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【2018年反省会(2)】資格学校の講師の仕事は止めるべきサインがあった(続き)
東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】
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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(コンサルタント・トレーナー)。ほとんど書評ブログ。双極性障害Ⅱ型を抱えながら頑張っています。

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

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2019年01月22日

【2018年反省会(2)】資格学校の講師の仕事は止めるべきサインがあった(続き)


考えるビジネスマン

 前回の記事で、2017年7月時点で中小企業診断士講座の受講者数が50人しかいないと書いた。私は2016年4月から収録を開始しており、2017年7月までに1年4か月も仕事をしていたから、仮にこのタイミングで契約を解除しても、ダメージが大きいことには変わりがなかった。それよりも、今になって振り返ると、もっと前に契約を解除すべきタイミングがあったと思う。

 私はセミナーや研修の講師をしたことはあったが、資格講座のe-Learningの講師をした経験はなかった。セミナーや研修であれば、顧客企業と企画内容を擦り合わせた上で、ある程度裁量を持ってコンテンツを開発することができる。また、セミナーや研修の本番中に多少言い間違いがあっても、その場で修正することが可能だ。一方、資格講座の場合は教えるべき内容が決まっている。さらに、e-Learningともなれば、さながらテレビ番組のように、視聴している受講者がストレスを感じないよう、流麗な動画に仕上げる必要がある。e-Learningを提供する資格学校は、コンテンツの構成とプレゼンの技術についてノウハウを持っていなければ勝負にならない。

 収録を始めたばかりの頃は、自分の動画をX社がどのように評価しているのかを知りたくて、「今日の講義はどうでしたか?」と担当者によく確認していた。X社からは、「この部分をこのように説明してほしい」、「話し方をこのように工夫してほしい」などとダメ出しが入ることを覚悟していた。ところが、X社からの返答は、「迫力があってよかったです」、「とても解りやすかったです」といったものばかりで、動画に対する注文が全くと言っていいほどなかった。そのため、X社は前述のノウハウを持っていないのではないかと疑うようになった。

 報酬をめぐる交渉で問題になったレジュメ(パワーポイントで作成した講義用資料)も、毎週の収録日に先立ってX社の担当者にメールで送付し、チェックを受けていた。担当者のチェックを通っても、収録中に自分でレジュメの間違いに気づくことがある。その際は、その場でレジュメを修正し、収録後に修正後のレジュメを担当者へ送付して差し替えてもらっていた。レジュメに関しては、内容の解りやすさもさることながら、パソコンとスマホの両方の媒体ではっきりと見えるように、レイアウトや文字サイズ、色などを調整する必要があった。だが、X社の担当者からは、収録の前にも後にも、レジュメの修正を依頼されたことが一度もない。ついには、収録開始から1年ぐらい経った頃に、担当者から「レジュメは収録後にまとめて送ってくれればよい」と言われた。担当者はレジュメを真面目にチェックしていなかったのだろう。

 X社の担当者も頻繁に交代していた。私がX社の仕事をしていた2年近くの間に、担当者が3回代わっている。交代した際に、「今度から担当が○○に代わります」と連絡してくれればよいのだが、X社の場合はしれっと担当者が変更になっていた。まず、担当者の他に副担当者らしき人がつき、メールのCCに追加される。私が担当者とメールのやり取りをしていると、次第に副担当者が前面に出てくるようになる。私が収録でX社のオフィスを訪れるうちに、そう言えば最近担当者を見かけないと感じて、副担当者に担当者はどうされたのかと尋ねてみたところ、実は担当者が随分前に退職していたことが判明した。そして、その副担当者が次の担当者に昇格するのであった。3回の交代劇はいずれもこのようにして行われた。

 X社の社長の資質にも問題があったと感じる。X社は社員が30人程度のベンチャー企業であった。にもかかわらず、社長には秘書がついていた。このパターンはどこかで見たことがあると思ったら、私の前職のベンチャー企業であった(以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第5回)】とにかく形から入ろうとする社長」を参照)。

