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【うつ病の治し方】うつ病を治すために実践すべき簡単な「7つの習慣」
【精神科】閉鎖病棟とはどういうところか?【入院】
DHBR2017年9月号『燃え尽きない働き方』―バーンアウトでうつになったら日記をつけてみよう

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
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◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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2018年04月11日

【うつ病の治し方】うつ病を治すために実践すべき簡単な「7つの習慣」


うつ病

 本ブログをお読みの方はご存知の通り、私は双極性障害Ⅱ型という精神疾患を患っている。先日、マライア・キャリーが告白して話題になった、あの病気のことである。双極性障害とは、躁状態(簡単に言えばハイテンションの状態)とうつ状態が交互に現れる障害である。躁状態の時は、本人もよもや自分が病気だとは思っていない。むしろ絶好調だと思っているので、医療機関にかかることがほとんどない。うつ状態になって初めて診療を受けるため、医師も当初はうつ病と診断してしまうことが多く、診断が難しい疾患である。私も最初の診断名はうつ病であったが、発症から4年ほど経って双極性障害という病名に変わった。

 うつ病は、十分な休息を取り、適切な治療を受ければ寛解する。だが、双極性障害は再発率が高く、うつ状態は90%の割合で再発すると言われている。マライア・キャリーも言っていたように、一生つき合っていかなければならない病気である。そこで今回は、うつ状態を少しでも早く脱するために必要な7つの習慣について書いてみたいと思う。双極性障害の患者が、うつ状態を脱するための方法について書いているため、正確に言えばうつ病の患者がうつ病を治すための方法とは必ずしも一致しないかもしれない。ただ、今回の記事がうつ病で苦労している方にとって、何かの参考になれば幸いである。また、この6年間で3回も入院した私がこんなことを言っても説得力に欠けると思われるだろうが、その点もどうかご容赦いただきたい。

 なお、これから述べる習慣の中には、食習慣は入っていない。うつ病の時に食べる/飲むとよいもの、食べる/飲むのを控えた方がよいものというのは一応ある。だが、ある人は「これを食べた/飲んだ方がよい」と言っているのに、別の人は「これは食べては/飲んではいけない」と言っていることがあり、どの情報を信用してよいのか私自身解らないことが多い。例えば、うつ病の人はコーヒーを飲まない方がよいとされる。カフェインの過剰摂取により、ストレスに反応するアドレナリンという脳内物質が放出されるためである。ところが、ある研究によると、コーヒーを入れる時の香りが脳内のα波を増やし、リラックス効果をもたらすと言う。

 万事こんな具合なので、個人的な見解を言えば、「食べたい/飲みたいものを口にすればよい」のではないかと思う。ただでさえうつ病で苦しい思いをしているのに、食べたい/飲みたいものまで我慢してしまったら、余計にストレスを感じてしまう。だから、食事に関してはあまり心配しなくてもよいというのが私の実感である。ただし、抗うつ薬の中には食欲を増進する作用があるものがあり、過食の傾向が表れることがあるため、この点だけは注意が必要である。

 ①思い切って人を頼ってみる
 うつ病になる人は責任感が強く、自分で何でもやらねばという義務感に駆られることが多い。だが、あなたの周りには頼りになる人がいくらでもいることに気づいてほしい。1人で全てを抱え込むのではなく、思い切って他人に任せてみる。あなたの普段の頑張りを見ている人は、あなたに何かあったら助けてあげたいと思っているものである。私も3回入院した時はいずれも、その時に抱えていた仕事を全て他の中小企業診断士に依頼した。迷惑だったかもしれないが、お願いした先生方は皆、クオリティの高い仕事をしてくださった。先日、診断士の会合に出席したところ、ある先生からは「谷藤先生に何かしてあげられることはないものかと皆言っていますよ」というありがたい言葉をいただいた。自分は1人ではないのだと実感することができた。

 また、障害者手帳を取得するための煩雑な手続きや、入院費の支援を家族にお願いしたこともある。家族はやはり頼りになる存在である。実は私は、義理の両親には病気のことを伝えてあったが、以前の記事「『致知』2018年3月号『天 我が材を生ずる 必ず用あり』―素直に「感謝」ができない私は人間的にまだまだ未熟」で書いたように、実の両親とは長く不仲であったため、病気のことを黙っていた。3月に入院した際(以前の記事「【精神科】閉鎖病棟とはどういうところか?【入院】」を参照)、意を決して実の両親に打ち明けたところ、たいそう驚かれたが、入院費を支援してくれることになった。この点では両親に本当に感謝している。「もっと早く教えてくれたら色々としてあげたのに」とも言ってくれた。この歳になって親の脛をかじるのは恥ずかしいかもしれないが、病気は一時的なものである。病気がよくなったら親孝行すればよい。

