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【平成25年度補正創業補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など
「創業支援事業」(平成25年度補正予算)と「地域創業促進支援事業」(平成26年度本予算)の違いについて
「開業率アップ」を掲げながら創業補助金には及び腰になった中小企業庁

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谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

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2014年11月10日

【平成25年度補正創業補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など


 平成25年度補正予算「創業補助金(創業促進補助金)」の6月30日締切分については、平成26年3月25日(火)から6月30日(月)までに7,649件の応募があり、外部審査委員会での審査を踏まえ、2,363件(創業2,290件、第二創業73件)の補助金交付先が決定した。採択率は30.9%と、平成24年度補正予算の創業補助金よりもかなり低い数字となった。

 「新ものづくり補助金(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)」と同様に、公開されているデータに基づいて、認定支援機関のランキングを作成してみた。が、新ものづくり補助金は比較的特定の認定支援機関に件数が集中していたのに対し、創業補助金では認定支援機関がかなり分散していることが解った。表をブログに貼りつけると相当長くなってしまうため、後述のURLからエクセルをダウンロードしてご確認いただきたい。

 以前の記事「平成27年度経済産業省概算要求 中小企業関連政策のポイント」で述べたように、来年度は本予算で創業補助金が実施される見込みである。補助金の利用を検討されている方は、エクセルに記載されている認定支援機関に相談するとよいだろう。

《2014年11月12日追記》
 認定支援機関が分散しているように見えたのは、新ものづくり補助金の公開データとは異なり、創業補助金の公開データには金融機関の支店名が含まれているためだった。そこで、支店名をエクセルの関数で自動削除して、集計をやり直した(同時に、明らかに同じ会計事務所と思われるものや、表記が全半角混在しているものなども、手作業で補正した。大変だった・・・)。

 集計し直すと、10件以上採択されている認定支援機関が全部で36あった。信用金庫が多いのは当然の結果だろう。その中でも名前が光るのが、「ユナイテッド・アドバイザーズグループ」の一員である「ユナイテッド・アドバイザーズ税理士法人」だ。ユナイテッド・アドバイザーズグループは、弁護士、税理士、会計士、社労士、司法書士、行政書士、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーが常駐してワンストップサービスを提供している。


創業補助金(平成25年度補正予算)_認定支援機関ランキング

 《参考》
 【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募1次締切】
 【平成25年度補正新ものづくり補助金】採択件数が多い認定支援機関一覧(都道府県別)など【1次公募2次締切】
 新ものづくり補助金(1次公募1次締切)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)
 新ものづくり補助金(1次公募2次締切)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)

 《ダウンロードURL》
 創業補助金(最終締切分)認定支援機関分析結果(旧ブログサーバ、右クリックで保存)
 《エクセルに含まれるシート》
 ・都道府県別採択数
 ・都道府県別採択数、構成比、採択数÷企業数
 ・都道府県別採択数Top10/Worst10
 ・都道府県別採択数÷企業数Top10/Worst10
 ・認定支援機関別採択数
 ・都道府県・認定支援機関別採択数
 ・採択事業一覧(創業・第二)

《2014年11月12日追記》
 集計し直したエクセルは下記リンクよりダウンロード可能。シートの構成は上記と同じ。
 創業補助金(最終締切分)認定支援機関分析結果(修正版)(旧ブログサーバ、右クリックで保存)


 上記エクセルより、都道府県別の採択数Top10とWorst10を掲載しておく。Top10を見ると、福岡県がかなり頑張っている。エクセルをご覧いただくと解るが、認定支援機関別の採択数ランキングの上位には、福岡県の認定支援機関がいくつかランクインしている。

都道府県別採択数Top10・Worst10

《2014年11月12日追記》
 Top10、Worst10と言わず、全都道府県のデータをグラフ化してみた。東京都だけ件数が488件と突出しているので、途中でグラフを省略した点はご了承いただきたい。

創業補助金(平成25年度補正予算)_都道府県別採択数ランキング

 もう1つ、都道府県別に見た「採択数÷企業数」のTop10とWorst10も掲載。これは、各都道府県の採択数を、その都道府県の企業数で割ったものである。各都道府県の企業数は、総務省「平成24年経済センサス―活動調査」より取得した。「採択数÷企業数」の割合が高い都道府県は、創業補助金によって創業が促進されたところと言える。福岡県と静岡県は県内の企業数がほぼ同じだが、補助金の効果は両極端に分かれている。

