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【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について
「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
「ものづくり補助金」平成26年度補正と平成25年度補正の違い

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2016年11月25日

【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について


給料

 《参考記事》
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(例)
 【シリーズ】「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)

 平成28年度補正予算ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)の公募が11月14日から開始された(締切は2017年1月17日)。従来は賃上げへの取り組みを表明すると加点要素となったが、今回は賃上げへの取り組みにより、下表の通り補助上限額が引き上げられることとなった。ただし、全社員(雇用保険対象者)の賃金額、勤務地のほか、雇用保険被保険者証番号、氏名などの必要事項を全国事務局が採択決定後に用意するインターネット上のシステムに入力する必要があるなど、事務処理が大変になる。補助上限が最大で3倍になるのだから、それ相応の負担は覚悟せよということなのだろう。

平成28年度補正ものづくり補助金_類型・補助上限額

 補助上限の増額の要件は下記の通りだが、なかなか複雑なので、自分の理解を深めるためにも今回の記事で一度整理してみることにした。

平成28年度補正ものづくり補助金_雇用・賃金拡充への取組み

 【Ⅰ】まず、補助上限額が2倍となるのは、以下の3要件を全て満たす場合である。
事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間(6ヵ月間)を比較して、
 ①全社員の平均賃金を5%以上増加する。
 ②従業員の最低賃金グループの平均賃金を5%以上増加する。
 ③雇用者を維持・増加する。
 例えば、補助事業が2017年12月に完了する予定の場合は、2017年7~12月の6ヶ月間と、その1年前にあたる2016年7~12月の6ヶ月間を比較する。

 ①について、
 ・社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む。

 ・平均賃金は6ヶ月間の平均時間単価を採用する。平均時間単価は、賃金÷勤務時間で計算されるが、(a)賃金には通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外勤務手当、休日出勤手当、深夜勤務手当、賞与を含まない(ほぼ基本給と等しいと考えればよい)。賃金に時間外勤務手当などを含まないため、(b)勤務時間には残業時間を含めず、所定労働時間で計算する。

 ・事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間ともに在籍した社員の平均賃金を比較する。例えば、前年同月期にA、B、C、D、Eの5名が所属していた企業において、補助事業終了までにA、Bが退職し、F、Gが入社した場合は、C、D、Eの3名の平均賃金を比較する。

 ・上記の留意点に基づいて全社員の平均賃金を比較し、5%以上増加することが要件となる。平均賃金を計算するExcelのフォーマットを作成してみた。白抜きセルに入力すると、朱色のセルが自動計算される(社員数30名までに対応。それ以上の場合は行を追加してください)。パート、アルバイトは基本的に時給が決まっているため、本来は計算しなくてもよいのだが、例えば朝シフトと昼シフトで時給が異なる、月の途中で昇給するといったケースが考えられるため、賃金÷勤務時間で計算するようにしてある。なお、夜シフトの時給が深夜手当込みになっている場合などは、割増賃金相当分を控除する必要がある。
 >>平成28年度ものづくり補助金 賃上げ計算用Excel

平成28年度補正ものづくり補助金_賃上げ

 ②について、
 ・「最低賃金グループ」とは、社員のうち、賃金が低い下位10%の社員グループ(全社員数の10%相当)を指す。最低賃金グループを構成する人数の基準となるのは、実績確認期間の前年同期間における賃金が低い10%に位置する範囲であり、全社員数を10で割って小数点切上げにより算出する(例:社員数が1~10人の場合⇒1人、従業員数が11~20人の場合⇒2人)。

最低賃金グループ

 ・上記の例は社員数30名の場合を表している(以下同)。左表では平均賃金が高い順に並んでいる。最低賃金グループに所属するのは、30名÷10=3名であり、左表の従業員番号28、29、30の社員が該当する。補助事業が2017年10月に完了した場合、実績確認期間は2017年5~10月、前年同月期は2016年5~10月となる。従業員番号28、29、30の社員の平均賃金が右表のように変化した場合、3人の平均賃金の合計額が前年同月期より5%以上アップしているため、要件を満たす(従業員番号29よりも26、27の平均賃金が低くても問題ない)。

最低賃金グループ③

 ・最低賃金グループに属する平均賃金と同額の社員が複数いる場合は、その社員も最低賃金グループに含める。上記の例では、下位3名は従業員番号28、29、30であるが、従業員番号27の社員と従業員番号28の社員の平均賃金が同じであるため、従業員番号27の社員も最低賃金グループに含め、4人とする。

