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【関東経済産業局主催説明会】「中小企業等経営強化法」、「経営力向上計画」について(メモ書き)
「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)
平成27年度補正ものづくり補助金の概要について

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2016年08月04日

【関東経済産業局主催説明会】「中小企業等経営強化法」、「経営力向上計画」について(メモ書き)


中小企業等経営強化法

 2016年7月1日より「中小企業等経営強化法」が施行された。本法の目的は、労働力人口の減少、企業間の国際的な競争の活発化などの経済社会情勢の変化に対応し、中小企業・小規模事業者・中堅企業の経営強化を図るため、事業所管大臣が事業分野ごとに指針を策定するとともに、当該取組を支援するための措置などを講ずることにある。具体的には、事業分野別に策定される指針に基づいて、自社の「経営力向上計画」を作成し、事業分野別の主務大臣の認定を受けると、固定資産税の軽減や金融支援などの特例措置を受けることができる。

 関東経済産業局が主催する説明会に参加してきたので、その時の内容を整理しておく。

 《受けられる特例措置》
 ①固定資産税の軽減
 2016年7月1日から2019年3月31日までに、生産性を高めるための機械装置を取得した場合、その翌年度から3年度分の固定資産税が1/2に半減される。

 <生産性を高めるための機械装置>
 (1)販売開始から10年以内のもの。
 (2)旧モデル比で生産性(単位時間あたりの生産量、精度、エネルギー効率など)が年平均1%以上向上するもの。
 (3)160万円以上の機械および装置であること。

 <優遇措置を受けるまでの流れ>
 (1)機械装置メーカーを通じて、工業会に対して「証明書」の発行を依頼する(証明書が発行されるまでには、数日~2か月ほどかかる)。
 (2)「経営力向上計画」(実質2枚)を作成し、「証明書」を添付して、自社の事業分野を所管する省庁の窓口に提出する(提出先が不明な場合は、中小企業庁のコールセンター(03-3501-1957)で確認するとよい)。
 (3)担当省庁が計画の内容を審査し、主務大臣名で認定する。認定までの標準処理期間は30日(計画に記載された事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合は45日)である。書類に瑕疵がなければ、おおよそこのぐらいの期間で認定される。ただし、公的機関に提出する書類は、誤字・脱字などがあるだけで突き返されので、慎重に作成すること。
 (4)計画の認定を受けたら、機械装置メーカーから機械装置を取得する。
 (5)機械装置を取得した年度の翌年度から3年間、固定資産税が1/2となる。取得した年度の固定資産税は1/2とはならない。

 <7月1日以降、既に機械装置を取得した場合の救済措置>
 (1)取得日から60日以内に「経営力向上計画」が受理されれば、優遇装置を受けられる。そのためには、取得日から60日以内に工業会から「証明書」を発行してもらい、瑕疵のない「経営力向上計画」を作成して提出する必要がある。

