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【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について
「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京都城北エリア(板橋・練馬・荒川・台東・北)を中心に活動する中小企業診断士(経営コンサルタント、研修・セミナー講師)。2007年8月中小企業診断士登録。主な実績はこちら

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2016年11月25日

【平成28年度補正ものづくり補助金】賃上げに伴う補助上限額の増額について


給料

 平成29年度補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業補助金」の申請書の書き方に関する記事を公開しました。ご参考までに。

 ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(1)(2)
 《参考記事》
 「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(例)
 「ものづくり補助金」申請書の書き方(例)(平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新事業」)(1)(2)(3)(4)(5)

 平成28年度補正予算ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)の公募が11月14日から開始された(締切は2017年1月17日)。従来は賃上げへの取り組みを表明すると加点要素となったが、今回は賃上げへの取り組みにより、下表の通り補助上限額が引き上げられることとなった。ただし、全社員(雇用保険対象者)の賃金額、勤務地のほか、雇用保険被保険者証番号、氏名などの必要事項を全国事務局が採択決定後に用意するインターネット上のシステムに入力する必要があるなど、事務処理が大変になる。補助上限が最大で3倍になるのだから、それ相応の負担は覚悟せよということなのだろう。

平成28年度補正ものづくり補助金_類型・補助上限額

 補助上限の増額の要件は下記の通りだが、なかなか複雑なので、自分の理解を深めるためにも今回の記事で一度整理してみることにした。

平成28年度補正ものづくり補助金_雇用・賃金拡充への取組み

 【Ⅰ】まず、補助上限額が2倍となるのは、以下の3要件を全て満たす場合である。
事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間(6ヵ月間)を比較して、
 ①全社員の平均賃金を5%以上増加する。
 ②従業員の最低賃金グループの平均賃金を5%以上増加する。
 ③雇用者を維持・増加する。
 例えば、補助事業が2017年12月に完了する予定の場合は、2017年7~12月の6ヶ月間と、その1年前にあたる2016年7~12月の6ヶ月間を比較する。

 ①について、
 ・社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む。

 ・平均賃金は6ヶ月間の平均時間単価を採用する。平均時間単価は、賃金÷勤務時間で計算されるが、(a)賃金には通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外勤務手当、休日出勤手当、深夜勤務手当、賞与を含まない(ほぼ基本給と等しいと考えればよい)。賃金に時間外勤務手当などを含まないため、(b)勤務時間には残業時間を含めず、所定労働時間で計算する。

 ・事業終了時点から遡及した6ヵ月間と、前年同期間ともに在籍した社員の平均賃金を比較する。例えば、前年同月期にA、B、C、D、Eの5名が所属していた企業において、補助事業終了までにA、Bが退職し、F、Gが入社した場合は、C、D、Eの3名の平均賃金を比較する。

 ・上記の留意点に基づいて全社員の平均賃金を比較し、5%以上増加することが要件となる。平均賃金を計算するExcelのフォーマットを作成してみた。白抜きセルに入力すると、朱色のセルが自動計算される(社員数30名までに対応。それ以上の場合は行を追加してください)。パート、アルバイトは基本的に時給が決まっているため、本来は計算しなくてもよいのだが、例えば朝シフトと昼シフトで時給が異なる、月の途中で昇給するといったケースが考えられるため、賃金÷勤務時間で計算するようにしてある。なお、夜シフトの時給が深夜手当込みになっている場合などは、割増賃金相当分を控除する必要がある。
 >>平成28年度ものづくり補助金 賃上げ計算用Excel

平成28年度補正ものづくり補助金_賃上げ

 ②について、
 ・「最低賃金グループ」とは、社員のうち、賃金が低い下位10%の社員グループ(全社員数の10%相当)を指す。最低賃金グループを構成する人数の基準となるのは、実績確認期間の前年同期間における賃金が低い10%に位置する範囲であり、全社員数を10で割って小数点切上げにより算出する(例:社員数が1~10人の場合⇒1人、従業員数が11~20人の場合⇒2人)。

最低賃金グループ

 ・上記の例は社員数30名の場合を表している(以下同)。左表では平均賃金が高い順に並んでいる。最低賃金グループに所属するのは、30名÷10=3名であり、左表の従業員番号28、29、30の社員が該当する。補助事業が2017年10月に完了した場合、実績確認期間は2017年5~10月、前年同月期は2016年5~10月となる。従業員番号28、29、30の社員の平均賃金が右表のように変化した場合、3人の平均賃金の合計額が前年同月期より5%以上アップしているため、要件を満たす(従業員番号29よりも26、27の平均賃金が低くても問題ない)。

最低賃金グループ③

 ・最低賃金グループに属する平均賃金と同額の社員が複数いる場合は、その社員も最低賃金グループに含める。上記の例では、下位3名は従業員番号28、29、30であるが、従業員番号27の社員と従業員番号28の社員の平均賃金が同じであるため、従業員番号27の社員も最低賃金グループに含め、4人とする。

最低賃金グループ②

 ・上記の例では、公募時点では従業員番号28、29、30の3名を最低賃金グループとしていたが、補助事業期間中に社員に変動があった場合を表している。従業員番号28、29の社員が退職したことにより、比較対象となる最低賃金グループは、従業員番号28、29、30の3名ではなく、退職者を除く下位10%、すなわち、従業員番号26、27、30の3名となる。