 ②大きな声で挨拶をする
 うつ病の人は失敗をひどく恐れる。そのためか、コミュニケーションが億劫になってしまうことが多い。「こんなことを言ったら自分は頭が悪いと思われるのではないか?」、「相手を傷つけてしまうのではないか?」と過剰に心配してしまう。すると、日常生活の中で他人と言葉を交わす機会が減少し、ますますうつ状態がひどくなるという悪循環に陥る。そこで、最低限のコミュニケーションとして、挨拶ぐらいはきちんとしたい。それも大きな声でするのがポイントである。挨拶は定型文であるから、失敗のしようがない。相手が挨拶を返してくれないという失敗はあるが、それは相手の問題であって、あなたには何の落ち度もない。

 3月に入院した時、私はできるだけ大きな声で挨拶するように心がけた。朝起きたら他の患者さんや看護師さんに「おはようございます」と言う。清掃担当の方が病室を掃除してくれたら「ありがとうございました」と言う。食事後に看護師さんが下膳しに来た際には「ごちそうさまでした」と言う。これだけでいい。それに、大きな声を出すと気分もスッキリとする。もちろん、①で書いたように、他人に何かをお願いする時には「よろしくお願いします」と言い、お願いごとをしてもらった時には「ありがとうございました」と言うことも欠かせない。②はあまりにもベタなことであるが、ベタなことでも恥ずかしがらずに行うことが大切である。

 ③朝起きたらカーテンと窓を開ける
 うつ病の人は朝が苦手である。あなたも朝になると気分がふさぎ込んだり、不安になったり、恐ろしくなったりすることだろう。だが、朝起きたら思い切ってカーテンと窓を開けるようにしてほしい。日光はうつ病を改善する効果がある。うつ病の人は、気分の安定や心のバランスに寄与する脳内物質であるセロトニン不足している。に日光を浴びると、脳内でセロトニンが分泌される。朝日光を浴びれば、寝起きの身体を覚醒させて、活動的な状態にしてくれる。

 それから、カーテンを開けて空気を入れ替えることも重要である。1日中締め切ったままの部屋の空気はどんよりと沈滞している。そんな空気の中で生活していれば、自ずと気持ちもどんよりとしてしまう。そこで、朝になったら朝の新鮮な空気を部屋に取り込む。すると、気分をリフレッシュすることができる。ただし、うつ病の大敵である雨の日には、無理してこれを行う必要はない。うつ病の人は几帳面な人が多いので、これをすると決めたら毎日それをしなければならないと思ってしまいがちである。だが、雨の日には日光は取り込めないし、窓を開けたらよどんだ湿り気のある空気が部屋に入り込んでしまう。この辺りは、ある程度いい加減でよい。

 ④背筋を伸ばし、前を向いて歩く
 精神科の病院に入院しても、手術などをするわけではなく、基本的には薬物療法のみであるから、日中ははっきり言って暇である。だから、3月に入院した病院では、患者さんがよくフロア内を散歩していた(閉鎖病棟であったため、フロア外には原則として出ることができない)。その様子を見て思ったのは、具合の悪そうな患者さんほど、うつむき加減でとぼとぼと歩いているということである。これでは余計に気分がふさぎ込んでしまう。歩く時は背筋をしゃんと伸ばし、しっかりと前を向いて、少し大股で歩くのがよい。堂々としていれば、自ずと気持ちも前向きになってくる。気持ちが姿勢を作るのか、姿勢が気持ちを作るのかという問題は、鶏が先か、卵が先かという問題である。ここでは姿勢が気持ちを作るという因果関係を信じてみようではないか。

 入院しておらず自宅で療養している場合、外出の機会がどうしても減ってしまう。その場合、自宅の周りを毎日5分でもよいから散歩する習慣をつけるとよい。特に、朝の散歩が有効である。③で述べたように、日光を浴びることによるプラスの効果が見込める上、朝一旦外に出てしまえば、1日中家に閉じこもっていようという気分が起きなくなる。朝の散歩は思考をクリアにするという効果もある。偉業を成し遂げた人の中には、朝の散歩を日課にしていた人が多い。例えば、哲学者のキルケゴールは「重要なアイデアの多くは朝の散歩の中で生まれた」と振り返っている。もっとも、雨の日には、無理に散歩をする必要はない。この点は③と同じである。