 <機械装置に関する注意点>
 (1)固定資産税の軽減を受けられるのは、「租特税法」の中小企業者および中小企業者である。すなわち、会社および資本または出資を有する法人であれば、資本金または出資の総額が1億円以下、資本または出資を有しない者であれば、従業員数1,000人以下の者が対象となる(通常の中小企業の定義とは異なる)。
 (2)「生産性向上設備投資促進税制」のA類型とは異なり、「最新モデル」要件はない
 (3)「生産性向上設備投資促進税制」のA類型では、機械および装置、器具および備品、工具、建物附属設備、建物、ソフトウェアが対象とされているが、「中小企業等経営強化法」では機械および装置のみが対象である。
 (4)「取得」した時点とは、納品された時点ではなく、検収された時点を指す。
 (5)中古品、設備の修繕は対象外である。
 (6)機械装置メーカーが新事業を開始した場合など、比較すべき旧モデルが全くない新製品の場合は、原則として同一メーカー内における類似製品との比較を行う。それでも難しい場合は、10年以内に販売されたことのみを要件とする。
 (7)自ら製作して固定資産計上する設備やオーダーメイド品も対象となる。ただし、その場合は、機械装置を製作・オーダーメイドした企業が、工業会に対して、当該機械装置が生産性を年平均1%以上向上させるものであることを証明する必要がある。したがって、通常よりも「証明書」の発行に時間がかかると思われる。
 (8)生産性指標については、単一の指標で年平均1%以上の向上が要求される。例えば、エネルギー効率が年平均0.5%向上し、単位時間あたり生産性が年平均0.5%向上するので、合計すれば年平均1%向上するなどと主張することはできない。
 (9)<優遇措置を受けるまでの流れ>では、「経営力向上計画」の認定を受けてから機械装置を取得する場合を説明したが、仮に機械装置を取得してから「経営力向上計画」を提出した場合、「経営力向上計画」に瑕疵があって審査が長引き、認定が年度をまたいでしまうと、固定資産税の減額期間が3年ではなく2年になるため、注意が必要である。
 【例】
 (ⅰ)通常の手続きをした場合=2016年8月に工業会に「証明書」を依頼し、9月に取得。9月に「経営力向上計画」を提出し、10月に認定。その後、機械装置を発注し、12月末に検収を完了。
 ⇒2017年1月(固定資産税上の年度は1月が起点)からの3年間、固定資産税が軽減される。
 (ⅱ)イレギュラーな手続きをした場合=2016年8月に工業会に「証明書」を依頼し、9月に取得。9月に「経営力向上計画」を提出したが、書類に瑕疵があり審査が長期化。その間、機械装置を発注し、12月末に検収を完了。最終的に、計画の認定を受けたのは2017年1月だった。
 ⇒2017年度は固定資産税の軽減措置が受けられず、2018年度、2019年度のみ1/2となる。
 (10)「経営力向上計画」の認定を受けているからと言って、必ず固定資産税の軽減措置が適用されるとは限らない。最終的には、所轄の税務署が判断することとなる

 《受けられる特例措置》
 ②各種金融支援
 説明会では、話がもっぱら①固定資産税の軽減に集中してしまったため、②各種金融支援については項目のみ列挙する。詳細は、それぞれの金融機関などにお問い合わせいただきたい。金融支援を希望する場合は、「経営力向上計画」を提出する前に、まずは金融機関などに相談する。なお、①固定資産税の軽減の場合と同様に、「経営力向上計画」の認定を受けたからと言って、必ず金融支援が受けられるとは限らない。金融機関などによる審査が行われる
 (1)商工中金による低利融資
 (2)中小企業信用保険法の特例
 (3)中小企業投資育成株式会社法の特例
 (4)日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
 (5)中小企業基盤整備機構による債務保証
 (6)食品流通構造改善促進機構による債務保証

 以下雑感。国の狙いは、設備投資の促進にあると考えられる。平成27年度の補正予算で実施された「ものづくり補助金」が、もっぱら設備投資を補助対象としていた流れを踏襲している。設備投資が増えればGDPに反映されるため、政府としては何が何でもGDPを増やしたいのだろう。ただ、思うに、現在の日本は未だデフレを脱却したとは言いがたい。デフレとは、簡単に言えば供給過剰、需要不足である。この状態で安直に設備投資を増やすと、供給過剰を加速させてしまう。需要サイドの手を打たないと、いつまで経ってもアベノミクスは成就しない。

 ただ、私の心配は杞憂に終わる可能性もある。固定資産税の税率は、東京都の場合1.4%である(2016年度)。1,000万円の機械装置に対しては14万円の税金がかかる。「経営力向上計画」が認定されると、固定資産税が半額の7万円になる。軽減措置は3年間続くから、合計で21万円の節税となる。ここで問題になるのは、「経営力向上計画」の作成に要する作業が21万円の節税に見合うかどうか?ということである。計画書は実質的に2枚とされているが、私などは、逆に自社の事業計画を2枚にまとめる方が難しいと思ってしまう。

