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『正論』2018年5月号『策略の朝鮮半島/森友”改竄”の激震/新たなる皇帝の誕生・・・』―南北統一で「金氏朝鮮」が成立する可能性、他
【精神科】閉鎖病棟とはどういうところか?【入院】

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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都豊島区を拠点に、東京23区で活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。コンサルティングなどの仕事の実際の中身は守秘義務の関係で書くのが難しいため、書評が中心となっている点は何卒ご容赦あれ。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


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◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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2018年04月29日

『正論』2018年5月号『策略の朝鮮半島/森友”改竄”の激震/新たなる皇帝の誕生・・・』―南北統一で「金氏朝鮮」が成立する可能性、他


2018年5月号 (正論)2018年5月号 (正論)

日本工業新聞社 2018-03-31

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 (1)
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日、軍事境界線のある板門店(パンムンジョム)の韓国側施設「平和の家」で会談し、「完全な非核化により、核のない朝鮮半島の実現という共通の目標を確認した」とする「板門店宣言」に署名した。宣言では1953年から休戦状態にある朝鮮戦争の「終戦」を今年中に目指すことや、両国に米国や中国を交えた多国間の枠組みで、平和体制の構築を協議する方針も示した。
(毎日新聞「南北首脳会談「朝鮮半島の完全な非核化」目標 共同宣言」〔2018年4月27日〕)
 以前の記事「『世界』2018年2月号『反貧困の政策論』―貧困を解決するには行政がもっと市場に介入して消費者にお金を使わせればよい、他」で、朝鮮半島で起こり得るシナリオとして、Ⅰ.北朝鮮が先制攻撃する場合、Ⅱ.アメリカが先制攻撃する場合、Ⅲ.米朝対話が成立する場合、Ⅳ.南北対話が成立する場合という4つを示し、最も可能性が高いのはⅢであり、次いでⅣではないか(ⅠとⅡは起こらないだろう)と書いたが、実際にはⅣが実現したわけだ。これによって、韓国と北朝鮮は将来的に統一に向かうと推測される。

 まず、経済面であるが、北朝鮮は中国と同様、表面的には社会主義を掲げながら、韓国に倣って徐々に市場経済を導入していくものと考えられる。既に、北朝鮮では相当程度まで市場経済が浸透しているという見方もある。1990年代に物資が極度に不足し、「苦難の行軍」を経験した際には、国営商店を介さずに自由に取引ができる闇市が発達した。21世紀に入って苦難の行軍を脱した後も闇市はなくならず、北朝鮮の人々は、市場レートよりもはるかに高い価格で取引がなされる闇市で、余った農作物などを売買した。政府は、国営商店と闇市の価格差を問題視し、2002年に7・1措置を出して国営商店の価格を大幅に引き上げたものの、それでも闇市はなくならなかった。市場の自由化の流れを止められないと感じた政府はついに、2003年に総合市場を公設した。現在、北朝鮮のGDPの4割程度は私経済によるものと推測されている。

 北朝鮮は経済特区を設置し、韓国企業の誘致に乗り出すであろう。現在、北朝鮮の経済特区と言うと、開城工業団地がある。2012年末時点の稼動企業数は123社、2012年時点の従業員数は5万4,234人、従業員の98.6パーセントは北朝鮮側の人員であった。2013年時点で、進出した韓国企業の投資総額は5,568億ウォン(482億円)で、生産額は月4,000万ドルに上った。これとは別に韓国側の公的企業が、造成や社会基盤整備に5.5兆ウォン(4,770億円)から6兆ウォン(5,200億円)を投資している。北朝鮮側は、労働者約5万3千人分の賃金として1年間に8,700万ドル(約86億円)の外貨収入を得ており、北朝鮮にとっては「ドル箱事業」であった。