 ⑤決断しないという決断をする
 病気で療養している間にも、何か物事を決めなければいけないというケースに直面することがある。私の場合、入院中に「退院後の仕事をどうやって受注しようか?」、「もうフリーランスは辞めて一般企業に転職した方がよいのだろうか?」、「退院後は収入が下がるから、家賃の安い家に引っ越した方がよいのだろうか?」などといった問題が次々と襲ってきた。だが、うつ病の状態にある時は普段と比べて判断能力が鈍っているので、無理にこのような問題に結論を出さない方がよい。「決めない」ことを「決める」のも重要である。どうしても決める必要があるのであれば、①で書いたように、思い切って他人に決めさせればよい。

 一般の人でも、意思決定は十分な時間をかけて慎重に行うべきだと言われている。選択肢の数が十分に机の上に並んでいるのかを確認する、それぞれの選択肢が立脚している仮説が正しいかどうかちょっとしたテストをする(これを「ウーチング」と言う)、自分とは別の利害を持つ他者の立場に立ったとするとどのような決断をするか想像してみる、10分後・10時間後・10日後・10か月後・10年後にその決断を振り返った時に「後悔しない」と言い切れるかどうかよく考えるなど、アドバイスには事欠かない。これと同じことをうつ病の患者に求めるのはあまりにも酷である。だから、あなたも無理して意思決定をする必要はない。そして、たいていのことは、それほど急いで決める必要がないと後から気づくものである。

 ⑥できなかったことではなく、できたことに目を向ける
 うつ病になると、何をするにも気乗りがせず、仕事をするスピードが落ちたり、趣味に没頭できなくなったりする。うつ病の人は元々責任感が強く、几帳面で、頑張り屋であるから、できないことが増えてくると、以前の自分の姿とのギャップに苦しむ。そして、「自分には何も価値がない」、「もう死にたい」(「希死念慮」と言う)と思うようになる。だが、本当に1日中何もできなかった日というのは案外少ないものである。できない、できないと言いながら、何かしらのことはしている。それがたとえ些細なことであってもよい。そのできたことに着目することが重要である。あなたがもしここまでに書いてきた①~⑤のことをできたのであれば、できた自分を褒めてあげてほしい。今日この記事をここまで読んだことも、できたことに含めてよい。

 私が3月に入院する直前は、読書が困難になっていた。年明けから本が読めない兆候があったのだが、2月末にはとうとう全く読書ができなくなった。年間200冊以上を読むことを目標としている私にとっては、これは苦痛であった。入院の目的の1つは、休養してまた本を読めるようになることであった。とはいえ、いきなり今まで読んでいたような1冊200~300ページの本を読むのは無理である。そこで、たまたまデイルームに置いてあった『月刊PHP』という小冊子から読み始めた。これなら内容も簡単だし、1時間弱で読める。月刊PHPを何冊か読み切ったことが自信となって、入院生活中盤からは、今まで読んでいたような本を読むことができるようになった。

 ⑦日記をつける
 うつ病の人は、落ち込んだ気分を自分の中にため込んでしまう傾向がある。そういう場合には、以前の記事「DHBR2017年9月号『燃え尽きない働き方』―バーンアウトでうつになったら日記をつけてみよう」でも書いたように、日記をつけることをお勧めしたい。1日3行程度でよい。まずはその日の気分を書きなぐるだけでよい。極端な話をすれば、「死にたい、死にたい、死にたい、・・・」と書いてもよい。すると、不思議なことに自分のネガティブな気持ちが「外部化」され、落ち着きを取り戻すことができる。これを心理学では「ジャーナリング効果」と呼ぶそうだ。

 負の感情をありのままに書きだすと同時に、①~⑥で述べてきたような、「できたこと」も日記に書くとよい。そうすると「できたこと」が形になって残り、前向きな気持ちを取り戻すことができる。日記というのは不思議なもので、マイナスの内容を書けばそれを忘れることができる反面、プラスの内容を書けば記憶に残る。この日記の効用を活かして、あなたの頭の中をネガティブモードからポジティブモードに切り替えていくとよいと思う。