 近年、経済産業省は、中小企業、とりわけ小規模事業者が補助金や助成金などを利用しやすくするために、申請書を簡素化する方向にある。ものづくり補助金や創業補助金などは、以前に比べて公募書類の枚数が減った。ところが、経済産業省や中小企業庁などが作成したフォーマット通りに書いて採択される企業はほとんどなくて、採択された企業はいずれも、10~20ページの事業計画を作成していると聞く。数百万~数千万単位のお金を動かそうとすれば、どうしてもそのぐらいのボリュームになるのが普通ではないかと考える。

 「経営力向上計画」は節税効果のみなので、ものづくり補助金などと単純比較はできないのだろうが、千万円単位の設備投資をするという点では共通している。その規模の設備投資が妥当であることを説明するには、やはり10~20ページぐらい必要である。だが、説明会で担当者が口を酸っぱくして言っていたのは、「経営力向上計画」は2枚にまとめてほしいということだった。審査でふるいにかける補助金とは異なり、できるだけ多くの企業を認定したいから、数をさばけるように枚数を減らしてくれというのが本音なのだろう。そうすると、企業側には、ただでさえ作成が大変な10~20ページ分の内容を2枚にまとめるという、高度な文書作成能力が要求される。

 先ほど1,000万円の設備投資の例を挙げたが、その場合の節税効果は21万円である。21万円を浮かせるためにこれだけの作業が必要なのであれば、私が社長ならやらない。書類作成に取り組むよりも、設備導入後の事業化に向けて尽力した方が得策であると思う。仮に、設備投資額を5,000万円に引き上げると、節税効果は105万円となる。そのぐらいの効果があれば、ようやく計画書を作ってもよいかもしれないと感じる。しかし、中小企業で5,000万円の設備投資ができるほどの体力があるところは、果たしてどのくらいあるだろうか?

 最後に、「経営力向上計画」を作成するにあたっては、「ローカルベンチマーク」を活用していただきたい、ということであった。ローカルベンチマークのツールを使用すると、自社の主要な財務指標を知ることができる。また、経営者のビジョン、ステークホルダーとの関係、事業を取り巻く環境、社内の管理体制という4つの視点で、非財務情報を入力する欄がある。元々、ローカルベンチマークは、「経営力向上計画」のために開発されたものというよりも、中小企業と金融機関などがより一層対話を深めるために開発されたという要素が強い。

 ただ、公開されているツールの中身を見ると、金融機関の審査担当者であれば、担当する顧客企業に関して絶対に知っておくべきことばかりであるように見えた。それを敢えて「ローカルベンチマーク」という形でツール化しなければならなかったということは、金融機関の審査担当者の目利き力が相当弱っていることの証左なのではないだろうか?


2016年02月07日

「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」申請書の書き方(細かい注意点)


工場

 2016年2月5日(金)より、「平成27年度補正ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」の公募が開始された。公募要領に「革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援」すると書かれている通り、今回のものづくり補助金は従来と異なり、設備投資に対する補助が中心である。試作開発を行いたい場合は、下記の「小規模型」を選択する。なお、この「小規模型」は、対象が小規模事業者(商業・サービス業では従業員5人以下、製造業その他では従業員20人以下)に限定されるということではなく、補助金の額が小規模であるという意味である。

 事業類型 補助対象経費 補助率 補助上限額
 (下限額)
 一般型 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 1,000万円
 (100万円)
 小規模型 機械装置費
 原材料費(※)
 技術導入費
 外注加工費(※)
 委託費(※)
 知的財産権等関連経費(※)
 運搬費
 専門家経費
 クラウド利用費(※)
 (※は設備投資のみの場合
 対象外)
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 500万円
 (100万円)
 高度生産性 
 向上型
 機械装置費
 技術導入費
 運搬費
 専門家経費
 補助対象経費の 
 3分の2以内
 3,000万円
 (100万円)