 2016年2月10日、北朝鮮による弾道ミサイル発射実験を受け、韓国政府は、開城工業地区から北朝鮮へ流入する通貨が、兵器開発に流用されることを防ぐとして、開城工業地区の操業停止と韓国人の引き揚げの措置を行った。だが、2017年10月、北朝鮮が韓国との協議を経ず、秘密裏に工場を再稼働されていたことが明らかになり、再開してすでに6カ月経っていることが報じられた。まずは、この開城工業団地の操業を正式に認めるところから始められるに違いない。そして、北朝鮮は第2、第3の工業団地の造成に着手する可能性が高い。

 韓国企業はASEAN諸国に海外工場を持っているが、ASEAN主要国の製造業のワーカーの月額賃金は以下の通りである(JETRO「投資コスト比較」より)。

 ・バンコク(タイ)=378ドル
 ・ハノイ(ベトナム)=204ドル
 ・ジャカルタ(インドネシア)=324ドル
 ・マニラ(フィリピン)=237ドル
 ・プノンペン(カンボジア)=170ドル
 ・ビエンチャン(ラオス)=121ドル
 ・ヤンゴン(ミャンマー)=135ドル

 これに対して、北朝鮮の場合は、前述の通り5万3千人分の賃金が年間8,700万ドルであるから、1人あたりの月額賃金に直すと約137ドルである。ただし、開城工業団地の労働者は、他の北朝鮮の労働者よりも優遇されているはずであるから、北朝鮮のワーカーの平均月額賃金を求めると、ASEANのどの国よりも低くなると推定される。北朝鮮はこの労働コストの安さを武器に、韓国企業を大量に誘致し、自国の経済発展を目指す。韓国企業は、製品コストのより一層の引き下げというメリットが得られる。すると、日本企業にとっては非常に大きな脅威となる。

 現在、韓国と北朝鮮の経済格差は45倍であり、このままではとても統一できない。しかし、北朝鮮が今後10年の間に毎年10%の成長を続け、その後の10年間でさらに毎年7%の成長を達成すると仮定すると、北朝鮮の経済規模は約4.5倍になる。一方、韓国は今後20年の間毎年2%の成長が続くならば、韓国の経済規模は約1.5倍になる。したがって、20年後の経済格差は45×1.5÷4.5=15倍にまで縮小する。東西ドイツが統一した時の経済格差は、西ドイツ:東ドイツ=3:1であったことを踏まえると、これでもハードルは高いのだが、45倍に比べれば大幅に改善されたことになり、南北統一の可能性が見えてくる。

 政治に目を向けると、文在寅大統領はしばしば2国併存の連邦制を主張しているが、その具体的な政治機構ははっきりしない。北朝鮮の金政権と韓国の大統領制をそのまま残すのであれば、南北統一にはならない。かと言って、北朝鮮の金政権と韓国の大統領制の上に、何か新しい統一的な政治機構を作るのは現実的ではない。よって、北朝鮮の金政権と韓国の大統領制のどちらかを選択するしかない。北朝鮮と韓国はいずれも、自国が朝鮮半島を代表する国家であることを主張し合ってきた。北朝鮮の金政権と韓国の大統領制のどちらに正統性があると認めるのかという問題になるが、私は最終的に金政権が選択されるのではないかと予測する。

 と言うのも、韓国の歴代大統領の多くは、在任中の不祥事(身内の不祥事を含む)が原因で、その後に悲惨な末路をたどっているからである。その一部を挙げると次の通りである。