都道府県別採択数÷企業数Top10・Worst10

《2014年11月12日追記》
 こちらも全都道府県のデータをグラフ化してみた。左軸が採択数、右軸が採択数÷企業数の割合である。グラフの左側に行けばいくほど、創業補助金によって創業が促進されたことになり、右側に行けばいくほど、創業が促進されなかったことになる。


創業補助金(平成25年度補正予算)_都道府県別データ



2014年08月04日

「創業支援事業」(平成25年度補正予算)と「地域創業促進支援事業」(平成26年度本予算)の違いについて


 中小企業の数は、1999年の484万社から2012年は385万社へと、100万社近く減少している。また、日本の開業率は4.6%と低く、アメリカの9.3%、イギリスの10.2%の半分程度にとどまっている。特に地域における開業率が低迷しており、大都市圏以外の29府県が平均を下回る。

 中小企業庁は、こうした事態に強い危機感を覚えており、地域の開業率を引き上げて雇用を生み出し、産業の新陳代謝を進めていく方針を打ち出した。2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略‐JAPAN is BACK‐」には「開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」と明記され、平成25年度補正予算や平成26年度本予算にもその方針が反映されている。

 創業支援の取り組みとしては、「創業支援事業」(平成25年度補正予算)と「地域創業促進支援事業(創業スクール)」(平成26年度本予算)の2つがある。私自身、両者の区別がつかずに混乱していたので(汗)、自分の中で情報を整理しておく意味でも、ここでその違いを述べておきたい。

創業支援事業(平成25年度補正予算)
■事業概要:
 (1)経済産業大臣および総務大臣が、「創業支援指針(創業支援事業計画で策定すべき内容など)」を策定。
 (2)市区町村と「創業支援事業者(民間事業者、認定支援機関、経済団体、金融機関、士業、県センター、NPOなど)」が連携して行う創業支援事業について市区町村が計画を作成。
 (3)国が市区町村の提出した「創業支援事業計画」を認定。
 (4)創業支援事業者は、創業者(創業希望者および創業5年未満の者)を対象に「創業支援事業(ワンストップ相談窓口、マッチング支援、ビジネススキル研修、専門家によるハンズオン支援など)」を実施。創業支援事業のうち、市区町村または創業支援事業者が創業を行おうとする者に行う継続的な支援で、経営、財務、人材育成、販路開拓の知識が身につく事業を「特定創業支援事業」と呼ぶ。
 (5)特定創業支援事業を受けた創業者には、市区町村が証明書を発行する。

 要するに、市区町村が策定する「創業支援事業計画」(それぞれの市区町村が地域の特性を踏まえて具体的にどのような産業での創業を支援するのか?何年後までにどのくらいの数の創業を実現させるのか?)に従って、市区町村と連携している民間の教育研修会社がトレーニングを行ったり、認定支援機関・士業が相談サービスを提供したりする、というものである。

■特定創業支援事業を受けた創業者への支援:
 (1)株式会社を設立する際の登録免許税の軽減。
   (資本金の0.7%⇒0.35%、最低税額15万円⇒7.5万円)
 (2)創業融資を受ける際の公的な保証として利用できる、無担保、第三者保証人なしの創業関連保証の枠の拡大。
   (1,000万円⇒1,500万円)
 (3)創業関連保証の特例の拡大。
   (創業2か月前から対象⇒事業開始6か月前から対象)

■メリット:
 (1)「地域創業促進支援事業(創業スクール)」はいずれのコースも有料だが、「創業支援事業」の場合は市区町村によっては無料のところもある。
 (2)市区町村が独自に「創業支援事業計画」を策定するため、地域の特性に合ったトレーニングやサポートが得られる。
 (3)株式会社設立時の登録免許税の軽減、創業関連保証の枠の拡大など、金銭的なメリットがある。