 今回新たに追加された「高度生産性向上型」は、「IoTなどを用いた設備投資」によって生産性を向上させる取り組みを支援するものである。「IoTなどを用いた設備投資」とは、「IoTを用いた設備投資」、「最新モデルを用いた設備投資」のいずれかを指す。「最新モデルを用いた設備投資」とは、各メーカーの中で、下記のいずれかのモデルを用いた設備投資を行うことを言う。

 ①一定期間内(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具:6年以内、ソフトウェア:5年以内)に販売が開始されたもので、最も新しいモデル。
 ②販売開始年度が取得などをする年度およびその前年度であるモデル(当該年度に販売が開始されたものであれば、その販売時期は問わない)。

 単に最新モデルの工作機械を導入するだけでも「IoTなどを用いた設備投資」に該当するわけで、これのどこがIoTなのか?と疑問に思うのだが、どうも役人の考えていることはよく解らない。

 募集期間は2月5日(金)~4月13日(水)(※当日消印有効)。採択結果の発表は6月中とされている。補助事業実施期間は、交付決定後から2016年12月31日(土)まで(小規模型の場合は2016年11月30日(水)まで)である。以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」でも書いたが、採択後すぐに補助事業を開始できるわけではない。交付申請という2回目の審査を受ける必要がある。過去の事例からして、交付申請を行ってから交付決定が下りるまでには約1か月かかる。

 だから、採択後すぐに交付申請を行っても、補助事業が開始できるのは早くて7月中である。一方、補助事業の終了は12月31日(土)(小規模型の場合は11月30日(水))に設定されているから、今回は超短期決戦を覚悟しなければならない。とりわけ、小規模型で試作開発をする場合、使える時間はわずか4か月ほどである。この期間で試作品を完成させるのは至難の業だろう。だから、例えば試作開発プロジェクトを技術課題ごとに3つのフェーズに分けて、今回の補助金ではフェーズ1の達成を目標とするなど、一工夫が必要かもしれない。
 【重要な注意点】《2016年2月24日追記》
 上記の通り、今回は補助事業実施期間が非常に短い。だが、期間内に機械装置を購入して、代金を支払えばそれで十分というわけではない点には注意が必要だ。機械装置を導入した後、ある程度試運転を行い、新製品を製造する必要がある。そして、生産工程がどの程度短縮されたのか、品質や精度がどの程度向上したのかなど、定量的な成果を報告しなければならない。

 機械装置は発注から納品まで数か月かかるのが通常である。しかし、採択企業からの発注が特定の機械メーカーに集中した場合、納期が延びる恐れがある。すると、上記の補助事業期間中に機械装置が納入されないという、重大な問題が発生することも考えられる。機械メーカーとは事前に十分協議をすることをお勧めする。
 《参考記事》
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)

 申請書の具体的な書き方については上記の過去記事を参考にしていただくとして、今回の記事では形式的な細かい注意点を整理しておきたいと思う。何分、非常に多くの応募が予想されるため、形式要件を満たさない申請書は足切りされることが十分に予想される。せっかく質の高い事業計画をまとめたのに、つまらないミスで不採択になるのは避けたいところだ。

 【様式1】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の受付番号は空白とする(受付番号は事務局が採番する)。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑応募者欄のうち、代表者役職・氏名の欄については、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑応募者欄の印は、角印ではなく代表者印とする。

 【様式2】 
 ☑平成24年度補正~平成26年度補正ものづくり補助金に応募したことがある場合は、その時の受付番号を記入する。応募したことがあるのに記入がない場合、虚偽記載となる。