 ・李承晩(初代~第3代)=1960年の不正選挙で、副大統領に当選した李起鵬は四月革命で失脚し、長男の李康石の手によって、朴瑪利亜夫人や次男(李康旭)とともに射殺された。
 ・朴正煕(第5~9代)=妻(陸英修)は、文世光事件で銃弾が頭部に命中し、死亡。長男(朴志晩)は、麻薬法違反の容疑で繰り返し逮捕。本人は、側近の金載圭情報長官により暗殺。
 ・全斗煥(第11・12代)=退任後に、利権介入などが発覚し親族が逮捕された。後に、政権下の不正と親族の不正を国民に謝罪し、財産を国に返納した。その後も、光州事件や不正蓄財への追及が止まず、死刑判決を受けた(減刑の後、特赦)。
 ・盧泰愚(第13代)=退任後の1995年に政治資金の隠匿が発覚。さらに、粛軍クーデター、光州事件でも追及され、軍刑法違反として懲役17年の判決を受ける(1997年12月に特赦)。
 ・金大中(第15代)=長男の金弘一は、「李溶湖ゲート」、「陳承鉉ゲート」と呼ばれる不正事件で在宅起訴。次男の金弘業は、利権に便宜を図る見返りに25億ウォンを受け取り逮捕。 三男の金弘傑も、「崔圭善ゲート」と呼ばれる事件に関与し、逮捕。全部で親族5人が逮捕された。
 ・盧武鉉(第16代)=任期終了後の2009年に、6億円を超える不正資金疑惑について、事情聴取が実施され、逮捕も近いのではと思われていたが、自宅の裏山の岩崖から投身自殺。
 ・李明博(第17代)=2012年に入り、李明博が私邸として購入した土地の金額が、同地域の他の土地より安かったことや、土地の名義が別人だった事などから、購入資金を政府が不正に肩代わりしたとの疑惑がある。2018年3月、約10億円の収賄容疑などで逮捕。
 ・朴槿恵(第18代)=2016年10月末に発覚した友人崔順実の国政介入問題、いわゆる「崔順実ゲート事件」により、支持率が急落。12月9日、国会で弾劾訴追案が可決され、大統領としての職務が停止。2017年2月28日には特別検察官が国政介入疑惑における収賄を認定。3月10日、憲法裁判所により、罷免が決定。3月31日に逮捕。

 ブログ別館の記事「櫻井よしこ、呉善花『赤い韓国―危機を招く半島の真実』―全体主義的な韓国は「悪」を徹底的に叩くことでしか「善」を定義できない」で書いたような、「悪を徹底的に叩く」という韓国人の特質からすると、韓国にはおよそ正統性がある政権というものがほとんどなかったことになる。一方で、北朝鮮に目を向ければ、金日成―金正日―金正恩と続く政権がある。金正恩総書記によほどのことがない限り、20年後も金正恩体制が続いているだろう。

 もし今後の韓国大統領も同じように在任中の不正が続くならば、韓国人が自国の政権を見捨て、金政権に正統性を見出す可能性も決して低くない。最近左傾化が著しい韓国であれば十分あり得る。現在の韓国は50代の人口が多いが、彼らはいわゆる「386世代」である。386世代とは、1990年代に30代(3)であり、80年代(8)に大学生で、87年の民主化宣言まで民主化学生運動に参加していた者が多い60年代(6)の生まれを指す。彼らは進歩主義的傾向が強く、北朝鮮に強いシンパシーを抱いている。そして、20年後には彼らが韓国の政治の中心にいる。

 以上を総合すると、20年後ぐらいを目途に、朝鮮半島には「金氏朝鮮」とでも呼ぶべき国家が誕生すると予測する(北朝鮮が核兵器開発の目的としていた「体制の維持」も達成される)。政治的には共産党をトップとする社会主義であるが、経済的には部分的に自由市場を受け入れる。ちょうど、中国のミニチュア版が誕生するイメージである。金氏朝鮮は親中反日である。結局、朝鮮半島の国家というのは、中国に属することで生き延びる運命なのである。そういう意味では、朝鮮半島の歴史のメインストリームに戻ってきたということに他ならない。

 アメリカもこのことを見越した上で、トランプ大統領は米朝首脳会談に臨むだろう。北朝鮮が非核化を完了すれば、在韓米軍を韓国から撤退させる。だが、ここで気になるのは、南北首脳会談で、「年内の朝鮮戦争終結宣言を目指す」とされた点である。朝鮮戦争が終結すれば、韓国にアメリカ軍を駐留させる意味がなくなる。つまり、朝鮮戦争の終結とともに在韓米軍は撤退しなければならないのである。それまでに北朝鮮が非核化のプロセスを完了させられるとは到底思えない。北朝鮮は現在60発ほどの核兵器と、最大で150の核関連施設を保有していると言われている。これらの全てを、年内に撤廃するのはほとんど不可能だ。

