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補助金の適正利用をチェックするよりも、補助金の投資対効果をモニタリングすることに注力すべきでは?
『中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック』(経済産業省)の補足
経済産業省の中小企業関係予算概算要求(平成28年度)について(平成27年度予算との比較)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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(城北支部執行委員、青年部長、および国際部員を務めています)

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(監事を務めています)

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(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

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2017年03月13日

補助金の適正利用をチェックするよりも、補助金の投資対効果をモニタリングすることに注力すべきでは?

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積み上げられた書類

 中小企業診断士として独立してから、経済産業省や中小企業庁の補助金を受けている中小企業を支援させていただく機会が増えた。経済産業省関連の補助金の多くは事後精算であり、中小企業が購入した物品に関連する伝票類などの書類を揃えて事務局(たいていは、公的機関が経済産業省などから補助金事業の業務遂行を受託している)に提出することとなる。だが、事務局の要求はとにかく厳しい。例えば、機械装置を購入した場合には、

 -見積仕様書
 -見積書
 -注文書
 -注文請書(注文書と注文請書の代わりに契約書でもよい)
 -納品書
 -請求書
 -金融機関への振込依頼
 -会社の預金通帳のコピー

を用意しなければならない。これらの証憑類を、原材料や機械装置などを購入するたびに、また外注先や大学・公的研究機関などの委託先を使うたびに用意する必要がある。これに加えて、現物の写真や、委託先から納品された報告書なども提出を求められる。

 見積依頼書とは、「こういう仕様の製品を貴社に発注したいので、見積書を作成してください」とメーカーなどにお願いをする書類のことである。しかし、中小企業の商習慣上、見積依頼書を作成することはほとんどない。そのため、見積依頼書が抜けてしまうことが多いのだが、それでも事務局は許してくれず、事後的にでも作成してほしいと言われる。そこまで言うのだから、しっかりした書類でなければいけないのかと思いきや、「『見積書をください』というメールのコピーに責任者の印鑑を押したものでよい」と言うのだから、何とも形式的だという印象がぬぐえない。

 納品書も、単にメーカーから送られる納品書を保管するだけでは不十分とされる。余白に「検収済み」と書いて、検収した担当者の印鑑と検収日を添えなければならない。それが抜けていると、事務局から書類を突き返される。メーカーの中には、独自の検収書を用意してくれる親切なところがある。検収書は中小企業が必要事項を記入してメーカーに返却するため、中小企業の手元に残らない。ところが、そういう場合でも、事務局は「メーカーに返した検収書のコピーをメーカーから取り寄せよ」と注文をつけてくる。

 金融機関への振込依頼と会社の預金通帳のコピーを両方用意しなければならないのも厄介だ。なぜこの2つが必要なのかというと、前者は「金融機関に対して『○○社に△△円の振込をお願いします』と依頼した証拠」になり、後者は「その依頼に基づいて、実際に口座から△△円を引き落とし○○社に振り込んだことの証拠」になるのだという。確かにお金を支払ったという証拠なら通帳のコピーで足りると思うのだが、通帳の摘要欄には支払先の名前が印刷されないことがあるため、金融機関への振込依頼で確認する必要がある、というのが事務局の言い分である。

 補助金の財源は国民の税金であるから、そのお金が不正に使われていないかどうかをチェックしたいというのが事務局の思惑なのだろう。個人的には、確かに物品を買ってお金を支払ったことを証明するためであれば、せいぜい見積書、注文書、請求書、通帳のコピーと現物の写真があれば十分であるような気もする。ところが、事務局はそれ以外の書類をあれもこれも提出するよう要求してくる上に、書類に1か所でも不備があると受理してくれない。

 例えば、見積書の有効期限内に注文書を発行していないと、見積書を再度メーカーから取得するように指導が入る。商習慣上は、見積書の有効期限が切れていても大して問題にならないが、事務局は許してくれない。納品書に「検収済み」と書かれていないだけでも、書類の修正を強いられる。「検収済み」と書かれているかどうかと、補助金が適正に使われているかどうかはあまり関係ないと思うのだが、事務局にそういう話は通用しない。複数の物品を購入した場合、消費税の計算がメーカー側と中小企業側で若干異なるために、請求書の金額と中小企業が実際に支払った金額が1円違うことがたまにある。この場合でも、1円の誤差を是正せよと言われる。

