裂するリスクが高い。
 仮に外交交渉等の非軍事的手段で北朝鮮の核ミサイル開発と使用を一時的に合意した場合、続く核ミサイル放棄交渉において北朝鮮が全面放棄に同意すれば本件は一件落着であり、正に万人の望む結果となる。問題は北朝鮮が同意しない場合であり、その際に次の交渉カードは最早残っていない。

 今述べた、交渉にこぎつけたものの核ミサイル廃棄交渉が決裂した場合及び現在の状況である北朝鮮との対立が続き、問題解決の糸口が見つからない場合の両ケースにおいて、米国をはじめとする国際社会が何もしない場合には、「ズルズル」と北朝鮮の核ミサイル開発と実戦化を黙認してしまうこととなる。
(香田洋二「アメリカが北朝鮮を攻撃しない理由は初めからない」)
 それに、仮に交渉が成功して北朝鮮の核放棄に成功したとしても、繰り返しになるが、金正恩体制が続く限り、中国とロシアが再び北朝鮮の核開発の支援を行う恐れがある。

 よって、北朝鮮を完全に非核化するには、金正恩体制を完全に崩壊させるしかない。つまり、トランプ大統領が発言したように、「北朝鮮という国を完全消滅させる」しかない。アメリカは、北朝鮮がアメリカ本土に届くICBMを完成させた頃を見計らって、自衛戦争と称して北朝鮮に攻め込むであろう(日本にとっては、集団的自衛権の行使が問われる初のケースとなるだろう)。冒頭の引用文のように、短時間で北朝鮮のミサイル基地や核関連施設を封じ込める作戦が本当にあるならば、アメリカの勝利の可能性が見えてくる。アメリカが気をつけるべき点は、100万人を超えるとされる北朝鮮の人民解放軍とのゲリラ戦にズルズルと巻き込まれることだ。アメリカがゲリラ戦に弱いことはベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争で経験済みである。

 アメリカが北朝鮮を攻撃すれば、北朝鮮VSアメリカ・韓国となる。当然、中国とロシアが出てくるから、中国・ロシア・北朝鮮VSアメリカ・韓国となる。だが、左傾化した韓国はアメリカを裏切って(米韓同盟を破棄して)北朝鮮側につくことも考えられる。すると、中国・ロシア・北朝鮮・韓国VSアメリカとなり、自ずと日本はアメリカを支援しなければならない立場に置かれる(ここで集団的自衛権の行使が問われる)。中国・ロシア・北朝鮮・韓国VSアメリカ・日本の結果がどうなるかは私には予想がつかない。仮に前者のグループが勝利すれば、朝鮮半島は社会主義国家として統一されるであろう。さらに悪いことに、朝鮮半島の非核化は達成されないままとなる。

 アメリカ・日本が勝利した場合、アメリカは北朝鮮の跡地に新たな国家を建設する。朝鮮半島では、北側にアメリカ主導で新しい資本主義・民主主義国家であり非核化された国家が生まれる一方で、南側には左傾化しアメリカを裏切った韓国が存在するという構図になる。つまり、朝鮮半島は、北側が資本主義国家、南側が社会主義国家という、現在とは正反対の配置になる。そして、北側の資本主義国家は中ロと南の韓国によって抑え込まれ、南の韓国は北側の資本主義国家と日米によって抑え込まれるという図式が成立する。

 ここで留意しなければならないのは、左傾化して中ロ側についた韓国が核開発に乗り出す可能性である。韓国と中ロの間には新しい資本主義国家が存在しているため、韓国と中ロのつながりは地理的には一応分断されており、中ロが北朝鮮に対してしたような直接的な支援はやや困難になる。しかし、韓国ほどの資金と技術があれば、中ロの支援をそれほど受けなくても、独自に核を開発することが可能かもしれない。とはいえ、韓国にとって核開発は一からの開発になるから、韓国と言えども一定の時間が必要になる。アメリカや日本をはじめとする国際社会としては、北朝鮮の核開発を20年以上も放置して現在の問題を招いた過去を反省し、韓国の早期封じ込めに注力することが今後の重要な課題となるのかもしれない。


2017年06月09日

『北朝鮮”炎上”/日本国憲法施行70年/憲法、このままなら、どうなる?(『正論』2017年6月号)』―日本はアメリカへの過度の依存を改める時期に来ている


正論2017年6月号正論2017年6月号

日本工業新聞社 2017-05-01

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 クリントン大統領と北の核疑惑が顕在化した1993年からオバマ大統領が退任する2017年までの24年間、米国が実質的に何もしなかった間に、北朝鮮は核実験を重ね、ミサイルも日本までを射程に入れるノドン、テポドン、そしてグァムに到達するムスダンまで開発を進めてきた。核ミサイルにより一部とはいえ米国市民を脅すところまで来たのである。
(香田洋二「トランプVS金正恩の裏側 徹底分析!両軍の実力は・・・」)
 以前の記事「『天皇陛下「譲位の御意向」に思う/憲法改正の秋、他(『正論』2016年9月号)』―日本の安保法制は穴だらけ、他」でもやや突飛なことを書いたが、この24年間、アメリカは北朝鮮に対して何もできなかったのではなく、敢えて何もしなかったのではないかというのが私の考えである。北朝鮮が核兵器を開発し始めた初期の段階では、当然のことながらその能力はとても十分なものとは言えない。だが、能力が十分でないがゆえに、アメリカは北朝鮮の核に関する情報を十分に入手することができない。北朝鮮がどこに核開発施設を持っているのか、核兵器の破壊能力はどの程度なのかをアメリカは見積もることができない。