 仮に米朝首脳会談で非核化の成果が得られて在韓米軍が撤退したとしても、それはまやかしの非核化(アメリカ向けのICBMのみ放棄)であり、将来的に誕生する金氏朝鮮は、隠しておいた残りの核兵器を今度は日本に向けてくるに違いない。その核兵器はもはやアメリカが対象ではないため、日本は朝鮮半島の非核化をアメリカに頼ることはできず、独力でこの問題に立ち向かわなければならない。拉致問題といい核問題といい、日本はずっとアメリカにおんぶにだっこの状態で、気がついてみたら交渉の蚊帳の外に置かれていた。そのような外交の愚策はもう許されない。日本がイニシアティブを発揮して朝鮮半島の反日国家と対峙する必要がある。

 (2)本号の井上和彦「シベリア出兵の美しき真実 ポーランド人を救った日本人」では、日本とポーランドの絆についての記事である。ポーランドが東欧一の親日国である理由が解る。

 ポーランドはウィーン会議(1814~15年)で形式上独立するも、事実上はロシア領であった。19世紀末、ポーランド人は真の独立を勝ち取るべく、2度にわたって帝政ロシアに独立戦争を挑んだ。しかし、蜂起は鎮圧され、さらに蜂起に立ち上がった多くのポーランド人が政治犯としてシベリアに強制移送された。その後、第1次世界大戦で戦場となったポーランドの人々がシベリアに逃れ、シベリアのポーランド人は15~20万人に膨れ上がった。そんな中、1917年にロシア革命が起き、1918年に第1次世界大戦が終結して、ようやくポーランドは独立を回復した。

 ところが、シベリアのポーランド人は、ロシア内戦で祖国への帰還が困難となり、それどころか生活は困窮を極め、餓死者が続出した。同胞の惨状を知ったウラジオストク在住のポーランド人は、彼らを救済するために「ポーランド救済委員会」を立ち上げた。彼らは、せめて子どもたちだけでも救って祖国へ帰してやりたいと願っていた。ちょうど同時期にシベリアに出兵していた日本人が彼らの存在を知り、日本政府が救済に動いた。日本陸軍は1920年7月20日に第1陣として、輸送船「筑前丸」に56名の児童とポーランド人の付き添い5名を乗せ、ウラジオストクの港を出発した。それ以降、1921年7月までに5回の救援便が合わせて375名の児童を救出した。さらに、1922年8月、輸送船「明石丸」と「臺北丸」が3回に分けて孤児390名を移送した。

 輸送船はウラジオストクを発ってから一度日本に立ち寄るのだが、そこで受けた日本の医療スタッフによる献身的な看病にポーランドの子どもは感激し、日本を出発する際には「日本を離れたくない」と泣きじゃくる子どももいたそうだ。そして、子どもたちの看病に奮闘した1人の日本人看護師のことが、ちょうど『致知』2018年4月号に紹介されていた。
 岡田:この第1回救済事業の時には、日本国内で腸チフスが流行し、20数名のポーランドの子供たちが腸チフスに罹ってしまいます。日赤の医師や看護師たちが「ここで死者を出したら申し訳ない」と、全力をあげて治療したことで全員元気にすることができたのですが、その時に看護をした23歳の松沢フミという女性が腸チフスに罹るんです。

 ところが、フミは腸チフスになっても、昼夜問わず献身的に子供たちを看護し続け、心配する同僚たちにこう言ったといいます。「人は誰でも自分の子や弟や妹が病に倒れたら、己が身を犠牲にしても助けようとします。けれどもこの子たちは両親も兄弟、姉妹もいないのです。誰かがその代わりにならなければなりません。私は決めたのです。この子たちの姉になると」 そしてフミは殉職。ポーランドの子供たちはその死を悼み、声が嗄れるほど泣いたといいます。
(岡田幹彦、服部剛「〔感動の日本史〕本気・本腰で生きた歴史の偉人たちに学ぶ」)
致知2018年4月号本気 本腰 本物 致知2018年4月号