 中小企業向けの補助金は、儲かる見込みがある優れたアイデアがあるのに、資金不足が理由で尻込みしている企業を支援して、補助金を上回る税収をリターンとして獲得するのが目的であろう。それならば国は、(1)補助金を交付しようとしている事業は収益化の見込みがあるか?という点と、(2)補助金支払い後に実際に事業が軌道に乗ったか?という点を厳しく見るべきではないかと思う。ところが、(1)(2)のチェックに割かれている工数は、補助金の事務局員が書類のチェックに費やしている工数よりもはるかに少ないと推測される。

 補助金を希望する企業は、補助金を使ってどういう新規事業をしたいのかという事業計画書を提出する。中小企業向けの補助金は、だいたい数百万円~1,000万円程度であることが多い。中小企業は、補助金によって数千万円~億単位の売上増を狙い、その実現シナリオを事業計画書の中に落とし込んで応募してくる。これを国側から見ると、数多くある1,000万円前後の投資案件の中から、有望なものを選択することに等しい。よって、国は中小企業に対して綿密な事業計画書を要求し、それを入念に審査しなければならないはずだ。

 ところが、補助金の審査に関与した知り合いの中小企業診断士によると、1件あたりの審査時間はわずか20分~30分であるという。国からの委託報酬を考えれば、1件1件をじっくり見ている時間はないらしい。しかも、近年は経産省の方針で、補助金に応募するハードルを下げるために、事業計画書のフォーマットが簡素化され、2~3枚で済むようになっている。もちろん、事業計画書の枚数が多ければよいというわけではないのだが、審査の効率化ばかりに気を取られ、事業の収益性を適正に評価するという肝心の目的がおざなりになっている気がしてならない。

 補助金事業が終了した後のフォローも不十分である。経産省関連の補助金では、補助金事業終了後3~5年間は、毎年事業の収支実績を国に報告する義務がある。ところが、肝心の事務局は補助金事業が終了すると解散してしまい、収支報告書を中小企業から回収する部隊はいないという。さすがに国が定める義務だから、誰かはトレースを行っているのだろうが、補助金事業中の事務局の手厚い(?)対応に比べると、比較にならないほど軽い扱いである。

 前述の通り、補助金は将来的に税金という形でリターンを得ることが目的である。よって、単に収支実績を報告させるだけでなく、補助金事業終了後も中小企業に密着して、事業が軌道に乗るようにアドバイスを送り、収益化の道筋を立てるぐらいのことはやってもいいのではないかと思う。事務局が補助金の期間中だけ書類チェックのために相当の人員を抱えるよりも、いっそのこと書類チェックは簡素化し、補助金終了後のフォローアップを手厚くしてはどうだろうか?そういう経営支援の分野にこそ、中小企業診断士の活躍の場があるように思える。


 《補記1》
 ここからは余談。補助金と言うと返済不要であるかのように思われがちだが、経産省関連の補助金の多くは「収益納付」の義務を定めている。これは、補助金を受けて行った事業がその後収益を上げた場合には、補助金支払い額を限度として、利益の一部を国に返還しなければならない、というものである。法的には、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に根拠がある(第7条2項)(簡易なケースについては、以前の記事「【補助金の現実(4)】《収益納付》補助金を使って利益が出たら、補助金を返納する必要がある」を参照)。

 ところが、現実問題として、この収益納付が行われるケースは非常に少ないようである。過去に補助金事務局員を経験されたことがある方から聞いた話によると、その補助金事業で収益納付が行われたのは、全体の約0.5%だったという。新規事業の成功率が0.5%ということはいくら何でも考えにくい。収益が上がっているのに、収益納付を行っていない企業が相当数あると考えられる。収益納付の詰めが甘いのも、補助金事業終了後に事務局が解散してしまい、各企業の収益を継続的にウォッチする人がいないためであろう。