 《(1)応募者の概要等》
 ☑法人の場合は、法人番号を忘れずに記入する。自社の法人番号が解らなければ、「国税庁法人番号公表サイト」で検索できる。
 ☑代表者の役職および氏名欄は、代表者役職を忘れずに記入する。
 ☑補助事業の実施場所が本社所在地と異なる場合は、「補助事業の実施が本社の所在地と異なる場合の実施場所」に住所を記入する。申請書の提出先は、補助事業の実施場所がある都道府県の中小企業団体中央会となる。なお、採択された後、交付申請の段階で補助事業の実施場所を変更することは、原則としてできない。仮にこれが許されてしまうと、採択率が都道府県によって若干異なっていることから、公募は採択率が高い都道府県で行い、交付申請時に採択率が低い都道府県に補助事業の実施場所を移す、といったことができてしまう。
 ☑主たる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。
 ☑創業・設立日は、登記簿謄本の会社設立の年月日と一致させる。
 ☑株主等一覧表の右上の日付を、【様式1】の右上の日付(提出日)以前とする。
 ☑株主等一覧表の出資比率の合計が100%となるようにする。
 ☑役員一覧に記載する役員は、登記簿謄本と一致させる。監査役も忘れずに記入する。
 ☑経営状況表の数値は、損益計算書と一致させる。

 《(2)事業内容》
 ☑事業計画名、事業計画の概要は、採択後にHPで公表される可能性がある(過去の事例を見ると、事業計画名は公表されている)。審査員に伝わるよう解りやすく書く必要はあるものの、あまり具体的に書きすぎるとノウハウの流出につながる恐れもあるため注意する。
 ☑本事業で取り組む対象分野となる業種には、日本産業分類の中分類を記入する。必ず、「2桁の中分類コード+中分類名」という形式で記入する。(1)応募者の概要等で記入した業種=会社全体の業種と異なっていてもよい。
 ☑事業類型は、「一般型」、「小規模型(試作開発等)」、「小規模型(設備投資のみ)」、「高度生産性向上型(IoT)」、「高度生産性向上型(最新モデル)」の5つのうち1つだけを選択する。
 ☑事業計画は、補助事業単独ではなく、会社全体の数字で作成する。以下にサンプルを掲載した。余白に金額の単位を補記しておく。この表においては、経営革新計画に倣い、経常利益=営業利益-営業外費用で計算する(営業外収益は加算しない)。したがって、損益計算書の金額とは必ずしも一致しない。計算式が色々と複雑なため、フォーマット(Dropbox)を用意した。黄色セルを入力すれば、残りのセルは自動計算されるようにしてある。
ものづくり補助金事業計画(例)

ものづくり補助金事業計画(フォーマット)

 ☑革新的サービスの場合、付加価値額が年平均3%以上、経常利益が年平均1%以上増加するような計画とする。例えば5年計画の場合、5年後の付加価値額が直近期末に比べて3%×5年=15%以上、経常利益が直近期末に比べて1%×5年=5%以上増加していなければならない。
 ☑高度生産性向上型の場合、投資利益率(上表の4年後の列の一番下)が5%以上となるような計画とする(投資利益率=2年後~4年後の「営業利益+減価償却費」の増加額の平均÷1年後の設備投資額。設備投資額=本補助金によって導入予定の機械装置の価格)。
 ☑単に上表を完成させるだけでなく、数値の根拠を明記する(添付資料としても可)。

 《(3)これまでに補助金または委託費の交付を受けた実績説明(申請中の案件を含む)》
 ☑申請時点から過去5年間の補助金・委託費の実績を記入する。補助金・委託費の実績があるのに故意に記入しなかった場合は虚偽記載となる。