致知出版社 2018-03


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 なお、『致知』の同記事では、他の偉人として、①太平洋戦争の沖縄戦で、県民の多くを疎開させた上で自決した沖縄県知事・島田叡、②義和団事件で日本の軍隊の優秀さを世界に証明した柴五郎、③第2次世界大戦中にドイツの反対を押し切ってユダヤ人難民を救った樋口季一郎、④硫黄島の戦いで目覚ましい統率力を発揮した栗林忠道の名前が挙げられている。


2018年04月02日

【精神科】閉鎖病棟とはどういうところか?【入院】


閉鎖病棟

 私のブログをお読みの方はご存知の通り、私は双極性障害という精神疾患を患っている。年明けからずっと体調が芳しくなかったのだが、2月末に体調が急激に悪化したため、精神科の病院に入院することになった。入院は2012年8月、2017年8月(この時は病院の対応に不満で、1週間で退院してしまった。以前の記事「双極性障害で入院したところ40日の予定が1週間で退院してしまった事の顛末」を参照)に続いて3回目である。過去の2回はいずれも開放病棟であったのに対し、今回は初めて閉鎖病棟に入院した。閉鎖病棟と言うと暗いイメージがあって、医師や看護師の言うことを聞かない患者はECT(電気けいれん療法、通称「デンパチ」)を強制的に受けさせられるといった都市伝説もあるぐらいだが、私の入院した病院は、患者の自由度が一定程度制限されるというだけで、それ以外は普通の病院とさして変わらない印象であった。

 ■持ち込みや使用が制限されるもの
 ライター、マッチ、はさみ(眉毛切りや鼻毛切りを含む)、鏡、箸、フォーク、包丁などの刃物類、針金ハンガー、針(安全ピン)、ドライヤー、ベルト、酒類、病院処方以外の薬、スプレーなど、患者本人や他の患者を傷つける可能性のあるものは一切持ち込むことができない。

 タバコを吸う人は、タバコをスタッフステーション(ナースステーション)に預けておき、吸いたい時に1本ずつ看護師から受け取る。デイルームの隣に喫煙室があり、患者がチャッカマンを使ってタバコに火をつけているのを見て、何と荒々しい姿なのだと思ったのだが、その理由はライターやマッチが持ち込めず、喫煙室のドアに共有のチャッカマンが紐で括りつけてあるからであった。ただ、喫煙室は一応スタッフステーションから見える位置にあるものの、万が一患者が喫煙室内で焼身自殺を図ったらどうするつもりなのだろうとやや疑問に感じた。

 電気カミソリも、スタッフステーションに預けなければならない。入院したばかりの頃は、入浴時(男性は月・水・金の午前中、女性は火・木・土の午前中)に看護師から電気カミソリを借りる。電気カミソリを自室で自由に使えるようになるためには主治医の許可が必要で、私の場合は許可が下りるまでに2週間ほどかかった。T字カミソリも同様に、スタッフステーションが預かり、入浴時に貸し出される。T字カミソリは入浴時にしか使うことができない。

 スマートフォンや携帯電話もスタッフステーションが預かる。過去の入院では、日中にやることがなくてスマホで音楽を聴いたり、ゲームやSNSをしたりしていたから、スマホが使えないというのは苦痛であった。だが、慣れてくると意外とスマホなしでも何とも思わなくなり、日中の時間を丸々読書にあてることができるようになった(入院1か月の間に36冊読んだ)。普段、いかに自分がスマホに依存していて、精神が蝕まれているかを思い知らされた。どうしてもスマホを使いたい場合は、後述する「院内外出(単独)」という許可を取れば、フロアの外に出てスマホを使うことができる。私は結局スマホを全く使わず、電話はフロアにある公衆電話で済ませた。