 《補記2》
 こういう話を周りの診断士にすると非常に驚かれる。ある診断士は、「大企業向けの億単位の補助金であれば厳しくする理由も理解できる。だが、中小企業向けの数百万円~1,000万円程度の補助金でそこまでするのはやりすぎだ。経済産業省は、大企業向けの補助金と同じ運用レベルを中小企業向けの補助金にも適用しているのではないか?」と分析していた。一方で、別の診断士は、東京都中小企業振興公社の補助金は、私が書いた話以上に厳しいと教えてくれた。どうやら、振興公社の補助金には収益納付の規定がないらしい。誤解を恐れずに言えば、「あげっぱなし」のお金になるため、あげるための要件を厳しくしているのかもしれない。

 「あげっぱなし」という点に関連してもう1つ書くと、補助金の中には「前払いであげっぱなし」というものもあるそうだ(冒頭で書いたように、一般的な補助金は事後精算である)。つまり、最初に一定の額を支払ってしまい、仮にお金が余っても返却を求めないのだという。何というズブズブな補助金なのだろう。補助金は奥が深いと言うべきか、闇が深いと言うべきか・・・。

2016年06月03日

『中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック』(経済産業省)の補足

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中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック

経済産業省 2016-03-14


中小企業基盤整備機構HPで詳しく見る by G-Tools

 中小企業が海外に進出する際に直面することが多いリスクを、進出計画段階、進出手続き段階、操業段階に分けて解説し、対応策を整理した冊子である。自社の潜在リスクを確認するチェックリストもついている。リスクマネジメントの一般論に加えて、国別、特にアジア各国に固有のリスクをまとめた表もあり、大変有益であった。今回はこの小冊子の内容について、私が知っている情報などを補足してみたいと思う(ページ番号は【詳細版】のもの)。

 【p14】このページに限らず、本マニュアルには「事業再編」という言葉が頻出する。実質的には撤退のことなのだが、撤退と言わずに事業再編と呼ぶのには2つの理由がある。1つ目は、撤退という言葉には後ろ向きのイメージがあるため、お役所が使いたがらないということである。中小機構が実施している「海外事業再編戦略推進支援事業」は、海外事業の縮小・撤退にかかる費用の一部を補助するものである。しかし、事業名はあくまでも「事業再編」となっている。

 2つ目は、国によっては撤退したくても撤退できないことがあるという理由である。その代表が中国で、中国で企業を清算することはまず不可能だと思った方がよい。当局は税の取りっぱぐれがないか、徹底的に調べ上げる。そして、何かと理由をつけては税金を要求する。当局とのやり取りは数年単位に及ぶこともあるため、それだけでも莫大な費用がかかる。だから、中国から撤退する場合には、企業を清算するのではなく、第三者に株式を売却した方が早い。

 【p37】合併先との交渉では、経営にどの程度影響を及ぼしたいのかを踏まえて出資比率を決めること必要だと書かれている。日本の場合は、議決権の3分の2以上を確保すれば安泰である。これは、3分の2以上を保有していれば、株主総会の特別決議を単独で成立させることができるためである。株主総会の特別決議は、定款変更、事業譲渡、解散・清算、組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式併合、監査役の解任、資本金の減少など、とりわけ企業経営を左右する重要な事項について行われる(会社法309条2項)。

 一方、アジアの場合、日本の特別決議に相当する決議を行うのに必要な出資比率が3分の2以上ではないことがある。例えば、タイ、ベトナム、インド、インドネシアは4分の3(75%)以上が要求される(「アジア企業のM&Aに際しての実務上の留意点」を参照)。インドの場合はさらに注意が必要だ。インドの株主総会では、何と挙手で決議が行われる。しかも、議決権数ではなく、頭数で決まる。例えば、日本の親会社が75%の議決権を保有し、インドのパートナー企業3社が残りの25%の議決権を分け合っていたとする。株主は4名である。ここで、日本の親会社が特別決議事項に反対したとしても、インドの3名が賛成すれば、決議が成立してしまうのである。

