このカテゴリの記事
【2015年3月28日(土)】《城北支部国際部セミナー》実例から学ぶ中小企業の国際化支援
城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(2/2)
城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(1/2)

プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
シャイン経営研究所HP
シャイン経営研究所
 (私の個人事務所)

※2019年にWordpressに移行しました。
>>>シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>@tomohikoyato谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士

Top > 国際部 アーカイブ
2015年02月18日

【2015年3月28日(土)】《城北支部国際部セミナー》実例から学ぶ中小企業の国際化支援


faces-of-earth-999826

 私が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会・城北支部国際部のビジネスセミナーのご案内です。ご好評をいただきました前回のセミナーに続きまして、今回も中小企業診断士の“国際的”な活躍の可能性を考えるセミナーを開催いたします。

 《参考(前回セミナーのレポート)》
 城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(1)(2)

 まずは、JETRO専門員として、中小企業の国際化支援において豊富な経験をお持ちの石井忠男様より、公的支援機関を通じた支援についてご講演いただきます。続いて、城北支部の伊藤敦会員より、現在取り組んでいるアフリカ向けビジネスの支援内容をご紹介いただきます。

 セミナーの後には懇親会も予定しています。少人数で、講師や他の参加者と意見が交換できる参加型のセミナーとなります。2人の講師の実践に基づいたお話から、皆様の今後の中小企業支援の方向性を考える機会としていただれば幸いです。是非、ご参加ください。

◇日 時:平成27年3月28日(土)14:30~(受付開始14:00)

◇会 場:東京都中央区銀座6丁目6-1 銀座風月堂ビル5F
     http://www.ginza-bc.co.jp/map/

◇内 容:
 《第1部》“中小企業の国際的支援の実際に関する講演(14:30~16:30)
  ①「途上国支援事業について」(仮)
   講師:石井 忠男様(GDMC執行役員、JETRO専門員)
   内容:1. 支援事業の枠組み
      2. 支援事業者に求められるもの
      3. 事業参加の経験から

  ②「アフリカ向けビジネスの支援について」(仮)
   講師:伊藤 敦会員(城北支部)
   内容:1.アフリカ向けビジネスの状況
      2.私の行っている支援について
      3.今後の展望について

 《第2部》講演者との懇親、交流会(17:00~19:00)

◇参加費:第1部のみの場合:1,000円
     第1部から第2部まで通しての参加の場合:3,500円(飲食代込み)

◇定 員:20名

◇申込み:こちらのURLよりお申込み下さい。
 [PCから] http://chosuke.rumix.jp/main.aspx?g=4f09e0ecc44ff4b4e
 [携帯電話から] http://chosuke.rumix.jp/x/main.aspx?g=4f09e0ecc44ff4b4e

◇問合せ先:城北支部国際部 谷藤 友彦 e-mail: t-yato[at mark]shain-keiei.biz
 (※[at mark]を@に変えてください)

(注)上記セミナーの内容は、事情により変更する場合があります。

2014年12月02日

城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(2/2)


 (前回の続き)

 (6)JICAの公示案件などの情報を入手するには、主に①メールマガジン"Procurement Headline"に登録する、②PARTNER(国際協力キャリア総合情報サイト)で探す、という2つの方法があるそうだ。①のメールマガジンには、海外案件だけでなく、「JICAの内部広報誌の印刷」といった案件も掲載されている。竹田先生も、JICAで仕事をするきっかけは、①のメールマガジンだったという(具体的にどんな仕事だったのかは、竹田先生の個人的な話になるため省略)。

 (7)恥ずかしながら、「HIDA(一般財団法人海外産業人材育成協会)」という機関があることを初めて知った。HIDAは、 主に開発途上国の産業人材を対象とした研修および専門家派遣などの技術協力を推進する人材育成機関である。HIDAの専門家登録の条件についても説明があったが、海外での駐在経験は必須ではなく、私でもいけるかも?と思った。

○伴走型・リスクシェア型の民間国際化支援(中央支部国際部副部長 後藤さえ先生)
 (8)後藤先生は旦那様が商社マンで海外転勤が多いため、海外を転々とした経験をお持ちである。シンガポールでは2年間独立コンサルタントとして活動し、上海では3年間京都府上海ビジネスサポートセンターでビジネスアドバイザーを務めるなど、非常にアクティブな方であり、特に中国にはネットワークが広い。後藤先生は、中小企業のグローバル化を支援するには、①国・地域・言語に関する強み、②ある分野についての強み、③ネットワークの強みの3つのうち、2つ以上は必要だと主張する。後藤先生は①と③を持っていらっしゃる。