 それなりの規模の企業であれば、経営陣に秘書がつく理由も理解できる。本社には顧客、取引先、金融機関、投資会社、業界団体、大学、研究機関、行政から果ては政治家まで、様々な人からメール、電話、郵送物で連絡が入る。顧客以外にも本社に物申したい人はいるし、取引先の他に営業をかけてくる企業もある。慈善団体が寄付を要求することもあるだろう。それらのことに経営陣が逐一対応していたら本業に集中できないため、前裁きをしたり、経営陣に代わって対応したりする人が必要になる。これが秘書の役割である。だが、社員が30人ほどの企業に関与する人などたかが知れている。私は中小企業向けの補助金事業の仕事をして、社員数が数十人程度の企業を100社ぐらい訪問したが、秘書がいる企業など見たことがない。

 私は、中小企業の社長は、自ら製品・サービスの開発・製造・提供をするか、自ら営業を行うか、少なくともどちらかの役割を果たさなければならないと考えている。自分ができない役割については、それを遂行してくれる信頼に足る右腕を置く。ホンダ、ソニー、パナソニックなど、現在の日本の代表的な大企業が中小企業だった頃は、社長とその右腕となる人物が二人三脚で製造と営業をリードしていたものである。ところが、X社の社長は、サービスの開発にも営業にもあまり関与していなかったように感じた。これも、私が前職のベンチャー企業で見た光景とそっくりである(以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第2回)】営業活動をしない社長」、「【ベンチャー失敗の教訓(第3回)】製品開発・生産をしない社長」を参照)。

 まず、X社がメインとしている講座については、社長が自ら講師を務めておらず、他の資格学校からスカウトしてきた名物講師らしき人をあてていた。では社長が営業をしていたかと言うと、Youtubeにチャネルを開設して宣伝動画をアップし、全国で雀の涙ほどの回数しか開催していない少人数の説明会で話をするだけで終わっていたように見えた。X社は自社でe-Learningのコンテンツを提供する以外に、他の資格学校にもコンテンツを販売しようとしていた。その営業を行っていたのは、私が知る限り社長ではなく、一般の社員であった。私には、社長は本ばかり書いている人にしか映らなかった。新刊が出る度に私も頂戴したものの、似たような内容を繰り返しているという印象しかなかった。ここまで来ると、もはや完全にデジャブである(以前の記事「【ベンチャー失敗の教訓(第7回)】本を書いて満足してしまう社長」を参照)。

 これだけのサインがあれば、X社は危険だと判断してしかるべきだった。それなのに、私は契約解除を申し出ることができなかった。だがそれ以前に、そもそもこの仕事を引き受けるべきではなかった理由が2つある。1つ目は、前回の記事でも触れたレベニューシェアという報酬形態である。レベニューシェアとは、端的に言い換えれば成果報酬型である。私は独立した当初から、成果報酬型の仕事は基本的にやらないと決めていた(書籍の出版に関しては、印税方式という業界慣行を変えることがほとんど不可能であるため、例外的に印税方式に従っていた)。

 営業力強化のコンサルティングを行っている企業の中には、成果報酬型を売りにしているところもある。営業の場合は、元々営業担当者の給与にコミッションが取り入れられていることからも解るように、成果に対する営業担当者の貢献度合いが比較的解りやすい。受注金額から原価を引いた売上総利益のうち、営業担当者の固定給や管理部門の人件費、広告宣伝費その他本社の固定費を除いた金額に対して、営業担当者がどの程度寄与したかを取り決めたものがコミッションである。成果報酬型のコンサルティング会社は、コンサルティングによって前述の金額がどのくらい増加するかを見込んで、パーセンテージを設定する。

 だが、私の専門領域はビジョンや事業戦略(事業計画)の策定、それに紐づく人材育成計画の作成、計画に基づく研修の企画・開発・実施である。もちろん、私も顧客企業の業績が上向くことを願って仕事をしている。とはいえ、私の仕事がどの程度顧客企業の利益増に貢献したかを測ることは、私の仕事以外に影響する要因が多すぎるがゆえにほとんど不可能である。他方、私の仕事以外に影響する要因は多いものの、私の仕事は利益につながる因果関係の一部であり、私の仕事がなければ利益増は達成できなかったと考えれば、増加した利益が私の成果であり、それをそのまま支払ってほしいという強弁も成り立つ。しかし、こんな主張を受け入れる顧客企業などまずいない。だから、私は成果報酬型の仕事はしないことにしていた。

