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【東京協会国際部主催セミナー】TPPと経済外交/中小企業の海外展開戦略(メモ書き)
【城北支部国際部オープンセミナー】「中小企業診断士による国際展開支援事例から、支援のありかた、診断士の役割を学ぶ」
ASEAN諸国(ブルネイを除く)の平均賃金の推移(2008年~2013年)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2016年08月06日

【東京協会国際部主催セミナー】TPPと経済外交/中小企業の海外展開戦略(メモ書き)


TPP加盟国

 (※)首相官邸HPより。

 (一社)東京都中小企業診断士協会・国際部が主催するオープンセミナー「激動する国際情勢と中小企業の海外展開戦略~TPPの行方とニューフロンティア~」に参加してきた。講師は東京財団の研究員と中小企業基盤整備機構の理事の2名。以下、セミナー内容のメモ書き。

 【第1部】TPPと経済外交~次代の経済秩序をめぐる国際競争
 (1)現在、世界中でFTA/EPAの締結が進んでいるが、FTA/EPAは元々WTO体制の例外として位置づけられていた。WTOには162か国・地域が加盟しており、交渉がなかなか思うように進展しない。そこで、交渉を先に進めたい一部の国は例外的にFTA/EPAを締結してもよい、ということになった。GATT第24条には、FTA/EPAの条件として、「妥当な期間内」に「実質的に全ての貿易」について自由化を行うことが定められている。「妥当な期間内」とはおおよそ10年、「実質的に全ての貿易」とは8割程度の貿易を意味している。

 ところが、今回合意に至ったTPPでは、例えばアメリカが乗用車に課している関税は、15年目から削減が始まり(2.25%)、20年目で半減(1.25%)、22年目で0.5%まで削減され、25年目に完全撤廃されることになっている。バスに課されている関税は、10年目に完全撤廃(9年目までは維持)、トラックに至っては29年間関税を維持した上で30年目にようやく撤廃される。このように、WTOが想定する例外に合致していない分野が多々ある。

 (2)2016年2月に、12か国のTPP署名式が終わったのはよいが、アメリカ国内では依然としてTPP反対論が根強い。アメリカ憲法の下では、通商を取り仕切る権限は連邦議会が有する一方で、対外交渉、外交政策については大統領府の権限とされている。そのため、通商交渉とその批准作業をスムーズに進めるために、両者間の権限を調整する必要がある。この場合、連邦議会は行政府に対して「TPA(Trade Promotion Authority:ファスト・トラック権限)」を付与する。TPAを付与された行政府が締結した通商合意は、連邦議会において迅速な審議が行われる。

 連邦議会は大統領府にTPAを付与することに消極的であった。打開策として、オバマ大統領は、TAA法案と呼ばれる法案とセットで、TPA/TAA法案として議会の審議にかけることにした。TAA法案とは、TPPによって職を失った人たちに給付金を与えるプログラムに関する法案である。上院では、5月22日にTPA/TAA法案が可決、6月24日にTPAが可決されたが、2度に渡ってTPA法案に賛成票を投じた民主党上院議員は46名中13名しかいない。

 下院はもっと混乱していた。6月12日には、TAA法案が民主党・共和党双方の反対に遭い否決された。同日、TPAに関してはTAA法案とは別に採決がとられ、共和党の賛成多数で可決されたものの(民主党は反対多数)、TPA/TAA法案一括としては否決された形となった。そこで、日を改めて6月18日にTPAについて採決をとったところ、共和党の賛成多数で可決された(民主党は反対多数)。TAA法案については6月25に採決がとられ、今度は民主党の賛成多数で可決された(共和党は賛成・反対が半分ずつ)。

 現在、クリントン、トランプの両大統領候補がTPPに明確に反対しており、見通しは全く不透明である。アメリカでは11月8日に大統領選が行われる。翌週の11月14日からは、連邦議会がいわゆる「レイム・ダック」に突入する。そこで、新大統領が正式に就任するまでの1か月ほどの間に、TPP法案を強引に通すという手も考えられる。しかしながら、TPPのような重要な法案を、死に体の議会に審議させるのはおかしいという見方もある