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2018年04月02日

【精神科】閉鎖病棟とはどういうところか?【入院】


閉鎖病棟

 私のブログをお読みの方はご存知の通り、私は双極性障害という精神疾患を患っている。年明けからずっと体調が芳しくなかったのだが、2月末に体調が急激に悪化したため、精神科の病院に入院することになった。入院は2012年8月、2017年8月(この時は病院の対応に不満で、1週間で退院してしまった。以前の記事「双極性障害で入院したところ40日の予定が1週間で退院してしまった事の顛末」を参照)に続いて3回目である。過去の2回はいずれも開放病棟であったのに対し、今回は初めて閉鎖病棟に入院した。閉鎖病棟と言うと暗いイメージがあって、医師や看護師の言うことを聞かない患者はECT(電気けいれん療法、通称「デンパチ」)を強制的に受けさせられるといった都市伝説もあるぐらいだが、私の入院した病院は、患者の自由度が一定程度制限されるというだけで、それ以外は普通の病院とさして変わらない印象であった。

 ■持ち込みや使用が制限されるもの
 ライター、マッチ、はさみ(眉毛切りや鼻毛切りを含む)、鏡、箸、フォーク、包丁などの刃物類、針金ハンガー、針(安全ピン)、ドライヤー、ベルト、酒類、病院処方以外の薬、スプレーなど、患者本人や他の患者を傷つける可能性のあるものは一切持ち込むことができない。

 タバコを吸う人は、タバコをスタッフステーション(ナースステーション)に預けておき、吸いたい時に1本ずつ看護師から受け取る。デイルームの隣に喫煙室があり、患者がチャッカマンを使ってタバコに火をつけているのを見て、何と荒々しい姿なのだと思ったのだが、その理由はライターやマッチが持ち込めず、喫煙室のドアに共有のチャッカマンが紐で括りつけてあるからであった。ただ、喫煙室は一応スタッフステーションから見える位置にあるものの、万が一患者が喫煙室内で焼身自殺を図ったらどうするつもりなのだろうとやや疑問に感じた。

 電気カミソリも、スタッフステーションに預けなければならない。入院したばかりの頃は、入浴時(男性は月・水・金の午前中、女性は火・木・土の午前中)に看護師から電気カミソリを借りる。電気カミソリを自室で自由に使えるようになるためには主治医の許可が必要で、私の場合は許可が下りるまでに2週間ほどかかった。T字カミソリも同様に、スタッフステーションが預かり、入浴時に貸し出される。T字カミソリは入浴時にしか使うことができない。

 スマートフォンや携帯電話もスタッフステーションが預かる。過去の入院では、日中にやることがなくてスマホで音楽を聴いたり、ゲームやSNSをしたりしていたから、スマホが使えないというのは苦痛であった。だが、慣れてくると意外とスマホなしでも何とも思わなくなり、日中の時間を丸々読書にあてることができるようになった(入院1か月の間に36冊読んだ)。普段、いかに自分がスマホに依存していて、精神が蝕まれているかを思い知らされた。どうしてもスマホを使いたい場合は、後述する「院内外出(単独)」という許可を取れば、フロアの外に出てスマホを使うことができる。私は結局スマホを全く使わず、電話はフロアにある公衆電話で済ませた。

 ■外出について
 閉鎖病棟であるから、各フロアの出入り口は施錠されており、患者が自由に出入りすることができない。病院内には売店があるが、売店にも自由に行けない。買い物をしたい場合は、スタッフステーションで、売店で売っている商品の一覧を見ながら「買い物伝票」を起票する。すると、看護師が患者の代わりに売店で商品を買ってきてくれる。買い物の代金は、入院時にあらかじめ病院に預け入れておいた「預り金」(3万円程度)から精算される。ただし、医師から外出の許可が出れば、売店に行くことができるようになる。

 外出許可には「院内外出(同伴)」(家族の同伴の下で、売店など病院内の他の場所に移動する)、「院内外出(単独)」、「院外外出(同伴)」(家族の同伴の下で、自宅まで外出できる)、「院外外出(単独・病院周辺)」(家族の同伴がなくても、散歩などの目的で病院周辺まで外出できる)、「院外外出(単独・制限なし)」(家族の同伴がなくても、自宅まで外出できる)の5種類がある。売店に行くためには、「院内外出(同伴)」か「院内外出(単独)」の許可を得る必要がある。私の場合は、入院1週間ほどで「院内外出(単独)」の許可が出た。