 (9)上海ビジネスサポートセンターには、京都府以外にも多くの都道府県が入っていた。ところが、オムロンなどのOB人材を常駐させていたのは京都府だけで、他の都道府県からは公務員が派遣されていた。自治体は物産展の開催など、旗振り役は得意ではあるものの、経営支援は不得手なところがある。自治体が主催する展示会は、例えば日本酒の隣に鉄鋼製品が並んでいたりと統一感がなく、一体どんな人に来てもらいたいのかが不明なものが多い。自治体が主催する展示会に、自治体からの補助金もつくからといって安易に飛びつくと、期待外れに終わる。

 (10)日中関係の悪化を背景に、中国を敬遠する動きが広まっている。だが、後藤先生の話によると、中国を敬遠しているのは主に関東であり、関西はそれほどでもないらしい。関西の企業は、国内事業の限界を痛感しており、中国をはじめ海外に打って出るしかないと考えている。中国ビジネスに関しては、西高東低の傾向がはっきりと見て取れるという。

 最近の中国企業は富裕化が進んでいる。「お金、人、原材料、機械など全てあります。後は日本企業のノウハウを出資してもらいたい」と言ってくる中国企業が増えているという。とはいえ、ノウハウだけ出資する場合、日本企業にとって一体どんなメリットがあるのか、事前に慎重に検討する必要があるだろう。リスク対策については言わずもがなである。

 (11)最近は中国からの撤退の相談が増えている。しかし、中国から会社を引き上げるのは困難を極める。第一に、税務当局がとりっぱぐれのないよう、会社の資産や伝票類を徹底的に調べ上げる。第二に、大量のリストラを伴う撤退は、労働法上非常に手続きが煩雑となる。よって、中国から撤退する場合は、会社を清算するのではなく、現地の会社に転売した方が楽だそうだ。

2014年12月02日

城北支部国際部セミナーレポート「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」(2014年11月29日)(1/2)


 去る11月29日(土)、私が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会・城北支部国際部で、「中小企業診断士は国際的な業務にどのように関わっていけるのか?」というテーマでセミナーを開催した。まずは国際部員より、中小企業のグローバル化を支援する公的機関などの支援メニューの概略について発表があった。次に、実際に国内中小企業のグローバル化支援、海外の中小企業の経営支援など、海外にも活躍の場を広げている2名の中小企業診断士から、貴重なお話をうかがった。今日の記事は、その時のセミナーレポートである。

○支援機関別の中小企業国際化支援の機能と中小企業診断士の関わり方(城北支部国際部員 小沢智樹先生)
 (1)JETRO、JICA、中小企業基盤整備機構、東京都(東京都中小企業振興公社)、東京都以外の地方自治体、東京商工会議所、金融機関などが実施している代表的なグローバル化支援メニューを紹介した(余力があれば本ブログでも紹介する予定)。

 地方自治体は、以前はグローバル化=産業空洞化というイメージがあったため支援に消極的であった。ところが、グローバル化によって国内の売上高・雇用が増えることが実証され始めており(例えば、以前の記事「日本政策金融公庫総合研究所『中小企業を変える海外展開』―日本企業の海外展開とその影響に関するアンケート」を参照)、支援に前向きになりつつある。地方自治体は、国や東京都などに比べると予算が限定されるものの、地域の産業特性を踏まえて、ユニークな施策を展開しているケースがある。

 (2)小沢先生は、自ら海外のF/S事業を支援した経験に基づきながら、2年ぐらい前までは「どうやって進出するか?」という各論の部分を支援することが多かったのに対し、最近は「そもそもなぜ海外に進出するのか?」という目的の明確化を支援するケースが増えていると指摘した。これを聞いて私は、JETROと中小機構の違いを上手く説明した別の先生の言葉を思い出した。

 すなわち、「例えば中小企業が『エジプトに進出したい』と言うと、JETROはエジプトでの会社の設立の仕方など、実務的な部分を支援してくれる。一方、中小機構は、『なぜエジプトなのか?他の国は検討したのか?そもそも、なぜ海外進出するのか?国内でやり残されたことはないか?』を考えさせる」というわけである。この違いを踏まえると、以前はJETRO型の支援がメインであったが、最近は中小機構型の支援へのニーズが増えている、と言えるだろう。