 (3)TPP以外のメガFTA/EPAとしては、日EU経済連携協定(EPA)、TTIP(アメリカとEU)がある。TPPは、経済レベルや強みとなる自国産業が異なる12か国が集まっていたから、比較優位論に基づく補完的貿易によってモノやサービスの流れをもっとスムーズにしようというロジックが通りやすかった。これに対して、日EU・EPAやTTIPは先進国同士のFTA/EPAであり、お互いに競争関係にある製品・サービスが多数存在するため、交渉は難航しそうである

 (4)TPPには、モノ・サービスの自由化以外にも、電子商取引(第14章)、国営企業(第17章)、労働(第19章)、環境(第20章)など、様々なルールが包括的に定められている。電子商取引の分野では、「ソフトウェアのソースコードの開示強要の禁止」が定められている。今回の12か国の中でそのような開示強要をしている国はないのだが、この規定は将来的に中国をTPPに引き込み、中国の国内法を変更させることを想定している。

 (5)2015年の日本の対外直接投資は1,308億ドルであるのに対し、対内直接投資は4,200万ドルの引き揚げ超過となっている(JETRO「直接投資統計」より)。TPPによって日本に対する外国企業のイメージがよくなり、日本への直接投資が中長期的には増えるかもしれない。ただし、すぐには効果は出ない。一般的に、海外企業が日本に進出する際に問題視するのは、①コスト高と②規制の多さだと言われる。ところが、実際に海外のビジネスパーソンに話を聞くと、コストはそれほど重要ではなく、規制の方がクリティカルだと言う。アベノミクスの第三の矢は大胆な規制緩和であったが、今のところTPPが期待するほどの規制緩和が進んでいるとは言い難い

 (6)これまで日本の製造業は、関税を嫌って海外への工場移転を進めてきた。TPPによって関税がゼロになれば、製造業が国内回帰するかもしれないという期待がある。だが、現実はどうやら厳しそうだ。海外に工場を移転させた業界と言えば自動車と家電であるが、自動車メーカーは現在、タイでの生産台数を伸ばしている。ところが、タイはまだTPPに加入していない。また、家電の生産拠点の多くは中国にあり、これもTPP未加入である。

 【第2部】中小企業の海外展開戦略~拡大する海外マーケットへの挑戦(AEC/TPP)
 (7)2013年に「中小企業基本法」が60年ぶりに改正され、小規模事業者(商業・サービスは社員数5名以下、製造業などそれ以外は社員数20名以下)に対する支援を手厚くする方針が打ち出された。中小機構は今まで、中小企業の中でも比較的規模の大きい企業に対して、ハンズオンで支援を提供してきた。ところが、中小企業約385万社のうち、334万社を占める小規模事業者も支援するとなれば、とてもではないが従来の手法ではカバーできない。そこで、小規模事業者を効率的かつ効果的にサポートできる仕組み作りを検討しているという。

 (8)JETROは毎年、「アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較」というレポートを公表している。同レポートでは、各国・地域の主要都市における賃金、法定福利費、通信費、光熱費、事務所家賃、物流費などのコストを見ることができる。アジアの労働コストを見てみると、中間管理職やエンジニアの賃金の伸びよりも、ワーカーの賃金の伸びの方が大きいことが解る。アジア各国では、政府の意向が働いて最低賃金が毎年10%単位で上昇することも珍しくない。このこともワーカーの賃金上昇に影響しているのだろう。海外に工場を建てる場合には、ワーカーの賃金の伸びを計画に織り込んでおく必要がある。