 ■外出について
 閉鎖病棟であるから、各フロアの出入り口は施錠されており、患者が自由に出入りすることができない。病院内には売店があるが、売店にも自由に行けない。買い物をしたい場合は、スタッフステーションで、売店で売っている商品の一覧を見ながら「買い物伝票」を起票する。すると、看護師が患者の代わりに売店で商品を買ってきてくれる。買い物の代金は、入院時にあらかじめ病院に預け入れておいた「預り金」(3万円程度)から精算される。ただし、医師から外出の許可が出れば、売店に行くことができるようになる。

 外出許可には「院内外出(同伴)」(家族の同伴の下で、売店など病院内の他の場所に移動する)、「院内外出(単独)」、「院外外出(同伴)」(家族の同伴の下で、自宅まで外出できる)、「院外外出(単独・病院周辺)」(家族の同伴がなくても、散歩などの目的で病院周辺まで外出できる)、「院外外出(単独・制限なし)」(家族の同伴がなくても、自宅まで外出できる)の5種類がある。売店に行くためには、「院内外出(同伴)」か「院内外出(単独)」の許可を得る必要がある。私の場合は、入院1週間ほどで「院内外出(単独)」の許可が出た。

 ただ、許可が出ても直ちに自由に売店に行けるわけではない。売店に行くには、まずスタッフステーションに「外出届」を提出する。それから、病室には多額の現金を持ち込むことができないため、前述の預り金から現金を引き出すために「出金伝票」を起票する。買い物に必要な範囲ということで、だいたいは1,000円~2,000円程度である。そして、看護師にフロアのカギを開けてもらい、1階の受付に行き、出金伝票を提出して現金を引き出す。その後、その現金を持って売店に行く。売店から戻ったら、インターフォンで看護師を呼び出してフロアのカギを開けてもらう。フロアに入った後は、危険物を持ち込んでいないか、持ち物チェックとボディチェックを受ける。売店で危険物が売られているわけなどないのだが、念には念を入れてのチェックである。

 週末になると、「院外外出(同伴)」の許可を得ている患者は、外出届を提出して自宅に戻る人が多かった。これは、退院に向けて外の環境に慣れるのが目的である。私は「院内外出(単独)」と同時に「院外外出(同伴)」の許可が出たので、入院してから2週間目と3週間目の土曜日には妻の協力を得て一時帰宅し、4週間目の土日には自宅で1泊した。

 「院外外出(単独・病院周辺)」は、入院後2週間ほどで許可が出たものの、私は1回しか使わなかった。精神疾患で入院した場合、手術をするわけでもなく、朝・昼・晩と薬を飲んで、それ以外の時間はただ静養するだけである。これではあまりにも退屈であるから、日中は「院外外出(単独・病院周辺)」の外出届を出して、病院近くのファミレスに行く患者もいた(病院食に満足できず、おいしいものを食べたいというのが本音である)。私は退院の前日だけ、「院外外出(単独・病院周辺)」を使ってそのファミレスに行ってみた。いずれの外出のケースでも、病院に戻ると、買い物の時と同様に、持ち物チェックとボディチェックを受ける。

 ■入院部屋について
 一般の病院と違うのは、テレビがないことであろう。患者がテレビのコードで首つり自殺をする可能性があるためだと考えられる。入院部屋にあるのは、簡素な物入れだけである。ナースコールのコードも一般の病院に比べると短い。また、窓は絶対に開かないよう加工されている。

 現在の診療報酬体系では、入院期間が長くなるほど診療報酬が少なくなるため、どの病院も入院期間を短くしようとしている。ところが、私が入院した病院では、むしろ長期の入院が推奨されているようであった。私も当初は5月末までの3か月間入院する計画になっていた。すると、診療報酬が減ってしまうので、その穴埋めのためか、4人部屋に空きがあるにもかかわらず、入院当初は差額ベッド代が高く設定されている1人部屋に入ることになった。私の容体が安定したと主治医が判断して初めて、4人部屋に移ることができた。不思議なことに、4人部屋にも全て差額ベッド代が設定されており、これでは一体何との差額なのかがよく解らなかった。院内の各部屋を観察してみると、元々2人部屋だったのを改造して1人部屋にした形跡があった。これも、入院期間の長期化に伴う診療報酬収入の減少を差額ベッド代で補うための措置であろう。