 安倍政権になってから中小企業向けの補助金が増加し、コンサルタントが補助金の申請書(事業計画書)の作成支援を依頼される機会が増えた。コンサルタントの中には、採択された補助金額の一定割合を報酬として請求する、つまり成果報酬型の契約を締結している人もいた。しかし、作成”支援”と言いながら、実質的には作成”代行”になっていることも往々にしてあった。私からすると、作成代行で成果報酬を請求する場合には、事業計画のネタこそ顧客企業が持っていたとはいえ、こちらが作成代行をしなければ補助金を受けられなかったのだから、補助金をほぼ全額頂戴したいという気持ちになる。

 もちろん、この論理が相手に通用するはずもない。例えば、行政書士に会社設立の手続きを代行してもらった際に、事業プランは依頼者にあったかもしれないが、行政書士が会社設立の手続きをしなければそもそも会社を立ち上げることができなかったのだから、設立後の利益を全部寄こせなどと言われたら、誰もが怒るだろう。

 私は、中小企業をメインの顧客としている機械メーカーから、顧客企業に提供する追加サービスの一環として、補助金の申請書の作成支援(実質的にはほとんど代行)をしてくれないかと打診されたことがあった。顧客企業の事業計画が採択されれば、計画の遂行段階で必要となる機械をそのメーカーから購入してもらうという目論見であった。機械メーカーの担当者からは、私の仕事は成果報酬型でないと顧客企業に提案できないと言われた。成果報酬に対して否定的だった私は、採択の有無にかかわらず、顧客企業の経営者の頭の中にあった事業計画を目に見える文書として構造化したこと自体に価値があると主張し、一定額の報酬を要求した。

 この件に関わらず、価格に対する私の考え方はシンプルである。まず、私と同じ仕事を顧客企業が自力でしたら、どの程度の期間と費用がかかるのかを見積もる。私がその期間よりも短期間で仕事をする場合には、顧客企業が要したであろう費用よりも高い価格を想定する。ただし、私がどの程度の品質(早く仕上げることも1つの品質である)を達成する見込みで、顧客企業がそれにいかほどの価値を認めるかはケースバイケースであるから、価格交渉の余地が生じる。一方、私が顧客企業とほぼ同じ期間で仕事をする場合には、顧客企業の費用よりも安い価格を想定する。とはいえ、際限なく安い価格では私が採算割れしてしまうし、同じ期間でも品質を上げられるならば、想定価格より高い価格を設定できるかもしれない。これも交渉事である。先ほど触れた行政書士の各種手続きなどの値段も、同様の考え方で設定されているはずだ。

 この機械メーカーにはこういう話が通じなかったため、話はお流れになった。正直に言って、私の仕事を成果報酬型でないと顧客企業に売り込むことができないというこの企業の営業担当者は腰抜けだと感じた。仮に、この機械メーカーの顧客企業から、機械の値段は成果報酬型で支払いたいなどと言われたら、営業担当者は間違いなく拒否するだろう。まして、この手の企業の主たる収益源となっているアフターサービスの費用を成果報酬型で支払いたいなどと言う顧客企業は、営業担当者が必死で説得するに違いない。

 私が以前精神科の病院に入院していた時、看護師に私の仕事内容を説明したことがあった。経営コンサルティングの仕事は、必ずしも顧客企業の業績アップにつながるとは限らず、その点で顧客企業はリスクを抱えているという話をしたら、看護師からは「そういう性質のサービスであれば、自分なら成果報酬型でお願いしたいと思う」という反応が返ってきた。

 看護師の気持ちは解らなくもない。しかし、その理屈が通るならば、医療サービスについても、患者が治るかどうかを医師が保証できないのだから、患者が診療報酬を成果報酬型にしてくれと要求してもおかしくないことになる。とはいえ、もしそのような主張を許してしまったら、日本の医療制度が崩壊することは誰の目にも明らかである。特に精神疾患は、他の疾患に比べて、治るかどうかがより一層不透明である。さらに、私が抱えている双極性障害は、寛解すること(症状が治まり安定すること)はあっても完治する可能性は低いとされている。その治療費を成果報酬型にしてしまったら、精神科医は皆逃げ出すだろう。