 この段階でアメリカが最も恐れるのは、アメリカがなまじ北朝鮮に制裁を行った結果、北朝鮮が暴走し、韓国を攻撃することである。同盟国である韓国が攻撃されれば、アメリカは否が応でも朝鮮半島に出向かなければならない。北朝鮮の軍事能力に関する分析も不十分で、戦略・戦術が明確に定まらないまま、アメリカは朝鮮半島の戦争にズルズルと巻き込まれる。いくらアメリカの軍隊が世界最強だからと言っても、こんな戦争をアメリカはやりたがらない。

 だから、アメリカは北朝鮮の核兵器の能力が上がり、アメリカが分析可能なレベルに達するまで待っていたのだと思う。ミサイルの能力が上がれば、北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返すようになる(まさに今そうなっている)。アメリカは実験の映像を分析することで、北の実力を正確に推定できる。また、北朝鮮の核兵器の能力が上がれば、核開発施設が大型化し、衛星からその存在を把握することも可能になる。そうすれば、アメリカは対北朝鮮の戦略を練りやすくなる。

 アメリカが北朝鮮に対して取っている態度は、中国に対して取っている態度とも同じである。アメリカは、敵国のレベルが上がるのを待って、「戦争か、交渉か」と迫る。これがアメリカのいつものやり方である。ただし、仮に戦争が選択された場合は、敵国も相当程度の軍事能力を保有しているため、大規模な戦争に発展する。そして、日本が巻き込まれる可能性は極めて高い。
 柳澤:それはアメリカが助けに来てくれたとしたら、その時は尖閣の取り合いでは済まない大戦争になっているということですよね。沖縄や西日本にミサイルが飛んでくる事態も覚悟しなければならない。今までと同じようにアメリカに守ってもらうことを政策目標にしていたら、無理が生じるのではないかという懸念も出てきているのです。だからこそ、日本にとって守るべきものはいったいなんなのか、守るためにはどれほどのコストを負担すべきなのかを含めて、抜本的に考え直さなければいけない。
(柳澤協二、潮匡人「護憲か、改憲か」)
 日本は、「アメリカが日本を見捨てる日」に備える必要があるのではないかと思う。現在のアメリカ大統領は、「アメリカ・ファースト」を公言してはばからない人物である。いくら安倍首相がトランプ大統領と密接な関係を構築して、日米同盟の磐石性を強調しても、アメリカがあっさりそれを放棄する可能性はゼロではない。日本はそのXデーに備えて、自力で自国を防衛できる能力を保有する必要がある。それが、日本が戦後レジームを脱却して「普通の国」になる道である。
 山田:では仮に、安倍内閣が河野談話を撤回するなんて表明したとしたら、「修正主義だ」などと騒がれて、喜ぶのは韓国や中国ということになってしまいます。ですのでやはり、モーガンさんのような方に、アメリカの一般の人たち向けに、この問題(※慰安婦問題)についての正確な情報をきちんと出していってほしいと思いますね。
(ジェイソン・M・モーガン、山田宏「トランプ大統領の靖国参拝で歴史問題は解決する
!」)
 ただ悲しいかな、戦後70年の歴史の中で、日本人は対米依存体質にどっぷりと浸かっているようである。上記の引用文は、韓国や中国が慰安婦問題に関して根拠のない情報を世界中にばらまいていることに対し、山田宏氏がアメリカ人のジェイソン・M・モーガン氏に正しい情報を発信してくれるよう依頼している場面である。ところで、この記事には次のような文章もある。
 モーガン:日本の学問は真実を追求していくのが原則なんですけれども、アメリカの学問はあくまでもイデオロギーありきで、いくら真実を語っても聞く耳を持たない、ということに気付かされたのです。イデオロギーに染まっている人は、何を言っても聞く耳を持たないので、証拠をいくら出してもムダというわけで、それはそれで一貫性があります。(同上)
 イデオロギーに染まって真実を聞く耳を持たない人に対して、真実を伝えるようにお願いするのは全く矛盾している。慰安婦問題や南京事件問題などに関しては、韓国や中国は莫大な予算をつけて世界中で広報キャンペーンをやっている。そこで、日本も広報予算を大幅に増額して、韓国や中国に対抗すべきだという主張をしばしば耳にする。しかし、はっきり言ってイデオロギーに染まっている韓国人や中国人に何を言っても徒労に終わるであろうし、良識ある第三国から「真実はこうなのですよ」と韓国や中国を諭してもらうことも期待できない。