 (9)中小機構では、海外事業のF/Sに対して補助金を出している。今までは社員数40~50名程度の企業が多かったが、最近は社員数20名程度の企業が3割ほどを占めるという。海外進出にはリスクが伴う。国内では考えられないような問題が生じて、想定外の損失を被ることがある。海外事業がダメになった場合、その余波を受けて国内事業も倒れてしまうというのが最悪のケースである。よって、海外進出をする際には、仮に海外事業が失敗に終わっても、その損失をカバーできるだけの売上高・利益を確保するために、国内事業をどう伸ばすのかを同時に検討しなければならない。小規模事業者であれば、なおさらこの点をよく考える必要がある。


2015年12月28日

【城北支部国際部オープンセミナー】「中小企業診断士による国際展開支援事例から、支援のありかた、診断士の役割を学ぶ」


global

 私が所属する(一社)東京都中小企業診断士協会 城北支部国際部で、中小企業のグローバル化支援を行っている、または今後行う予定の中小企業診断士向けに、オープンセミナーを開催した。中小企業基盤整備機構(中小機構)で海外展開支援の専門家としてご活躍されている診断士、中小企業と直接的に海外進出支援コンサルティングの契約を結んでいらっしゃる診断士を講師にお招きした。以下、セミナー内容のメモ書き。

 (1)1人目の講師は、中小機構で海外展開支援の専門家を務める診断士であった。中小機構の専門家には大手商社のOBが多く、講師がおっしゃるには「海外に詳しい猛者ばかり」だという(この講師の海外経験は、中国で5年ほどしかないそうだ)。商社OBは海外経験が長いだけあって、現地の法制度やビジネスの仕組みに非常に詳しい。言い換えれば、進出後の”How”に強い。そういう商社OBと差別化を図るために、この講師は進出前の”Why”を大切にしているという。海外進出をしたいという中小企業経営者に対して、講師は次のように理由を掘り下げる。

 経営者:「最近、国内の売上高が減少傾向にあるため、海外に進出しようと思います」
  ⇒講師:「業種、地域、製品・サービス別に売上高の推移を分析しましたか?」
 経営者:「実は、親会社が海外について来いと言っているのです」
  ⇒講師:「親会社はどこまで自社への発注を保証してくれていますか?」
 経営者:「親会社からの発注がなくても、日本ブランドは海外で強く、チャンスだと思います」
  ⇒講師:「最近はインバウンド需要も増加していますが、そちらには対応しないのですか?」
 経営者:「急激に円安になったため、海外に出るなら今しかないと考えています」
  ⇒講師:「では、円高になったら日本に戻ってくるつもりでしょうか?」
 経営者:「本当のことを言うと、海外事業を成功させて自分の求心力を高めたいのです」
  ⇒講師:(やっと本音を話してくれた)

 海外進出の理由について深く切り込んでいくと、実は経営者の個人的な動機に基づいている、というケースは決して少なくない。個人的な動機の有用性を否定するつもりは毛頭ないのだが、個人的な動機だけでは海外事業を成功させることは難しい。まず、個人的動機に基づく海外戦略はいかに脆弱であるかを経営者に認識してもらう。その上で、海外で通用する戦略を経営者と一緒に組み立てていくのが専門家の仕事だという。

 (2)中小機構の海外展開支援は、日本国内における海外戦略立案のフェーズと、現地調査を実施するフェーズに分かれる。以前は、後者のフェーズを重視しすぎていたという。例えば、ベトナムに進出したい中小企業に対しては、北部5か所、南部5か所、計10か所を回るような視察を提案していた。しかし、これでは10か所回ることが目的となってしまい、候補地を効果的に絞り込むことができない。まずは、ベトナム南北のどちらにするか決める。その上で、立地や地盤などの条件を調べて2ケ所ほどに絞り込んでから視察に出かけるべきである(以前の記事「「海外ビジネス進出セミナー」で学んだこと(1)(2)」でも似たようなことを書いた)。