 ただ、許可が出ても直ちに自由に売店に行けるわけではない。売店に行くには、まずスタッフステーションに「外出届」を提出する。それから、病室には多額の現金を持ち込むことができないため、前述の預り金から現金を引き出すために「出金伝票」を起票する。買い物に必要な範囲ということで、だいたいは1,000円~2,000円程度である。そして、看護師にフロアのカギを開けてもらい、1階の受付に行き、出金伝票を提出して現金を引き出す。その後、その現金を持って売店に行く。売店から戻ったら、インターフォンで看護師を呼び出してフロアのカギを開けてもらう。フロアに入った後は、危険物を持ち込んでいないか、持ち物チェックとボディチェックを受ける。売店で危険物が売られているわけなどないのだが、念には念を入れてのチェックである。

 週末になると、「院外外出(同伴)」の許可を得ている患者は、外出届を提出して自宅に戻る人が多かった。これは、退院に向けて外の環境に慣れるのが目的である。私は「院内外出(単独)」と同時に「院外外出(同伴)」の許可が出たので、入院してから2週間目と3週間目の土曜日には妻の協力を得て一時帰宅し、4週間目の土日には自宅で1泊した。

 「院外外出(単独・病院周辺)」は、入院後2週間ほどで許可が出たものの、私は1回しか使わなかった。精神疾患で入院した場合、手術をするわけでもなく、朝・昼・晩と薬を飲んで、それ以外の時間はただ静養するだけである。これではあまりにも退屈であるから、日中は「院外外出(単独・病院周辺)」の外出届を出して、病院近くのファミレスに行く患者もいた(病院食に満足できず、おいしいものを食べたいというのが本音である)。私は退院の前日だけ、「院外外出(単独・病院周辺)」を使ってそのファミレスに行ってみた。いずれの外出のケースでも、病院に戻ると、買い物の時と同様に、持ち物チェックとボディチェックを受ける。

 ■入院部屋について
 一般の病院と違うのは、テレビがないことであろう。患者がテレビのコードで首つり自殺をする可能性があるためだと考えられる。入院部屋にあるのは、簡素な物入れだけである。ナースコールのコードも一般の病院に比べると短い。また、窓は絶対に開かないよう加工されている。

 現在の診療報酬体系では、入院期間が長くなるほど診療報酬が少なくなるため、どの病院も入院期間を短くしようとしている。ところが、私が入院した病院では、むしろ長期の入院が推奨されているようであった。私も当初は5月末までの3か月間入院する計画になっていた。すると、診療報酬が減ってしまうので、その穴埋めのためか、4人部屋に空きがあるにもかかわらず、入院当初は差額ベッド代が高く設定されている1人部屋に入ることになった。私の容体が安定したと主治医が判断して初めて、4人部屋に移ることができた。不思議なことに、4人部屋にも全て差額ベッド代が設定されており、これでは一体何との差額なのかがよく解らなかった。院内の各部屋を観察してみると、元々2人部屋だったのを改造して1人部屋にした形跡があった。これも、入院期間の長期化に伴う診療報酬収入の減少を差額ベッド代で補うための措置であろう。

 ちなみに、テレビはデイルームに1台だけ設置されており、患者の共有になっていた。私は久しぶりに日中のワイドショーを見る時間があったのだが、どのテレビ局も森友学園問題ばかりを扱っていて辟易した。私が入院していた3月は、南北首脳会談と米朝首脳会談の実施が決まった時期であり、日本が拉致問題を含めて、朝鮮半島をめぐりどのようなプレゼンスを発揮すべきか真剣に検討しなければならないはずであった。それなのに、あんなゴミみたいな学校のゴミみたいな金額のために、野党が血眼になって安倍首相や麻生財務大臣を追及しているのは笑止千万であった。野党議員に投票した人は国家反逆罪でひっ捕らえてしまえばよいと思った。

 ■食事と入浴について
 1人部屋にも4人部屋にも、食事ができるテーブルはなく、食事はデイルームで食べるように促される。食事は、看護師が見守る中で食べる。朝食が7時30分、昼食が11時50分、夕食が17時30分であり、消灯が22時であったから、夕食後消灯までの間にお腹が空いてしまい、耐えるのに必死であった。入浴は、前述の通り、男性が月・水・金の午前中、女性が火・木・土の午前中である。浴室は3人まで同時に入浴できる造りになっており、看護師に促されるがままに次々と患者が入浴していく。女性の看護師の前で着替えなければならず、最初は何ともこっ恥ずかしかったが、退院が近くなる頃には何とも思わなくなった。

 ■薬について
 一般の病院であれば、毎食後や寝る前に必要な薬を看護師が運んできてくれる。私が入院した病院でも最初はそのような形になっていたが、途中から薬の自己管理をするように言われた。精神疾患は他の病気に比べると飲む薬の種類が多く、退院後はその多量の薬を自己管理しなければならない。その練習を病院内でやろうというわけである。自己管理にはランクAからランクDまでの4段階がある。ただ、私はランクAのみで退院となり、ランクB~Dは経験しなかった。