2017年07月10日

東京都の中小企業向け補助金・助成金など一覧【平成29年度】


商売繁盛

 (一社)東京都中小企業診断士協会の理論政策更新研修に参加してきた。この研修は2コマ構成なのだが、1コマ目は必ずその年度の中小企業政策を学習する時間となっている。今回は、東京都が平成29年度に実施する中小企業振興施策について、東京都産業労働局商工部の担当者から説明があった。東京都が中小企業振興施策のために持っている予算は約4,600億円だという。ただし、そのうち約700億円は観光、雇用・就労支援、農業のための予算であり、残り約3,900億円のうち約8割は制度融資のために都内の金融機関に貸し付けているものであるから、純粋に中小企業支援のために使われる予算は約600億円となる。それでも、中小企業庁の予算がだいたい1,500億円程度であるから、いかに東京都がお金を持っているかが解る。

 以下、研修の中で紹介があった主要な中小企業振興施策を列記する。70の施策があるが、実際にはこの倍ぐらいの施策があるそうだ。可能な限り、関連リンクをつけておいた。ただし、古い情報のページも混じっているため、随時最新情報をチェックしていただきたい。補助金・助成金は「●」、専門家派遣が中心のものは「◇」、相談窓口サービスが中心のものは「▽」で示した。

 【経営革新支援】
 ○経営革新計画
 ●団体向け課題解決プロジェクト支援事業

 【経営安定支援】
 ▽小規模企業対策(地域持続化支援事業)
 平成27年度から都内6か所に支援拠点を整備し、小規模事業者が抱える事業承継などの課題解決を支援するとともに、商工会や商工会議所が取り組む地域ブランド開発などの事業を促進し、地域全体の活性化を実現する。平成29年度は多摩・島しょにおける支援を充実。
 ◇中小企業活力向上プロジェクト
 ▽取引改善指導(ADR)
 ●受注型中小企業競争力強化支援事業
 ●新・目指せ!中小企業経営力強化事業
 ◇東京都BCP策定支援事業
 ○団体向けリスクマネジメント普及啓発事業【新規】
 ▽事業承継・再生支援事業
 ●技術・技能承継事業
 ▽中小企業サイバーセキュリティ対策の普及促進
 中小企業をサイバー空間の脅威から守るため、警視庁や各中小企業支援機関と連携し、平成28年度から相談窓口を設置するなどサイバーセキュリティ対策の普及促進を実施。東京五輪を控え、中小企業自らがサイバーセキュリティの重要性を実感し、早急な対策に取り組むことができるよう、企業1社1社への働きかけを強化する。
 ●中小企業における危機管理対策促進事業【新規】

 【販路開拓支援】
 ○東京ビッグサイトの拡張整備
 ○中小企業グローバル連携促進事業
 ▽海外販路開拓支援事業
 ▽都内中小企業の海外への魅力発信事業
 平成27年12月、東京都中小企業振興公社タイ事務所が業務を開始し、現地において経営相談やマッチングなどを実施。引き続き、都立産技研バンコク支所、タイ工業省、カシコン銀行などと連携し、都内中小企業の海外展開を現地できめ細かくサポート。
 ○海外展開人材育成事業
 企業の現状や発展段階に合わせて、貿易実務者養成講習会、国際化対応リーダー養成講座を開催し、中小企業の海外展開に資する人材の育成を総合的に支援。
 ○アジア特別商談会
 ○医療関連機器等の海外展開支援【新規】
 海外市場におけるPR(世界最大級の医療機器展示会「COMPAMED」への出展など)やビジネススキル・ノウハウの取得支援を実施する他、現地政府機関や企業、産業クラスター、研究機関などとの連携によるネットワークの構築を図る。
 ○産業交流展
 ○地域連携型商談機会創出事業