最低賃金グループ②

 ・上記の例では、公募時点では従業員番号28、29、30の3名を最低賃金グループとしていたが、補助事業期間中に社員に変動があった場合を表している。従業員番号28、29の社員が退職したことにより、比較対象となる最低賃金グループは、従業員番号28、29、30の3名ではなく、退職者を除く下位10%、すなわち、従業員番号26、27、30の3名となる。

 ③について、
 ・雇用者とは、①における社員と同義である(社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む)。雇用者の減少には、解雇の他、社員の定年退職や自発的離職者、契約満了も含むため、雇用維持の要件を満たすにはその分の人員補充が必要となる。

 【Ⅱ】【Ⅰ】に加えて、さらに補助上限額が1.5倍となるのは、次の条件を満たす場合である。
 ④社員の最低賃金グループの平均賃金を10%以上増加する。
 (※)ただし、前年同期間において最低賃金グループに属する社員のうち、平均賃金が時間給(時間換算額)で1,000円以上の者がいる場合は、④の増額要件の適用を受けることはできない。
最低賃金グループ

 ・上図のように、賃上げ後に平均賃金が1,000円を超えるのは問題ない。

最低賃金グループ②

 ・上図のように、公募時に想定していた最低賃金グループに属する社員が補助事業期間中に退職したことにより、最低賃金グループの構成が変更となった場合、その中に平均賃金が1,000円を超える者(従業員番号26の社員)がいると、要件を満たさなくなる。


2016年02月07日

「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)


工場

 2016年2月5日(金)より、「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」の公募が開始された。公募要領に「革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援」すると書かれている通り、今回のものづくり補助金は従来と異なり、設備投資に対する補助が中心である。試作開発を行いたい場合は、下記の「小規模型」を選択する。なお、この「小規模型」は、対象が小規模事業者(商業・サービス業では従業員5人以下、製造業その他では従業員20人以下)に限定されるということではなく、補助金の額が小規模であるという意味である。

 事業類型 補助対象経費 補助率 補助上限額
 (下限額)
 一般型 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 1,000万円
 (100万円)
 小規模型 機械装置費
 原材料費(※)
 技術導入費
 外注加工費(※)
 委託費(※)
 知的財産権等関連経費(※)
 運搬費
 専門家経費
 クラウド利用費(※)
 (※は設備投資のみの場合
 対象外)
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 500万円
 (100万円)
 高度生産性 
 向上型
 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 3,000万円
 (100万円)

 今回新たに追加された「高度生産性向上型」は、「IoTなどを用いた設備投資」によって生産性を向上させる取り組みを支援するものである。「IoTなどを用いた設備投資」とは、「IoTを用いた設備投資」、「最新モデルを用いた設備投資」のいずれかを指す。「最新モデルを用いた設備投資」とは、各メーカーの中で、下記のいずれかのモデルを用いた設備投資を行うことを言う。

 ①一定期間内(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具:6年以内、ソフトウェア:5年以内)に販売が開始されたもので、最も新しいモデル。
 ②販売開始年度が取得などをする年度およびその前年度であるモデル(当該年度に販売が開始されたものであれば、その販売時期は問わない)。

 単に最新モデルの工作機械を導入するだけでも「IoTなどを用いた設備投資」に該当するわけで、これのどこがIoTなのか?と疑問に思うのだが、どうも役人の考えていることはよく解らない。

 募集期間は2月5日(金)~4月13日(水)(※当日消印有効)。採択結果の発表は6月中とされている。補助事業実施期間は、交付決定後から2016年12月31日(土)まで(小規模型の場合は2016年11月30日(水)まで)である。以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」でも書いたが、採択後すぐに補助事業を開始できるわけではない。交付申請という2回目の審査を受ける必要がある。過去の事例からして、交付申請を行ってから交付決定が下りるまでには約1か月かかる。