■デメリット:
 (1)補正予算で実施されているため、来年度以降も継続実施される保証がない。
 (2)原則として、創業支援事業を実施する市区町村内で起業することが条件となる。
 (3)創業支援事業者には国から補助金が出るが、予算が5億円、補助上限が1,000万円となっていることから、創業支援事業者は全国で50程度になると思われる。よって、市区町村によっては、創業支援事業の恩恵を全く受けられない可能性がある。

地域創業促進支援事業(創業スクール)(平成26年度本予算)
■事業概要:
 各地域の商工会・商工会議所などの支援機関や、産業競争力強化法に基づき認定を受けた創業支援事業者が、創業に必要な基本的知識からビジネスプランの作成支援までを実施する「創業スクール」を開催する。

 株式会社パソナが全国事務局となり、全国約300か所に創業スクールを設置する。パソナからは事務局推奨の標準カリキュラムが提示され、実施主体はそれに基づいてカリキュラムを構築する。その際、実施主体は、2014年12月31日までに、全国ビジネスプランコンテスト開催に向けた優良ビジネスプランの選定、提出が可能な研修カリキュラムを設定することとされている。

カリキュラム
 (1)ベーシックコース
 ◇概要:創業時に必要となる「経営に関する知識・ノウハウ」および「起業・事業運営に伴う各種手続き」、「資金調達」などの実務ポイントを一体的かつ体系的に学習する。また、ビジネスプランについて、研修の各段階において作成支援を実施し、受講後の速やかな創業につなげる。
 ◇受講料:10,800円
 ◇標準カリキュラム:9回程度/23.5時間程度+独自カリキュラム:3回程度/12時間程度

 (2)第二創業・再チャレンジコース
 ◇概要:第二創業を予定している者や創業に再度チャレンジする者を対象とし、自社の経営資源や強み、また過去の失敗要因などを分析する。また、第二創業・再チャレンジ時の課題となりうる、マーケティングや資金調達などの具体的手法について学ぶことで、円滑な第二創業・再チャレンジにつなげる。
 ◇受講料:5,400円
 ◇標準カリキュラム:6回程度/18時間程度 +独自カリキュラム:2回程度/6時間程度

 (3)女性起業家コース
 ◇概要:ベーシックコースの学習内容に加えて、女性ならではの視点を活かした製品・サービス開発やライフイベントとの両立、女性起業家の体験談など、女性特有の学習ポイントをカリキュラムに盛り込む。女性起業家同士のネットワーク構築も本カリキュラムの目的の一つとし、ディスカッションやグループワーク形式の内容を取り入れる。
 ◇受講料:10,800円
 ◇標準カリキュラム:9回程度/24.5時間程度+独自カリキュラム:3回程度/12時間程度

■メリット:
 (1)全国約300か所で実施されるため、コースを受講できるチャンスが多い。
 (2)標準カリキュラムが決まっているため、どこで受講しても内容のばらつきは少ない。
 (3)コースを受講する市区町村と、創業をする市区町村は必ずしも一致していなくてもよい。

■デメリット:
 (1)「地域創業促進支援事業」のような事後フォローが実施されるのかどうか不透明で、コースを受講しただけで終わる可能性がある(事後フォローについては、現在検討中のようである)。
 (2)「地域創業促進支援事業」のような金銭的なメリットはないと思われる。


2014年07月02日

「開業率アップ」を掲げながら創業補助金には及び腰になった中小企業庁


 「平成26年度中小企業・小規模事業者政策の概要」を見ると、今後の中小企業・小規模事業者政策の柱として以下の6つが挙げられている。

 1.被災地の中小企業・小規模事業者対策に万全を期す
 2.小規模事業者に焦点を当てる
 3.開業率10%台を目指す
 4.黒字の中小企業・小規模事業者の倍増を目指す
 5.新たに1万社の海外展開の実現を目指す
 6.消費税転嫁対策に万全を期す

 3に関して、中小企業庁は中小企業の減少に強い危機感を覚えているようである。1999年に約480万社であった中小企業(農林漁業を除く)は、10年後の2009年には約420万社まで減少している(※1)。さらにその後の3年間で減少スピードは加速し、2012年の統計では385万社となっている(※2)。1999年から2009年の10年間に約60万社減ったが、その後わずか3年間でさらに30万社以上減少しているという、危機的状況なのだ。