 【p46、54】合弁先、提携先、仕入先、顧客企業については、事前に信用調査をすべきと書かれている。日本人は人がよすぎるせいか、相手の素性を密かに調べることに対して、何か申し訳ないことをしているかのように感じてしまう節がある。だが、海外ビジネスの場合は、見ず知らずの相手、価値観も考え方も全く異なる相手と一緒に仕事をしなければならない。中には、最初から日本企業を騙すつもりの人がいることも事実である。したがって、信用調査を通じて、ビジネスの相手として本当に適切かどうかを見極めることが欠かせない。

 信用調査はピンキリで、1社数万円でできる場合もあれば、百万円単位のお金がかかることもある。だが、これから年間数千万円の取引をするかもしれない相手がいたとして、仮に取引開始後にその企業の支払い能力に問題があることが発覚すれば、こちらは深刻な被害を被ることになる。そのリスクを百万円ほどの先行投資で予防できると考えれば、決して高くはない。

 仕入先の信用調査をする場合は、仕入先の顧客企業がその仕入先に対してどのような評価をしているのか、評判を調査できるとよい。仕入先は過去に品質問題を起こしていないか?仕入先はクレームに対して誠実に対応してくれるか?といったことが解る。顧客企業の信用調査をする場合は、支払い能力の程度を調べることが重要であることは言うまでもないだろう。過去3年分の財務諸表は最低限手に入れたい。そして、相手が誰であれ調査するとよいのが、訴訟履歴である。その企業がどんな訴訟を起こしてきたのか、逆にどんな訴訟を起こされたのかを見ると、企業の経営方針、組織体質、潜在的な債務などが見えることがある。

 【p46】5Sを徹底せよと書かれている。5Sを徹底すると品質が向上するという効果が期待できるのはもちろんだが、その他の効果もある。アジアの工場では、工具や治具、原材料が頻繁に紛失する。社員が盗んで売ってしまうためだ。そこで、5Sを徹底して工具などの置き場を明確にする。こうすれば、何が盗まれたのかすぐに解る。加えて、工場の守衛の協力を得ることも大切である。工場からモノが盗まれる場合、たいていは社員と守衛がグルになっている。つまり、窃盗を見て見ぬふりをしている。だから、守衛には窃盗を見つけたらボーナスを与えることにする。こうすれば、盗難の被害はぐっと減る(逆に言えば、ここまでしないと盗難は防げない)。

 日本人は自分で掃除をするというのが当たり前の習慣になっているが、アジアではそうでない場合も多い。イスラーム圏のマレーシア、インドネシアでは、掃除は使用人の仕事と見なされている。また、カースト制が未だに根強く残るインドでも、掃除は身分が低い人間がするものだとされる。一般の人は、自分がごみを捨てれば彼らの仕事が増えるのだから、自分はよいことをしているのだとさえ考える。こういう人たちに、日本の5Sを浸透させるのは容易なことではない。

 【p55】各国の風俗・宗教に配慮すべきと書かれている。具体例が列挙されているが、マニュアルではどこの国のことか明示されていない。おそらく、次の通りではないかと思われる。

 ・「他人の子供の頭をなでる行為は、地域によっては「頭は神聖な場所であり、他人が触れてはいけない」という考え方があり、極めて失礼な行為と捉えられる可能性がある」⇒タイ、ミャンマー。なお、マレーシア、インドネシアなどのイスラーム圏でも、「頭を触ると子どもの成長を妨げる」と考えられているので、注意しなければならない。
 ・「取引先担当者の信仰を確かめずにクリスマスカードを送る等の行為は控える」⇒マレーシア、インドネシア。イスラーム圏では、クリスマスカードを送ることは失礼にあたる。
 ・「宗教上の習慣(勤務時間中のお祈り等)には配慮する」⇒マレーシア、インドネシア。就業規則でお祈りの時間を定めたり、工場内に簡易的なモスクを設けたりなどの工夫が必要である。
 ・「飲酒が禁忌とされる宗教もあるため、コミュニケーションの一環として、飲酒を伴う接待への誘いは控える」⇒仏教国の中ではタイがお酒に厳しい。マレーシア、インドネシアなどのイスラーム圏では、クルーアン(コーラン)の中でお酒が禁じられている。
 ・「従業員を人前で叱るなどの面子をつぶすような対応はしないよう配慮する」⇒ほとんどのアジアの国に該当する。タイでこのようなことをすると、叱られた側の親族が報復として殺害行為に及ぶことがある。そのぐらい、面子は重要である。本マニュアルの他の箇所を読むと、インドネシア、中国、フィリピン、マレーシアが面子を重んじる国であると指摘されていた。