 《(4)経費明細表》
 ☑冒頭の表の通り、事業類型ごとに使用可能な費目が決まっているため、それ以外の費目は使用しない。
 ☑一般型、高度生産性向上型は、単価50万円(税抜き)以上の機械装置費が必須である。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、機械装置費に最新モデル以外の機械装置を含めてはならない(例えば、本体は最新モデルであるが、オプションが旧モデルの場合、オプションは補助対象とはならないので要注意)。
 ☑高度生産性向上型(最新モデル)の場合、ここで言う「モデル」とは、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則で言うところの「型式」のことである。型式があるということは規格品であり、したがって、型式のないカスタマイズされた機械装置は補助対象外である。
 ☑一般型、高度生産性向上型の場合、機械装置費以外の補助金は500万円が上限である。
 ☑外注加工費と委託費の補助対象経費の合計は、補助対象経費総額の2分の1以下とする。
 ☑委託費に含める間接経費または一般管理費は、直接経費の10%を限度とする。
 ☑知的財産権等関連経費の補助対象経費は、補助対象経費総額の3分の1以下とする。
 ☑技術導入費、外注加工費、委託費、専門家経費は、同一の法人・個人に支出できない。
 ☑専門家経費(謝金、旅費)には上限が定められているため、公募要領を参照のこと。
 ☑(A)事業に要する経費(税込み)には消費税込みの金額を、(B)補助対象経費(税抜き)には消費税抜きの金額を記入する。海外から輸入するなど消費税がかからない場合は、(A)=(B)としてよい。その際、積算基礎欄にもその旨を記載する。
 ☑汎用性があり、目的外使用になりうるもの(例:事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機など)は補助対象外である。たとえ、タブレットやサーバなどが今回の補助事業専用に使用するものであっても不可である。その他、補助対象外となる経費については、公募要領を参照のこと。
 ☑各費目の(C)補助金交付申請額の欄には、(B)補助対象経費(税抜き)の3分の2以内の金額を記入する。1円未満は必ず切り捨てる。
 ☑計算上、(C)補助金交付申請額が0円となる場合は、当該費目の(A)事業に要する経費(税込み)、(B)補助対象経費(税抜き)を計上することはできない((A)~(C)全て空白とする)。
 ☑(A)、(B)、(C)の合計が合っているか確認する。また、(C)の金額が事業類型ごとに定められた上限額と下限額の範囲内に収まっているかも確認する。
 ☑積算基礎欄には、購入する物件の単価(税込み)、数量を記入する。可能であれば、購入予定のメーカー名、技術指導者・専門家名も記入する。

 《(5)資金調達内訳》
 ☑以前の記事「【補助金の現実(1)】補助金は事後精算であって、採択後すぐにお金がもらえるわけではない」で書いたように、ものづくり補助金は事後精算のため、補助金を受領するまでの間、つなぎ融資が必要である。自己資金で賄う場合は問題ないが、金融機関から借り入れる場合は必ず金融機関と交渉しておく。「取引銀行にこれからお願いする予定」程度の柔らかい話ではNGである。なお、無事に採択されて将来的に補助金をほぼ確実に受領できると解っている場合でも、金融機関が融資に応じないケースが稀にあると聞く。金融機関は、補助事業だけでなく会社全体の財務状況、返済状況、融資枠などを見て総合的に判断するためであるらしい。

 《(6)その他》
 (※ここは特に注意点はなし)

 【様式1、様式2】
 ☑ページ最下部中央に必ず通しページを記入する。

 【認定支援機関確認書】
 ☑左上の宛先は、全国中小企業団体中央会と、書類を提出する都道府県の中小企業団体中央会の連名とする。
 ☑右上の日付は、平成28年4月13日以前とする。
 ☑認定支援機関の印は、角印ではなく代表者印とする。
 ☑全国の認定支援機関は、「認定経営革新等支援機関 活動状況検索システム」(中小企業基盤整備機構)で検索することができる。普段自社と取引のある金融機関、税理士はたいてい認定支援機関となっているため、まずは金融機関、税理士に相談するとよい。