 【ネットワークづくり支援】
 ○広域多摩イノベーションプラットフォーム
 ○広域産業交流・連携の促進
 埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の近隣8県市と共同で、年1回、中小企業と大企業による商談会を実施する。
 ○被災地等中小企業ビジネス革新支援事業
 都内および被災県等中小企業と、東日本を中心とした大企業開発試作部門との連携を促進することで、被災県の産業を立て直すとともに、都内産業の活性化を図る。
 ●新事業分野創出プロジェクト

 【技術支援】
 ●新製品・新技術開発助成事業
 ●製品開発着手支援助成事業
 ○ものづくりイノベーション企業創出道場
 ▽知的財産総合センターの運営
 ●知財戦略導入支援事業(ニッチトップ育成支援事業)
 ○知的財産活用製品化支援事業
 ○デザイン活用への支援
 ●次世代イノベーション創出プロジェクト2020
 ●成長産業分野の海外展開支援
 ●先進的防災技術実用化支援事業
 ●海外展開技術支援事業
 ○生産性向上のための中核人材育成事業
 ●革新的事業展開設備投資支援事業【新規】
 ○未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト【新規】
 東京には世界屈指の大企業が拠点を有しているが、現状では大企業と中小・ベンチャー企業の連携は低調である。今後、広く中小企業全体に波及効果をもたらすイノベーションを創出するため、リーディング企業、ベンチャー・中小企業を巻き込んだオープンイノベーションを活用して、新製品・新技術開発や新事業への展開を促す仕組みの構築に向けた調査・検討を実施(平成30年度から採択プロジェクトへの支援を予定)。

 【創業支援】
 ○次世代アントレプレナー育成プログラム
 ○インキュベーション施設の運営
 東京コンテンツインキュベーションセンター(中野区)、ベンチャーKANDA(千代田区)、白鬚西R&Dセンター(荒川区)、ソーシャルインキュベーションオフィス・SUMIDA(墨田区)、タイム24ビル内創業支援施設(江東区)、青山創業促進センター(通称:青山スタートアップアクセラレーションセンター、渋谷区)、インキュベーショオフィス・TAMA(昭島市)の運営。
 ●インキュベーションHUB推進プロジェクト
 ○青山創業促進センターの設置・運営
 ●ライフサイエンス系ベンチャー支援
 ●創業活性化特別支援事業
 ▽創業支援拠点の運営
 ○東京都ベンチャー技術大賞
 ○多摩ものづくり創業の促進【新規】
 ○グローバル・ベンチャー創出プラットフォーム【新規】
 海外で成功するベンチャー企業を育成するために、海外のベンチャーキャピタルや大企業とのビジネスマッチングを重視する。
 ○女性ベンチャー成長促進事業【新規】
 国内外でトップベンチャーとして活躍する女性ベンチャーのモデルケースを輩出することを目的に、社会課題の解決やグローバル市場への進出など、スケールアップする可能性の高い事業ビジョンを持つ女性起業家を支援する。

 【地域工業の活性化】
 ○産業立地情報収集・提供事業
 ●産業集積活性支援事業
 ●都内ものづくり企業立地継続支援事業
 ●ものづくり企業グループ高度化支援事業
 ●地域の魅力を活かした新ビジネス創出事業【新規】
 ▽東京都企業立地相談センター業務委託事業【新規】
 今後、都内へ立地を希望する企業に対し、立地に関するよりきめ細やかな情報や適切なアドバイスをワンストップで提供できるよう、相談センターを設置する。

 【地域商業の活性化】
 ●商店街への支援
  -商店街補助事業
  -政策課題対応型商店街事業
  -商店街グランプリ
  -広域支援型商店街事業
  -進め!若手商人育成事業
 ◇商店街ステップアップ応援事業
 ●商店街空き店舗活用モデル事業
 ●商店街起業・承継支援事業
 ●若手・女性リーダー応援プログラム

 【総合的支援】
 ▽中小企業ニューマーケット開拓支援事業
 ○新事業分野開拓者認定・支援事業
 ●航空機産業への参入支援
 ●医療機器産業への参入支援
 ○東京発「クールジャパン」の推進
 東京の「クールジャパン」を世界へ発信・浸透させ、東京の産業力とブランド力の強化を図る。
 ○中小企業世界発信プロジェクト
 ○中小企業新サービス創出事業
 ●障害者スポーツ用具開発の促進【新規】
 東京2020パラリンピック競技大会に向けて、中小企業や地域が取り組む障害者スポーツ用具などの開発を支援。障害者スポーツ用具の開発が活性化され、中小企業の同用具市場さらには福祉機器市場への参入にもつなげていく。