 私は、韓国や中国がどんなに外野で騒いでも、日本人だけは事実を適切に認識していればそれで十分だと思う。韓国や中国のキャンペーンによって、過去の日本人に対して悪いイメージを持つ人々が世界中で増えるかもしれない。しかし、過去は過去と割り切って、それでも日本を必要とする諸外国との協力関係を誠実に維持することが重要である。そうすれば、「日本人は昔は悪かったかもしれないが、今は本当に信頼できる国民だ」と思ってもらえる。外交関係は過去に束縛されるのではなく、常に未来志向でなければならない。

 私は、安倍内閣になってから、アメリカへの依存度が高まっていることに少なからぬ不安を抱いている。安倍首相は何かにつけて日米同盟の強固さを強調する。現代は米中の2大国の対立の時代であり、中国の脅威から日本を守るためにアメリカとの関係をより深化させなければならないというのが政府の理屈であろう。しかし、以前の記事「山本七平『存亡の条件』―日本に「対立概念」を持ち込むと日本が崩壊するかもしれない」でも書いたように、二項対立の一方に過度に肩入れすると、日本は危機に直面するという特性がある。

 特に、理想と現実という二項対立の扱いが不得手である。歴史を振り返ると、少なくとも3度、日本人は理想の扱いでミスをしていると私は考える。1つ目は中世における仏教の扱いである。仏教はインドから中国を経由して日本に伝来した。よって、日本の仏教という現実に対し、インドや中国の仏教が理想という関係がある。インドが天竺であるのに対し、日本は粟散辺土である。中国が大国であるのに対し、日本は小国である。ところが、中世になると、日本が粟散辺土で小国であるがゆえに、仏教の理想国であるという考え方が現れるようになった。日本が仏教の発祥の地であるとする伝説も創作された。さらに、日本書紀の神々が仏によって書き換えられた。日本書紀は日本の成立を記した重要な書物であるから、それに手を加えるというのは一大事件である(ただし、私は神仏習合自体は日本独自の二項混合として評価している)。

 2つ目は、江戸時代以降の中国礼賛の動きである。古代から、日本国家は中国の制度を真似して作られてきた。中国では皇帝が大きな権力を有し、広大な土地を治めている。それに倣って、日本では天皇に影響力を集中させ、国家を統治するという機構が構築された。ここでは、中国が理想で、日本が現実という関係になっている。ところが、江戸時代に入ると、儒学者である山鹿素行が『中朝事実』を著し、日本こそが中国の理想を最もよく体現している、端的に言えば、日本こそが中国であるという主張を展開するようになった。山鹿素行は江戸時代初期の人物であるが、その影響は後代にまで長く及んだ。明治維新によって幕府が消滅し、天皇に権力が集中する体制が整備されたが、山本七平は明治維新のことを「中国化革命」と呼んでいる。

 ここにおいて、日本と中国の関係は、日本が理想で中国が現実という具合に逆転する。理想的な日本は中国という現実に直面するのだが、理想の扱いに慣れていない日本はここで失態を犯す。通常、理想と現実の間にギャップがあれば、その間を埋める施策を講ずるものである。だが、自国が理想だと主張してはばからない日本は、現実の中国を攻撃する。これが日中戦争である。もう1つの態度は、理想を捨てて現実の前に土下座するというものである。戦後、田中角栄が電撃的に中国との国交を回復したのはその表れである(以前の記事「イザヤ・ベンダサン(山本七平)『日本人と中国人』―「南京を総攻撃するも中国に土下座するも同じ」、他」を参照)。つまり、理想に強くしがみつくあまり、現実との間で上手く折り合いをつけられないのである。

 3つ目は、太平洋戦争である。明治維新以降、日本は西洋の価値観を手本としてきた。西洋が理想であり、日本が現実という関係である。ところが、いつしか日本こそが西洋であり、アジアにおいて西洋的な価値観を実現する使命を帯びていると考えるようになった。それが実行されたのが、太平洋戦争における満州国の建国であり、東南アジアにおける植民地の解放運動である。しかし、現代の我々は、いずれも失敗に終わったことを知っている。よく、日本人は東南アジアで欧米による植民地支配を打ち破ってくれたから、東南アジアには親日国が多いと言われる。しかし、実際にフィリピンで戦場に立った山本七平などは、日本軍に東南アジア経営のビジョンがなく、現地の激しい抵抗運動にあったと述懐しているのは見逃せない。

 現在、日本はアメリカを絶対的な理想としている。私が恐れるのは、アメリカが重視する基本的価値観を最もよく体現しているのは日本であり、日本こそアメリカであるという主張が現れることである。仮にそうなった場合、あまりに突飛な予測かもしれないが、日本がアメリカを総攻撃するか、ワシントンに土下座すると日が来る恐れがある。これを防ぐためには、二項対立の一方に過度に肩入れしないことである。つまり、中国との関係も重視しなければならない。中国をいらずらに敵視するばかりではなく、中国に「日本を攻撃すると自国にとって大きな不利益となる」と思わせることが必要である。かつての民主党は「日米中正三角形論」を掲げた。その中身は結局曖昧模糊としたままであったが、日米の直線的な関係だけでなく、中国を加えて三角形(必ずしも正三角形でなくてもよい)の関係でとらえようとした点はもう少し評価されてもよいと思う。



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