 【機械装置費に関する追加書類】
 ☑機械装置を購入する場合、有効期限が2016年6月以降の見積書、カタログ、パンフレットを提出する。単価50万円(税抜き)以上の機械装置を購入する場合は、入手価格の妥当性を証明できるよう、自社と資本関係にない2社以上の相見積を取得する。子会社、関連会社からの調達は認められない。また、相見積とは、Aという製品について代理店Xと代理店Yから見積書を取得することであり、製品Aと、Aと機能的に類似する製品Bの見積書を取得することではない。相見積が取れない場合は、業者選定理由書(書式自由)を提出する。
 ☑「業者選定理由書」は書式自由となっているが、過去のものづくり補助金で各都道府県事務局が用意した雛形がある。例えば、大阪府中小企業団体中央会のページからダウンロードできるWordの<参考様式7>を利用するとよい(左上は提出先の都道府県の中小企業団体中央会宛てとする)。なお、選定理由としては、技術的な理由、その企業からでなければ調達できない理由を書く。「見積を取る時間がない」、「古くから取引がある」などはNGである(神奈川県中小企業団体中央会「平成26年度補正ものづくり補助金 業者選定理由書の注意点」を参照)。

 (※)2016年6月までの有効期限というのは、採択発表時期を意識してのことだろう。だが、その後の交付申請では、交付申請時点で有効な見積書が必要となる。さらに言えば、最後の実績報告時に、発注時点で有効な見積書を提出しなければならない。したがって、何度も見積書を取り直す手間を省くために、機械メーカーには見積有効期限を長めに設定してもらうとよい(期限を「次回見積まで」、「成り行き」などとするのが最も簡単である)。

 ☑事業類型「高度生産性向上型(最新モデル)」を選択した場合は、最新モデルであることを証明する書類を提出する。この点だけは私もよく理解できていないのだが、このルールは「生産性向上設備投資税制」に倣ったものと思われる。だとすると、例えば工作機械については、一般社団法人 日本工作機械工業会に、ソフトウェアについては一般社団法人 情報サービス産業協会依頼すれば、証明書を発行してくれるのかもしれない。


2016年01月06日

平成27年度補正ものづくり補助金の概要について


工場

 2015年12月18日に経済産業省が公表した平成27年度補正予算の資料によると、平成24年度補正から4年連続で「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)」が実施されるようだ。今回も平成26年度補正時とほぼ同額の予算(1,020.5億円)が計上されている。以前、官公庁関係者で補助金に詳しい人に話を聞いたところ、「同じ名前の補助金はだいたい3年で終わる」とのことだったので、今回の継続は意外であった。2017年4月には消費増税を控えているため、景気対策と銘打って平成28年度補正でもものづくり補助金が出るかもしれない。

 まだ公募要領も何も出ておらず、具体的な中身はよく解らないのだが、中小企業庁のHPにヒントとなる資料が1つアップされていた。「平成27年度補正予算「ものづくり・商業・サービス新展開支援事業」に係る事務局の募集を開始します」というページは、タイトルの通り補助金の事務局(事業計画の審査、補助金の支払い業務など、採択された中小企業の各種サポートを行う事務局。平成24年度補正~平成26年度補正ものづくり補助金では、全国中小企業団体中央会が受託)を公募するページである。その「公募要領」には次のような記載がある。
【補助対象経費と補助率】
 1.革新的サービス・ものづくり開発支援
  (1)一般型(補助上限1,000万円、補助率2/3以内)
   機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費
  (2)小規模型(補助上限500万円、補助率2/3以内)
   機械装置費、原材料費、技術導入費、外注加工費、委託費、
   知的財産権等関連経費、運搬費、専門家経費、クラウド利用費

 2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援(補助上限3,000万円、補助率2/3以内)
   機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費
 「1.革新的サービス・ものづくり開発支援」は従来から存在する類型である。これに対して、今回新たに加わったのが「2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援」であり、経済産業省の資料では「IoT等の技術を用いて生産性向上を図る設備投資等を支援」と書かれている。この場合は補助上限が3,000万円まで引き上げられる。