 【試験研究機関】
 ●ロボット産業活性化事業
 ●中小企業へのIoT化支援事業【新規】

 ここからは余談。理論政策講師研修の2コマ目は「中小企業の海外展開支援」であったが、これが最悪であった。私の知り合いに海外経験が豊富な診断士の先生がいて、一部の「国際派」診断士なる人たちを非常に毛嫌いしている(まず、「国際派」の意味が解らないと言う)。彼らが勉強会や会合を開くと、何十年も前に海外で自分が経験したことを、「私が○○にいた頃の話『では』・・・」などと言って、永遠と自慢話を続けるそうだ。「国際派」診断士に対して否定的なその先生は、彼らのことを「出羽山地の神々」をもじって「ではの神」と揶揄している。

 研修の前日にその先生に会う機会があって、「明日、理論政策更新研修で、○○先生の『中小企業の海外展開支援』を聞くことになっている」と話したら、その先生は「それは一番最悪な講師だ。絶対にFOBとかL/C(信用状)とかの話をするに決まっている」とおっしゃった。案の定、蓋を開けてみたら、2時間半の研修のうち、大半はFOBやCIF、L/C、NEXIなど貿易実務の話であった。この程度の知識なら、貿易実務をやったことがない私でも知っている。それに、我々はそもそも診断士であって、貿易業務のプロを目指しているわけではない。

 診断士が関心を持っているのは、あくまでも経営の話である。例えば、輸出をする際には、どういう視点でターゲット市場を評価すればよいのか、展示会で効果的に見込み客のリストを集めるにはどうすればよいのか、販売店・代理店はどうやって見つけるのか、販売店・代理店の信用評価はどのようにして進めるのか、販売・代理店の育成、モニタリングはどうやって実施するのか、代理店とトラブルになったらどう対処すればよいのか、といったことを聞きたかった。もしも講師がこれらの論点に答えられないなら、「海外展開支援を専門としている」などと言ってほしくない。

 それに、輸出というのは、中小企業の海外展開の一面でしかない。神奈川県が実施した「海外展開している又は計画がある県内中小企業の動向調査」によると、最も割合が高い進出形態は「現地生産」である。「輸出」が2位、3位にあるが、4位には「販売拠点の設置」がランクインしている。これは、中国、ASEANなど、従来はコスト削減のための生産拠点として見てきた国が経済成長し、有望な市場としても評価できるようになったという事情を反映している。

海外展開している(した)進出形態

 ややデータが古いが、中小企業庁『中小企業白書(平成22年版)』によると、直接投資企業は、輸出企業と比較して、「人材確保・労務管理」や「投資費用の調達・資金繰り」といった人材面や資金面の課題を挙げる割合が高くなる傾向が見られる。

国際化における課題

 さらに、日本政策金融公庫『中小企業の海外進出に関する調査結果』(2012年5月)を見ると、海外直接投資先の経営課題(複数回答)として「外国人従業員の教育や労務管理が難しい」が製造業で1位、非製造業で2位になっている。とどのつまり、直接投資の場合は、人材マネジメントが中小企業にとって最大の経営課題となっていると言える。

海外直接投資先での経営課題

 人材マネジメントに関する経営課題を細分化すると、様々な問題が出てくると思う。現地の労働法が複雑で対応に苦労する、当局とのやり取りが煩雑である、政府の裁量で最低賃金がどんどん上昇し収益が圧迫される、ワーカーやスタッフの育成が難しい、仕事に対する意識が日本人と違いすぎて、日本人の指示通りに仕事をしてくれない、せっかく育成しても給与が高い企業にすぐに転職してしまう、ちょっとでも労働条件が悪いと感じるとストライキをちらつかせてくる、労働組合との対立が深刻である、ローカル社員の不正に悩まされている、リーダー・マネジャークラスの人材が育たない、ハイクラスの人材を外部から採用しようとしても適材がいない、経営の現地化が進まず、いつまでも日本人駐在員を引き上げられないなど、挙げればきりがない。