 ③について、
 ・雇用者とは、①における社員と同義である(社員とは、本社、国内の支社・営業所・工場等のすべての雇用保険対象となる者を指す。契約形態は、正社員の他、雇用保険対象であるパート、アルバイト、契約社員(有期・無期を問わない)、非正規社員、出向者および嘱託員を含む)。雇用者の減少には、解雇の他、社員の定年退職や自発的離職者、契約満了も含むため、雇用維持の要件を満たすにはその分の人員補充が必要となる。

 【Ⅱ】【Ⅰ】に加えて、さらに補助上限額が1.5倍となるのは、次の条件を満たす場合である。
 ④社員の最低賃金グループの平均賃金を10%以上増加する。
 (※)ただし、前年同期間において最低賃金グループに属する社員のうち、平均賃金が時間給(時間換算額)で1,000円以上の者がいる場合は、④の増額要件の適用を受けることはできない。
最低賃金グループ

 ・上図のように、賃上げ後に平均賃金が1,000円を超えるのは問題ない。

最低賃金グループ②

 ・上図のように、公募時に想定していた最低賃金グループに属する社員が補助事業期間中に退職したことにより、最低賃金グループの構成が変更となった場合、その中に平均賃金が1,000円を超える者(従業員番号26の社員)がいると、要件を満たさなくなる。

2014年03月29日

「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(賃上げに関して)


 平成29年度補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業補助金」の申請書の書き方に関する記事を公開しました。ご参考までに。

 ものづくり補助金(平成29年度補正予算)申請書の書き方(1)(2)
 前回「「新ものづくり補助金(平成25年度補正)」申請書の書き方(例)」の続き。今回、申請者にとって悩みの種となっているのが、申請書の最後にある「人材育成・賃上げの実施状況について」という部分ではないだろうか?安倍首相の指示で、給与総額を上げた、または上げる企業・処遇改善に取り組む企業を審査時に加点することになっている。ただ、申請書には、以下のように書いてあるだけで、フォーマットが何も用意されていない。
 以下のいずれかの取組を行っている場合は、該当箇所に☑を付し、その内容を具体的に説明するとともに、研修の実施、賃金アップの比較等の証拠書類(源泉徴収票の写し、領収書、賃金台帳等)を添付書類として必要部数提出してください。(該当しない場合、記載する必要はありません。)

 □ ①企業による従業員向けの教育訓練費支出総額(外部研修費用、資格取得・技能検定の受験料、定時制高校や大学の授業料などに対する企業による補助総額)が給与支給総額の1%以上である企業

 □ ②以下のいずれも満たす賃上げを実施している企業
 ・平成25年の給与支給総額が、24年と比較して1%以上増加
 ・平成26年の給与支給総額を25年と比較して増加させる計画

 □ ③平成26年の給与支給総額を25年と比較して1%以上増加させる計画を有し、従業員に表明している企業
(東京都の申請書より抜粋)
 ①はエビデンスを用意するのがそれほど難しくないので、②を中心に説明したい。厄介なのは「給与支給総額」となっている点だ。極端なことを言えば、既存社員の給与はそのままでも、新しく社員を採用すれば、それだけでも給与支給総額は増える(逆に、社員が辞めてしまうと給与支給総額は減ってしまう)。そういう企業まで優遇するのは、安倍首相の意図に反するだろう。

 安倍首相の関心は、「社員1人1人の給与がちゃんと上がっているかどうか」にあるはずだ。そこで、平成24年度~平成26年度の3年間に渡り在籍している社員だけを抜き出して(途中で入社したり退職したりした社員を除いて)、それぞれの社員の給与の増加割合と、これらの社員の給与合計額の増加割合を示す、という方法を提案したい。具体的には、以下のような表を作成する。そして、平成24年度と平成25年度に関しては、各社員の給与のエビデンスとして、賃金台帳や源泉徴収票を添付する。社員数が多い企業は資料が膨大になるが、エビデンスがないと表を操作したのではないかとどうしても疑われてしまうため、面倒でもエビデンスをつけた方がよい。

新ものづくり補助金(賃上げの取り組み)

 ③の場合は、上記表の「平成24年度」の列を削除した表を作成する。「従業員に表明している」ことのエビデンスとしては、例えば経営陣が社員向けに説明した給与計画の資料に、社員代表の印鑑を押したものなどがあるとよい。単なる計画書だけでは、本当に社員に対して表明したかどうかが解らないため、社員代表の印鑑があることが重要であると考える。

 以上、私なりの考え方を書いてみたが、正直なところ、この賃上げの部分は曖昧な部分が多く、公平な審査ができるかどうか、やや疑問が残る。例えば、3年間で基本給は変わらないが、社員を馬車馬のように働かせて残業代だけが増えていく場合であっても、給与総額は増加したことになる。これでは、賃上げではなく、ブラック企業化の推奨になってしまうのではないか?また、売上減などに伴って休業を実施し、雇用調整助成金を受けていた年があると、翌年に元の給与に戻しただけで給与総額が大幅に上がってしまう。このように、いろいろと穴がある部分である。




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