 (3)JETROなどは専門家派遣事業を展開しているが、一般の中小企業診断士が専門家としての登録を目指しても、実はハードルが非常に高い。JETROなどは、経営的な知識や経験よりも、海外での長期の生活・実務経験があるかどうかを重視する。よって、ずっとドメスティックな世界で生きてきた私のような人間は、絶対に登録することができない。中小企業から直接、海外ビジネス支援の案件を受注できればよいのだが、それもなかなか難しい。

 では、私のような一般の中小企業診断士は、中小企業のグローバル化を支援することはできないのだろうか?ここで小沢先生は1つの方向性を示された。それは、認定支援機関や民間コンサル会社、NPO法人などのパートナーコンサルタントとなり、これらの機関がJETROや国、東京都などから受注する海外事業関連の補助金・助成金プロジェクトのメンバーになる、という道である。もちろん、そういう仕事でも海外経験はあった方が望ましいのだが、JETROなどの専門家派遣事業に比べると、ハードルは下がるのではないか?という見解であった。

○JICA、HIDA業務の実例(城北支部国際部員 竹田真奈美先生)
 (4)竹田先生からは、JICA、HIDAといった公的機関を通じたグローバル化支援の話をうかがった。JICAというと外務省の管轄であり、ODAのイメージが強いため、なぜ中小企業のグローバル化支援をしているのか不思議であった。だが、2012年3月の「中小企業海外展開支援大綱」の改定に伴い、経済産業省が管轄する「地域中小企業海外展開支援会議」(JETRO、中小機構、地方経済産業局がメンバー)にJICAも参加することとなったそうだ。

 外務省と経済産業省の連携は、中小企業をはじめ日本企業の優れた技術や製品を途上国の開発に活用することで、開発途上国の開発と日本経済の活性化を両立させることを狙っている。その具体的な施策として、JICAは「中小企業等海外展開支援事業」を実施している。ただし、あくまでもODAの一環であるため、単に海外で需要があるからというだけで採択されることは難しく、途上国の開発、発展、生活水準の向上に資することが条件となる。

 「中小企業等海外展開支援事業」には、「ニーズ調査(補助上限5,000万円)」、「案件化調査(同3,000万円、機械の輸送が必要な場合は5,000万円)」、「普及・実証事業(同1億円)」の3タイプがある。採択された案件はどれも素晴らしいものに違いないと信じているが、個人的にはちょっと補助金の金額が大きすぎるのではないか?という気がした。

 案件化事業では、試作品の開発やテストマーケティングを実施するが、それで1億円もかかるだろうか?(ちなみに、国内で類似する「ものづくり補助金」は、補助上限が1,000万円である)また、採択企業の約半分は、資本金が3,000万円以下だという。資本金よりもはるかに大きな補助金を受けるのは、やや違和感がある。補助金は税務上益金として処理されるため、法人税の課税対象となる。仮に資本金3,000万円の企業が1億円の補助金を受けた場合、法人税の支払いに耐えられるだろうか?(もちろん、利益剰余金をため込んでいるケースも考えられるが・・・)。

 (5)竹田先生からは、エジプトで実施した調査案件の紹介もあり、約30社の中小企業を視察した時の写真なども見せていただいた。ISOを取得している中小製造業の工場は非常にきれいであるが、そうでない企業の工場は床が土のままであり、機械もほこりをかぶっていた。また、ショッピングストリートに出ると、経営セミナーなどに参加している意欲的な経営者は洗練されたお店を出している一方で、必ずしも衛生的とは言えない雑然とした露天商も多いことが解った。

 私は他のセミナーでもこのような写真を見る機会があるのだが、そういう時はたいてい、講師が「やっぱり新興国は上下の差がはげしいですね」という共感を得るのが狙いである。しかし、個人的には、日本でも似たような状況があると思っている。さすがに床が土のままという工場は見たことがないが、整理整頓ができておらず、動線もめちゃめちゃで作業効率が非常に悪そうな工場は現に存在する。また、商店街に行けば、陳列に工夫がなく、売る気が感じられないお店を見つけるのはさほど難しくない。「新興国だから・・・」というステレオタイプは捨てた方がいいと思う。

 (続く)




  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like