 だから、採択後すぐに交付申請を行っても、補助事業が開始できるのは早くて7月中である。一方、補助事業の終了は12月31日(土)(小規模型の場合は11月30日(水))に設定されているから、今回は超短期決戦を覚悟しなければならない。とりわけ、小規模型で試作開発をする場合、使える時間はわずか4か月ほどである。この期間で試作品を完成させるのは至難の業だろう。だから、例えば試作開発プロジェクトを技術課題ごとに3つのフェーズに分けて、今回の補助金ではフェーズ1の達成を目標とするなど、一工夫が必要かもしれない。
 【重要な注意点】《2016年2月24日追記》
 上記の通り、今回は補助事業実施期間が非常に短い。だが、期間内に機械装置を購入して、代金を支払えばそれで十分というわけではない点には注意が必要だ。機械装置を導入した後、ある程度試運転を行い、新製品を製造する必要がある。そして、生産工程がどの程度短縮されたのか、品質や精度がどの程度向上したのかなど、定量的な成果を報告しなければならない。

 機械装置は発注から納品まで数か月かかるのが通常である。しかし、採択企業からの発注が特定の機械メーカーに集中した場合、納期が延びる恐れがある。すると、上記の補助事業期間中に機械装置が納入されないという、重大な問題が発生することも考えられる。機械メーカーとは事前に十分協議をすることをお勧めする。
 《参考記事》
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)

 申請書の具体的な書き方については上記の過去記事を参考にしていただくとして、今回の記事では形式的な細かい注意点を整理しておきたいと思う。何分、非常に多くの応募が予想されるため、形式要件を満たさない申請書は足切りされることが十分に予想される。せっかく質の高い事業計画をまとめたのに、つまらないミスで不採択になるのは避けたいところだ。

 【様式1】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の受付番号は空白とする(受付番号は事務局が採番する)。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑応募者欄のうち、代表者役職・氏名の欄については、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑応募者欄の印は、角印ではなく代表者印とする。

 【様式2】 
 ☑平成24年度補正~平成26年度補正ものづくり補助金に応募したことがある場合は、その時の受付番号を記入する。応募したことがあるのに記入がない場合、虚偽記載となる。

 《(1)応募者の概要等》
 ☑法人の場合は、法人番号を忘れずに記入する。自社の法人番号が解らなければ、「国税庁法人番号公表サイト」で検索できる。
 ☑代表者の役職および氏名欄は、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑補助事業の実施場所が本社所在地と異なる場合は、「補助事業の実施が本社の所在地と異なる場合の実施場所」に住所を記入する。申請書の提出先は、補助事業の実施場所がある都道府県の中小企業団体中央会となる。なお、採択された後、交付申請の段階で補助事業の実施場所を変更することは、原則としてできない。仮にこれが許されてしまうと、採択率が都道府県によって若干異なっていることから、公募は採択率が高い都道府県で行い、交付申請時に採択率が低い都道府県に補助事業の実施場所を移す、といったことができてしまう。
 ☑主たる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。
 ☑創業・設立日は、登記簿謄本の会社設立の年月日と一致させる。
 ☑株主等一覧表の右上の日付を、【様式1】の右上の日付(提出日)以前とする。
 ☑株主等一覧表の出資比率の合計が100%となるようにする。
 ☑役員一覧に記載する役員は、登記簿謄本と一致させる。監査役も忘れずに記入する。
 ☑経営状況表の数値は、損益計算書と一致させる。

 《(2)事業内容》
 ☑事業計画名、事業計画の概要は、採択後にHPで公表される可能性がある(過去の事例を見ると、事業計画名は公表されている)。審査員に伝わるよう解りやすく書く必要はあるものの、あまり具体的に書きすぎるとノウハウの流出につながる恐れもあるため注意する。
 ☑本事業で取り組む対象分野となる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。(1)応募者の概要等で記入した業種=会社全体の業種と異なっていてもよい。
 ☑事業類型は、「一般型」、「小規模型(試作開発等)」、「小規模型(設備投資のみ)」、「高度生産性向上型(IoT)」、「高度生産性向上型(最新モデル)」の5つのうち1つだけを選択する。
 ☑事業計画は、補助事業単独ではなく、会社全体の数字で作成する。以下にサンプルを掲載した。余白に金額の単位を補記しておく。この表においては、経営革新計画に倣い、経常利益=営業利益-営業外費用で計算する(営業外収益は加算しない)。したがって、損益計算書の金額とは必ずしも一致しない。計算式が色々と複雑なため、フォーマット(Dropbox)を用意した。黄色セルを入力すれば、残りのセルは自動計算されるようにしてある。
ものづくり補助金事業計画(例)

ものづくり補助金事業計画(フォーマット)