 現地調査で最も苦労するのは、現地企業にアポイントを取ることである。中小機構は現地のアドバイザーとパートナー契約を結んでおり、彼らにアポ取りを依頼している。それでも、当日訪問したら担当者がいなかったり、「アポの話を聞いていない」と面会を拒否されたりする。そのため、必ず予備の訪問先を用意しておく。ちなみに、海外に視察に行く場合は、日本大使館や領事館も訪れるとよい。講師によれば、日本大使館などにはそれほど重要な情報はないのだが、「身体検査をして領事に会える」ことに喜びを感じる経営者が多いのだという。

 (3)(2)とも関連するが、1回目のアポイントは中小機構の専門家や現地アドバイザーが取ってくれる。だが、2回目以降のアポイントは自分で取るという姿勢が必要である。あまりに当たり前の話なのだが、これができない中小企業は意外と多い。海外の展示会に出展したある企業は、ブースで現地企業の関係者と名刺交換した後、注文がないことを嘆いていた。しかし、よく話を聞くと、その企業は名刺をもらっただけで、何のフォローもしていなかった。当然のことながら、こちらから電話やメールで連絡を取り、商談のアポイントを取らない限り、絶対に進展はない。

 日本の展示会もそうだが、ブースの前をたまたま通りかかった人に自社製品・サービスを売り込むのは至難の業である。よって、事前にターゲット顧客をリストアップし、展示会の案内状を送付して、ブースに来てもらえるように誘導しなければならない。海外の場合は、中小機構の現地アドバイザーや信用調査会社に現地企業のリストを作ってもらうことが有効である。

 (4)海外に製造子会社を設立すると、日本の工場長クラスが現地法人の社長として派遣される。海外子会社の社長は、日本の工場長とは比べ物にならないほど忙しい。人事・労務管理、総務、経理処理など、製造以外の仕事も行う必要がある。ところが、海外子会社の社長に対し、本社は従来通り工場長として接する傾向がある。すると、OKY問題が発生する。海外子会社の社長からすれば、「OKY=お前、来てやってみろ」と本社に言いたくなるのである。

 本社は、海外子会社の社長の忙しさに配慮しなければならない。本社は、海外の様子が解らないからと言って、海外子会社の社長にいちいち報告させてはならない(報告業務は、本社が想像する以上に現地の負担となっているものだ)。現地のことを知りたければ、本社が現地に出向いて聞きに行くことが大切である。海外子会社の社長を多忙にしないことは、海外子会社の社長が突然の急病で倒れるといった不測の事態を防ぐことにもなる(この話も、以前の記事「「海外ビジネス進出セミナー」で学んだこと(1)(2)」で書いた内容に通じるところがある)。

 (5)海外で自社製品・サービスを販売するには、現地のパートナー企業を探し、販売店・代理店契約を締結する。だが、パートナーが見つかれば簡単に製品・サービスが売れるようになると勘違いしている中小企業は少なくない。販売店・代理店の役割は、あくまでも「売れる製品・サービスの拡販」である。「売りにくい製品・サービスを売れるようにする」ことではない。日本の販売店・代理店でさえ、売りにくい製品・サービスを売れるようにしてくれるところは例外的である。

 日本でもできないことを海外で望むのは無謀だ(この話に限らず、日本では難しいことが海外では簡単にできると錯覚してしまうことはよくある)。「売りにくい製品・サービスを売れるようにする」のは、自社の役割である。それでもなお、売りにくい製品・サービスを販売店・代理店に売ってもらいたければ、国内以上の労力と費用をかけて、販売店・代理店を育成する必要がある。

 (6)海外販路開拓においては、海外向けWebサイトの構築が必須である。海外の人は、日本人が思っている以上にWebサイトをよく見ている。Webサイトがない企業とは取引しないと明言する外国人も多い。逆に、日本企業が海外企業と取引する場合には、海外企業のWebサイトがあるからと言って安心してはならない。Webサイトはあるが、Webサイトに書かれている住所にはオフィスがない(つまり、会社としての実体がない)ことがある。こういう詐欺的な企業を見破るには、信用調査会社を活用するのが一手である。