 中小企業の数が減っているということは、廃業率が開業率を上回っているということである。日本では1990年代の後半から開業率と廃業率が逆転しており、今もその傾向が続いている。1990年代後半というとバブル崩壊の後遺症で金融機関の経営破綻が相次いでいた時期であり、アジアで通貨危機が起きた頃である。

 開業率の高さ≒起業活動の活発さと経済成長との間には緩やかな相関が見られる。世界各国の起業活動の状況を調査している「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター調査」(※3)によると、先進国においては、起業活動の活発さを表す「TEA(Total Entrepreneurial Activities:総合起業活動指数)」の数値とGDP成長率、ならびに1人あたりGDPとの間に緩やかながら相関がある。経済成長を実現したい経済産業省と中小企業庁が起業の支援に前向きになっているのは、こういう背景もあるだろう。中企庁は、現在4.5%と低迷している開業率を、アメリカやイギリス並みの10%にまで高めたいと考えているようだ。

 第2次安倍政権が発足した直後の平成24年度補正予算では、「創業補助金」という事業に200億円の予算がついた。1社あたり最大で200万円(※4)の補助金が出るから、単純計算で約1万社の創業を支援したことになる。前述の通り、現在の中小企業数が約385万社、開業率が4.5%ということは、年間の総起業数は約17.3万社である。そのうち1万社を支援したわけだから、かなり大がかりな取り組みであった。

 平成26年度は、冒頭で述べたように中小企業庁が「開業率10%台を目指す」と明言したため、私も創業補助金は継続されると思っていた。だが、平成25年度補正予算で実施された創業補助金は、予算規模が40億円と、前年度の5分の1に減らされてしまった(補助上限額200万円は変わらず)。平成26年度の本予算には、創業補助金に類する事業は入っていない。代わりに入ったのは、「地域創業促進支援事業」という事業である(予算20億円)。これは、全国300箇所の認定支援機関において、女性・若者などを対象にビジネスプランの作成を支援するというもので、簡単に言えば、創業のための研修やセミナーを行う拠点を全国に作るというものである。

 これを見た時に、創業支援の取り組みは随分と後退してしまったという印象を受けた。創業補助金は、成功するかどうか解らない事業に国民の大切な税金をつぎ込むことになるから、批判が大きかったのかもしれない。補助金を受けると、補助事業終了から5年間は毎年、事業の状況を国に報告する義務が生じる。その際に廃業が明らかになれば、補助金はムダだったことになってしまう。これに対して、創業のための研修などであれば、参加者が実際に起業するかどうかは別として、参加者が内容に満足すればいいので、国としてもリスクが少ないと判断したのだろう。

 確かに、創業間もない会社に投資するのは勇気がいる。だが、「中小企業白書」の2011年度版によれば、1980から2009年に創設された企業の廃業率は、起業5年目で18%、起業10年目で30%となっている(※5)。また、2006年度版によれば、1993年に開業した企業の廃業率は、全事業所ベースで見ると5年目で58.2%、10年目で73.9%、会社ベースで見ると5年目で47.4%、10年目で64.1%、個人事業主ベースで見ると74.4%、10年後で88.4%である(※6)。

 2つの統計では数字に開きがあるものの、個人事業主を除いて”会社”に限定すると、起業から5年後の生存率は約6~8割と言えるのではないだろうか?この数字は思ったよりも高い。全ての会社から無作為に抽出して5年後の生存率を調べれば、それほど変わらない結果が得られるに違いない。何せ、会社の寿命は30年と言われる時代だ。だから、通常の補助金でも5年後には泡と化すリスクはあるのであって、創業補助金だけが特別に責められるいわれはない。それよりも、実際に起業につながるか解らない創業セミナーなどの方が、後々非難の的になる気がする。

 起業時の最大のネックは、資金調達である。ただ、日本はアメリカのようにベンチャーキャピタル(VC)が発達しておらず、また全ての起業家がVCからの出資を必要とするほど大規模な事業を検討しているわけでもない(※7)。本来は金融機関、特に中小企業を主要顧客とする信用金庫・信用組合が起業家の支援をすべきなのだが、今は経営的に苦しいところが多く、あまり融資に前向きではない。となると、市場原理ではどうにもならないのだから、後は政府がカバーするしかない。200億円で1万社もの起業を後押しでき、開業率アップに直接貢献できるのだから、創業セミナーなどという解りにくい施策なんかよりも、もっと積極的にやればいいのにと思う。