 ☑革新的サービスの場合、付加価値額が年平均3%以上、経常利益が年平均1%以上増加するような計画とする。例えば5年計画の場合、5年後の付加価値額が直近期末に比べて3%×5年=15%以上、経常利益が直近期末に比べて1%×5年=5%以上増加していなければならない。
 ☑高度生産性向上型の場合、投資利益率(上表の4年後の列の一番下)が5%以上となるような計画とする(投資利益率=2年後~4年後の「営業利益+減価償却費」の増加額の平均÷1年後の設備投資額。設備投資額=本補助金によって導入予定の機械装置の価格)。
 ☑単に上表を完成させるだけでなく、数値の根拠を明記する(添付資料としても可)。

 《(3)これまでに補助金または委託費の交付を受けた実績説明(申請中の案件を含む)》
 ☑申請時点から過去5年間の補助金・委託費の実績を記入する。補助金・委託費の実績があるのに故意に記入しなかった場合は虚偽記載となる。

 《(4)経費明細表》
 ☑冒頭の表の通り、事業類型ごとに使用可能な費目が決まっているため、それ以外の費目は使用しない。
 ☑一般型、高度生産性向上型は、単価50万円(税抜き)以上の機械装置費が必須である。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、機械装置費に最新モデル以外の機械装置を含めてはならない(例えば、本体は最新モデルであるが、オプションが旧モデルの場合、オプションは補助対象とはならないので要注意)。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、ここで言う「モデル」とは、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則で言うところの「型式」のことである。型式があるということは規格品であり、したがって、型式のないカスタマイズされた機械装置は補助対象外である。
 ☑一般型、高度生産性向上型の場合、機械装置費以外の補助金は500万円が上限である。
 ☑外注加工費と委託費の補助対象経費の合計は、補助対象経費総額の2分の1以下とする。
 ☑委託費に含める間接経費または一般管理費は、直接経費の10%を限度とする。
 ☑知的財産権等関連経費の補助対象経費は、補助対象経費総額の3分の1以下とする。
 ☑技術導入費、外注加工費、委託費、専門家経費は、同一の法人・個人に支出できない。
 ☑専門家経費(謝金、旅費)には上限が定められているため、公募要領を参照のこと。
 ☑(A)事業に要する経費(税込み)には消費税込みの金額を、(B)補助対象経費(税抜き)には消費税抜きの金額を記入する。海外から輸入するなど消費税がかからない場合は、(A)=(B)としてよい。その際、積算基礎欄にもその旨を記載する。
 ☑汎用性があり、目的外使用になりうるもの(例:事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機など)は補助対象外である。たとえ、タブレットやサーバなどが今回の補助事業専用に使用するものであっても不可である。その他、補助対象外となる経費については、公募要領を参照のこと。
 ☑各費目の(C)補助金交付申請額の欄には、(B)補助対象経費(税抜き)の3分の2以内の金額を記入する。1円未満は必ず切り捨てる。
 ☑計算上、(C)補助金交付申請額が0円となる場合は、当該費目の(A)事業に要する経費(税込み)、(B)補助対象経費(税抜き)を計上することはできない((A)~(C)全て空白とする)。
 ☑(A)、(B)、(C)の合計が合っているか確認する。また、(C)の金額が事業類型ごとに定められた上限額と下限額の範囲内に収まっているかも確認する。
 ☑積算基礎欄には、購入する物件の単価(税込み)、数量を記入する。可能であれば、購入予定のメーカー名、技術指導者・専門家名も記入する。

 《(5)資金調達内訳》
 ☑以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」で書いたように、ものづくり補助金は事後精算のため、補助金を受領するまでの間、つなぎ融資が必要である。自己資金で賄う場合は問題ないが、金融機関から借り入れる場合は必ず金融機関と交渉しておく。「取引銀行にこれからお願いする予定」程度の柔らかい話ではNGである。なお、無事に採択されて将来的に補助金をほぼ確実に受領できると解っている場合でも、金融機関が融資に応じないケースが稀にあると聞く。金融機関は、補助事業だけでなく会社全体の財務状況、返済状況、融資枠などを見て総合的に判断するためであるらしい。

 《(6)その他》
 (※ここは特に注意点はなし)

 【様式1、様式2】
 ☑ページ最下部中央に必ず通しページを記入する。

 【認定支援機関確認書】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑認定支援機関の印は、角印ではなく代表者印とする。
 ☑全国の認定支援機関は、「認定経営革新等支援機関 活動状況検索システム」(中小企業基盤整備機構)で検索することができる。普段自社と取引のある金融機関、税理士はたいてい認定支援機関となっているため、まずは金融機関、税理士に相談するとよい。