 進出国の最新事情を考慮に入れつつ、かつこれらの課題に対応しながら、現地企業が持続可能な成長を遂げるためにどうすればよいかアドバイスするのが診断士の仕事というものではないだろうか?そういう仕事ができるようになるために、我々は研修を受けているのである。そうでなければ、理論政策「更新」研修は、「知識の更新」にならない。


2017年03月15日

補助金にふさわしいと思う中小企業の3条件


地震計測器

 中小企業診断士という仕事柄か、補助金・助成金(以下、単に補助金とする)を受けたことがある中小企業を見学させていただく機会が増えた。もう何年も前のことだが、訪問企業の中にこんな中小企業があった。この中小企業は、地殻のひずみを測定する「ひずみ計」という機器を製造している。ひずみ計は微細な地殻変動をとらえ、地震を予知するのに使われる。精度が高いひずみ計になると、1億分の1~10億分の1ミリというひずみを測定することができる。

 一般的なひずみ計の原理はシンプルである。円筒状の金属にオイルを満たし、地中深くに埋める。地殻が変動すると、金属が押されることによってオイル面が上昇する。その上昇幅でひずみの大きさを測定するというわけである。ところが、この形態のひずみ計を設置するためには地下1,000mほどの穴を掘る必要があり、ボーリングだけで1億円以上かかる。また、オイル面の上昇幅しか測定しないため、円筒がどの方向から押されたのか解らないという問題もあった。

 そこでこの企業は、地下500mほどでも測定可能なひずみ計の開発を行った。また、地殻変動の方向を把握するために、円筒状の金属の中にオイルを入れるのではなく、小型のひずみ感知器を十字型に配置することとした。これで4方向の地殻変動を測定できるようになる。この企業は、新型のひずみ計の開発のために補助金を活用していた。

 東日本大震災以降、地震予知の研究は活発になっているのかと思いきや、全くの逆方向に動いているそうだ。気象庁は毎年、全国に設置されているひずみ計のリプレースのために概算要求を出しているのだが、財務省との予算折衝の過程で削られてしまうらしい。大学の地震研究の予算も同じように減少傾向にある。そのため、地震学科を廃止する大学が増えている。削られた予算はどこに向かっているのかというと、被災地の復興や原発の安全対策、津波防止などに振り向けられている。地震予知のような基礎研究には、予算がつきにくいのが現状である。

 補助金は資金調達の一手段である。ただし、以前の記事「【補助金の現実(2)】補助金の会計処理は、通常の会計処理よりはるかに厳しい」でも書いたように、補助金は書類作成が非常に大変であり、使途も厳しく限定される。よって、金融機関から借り入れることができるなら、はっきり言ってそれに越したことはない。借入が難しいということは、金融機関からその企業はリスクが高すぎると判断されたことを意味する。そういう企業に対して、補助金という公的資金を投入するのは、公的資金を投じてでもその企業を存続させたいそれなりの理由があるからである。

 それなりの理由とは、私なりに考えると3つある。第一に、事業化のハードルは高いが、事業化に成功すれば一定の市場規模が確保できるような、イノベーティブなアイデアを持っていることである。別の表現をすると、現時点では潜在顧客が対価を支払うほど市場が成熟していないものの、製品・サービスのよさが認められれば、市場が一気に開ける可能性がある、ということだ。要するに、製品ライフサイクルの極めて初期段階にあるアイデアのことを指す。

 上記のひずみ計の例で言えば、今は地震研究に対する逆風で市場が冷えている。しかし、地震予知の必要性は多くの人が認めるところであり、政治的な風向きが変われば再び市場が広がるかもしれない。こういう事業はいわばイノベーションの卵であり、金融機関はリスクが高いと判断して融資に消極的になる。その代わりに、補助金がリスクマネーを提供する役割を担う。

 公的資金を投じてでも保護したい中小企業とは、優れた技術・ノウハウなどの蓄積がある企業であろう。これが補助金の要件の2つ目だ。企業が公器であるとすれば、企業が持つ技術などは社会的な資産である。せっかく価値ある資産を持っているのに、企業の倒産によってそれが消えてしまえば、社会にとっても大きな損失となる。したがって、補助金がそれを阻止する。