 ちなみに、テレビはデイルームに1台だけ設置されており、患者の共有になっていた。私は久しぶりに日中のワイドショーを見る時間があったのだが、どのテレビ局も森友学園問題ばかりを扱っていて辟易した。私が入院していた3月は、南北首脳会談と米朝首脳会談の実施が決まった時期であり、日本が拉致問題を含めて、朝鮮半島をめぐりどのようなプレゼンスを発揮すべきか真剣に検討しなければならないはずであった。それなのに、あんなゴミみたいな学校のゴミみたいな金額のために、野党が血眼になって安倍首相や麻生財務大臣を追及しているのは笑止千万であった。野党議員に投票した人は国家反逆罪でひっ捕らえてしまえばよいと思った。

 ■食事と入浴について
 1人部屋にも4人部屋にも、食事ができるテーブルはなく、食事はデイルームで食べるように促される。食事は、看護師が見守る中で食べる。朝食が7時30分、昼食が11時50分、夕食が17時30分であり、消灯が22時であったから、夕食後消灯までの間にお腹が空いてしまい、耐えるのに必死であった。入浴は、前述の通り、男性が月・水・金の午前中、女性が火・木・土の午前中である。浴室は3人まで同時に入浴できる造りになっており、看護師に促されるがままに次々と患者が入浴していく。女性の看護師の前で着替えなければならず、最初は何ともこっ恥ずかしかったが、退院が近くなる頃には何とも思わなくなった。

 ■薬について
 一般の病院であれば、毎食後や寝る前に必要な薬を看護師が運んできてくれる。私が入院した病院でも最初はそのような形になっていたが、途中から薬の自己管理をするように言われた。精神疾患は他の病気に比べると飲む薬の種類が多く、退院後はその多量の薬を自己管理しなければならない。その練習を病院内でやろうというわけである。自己管理にはランクAからランクDまでの4段階がある。ただ、私はランクAのみで退院となり、ランクB~Dは経験しなかった。

 <ランクA>
 朝の7時に、1日分の薬が入った容器をスタッフステーションで受け取る。自分の薬を飲む時間帯になったら、飲む前に看護師に薬を見せ、看護師に確認してもらってから薬を飲む(これが面倒であった)。1日分の薬を全て飲み終わったら、空になった容器を看護師に返却する。
 <ランクB>
 朝の7時に、1日分の薬が入った容器をスタッフステーションで受け取る。自分の薬を飲む時間帯になったら薬を飲む。看護師に確認してもらう必要はない。飲んだ薬の空袋は捨てずに容器内に保管しておく。1日分の薬を全て飲み終わったら、空の容器と薬の空袋を看護師に渡す。
 <ランクC>
 ランクBは1日分の薬の自己管理であるが、ランクCになると3日分の薬の自己管理となる。
 <ランクD>
 ランクCは3日分の薬の自己管理であるが、ランクCになると7日分の薬の自己管理となる。

 ■入院費について
 正確に言うと、私は2月26日に入院し、3月30日に退院した。2月26日~28日の3日間は1人部屋で過ごし、3月は4人部屋で過ごした。1人部屋の差額ベッド代が1日7,560円(税込み、以下同)であったこともあり、2月分は入院わずか3日にもかかわらず5万円近くかかった。一方、3月分については、高額療養費制度を使用したため、約11万円で済んだ。ただ、差額ベッド代が1日1,080円、タオルリース代が1日324円、パジャマリース代が1日70円、事務手数料が1日154円といった具合に、細々と諸経費を請求されている。



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