 【機械装置費に関する追加書類】
 ☑機械装置を購入する場合、有効期限が2016年6月以降の見積書、カタログ、パンフレットを提出する。単価50万円(税抜き)以上の機械装置を購入する場合は、入手価格の妥当性を証明できるよう、自社と資本関係にない2社以上の相見積を取得する。子会社、関連会社からの調達は認められない。また、相見積とは、Aという製品について代理店Xと代理店Yから見積書を取得することであり、製品Aと、Aと機能的に類似する製品Bの見積書を取得することではない。相見積が取れない場合は、業者選定理由書(書式自由)を提出する。
 ☑「業者選定理由書」は書式自由となっているが、過去のものづくり補助金で各都道府県事務局が用意した雛形がある。例えば、大阪府中小企業団体中央会のページからダウンロードできるWordの<参考様式7>を利用するとよい(左上は提出先の都道府県の中小企業団体中央会宛てとする)。なお、選定理由としては、技術的な理由、その企業からでなければ調達できない理由を書く。「見積を取る時間がない」、「古くから取引がある」などはNGである(神奈川県中小企業団体中央会「平成26年度補正ものづくり補助金 業者選定理由書の注意点」を参照)。

 (※)2016年6月までの有効期限というのは、採択発表時期を意識してのことだろう。だが、その後の交付申請では、交付申請時点で有効な見積書が必要となる。さらに言えば、最後の実績報告時に、発注時点で有効な見積書を提出しなければならない。したがって、何度も見積書を取り直す手間を省くために、機械メーカーには見積有効期限を長めに設定してもらうとよい(期限を「次回見積まで」、「成り行き」などとするのが最も簡単である)。

 ☑事業類型「高度生産性向上型(最新モデル)」を選択した場合は、最新モデルであることを証明する書類を提出する。この点だけは私もよく理解できていないのだが、このルールは「生産性向上設備投資税制」に倣ったものと思われる。だとすると、例えば工作機械については、一般社団法人 日本工作機械工業会に、ソフトウェアについては一般社団法人 情報サービス産業協会依頼すれば、証明書を発行してくれるのかもしれない。


2015年02月16日

「ものづくり補助金」平成26年度補正と平成25年度補正の違い


 平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」の申請書の書き方に関する記事を、2015年2月2日(月)~6日(金)にかけて順次公開しました。昨年に比べて内容を充実させましたので、こちらもご一読いただければ幸いです。

 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 経済産業省関連の補助金は、エコカー補助金のように、申請が通ればすぐにもらえる補助金とは全く異なります。一言で言えば、事務・経理処理が非常に大変です。主な留意点をまとめましたので、ご参照ください。

 【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない
 【補助金の現実(2)】補助金の会計処理は、通常の会計処理よりはるかに厳しい
 【補助金の現実(3)】補助金=益金であり、法人税の課税対象となる
 【補助金の現実(4)】《収益納付》補助金を使って利益が出たら、補助金を返納する必要がある
 【補助金の現実(5)】補助金の経済効果はどのくらいか?
 平成26年度補正予算「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス革新補助金)」の公募が2月13日(金)から開始された。東京都中小企業団体中央会のHPに掲載されている公募要領に基づいて、過去のものづくり補助金との違いを整理してみたい。

 (1)公募期間の長期化
 公募期間は2月13日(金)~5月8日(金)(※当日消印有効)となっている。平成24年度補正予算、平成25年度補正予算で実施されたものづくり補助金では、1次公募の中に1次締切と2次締切があり、1次締切がだいたい3月半ばに設定されていた。ところが、今回の1次公募は5月8日の1回しか締切がない。おそらく、採択結果が発表されるのは6月下旬だろう。

 以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」でも書いたように、採択されたからといってすぐに補助事業を始められるわけではない。採択された後、交付申請という手続きが必要となる。これが2か月ぐらいかかるので、補助事業が開始できるのは、8月下旬~9月上旬になる見込みである。補助事業の計画を立てる際には、この点に注意が必要だ。早くプロジェクトを始めたい企業としては、結構もどかしい。