 言うまでもなく、日本と海外では価値観や嗜好が異なるため、海外の事情に配慮しなければならない。例えば、日本では挿絵やイラストを多用するが、欧米人は子どもっぽいと感じて敬遠し、むしろ写真や文章を好む。また、表示言語を切り替えるために国旗のアイコンを並べることがあるが、国旗の侮辱だと受け取る人もいるので要注意だ。Web制作会社を選ぶ際には、単に外国語に翻訳するだけの会社(そういう会社は、たいてい翻訳を外部の翻訳家に丸投げしている)ではなく、外国の事情を考慮して外国用のWebサイトを作ってくれる会社を選ぶべきである。

 (7)2人目の講師は、中小企業と直接的に海外進出支援コンサルティングの契約を結んでいる方であった。最近、「チャイナプラスワン戦略」としてASEAN諸国が注目されている。ASEAN諸国は親日国が多いとされるが、この講師はその見方に疑問を呈していた。人間の欲求は経済成長とともに変わる。10年前の中国人は、勤勉で残業もいとわない、家は狭くても文句は言わない、社宅に冷房をつけると「そのお金を賃金に回してほしい」と申し出るなど、日本人にとって非常にビジネスがしやすい相手であった。だが、現在の中国人は、食堂の食事がまずいと言って暴動を起こす。ASEAN諸国も、経済が成長すればストライキや暴動を起こす可能性がある。

 講師は、中国の13億人の市場はやはり捨てがたいと語っていた。私もこの見解には同意する。世界銀行は毎年、各国のビジネス環境をランキング化しているが、実はASEAN諸国は軒並み中国よりはるかに順位が低い。最近、CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の労働コストの安さに惹かれて、この3国への進出を検討する中小企業が増えている。しかし、初めての海外進出のターゲットをCLMに設定するのは、あまりにリスクが高い。まずは、比較的進出しやすく、かつ市場が大きい中国に進出して海外経験を積むというのが定石であるように感じる。

 (8)ブログ別館の記事「下川裕治『本社はわかってくれない 東南アジア駐在員はつらいよ』」で、ASEAN各国の人々の特徴について書いたが、講師から教えていただいた情報を追加する。

 ①タイ・・・人前で叱るのはタブーである。特に、人格を否定するような叱り方は絶対にやってはいけない。人格を否定されたタイ人は、仲間と一緒に殺しにやってくる。
 ②ベトナム・・・非常に自意識が過剰で、何でもすぐに「できます」と答える。英語ができるベトナム人を採用しようとして、応募者に「英語はできるか?」と尋ねたところ、「できます」と言ってきた。そこで「英語で自己紹介してください」と言ったら黙り込んでしまった。「英語ができると言ったではないか?」と問い詰めると、「半年後にはできるようになります」と答えたという。
 ③ミャンマー・・・後から序列をつけられるのを嫌がる。ワーカーとして採用した人たちの中から、能力が高い特定の人をリーダーに昇格させようとすると、「私は皆と一緒に働きたいので、ワーカーのままでいい」と言ってくる。それでも無理に昇格させると、昇格したリーダーも、昇格させた人事担当者も、残りのワーカーから嫌われる。リーダークラスを作りたいのであれば、面接の段階から「この人はリーダーにする」と決めておく必要がある。

 (9)ベトナムは建前上サービス業が外資に開放されているが、現在ホーチミンでは飲食店の許認可が下りない。当局の担当者がのらりくらりと処理を引き延ばすうちに担当者が異動になり、新たな担当者と一から交渉をしなければならない。これが繰り返されているのが実情のようだ。この問題はJETROなども認識しており、当局と交渉中だという。