 <ランクA>
 朝の7時に、1日分の薬が入った容器をスタッフステーションで受け取る。自分の薬を飲む時間帯になったら、飲む前に看護師に薬を見せ、看護師に確認してもらってから薬を飲む(これが面倒であった)。1日分の薬を全て飲み終わったら、空になった容器を看護師に返却する。
 <ランクB>
 朝の7時に、1日分の薬が入った容器をスタッフステーションで受け取る。自分の薬を飲む時間帯になったら薬を飲む。看護師に確認してもらう必要はない。飲んだ薬の空袋は捨てずに容器内に保管しておく。1日分の薬を全て飲み終わったら、空の容器と薬の空袋を看護師に渡す。
 <ランクC>
 ランクBは1日分の薬の自己管理であるが、ランクCになると3日分の薬の自己管理となる。
 <ランクD>
 ランクCは3日分の薬の自己管理であるが、ランクCになると7日分の薬の自己管理となる。

 ■入院費について
 正確に言うと、私は2月26日に入院し、3月30日に退院した。2月26日~28日の3日間は1人部屋で過ごし、3月は4人部屋で過ごした。1人部屋の差額ベッド代が1日7,560円(税込み、以下同)であったこともあり、2月分は入院わずか3日にもかかわらず5万円近くかかった。一方、3月分については、高額療養費制度を使用したため、約11万円で済んだ。ただ、差額ベッド代が1日1,080円、タオルリース代が1日324円、パジャマリース代が1日70円、事務手数料が1日154円といった具合に、細々と諸経費を請求されている。


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2017年09月19日

DHBR2017年9月号『燃え尽きない働き方』―バーンアウトでうつになったら日記をつけてみよう


ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 09 月号 [雑誌] (燃え尽きない働き方)ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2017年 09 月号 [雑誌] (燃え尽きない働き方)

ダイヤモンド社 2017-08-10

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 『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2017年9月号の特集は「燃え尽き症候群」。私は医学的なことは詳しく解らないのだが、燃え尽き症候群には大きく分けて2つのタイプがあると思う。1つは、「野心的な目標を掲げてそれを達成した後、次の目標が見えなくてモチベーションを失ってしまう」というタイプであり、スポーツ選手や企業経営者に多い。もう1つは、「自分では精一杯努力しているつもりなのに、一向に小さな成果さえも出せず、ついには何をやっても無駄だという無力感に襲われる」というタイプである。社会が成熟し、かつてのような高い成長が見込めなくなった現代では、後者のタイプの方が多いのではないかと思う。

 後者の燃え尽き症候群は、「心のエネルギーが枯れ果てて、ガス欠車のようにアクセルを踏んでも動かない状態」であり、うつ病との共通点が多い。燃え尽き症候群もうつ病も、「献身的な人、使命感の強い人、頑固で意思が強く思考や感情の切り替えが柔軟でない人、対人関係に不調和がある人、上昇志向が強く能力が高い人」、あるいは「感受性が強く周囲に気を遣いすぎる人、物事の受け止め方の柔軟性に乏しく、几帳面で神経質な人、責任感は強く何事も完璧にこなそうとするが、不器用で一つの物事に過剰にこだわりやすい人」がかかりやすいと言われる。ただし、うつ病の人は、昔のことをくよくよと思い出しては悔んだり、自分1人が犠牲になっていると感じたりする自責的な傾向が強いのに対し、燃え尽き症候群の場合は、他責感が強く表れ、怒りや嫌悪などの攻撃的な感情が他者に対して表れる。

 以前の記事「双極性障害で入院したところ40日の予定が1週間で退院してしまった事の顛末」でも書いたように、私自身もうつ病⇒非定型うつ病(後で知ったことだが、非定型うつ病という病名は医学的に確立されていない)⇒双極性障害Ⅱ型とコロコロと病名が変わってもう9年も治療を続けている。私の場合、双極性障害と言っても、自責的なうつ病の症状が現れるというよりも、前職のベンチャー企業で経験したひどい事柄を思い出しては「あの会社のせいでこうなった」と思うことが多々あり、他責的になりやすいという燃え尽き症候群の方に合致する。