 「1.革新的サービス・ものづくり開発支援」の(1)一般型、「2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援」の補助対象経費を見ると、おそらく「設備投資のみ」が対象になると思われる。従来は(1)一般型の下に、さらに「試作開発+設備投資」と「設備投資のみ」という2つの類型があった。「試作開発+設備投資」を選択すると、試作開発に関連する様々な経費が補助対象となるのに対し、「設備投資のみ」を選択した場合は、対象費目が限定されるという違いがあった。上記で列挙されている経費は、従来の「設備投資のみ」で使用可能だった経費と一致する。

 個人的な印象だが、「試作開発+設備投資」の場合、導入する設備は試作用ということで小規模なものが選択されることが多い。量産に入ったら破棄しても構わないという小規模なものを購入する。量産段階になれば、量産用の大規模な設備を導入し直す(ただし、補助対象となるのは試作段階の設備のみであり、量産用設備は対象外)。他方、「設備投資のみ」の場合は、最初から量産を見据えて大規模な設備を導入する(1,000万円単位の工作機械など)。総じて、補助金と連動して動くお金は、補助対象費目が少ないにもかかわらず「設備投資のみ」の方が大きい。

 国としては、補助金の投入によってより多くのお金が動いてくれた方が景気の刺激になる。だから、「設備投資のみ」に誘導したい思惑があるのだろう。ところが、個人的に「設備投資のみ」には色々な問題があると感じている。その辺りは以前の記事「「新ものづくり補助金(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)」の運用改善に関する私案」、「「ものづくり補助金」の「機械装置費」に関する一考」でも書いた。簡単に言うと、「試作開発における技術的課題の解決を自社で主導的に行う企業を補助する」という補助金の目的に反して、課題解決を機械メーカーに丸投げしている企業が補助金を受け取ってしまう恐れがある、ということだ。

 今回は、「試作開発+設備投資」で1,000万円の補助金を受け取ることができないのかもしれない。「試作開発+設備投資」を行いたい場合は、「1.革新的サービス・ものづくり開発支援」の(2)小規模型を選択する。ただし、従来の小規模型は補助上限が700万円であったが、今回は500万円と減額されている。さらに、補助対象経費から直接人件費(常時雇用する社員の人件費)と雑役務費(試作開発のために臨時に雇用するパート・アルバイトの人件費)が外されている。ソフトウェア開発など、直接人件費がコストの大半を占めるIT企業にとっては非常に不利だ。

 最後に、今回追加された「2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援」について。最近注目のIoTに関連した類型である。経済産業省の資料では、「新たに航空機部品を作ろうとする中小企業が、既存の職人的技能をデータ化すると共に、データを用いて製造できる装置を配置」という例が挙げられている。だが、これはIoTでも何でもなく、ITを使った製造プロセス改善にすぎない。

 IoTはInternet of Things(モノのインターネット)というぐらいだから、顧客に納入される製品(モノ)自体にデータ収集の機能を持たせることが大前提となる。そして、そのデータを一元管理して、運用・保守サービスの最適化や、顧客の収益力向上に向けた提案を行うことが狙いである。経済産業省の例はIoTの定義に合致しない(この話を知り合いの中小企業診断士にしたら、「きっと『IoT等の技術を用いて・・・』の『等』に含まれる例なのだろう」と解説してくれた)。

 前述の通り、「2.サービス・ものづくり高度生産性向上支援」は「設備投資のみ」が認められると思われる。とはいえ、IoT関連の新製品開発が、設備投資だけで可能になるとは到底思えない。大規模なサーバを購入すればIoTが実現できるわけではない。データ収集・通信機能を組み込んだ新製品の試作に必要な原材料費、製品に組み込むソフトウェアを自社で開発するための直接人件費、インターネット上で稼働させる管理ソフトを協力会社に委託する際の外注加工費、データ収集・解析方法に関する知的財産権等関連経費など、様々な費目が必要になることは容易に想像がつく。先ほどの定義の話といい、どうも経済産業省の考えていることはよく解らない。



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