 いわゆる「袖の下」を渡せば許認可が下りるのではないか?という質問が出たが、袖の下を渡しても許認可が下りないらしい。ちなみに、袖の下に関しては、日本人は違法と認識するのに対し、現地の人はそれほど違法だとは思っていない。当局の担当者は、「自分が許認可を与えた、投資奨励策に基づく特典を与えたのだから、その対価をもらってしかるべきだ」と考える。

 別のセミナーで、中国での駐在経験がある講師が、駐在時代に1,000円程度の「交通カード」(昔日本でも使われていたプリペイド型の乗車券)を何枚か常に持ち歩いていた、という話をしてくれた。当局の担当者と交渉する時、書類の間に交通カードをそっと紛れ込ませておく。これだと、袖の下ではないかと指摘を受けても、「うっかり紛れ込んでしまった」とごまかすことができる。


2014年11月27日

ASEAN諸国(ブルネイを除く)の平均賃金の推移(2008年~2013年)


 最近、ASEAN諸国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス)の人件費が高騰しているらしい。安い人件費を求めて生産拠点を海外に移転したのに、予想以上のスピードで賃上げが進んで経営が逼迫しているという声が聞かれる。いったい、各国の賃金はどのような状態にあるのか、JETROの「アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較」で調べてみた(ただし、データがなかったブルネイを除く)。

<賃金絶対額の推移>
 単位は米ドル。プノンペン(カンボジア)は2010年、ビエンチャン(ラオス)は2011年からのデータを掲載。シンガポールが頭一つ抜けており、クアラルンプール(マレーシア)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、マニラ(フィリピン)が第2グループを形成している。これに続く第3グループがハノイ(ベトナム)、ヤンゴン(ミャンマー)、プノンペン(カンボジア)、ビエンチャン(ラオス)といった感じだ。最近は、タイの人件費が上昇していることを受けて、近隣のミャンマー、カンボジア、ラオスに生産拠点の一部を移管して水平分業するという動きが見られる。

ASEAN賃金推移(絶対・表)_製造業ワーカー(一般工職)
ASEAN賃金推移(絶対・グラフ)_製造業ワーカー(一般工職)

ASEAN賃金推移(絶対・表)_製造業エンジニア(中堅技術者)
ASEAN賃金推移(絶対・グラフ)_製造業エンジニア(中堅技術者)

ASEAN賃金推移(絶対・表)_製造業マネジャー(課長クラス)
ASEAN賃金推移(絶対・グラフ)_製造業マネジャー(課長クラス)

ASEAN賃金推移(絶対・表)_非製造業スタッフ(正規雇用の一般職)
ASEAN賃金推移(絶対・グラフ)_非製造業スタッフ

ASEAN賃金推移(絶対・表)_非製造業マネジャー
ASEAN賃金推移(絶対・グラフ)_非製造業マネジャー

<賃金相対額の推移>
 2008年を1とした場合の各年度の賃金を算出した。プノンペン(カンボジア)は2010年を、ビエンチャン(ラオス)は2011年を1とした。ヤンゴン(ミャンマー)の上昇幅が非常に大きい。各国とも、最低賃金を10%単位で切り上げる動きが見られるため、最新情報を確認する必要がある。

ASEAN賃金推移(相対・表)_製造業ワーカー(一般工職)
ASEAN賃金推移(相対・グラフ)_製造業ワーカー(一般工職)

ASEAN賃金推移(相対・表)_製造業エンジニア(中堅技術者)
ASEAN賃金推移(相対・グラフ)_製造業エンジニア(中堅技術者)

ASEAN賃金推移(相対・表)_製造業マネジャー(課長クラス)
ASEAN賃金推移(相対・グラフ)_製造業エンジニア(課長クラス)

ASEAN賃金推移(相対・表)_非製造業スタッフ
ASEAN賃金推移(相対・グラフ)_非製造業スタッフ

ASEAN賃金推移(相対・表)_非製造業マネジャー
ASEAN賃金推移(相対・グラフ)_非製造業スタッフ




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