 ただ、病気が発症した時は確かに長時間労働だったものの、燃え尽きるほどの長時間労働ではなかったから、燃え尽き症候群と言うには無理があると自分でも思っている。最近では、先ほどの記事でも書いたように、自分がどういう病気なのかはどうでもよくなっていて、これは私の性格の一部なのだと受け止めて、上手くつき合っていくしかないのだろうと腹を括っている。

 私は医療の専門家ではないので、燃え尽き症候群に関して何かを書くことはできない。しかし、まがりなりにも9年間、うつ病に関連する治療を受けてきたから、ここからはうつ病に関して私の思うところを書いてみたい(本号の特集からは外れるが・・・)。うつ病は一般的に、「脳のエネルギーが欠乏した状態であり、憂うつな気分や様々な意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、身体的な自覚症状(全身倦怠感、頭痛など)を伴う病気」とされるが、一義的な定義は学術的にも確立されていない。つまり、うつ病の症状は患者によってバラバラである。そのため、製薬会社はありとあらゆる抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬を販売している。うつ病の患者の中には、複数種類の薬を服用している方も少なくないだろう。

 しかし、これらの薬には問題もある。通常、新薬販売の認可を得るためには、被験者を2つのグループに分け、一方のグループには新薬を、もう一方のグループにはプラセボ(偽薬)を投与し、新薬を投与したグループのみに効果があったことを証明しなければならない。だが、一部の薬については、この試験に問題があったことが告発されている。
 2002年には複数の厳密な調査によって、製薬会社が薬の認可を得るためにFDAに提出したのと同じデータが再検討され、パキシル、プロザック、ゾロフト(※いずれも、現在主流の抗うつ薬)を初めとするSSRIにはプラセボ〔偽薬〕と比べてほんのわずかな効果しかないということがわかった。
(クリストファー・レーン『乱造される心の病』〔河出書房新社、2009年〕)
乱造される心の病乱造される心の病
クリストファー・レーン 寺西 のぶ子

河出書房新社 2009-08-22

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 私は今年に入ってから「光トポグラフィー検査」というものを受けた。これは、脳活動に伴う大脳皮質の血中ヘモグロビン濃度変化を計測することで、うつ病かどうかを判定する検査である。その結果、私は「典型的な双極性障害である」と言われたのだが、それ以上に衝撃を受けたのは、「抗うつ薬の効果があるのは、うつ病患者のうち全体の3割ほどにしかすぎない」という医師の言葉であった。前述の通り、抗うつ薬の中には効果が怪しいものがある。「薬が効かないのだが・・・」という患者の訴えを聞いた精神科医は、患者を放っておくわけにもいかず、何か手を打たねばとの思いから、新たな薬を次々と追加する。こうして、患者は薬漬けになっていく。

 さらに困ったことに、抗うつ薬などの効果は限定的なのに、服用を止める時には「離脱症状」と呼ばれる副作用を伴う。詳しい説明はこちらに譲るが、具体的には頭痛、倦怠感、眠気、めまい、吐き気、ふらつき、ふるえ、冷や汗、血圧低下などの症状が出る。私も今年8月の入院中に、それまで服用していた抗うつ薬を医師から一度に止めさせられた結果、ひどい離脱症状に苦しんだ。以上のことから言える1つ目の教訓は、「薬に頼りすぎてはならない」ということである。

 抗うつ薬などの薬の効果が限定的である場合、次に選択されるのは認知療法である。人は成長するにつれて固定的なスキーマが形成され、それに基づいて歪んだ思考方法や考えが自然に浮かぶ自動思考が起こる。これがうつ病などの精神病の引き金となる。そこで、そうした認知の歪みに焦点を当て、認知を修正することで症状の改善を目指すのが認知療法である。しかし、この認知療法は、薬による治療よりも難しい。というのも、回復プロセスが患者によって実に多様であるからだ。間違った薬を投与しても効果が出なかったで済まされるが、間違った認知療法を施すと、患者の認知の歪みをさらに強化してしまうことになりかねない。患者の多様性に対応できる医師が日本にどれだけいるのか、私には解らない。このことから言えるもう1つの教訓は、残念なことだが「医師に頼りすぎてもいけない」ということである。
 うつ病の治療に当たってきた臨床医は長い間、認知療法(心理学の一般的な治療法)を受けている患者は、回復に至るまで標準的な経路をたどると想定していた。その経路は、多くの患者が回復した経験を平均して確認されたものだ。ところが2013年、平均ではなく個人が回復する結果に注目した研究者チームは、回復までの標準的な経路が患者の30%にしか当てはまらない事実を発見したのだ。
(トッド・ローズ『平均思考は捨てなさい―出る杭を伸ばす個の科学』〔早川書房、2017年〕)
平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学 (早川書房)平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学 (早川書房)
トッド ローズ 小坂 恵理