 前述のひずみ計製造の中小企業は、1億分の1~10億分の1ミリというひずみに反応する感知器を製造する技術や、地中深くで取得したデータを地上まで転送し解析する技術などを持っている。このような技術は、単に難易度が高いだけでなく、地殻変動の測定以外の分野にも応用できる可能性があると思う。だから、仮にこの企業が経営不振に陥ってその組織能力が失われるとしたら、非常にもったいないことであるに違いない。

 金融機関は、理由がどうであれ財務状況が悪化した企業にはなかなか融資しない。それをカバーするのも補助金の役割である。だが、慢性的に財務状況が悪い企業に補助金を投入するのは、単なる延命措置にすぎない。補助金が有効なのは、一時的な経営悪化によって一時的に資金繰りが苦しくなっている企業である。さらに言えば、経営悪化の原因を適切に把握していることが必要だ。業績不振の原因を外部環境のせいにせず、内部環境の面から自己分析している企業であれば、補助金を使って経営を立て直せるかもしれない。これが3つ目の要件となる。

 ご紹介した中小企業の経営者は、気象庁に予算がつかない影響で経営が苦しいとこぼしていた。ただ、財務諸表を見せてもらうと、実はかなりの内部留保がある。だから、本当は補助金に頼らなくてもやっていけた可能性がある。優れた技術・ノウハウの蓄積がありながら、一時的な経営不振で資金難に陥っており、イノベーティブなアイデアで巻き返しを図ろうとする別の中小企業に補助金を回した方が効果的だったかもしれない。

 中小企業向けの補助金については、審査ポイントが公募要領などで全て公開されている。いくつかの公募要領を見てみると、1つ目の要件であるイノベーティブなアイデアの有無に関しては、たいてい審査対象となっている。ところが、2つ目の要件である優れた技術・ノウハウなどの蓄積については、どこまで突っ込んだ審査が行われているのかやや不明である。

 補助金に限らず中小企業の経営者とお話をさせていただく中で私が感じるのは、中小企業は意外と自社の競合他社がどこなのか知らない、ということである。優れた技術・ノウハウとは、一言で言えば強みである。だが、企業経営における強みとは、競合他社との比較で相対的に判定される。「我が社はこれが強い」といくら声高に言っても、自社が勝手にそう評価しているだけでは意味がない。補助金の審査においては、申込企業が競合他社を特定できているか?競合他社と自社の組織能力を定量的/定性的に比較できているか?その上で、自社の強みを明確にしているか?といった点を見るべきだと思うが、果たして十分に審査されているだろうか?

 3つ目の要件、すなわち、一時的な経営不振で一時的に資金繰りが逼迫しているが、経営不振の原因を適切に自己分析できているという点については、私が知る限り審査の対象になっていない。むしろ、以前の記事「とある中小企業向け補助金の書面審査員をやってみて感じた3つのこと(国に対して)」で書いたように、資金繰りが安定していることの方が高く評価される。

 もちろん、慢性的に資金難の企業は、補助金を受け取ってもその後の事業が続かないリスクがあるため、資金繰りを重視したくなる理由も解る。しかし、資金繰りが安定しているのであれば、何も面倒な補助金に頼らず、金融機関から借入をすればよい。私は、慢性的に資金難の企業に補助金を与えよと言いたいわけではない。繰り返しになるが、それでは中小企業の延命策になってしまう。あくまでも、一時的に資金難に陥っている企業を対象にした方がよいと考える。

 かつ、経営不振の原因を他責的ではなく自責的に分析できていることが望ましい。他責的な企業は、同じような環境変化が起きると再び経営不振に陥る。こういう企業に補助金を与えると、経営が苦しくなったら補助金に頼ればよいという依存症に陥る。そうではなく、経営不振の原因を自責的にとらえ、前向きに組織学習できている企業の方が、補助金にふさわしい。「今回だけは補助金を利用するが、今後は経営不振の教訓を生かして、補助金に頼らず安定的・持続的な経営を目指す」という企業こそ、補助金を最も有効に活用してくれるだろう。





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