 (2)事業類型の変更
 平成25年度補正予算のものづくり補助金には、以下の6つの類型があった。
 ①成長分野型&ものづくり技術(補助上限額:1,500万円)
 ②成長分野型&革新的サービス(同1,500万円)
 ③一般型&ものづくり技術(同1,000万円)
 ④一般型&革新的サービス(同1,000万円)
 ⑤小規模事業型&ものづくり技術(同700万円)
 ⑥小規模事業型&革新的サービス(同700万円)
 ※⑤⑥以外は単価50万円以上の設備投資が必須。

 一方、今回は以下の4つの類型に再整理されている。
 ①革新的サービス&一般型(補助上限額:1,000万円)
 ②革新的サービス&コンパクト型(同700万円)
 ③ものづくり技術(同1,000万円)
 ④共同設備投資(補助上限額:共同体で5,000万円〔500万円/社〕)
 ※②以外は単価50万円以上の設備投資が必須。

 主な変更点としては、以下の3つが挙げられる。
 ・補助上限額1,500万円の成長分野型がなくなった。
 ・ものづくり技術は設備投資が必須になった。
 ・共同設備投資という新たな類型が登場した(後述)。

 (3)「共同設備投資」という類型の追加
 新登場の「共同設備投資」とは、「事業に参画する事業実施企業により構成される組合などが事業管理者となり、複数の事業実施企業が共同し、設備投資により、革新的な試作品開発やプロセスの改善に取り組む」ケースである。考えられるのは、例えば水産加工業協同組合が、組合員である複数の水産加工会社が共同で使用する加工設備を導入する場合などであろう。もともとは別の補助金がこういうケースを扱っていたが、今回はものづくり補助金に統合された。

 しかも、従来の補助金では5社までの連携体しか認められなかったのに対し、今回は1社最大で500万円、共同体全体で5,000万円まで認められるので、6社以上の共同体も申請が可能になった点がセールスポイントだという。だが、こういう共同設備投資に対するニーズがどのくらいあるのかは、正直なところよく解らない。過去のものづくり補助金でも、連携体による申請は可能であったものの、公開されている採択企業一覧を見ると、連携体は1%もなさそうである。

 (4)「革新的サービス」の重視
 「ものづくり補助金」という名前がついていながら、公募要領に書かれた事業の目的が「国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため・・・」とあり、事業類型も「革新的サービス」が先頭に来ていることから、実はサービスがかなり重視されている。日本のサービス業は欧米に比べて生産性が低く、経済成長の足を引っ張っていることから、サービス業の生産性を何としても上げたいという政府・経済産業省の思惑が見て取れる。

 平成25年度補正予算のものづくり補助金では、言葉は悪いが「サービスなら何でもOK」だった。一方、今回は経済産業省が定める「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿ったサービス開発であることが要求されている。確かに、この取り組み自体は私も非常に重要だと思っている。しかし、どうもしっくりこない点が1つだけある。

 本来のものづくり補助金は、経済産業省が定める「特定ものづくり基盤技術」を強化して、中小企業が数多く集まる裾野産業の競争力を上げ、ひいては川下の産業の発展に寄与することが狙いであった。ところが、サービス業の生産性向上は、これとは文脈が全く異なる話である。それを同じ1つの補助金の中で扱おうというのは、ちょっと無理があるのではないだろうか?

 一番危惧されるのは、ガイドラインに挙げられている「サービスの生産性向上」のうち、「効率の向上」ばかりが注目されて、「サービス提供プロセスの改善」、「IT利活用」に該当する補助事業、もっと噛み砕いていえば、業務効率化のためのIT導入という補助事業での応募が殺到することである。これは果たして「ものづくり」と言えるのだろうか?

 (5)補助対象外事業の条件の厳格化
 これは今年からではなく、正確に言えば平成25年度補正予算のものづくり補助金の2次公募から実施されていることなのだが、金額に関するルールが厳しくなっている箇所がある。公募要領のp6を読むと、「『補助対象経費』の各区分など(機械装置費、外注加工費・委託費、知的財産権等関連経費および機械装置費以外の経費)に設定されている上限を超える補助金を計上する事業」は補助対象外であると明記されている。

 これは、①革新的サービス&コンパクト型において、総額50万円(税抜き)以上の機械装置費を計上する、②外注加工費と委託費の補助対象経費(税抜き)の和が、補助対象経費総額(税抜き)の2分の1を超える、③知的財産権等関連経費の補助対象経費(税抜き)が、補助対象経費総額(税抜き)の3分の1を超える、④機械装置費以外の補助金申請額(税抜き)の和が、500万円を超える場合には、事業内容に関わらず、一発でアウトになることを意味する。特に④は要注意である。昨年も④に引っかかって不採択になったケースが相当数あったと聞いている。