早川書房 2017-05-25

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 それでも私は一応、7年ほど同じかかりつけの医師にお世話になっている。ただし、これはあくまでも気休めであって、結局のところ、「自分の精神病に責任を持つのは自分しかいない」というのが私の正直な実感である。うつ病と向き合うということは、自分の感情と向き合うということである。そのための有効なツールとして、私は「日記」をお勧めしたい。もちろん、繰り返しになるがうつ病の症状は多様であるから、日記が万能な解決策になるとは私も思っていない。私の場合は日記が役に立ったというだけにすぎない。

 日記には、「自分が何で苦しんだか、悲しんだか、腹が立ったか」ということをつらつらと書いていく。とりとめのない文章でも構わない。うつ病の人は几帳面なのできちんとした文章を書かなければならないと思いがちだが、そういうことは全く気にする必要はない。日記を書くと、自分の中に溜め込んでいた負の感情を外部化することができる。それだけでも、心理的な負担は随分と軽くなる。ちなみに、私が「【シリーズ】ベンチャー失敗の教訓」という記事をわざわざ1年かけて書いたのも同じ理由である。一部の人からは、「前職の企業から訴えられるかもしれない」と批判も受けたものの、私はあくまでも自分の治療の一環として行ったまでである。前職の企業の名誉を守るのと自分の健康を守るのとを比べれば、後者の方がはるかに重要である。

 また、日記をつけるという習慣を持つことにも意義がある。定年退職した人が認知症にならないようにするためには「きょういく」と「きょうよう」を持つことが効果的であると言われる。これは、「今日行くところ」と「今日の用事」を持つことが大切であるという意味である。同じようなことはうつ病の人にもあてはまる。さすがに、うつ病の人は外出するのもおっくうになりがちであるから「きょういく」までは要求できない。しかし、「きょうよう」の一環として日記をつけることは、とかく乱れがちな日常生活にリズムをもたらす効果があると考える。

 私は2012年夏に入院した際、治療期間がまだ長引きそうだと感じたため、途中から「5年日記」に切り替えた。これは、中小企業診断士の大先輩から教えてもらったものである。5年日記では、1ページに5年分の日記をつけることができる。この日記の利点は、例えば2017年9月19日の日記を書く時には、2016年、2015年、2014年、2013年の9月19日の日記を読み返すことができ、そこから新たな気づきが得られるということである。そこには、過去の自分が何で苦しんだか、悲しんだか、腹が立ったかが書かれている。それを読み返すと、意外とちっぽけなことで悩んでいたのだと思うことが多い。つまり、自分の感情を客観的に直視できる。すると、少しずつだが自分の心理的な成長が感じられ、うつ病の改善に効果がある。参考までに、私の5年日記の写真を掲載しておく。赤線が、私が過去の日記を読み返した時に気づきを得た箇所である。

5年日記
 (※)画像はモザイク処理してある点をご了承いただきたい。

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 なお、今回の記事を書き始めた時、本当は「バーンアウトでうつになった人には、他者からのフィードバックが効果的である」という内容を書くつもりであった。冒頭で述べた通り、燃え尽き症候群の人々の大半は、自分では精一杯努力しているのに、一向に成果が出ず、ついには何をやっても無駄だという無力感に襲われている。彼らは、何をしても周囲から認めてもらえないと感じている。そこで、周囲の人が積極的なフィードバックを与えることが重要ではないかと考えた。

 しかし、以前の記事「【議論】人材マネジメントをめぐる10の論点」で、企業内の人、特に上司は基本的に部下を動機づける理由がないと書いた。というのも、上司は部下に対して給料を支払う立場である。お金を払う立場の人がお金をもらう人を動機づけることが不自然であることは、企業に対して代金を払う顧客がわざわざ企業のことを動機づけようとはしないことを考えれば自明である。読者の皆さんも、企業で何か製品・サービスを購入した時、形式的に「ありがとうございました」と言うだけでなく、「いやぁ、この製品・サービスは本当に役に立ったよ。特にこの点がとてもよかったね」と踏み込んだフィードバックをする機会が何度あるだろうか?もちろん、こういう評価が企業内でも盛んに行われることに越したことはない。しかし、そういう機運が期待できない以上、うつ病には結局のところ本人が責任を持つしかないという見解に至ったわけである。



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