 【p68】突発的な残業を指示しても、社員に断られる場合があると書かれている。アジアの労働法は、日本と比べると概して労働者寄りである。そのため、残業が厳しく制限される、割増賃金が異常に高い、残業をさせる場合には法定の手続きを踏む必要があるなど、様々なルールがある。これに関しては、各国の労働法に関する情報を個別に収集するしかない。

 ただ、日本人が残業もいとわないことに対して、多くのアジア人は否定的な見方をしていることは共通の事実のようである。日本人は、時間に対して極めて正確であることを誇りとしている。ところが、アジア人に言わせると、「日本人は時間を守らない」という評価が返ってくる。「日本人は就業規則で1日の労働時間を9時~17時と定めているのに、17時に仕事が終わらない。だから、時間を守らない」というのがアジア人の言い分である。

 【p74】進出先の政治的・宗教的記念日には、テロや暴動が起きる可能性があるとあり、中国の例に触れられている。だが、肝心の日付が書かれていない。中国で重要なのは、①9月18日(満州事変)、②7月7日(盧溝橋事件)、③12月13日(南京大虐殺)、④9月3日(抗日戦争勝利記念日)の4つである。こういう日に新店舗をオープンするなどというのは自殺行為である。

2015年09月11日

経済産業省の中小企業関係予算概算要求(平成28年度)について(平成27年度予算との比較)

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 平成28年度の概算要求の情報が公開されたので、中小企業関係の施策について比較表を作ってみた。比較表Excelのダウンロードはこちら。以下雑感。

 《参考:経済産業省HP》
 平成27年度 中小企業関係予算の概要
 平成28年度 中小企業関係概算要求等の概要

 ・平成27年度予算の資料は比較的詳細だが、平成28年度概算要求の資料はポイントをまとめたものであるため、両者の情報粒度が異なっている点はご容赦いただきたい。平成27年度に実施された施策で、平成28年度は概算要求されていないものが数多くあるかのように見えてしまうが、本当は裏で概算要求されている可能性がある。

 かねてから私は不思議に思っていたのだが、なぜか官公庁は予算の内訳を全て公開しようとしない。平成28年度概算要求の資料で「平成27年度より継続」となっているのに、平成27年度予算の資料には掲載されていない施策もある。予算の透明性を保つよう、世間からこれだけうるさく言われている割には、まだまだ緩い部分が残っていると感じた。底意地が悪い私などは、公にしたくない施策があるのではないかと勘ぐってしまう。

 ・平成28年度概算要求を見ると、小規模企業向けの施策が拡充された点以外は目新しさがなく、”いつもの当たり障りのない”施策に逆戻りしたようだ。「平成28年度 経済産業政策の重点のポイント」を見ると、経済産業省は、(1)ITによる産業構造・経済社会の革新、(2)イノベーションの担い手の強靱化、(3)未来への投資促進に向けた官民協働、(4)内なる国際化/2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、という4つの方向性を掲げている。しかし、中小企業庁の施策は、これらとのリンクが十分でない。特に、(1)と(4)に関連する施策がない。

 ・平成28年度概算要求からは、平成27年度予算にあった「円安是正」というテーマが消えた。もう1つ、ひっそりと姿を消した(と思われる)のが「創業支援」である。平成27年度は、創業希望者に対する補助金と、創業スクールなど創業支援事業を行う事業者に対する補助金の2本立てで予算が組まれていたが、平成28年度概算要求では前者が消えた。2013年6月に閣議決定された日本再興戦略では、現在5%台の開業率をアメリカ・イギリス並みの10%台に引き上げる目標が設定された。この目標は一体どうするのだろうか?

中小企業関連 平成27年度予算&平成28年度概算要求



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