 (6)機械装置費(設備投資)の重視
 (2)とも関連するが、設備投資が不要なのは、革新的サービス&コンパクト型のみで、残りの類型は全て設備投資が必要となる。設備投資が重視されていることは、公募要領のp8を見ても解る。平成24年度補正予算、平成25年度補正予算のものづくり補助金では、最初の費目は原材料費であった。ところが、今回は機械装置費が先頭に来ている。

 (5)の④を裏返すと、機械装置費以外の補助金申請額(税抜き)の和は500万円以下にしなければならない、ということになる。よって、革新的サービス&一般型とものづくり技術で、満額の1,000万円をもらうためには、機械装置費で500万円、それ以外で500万円の補助金を申請する必要がある。政府・経済産業省は何とか設備投資に誘導しようとしているみたいだ。これは単純に、「民間の設備投資が進めばGDPが上がるから」というのが第一の理由だろう。

 また、中小企業が設備投資をすると、機械メーカーは下請の部品メーカーへの発注を増やし、部品メーカーはさらに下請の部品メーカーへの発注を増やし・・・というふうに波及効果が得られるので、経済が活性化するという考えもあるに違いない(この辺りについては、以前の記事「【補助金の現実(5)】補助金の経済効果はどのくらいか?」を参照)。これが委託費や専門家謝金では、委託先の職員や専門家の報酬に消えて終わりだから、波及効果が少ない。

 (7)特定ものづくり基盤技術に「デザイン」を追加
 経済産業省では、日本の製造業の国際競争力強化に特に資する技術を指定している。ものづくり技術の類型で応募する際には、基盤技術と関連性のある試作開発であることが要求される。この基盤技術は2月9日(月)に見直しがあり、新たに「デザイン」が追加された。デザインにかかる技術は、公募要領のp27で次のように定められている。

 「製品の審美性、ユーザーが求める価値、使用によって得られる新たな経験の実現・経験の質的な向上などを追求することにより、製品自体の優位性のみならず、製品と人、製品と社会の相互作用的な関わりも含めた価値想像に繋がる総合的な設計技術」

 機能だけで製品を差別化することが難しく、これからはデザインが差別化要因になるという傾向を踏まえてのことだろう。だが、デザインにかかる技術だけで今回のものづくり補助金に応募することは多分できない。というのも、公募要領p6の補助対象外事業として、②主たる技術的課題の解決方法そのものを外注または委託する事業、③試作品等の製造・開発の全てを他社に委託し、企画だけを行う事業、が挙げられているからである。デザインだけを自社で行い、開発は外部に丸投げというパターン(いわゆるファブレス)は、補助事業の要件を満たさない。

 (8)「クラウド利用費」という費目の追加
 今回の最も大きな変更点は、これではないだろうか?補助対象経費として、「クラウド利用費」が追加された。公募要領を読むと、どうやら「ソフトウェア会社が、既に市販されているクラウド型のアプリケーションをカスタマイズして、オリジナルのクラウドサービスを開発する」というケースが想定されているようである。その際の、

 ・アプリケーション、サーバの利用料
 ・アプリケーションのカスタマイズ費
 ・専用アプリケーションの利用マニュアルの作成費

などが補助対象となる。マニュアル作成費については、「紙面、CD-ROM、DVD、ネット等の提供媒体の種類にかかわらず、400字につき3,000円を限度とする。また、この金額にはSEなどの人件費相当額を含むものとする」(公募要領p31)など、細かく規定されている。ただ、アプリ開発を外部に依頼する場合に、わざわざマニュアル作成費を別項目で見積もってくれるソフトウェア開発会社は少数派であろう。普段の取引ではそれでも問題ないが、ものづくり補助金に関しては、マニュアル作成費を別項目で切り出すように地域事務局から指導が入る可能性がある。

 「アプリケーションのカスタマイズ費」も「クラウド利用費」に入れてよいということだから、例えばある会社がクラウド型サービスの企画だけをやって、開発は外部のITベンダーに任せたとしても、その費用は全て「クラウド利用費」に計上できてしまう。ところが、(7)の②③で述べたように、技術的課題の解決を外部に丸投げする事業は補助対象外である。技術的課題の解決を自社中心でやっていることを示すためには、直接人件費を必ず計上するなど、工夫が必要である。



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