《2014年7月4日追記》
 旧ブログの記事「東京都の中小企業振興施策は”浅く狭く”になっているのでは?という疑問」で書いたが、補助金はある程度の規模がないと効果がない。補助金は、優れた事業計画や組織能力を持ちながら、財務状態などに難があるために金融機関から融資が受けられない企業に対して支給されるものだと思う。端的に言えば、市場の失敗をカバーするものだ。では、そうした市場の失敗がどのくらいあるのかというと、感覚的な話で大変恐縮だが、だいたい全体の1%ぐらいではないだろうか?(補助金の適正規模に関する研究があればご教示いただきたい)

 創業補助金に関して言えば、開業率を10%に上げるという中小企業庁の目標があるので、年間で約38万社の起業を目指していることになる。そのうちの1%が補助金の対象になるならば、その数は約3,800社である。1社あたりの補助金が200万円だとすると、約76億円が補助金の適正規模となる(1社あたりの補助金=200万円が適正規模なのか?という別の議論はある)。だから、40億円ではちょっと少なすぎると書いたわけである。

 逆に、平成25年度の補正予算で実施されている「新ものづくり補助金(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)」には約1,400億円(平成25年度補正予算)もの予算がついているのだが、これは多すぎるように感じる。1社あたりの補助金の平均額が1,000万円とすると、全体で約1.4万社を採択する計算となる。

 日本の中小製造業は約41.2万社(中小企業庁「中小企業白書(2012年度版)」第1章第1節を参照)、製品ライフサイクルは業種によって異なるが大雑把に平均を取って3年だとすると(中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」〔2004年11月〕によれば、75%の経営者が自社製品のライフサイクルを3年未満と回答している)、1年間に新製品開発に取り組む中小企業数は41.2万社÷3年=約13.7万社である。その1%が補助金の対象になるとすると、補助金の適正規模は13.7万社×1%×1,000万円=137億円ということになる。

 商店街のイベントなどに対する補助金である「にぎわい補助金(地域商店街活性化事業)」の予算は53億円(平成25年度補正予算)であり、単独の商店街が受けられる補助金の上限は400万円である。単純に考えると、53億円÷400万円で約1,300の商店街が補助金の対象となる。全国の商店街の数は約1.2万であるから、実に1割以上をカバーする計算になる。

 関係者によると、「にぎわい補助金」の申請が思ったより少なくて困っているそうだ。商店街の役員は小規模事業者ばかりで、補助金申請に必要とされる膨大な事務処理に耐えられないため敬遠されているらしい。だが、単に予算規模が適正サイズを超えているだけではないだろうか?

 以上のように、中には予算が多すぎると思われる補助金もあるが、全国には約4,000以上の補助金・助成金があり、その大半は予算規模が小さい細々とした施策である(中小企業庁はポータルサイト「ミラサポ」で、補助金・助成金の検索ができる「施策マップ」を開設した)。採択予定件数が数件というものもざらだ。政治的な思惑がいろいろと絡んで施策が増えているのだろうが、個人的にはもっと施策を集約して、効果が見込める分野に集中投資した方がいいと考える。



(※1)経済産業省「日本の中小企業政策」(2011年9月)
(※2)経済産業省「中小企業・小規模事業者の数(2012年2月時点)の集計結果を公表します」(2013年12月26日)
(※3)高橋徳行「わが国の起業活動の特徴―グローバル・アントレプレナーシップ・モニター調査より―」(2007年11月)
(※4)第二創業の場合は300万円、海外需要獲得型の場合は700万円である。ただし、通常の200万円のパターン=地域需要獲得型に比べると、件数は圧倒的に少ない。
(※5)中小企業庁「中小企業白書(2011年度版)」第3部第1章
(※6)中小企業庁「中小企業白書(2006年度版)」第1部第2章
(※7)本当はアメリカにも同じことが言える。アメリカの起業を支えているのはVCだと言われるが、アメリカ人の起業家も、皆がVCを必要としているわけではないし、皆がIPO(新規株式公開)を目指しているわけでもない。



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