このカテゴリの記事
『世界』2018年2月号『反貧困の政策論』―貧困を解決するには行政がもっと市場に介入して消費者にお金を使わせればよい、他
『正論』2017年12月号『核戦争勃発に備えろ/負け犬和式リベラルのウソ』―思い通りに動かない同盟国(日韓)に苛立っているであろうアメリカ
『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他

お問い合わせ
お問い合わせ
プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 ブログタイトルに、oasisの往年の名曲『Whatever』を入れてみた。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~


◆別館◆
こぼれ落ちたピース
所属組織など
◆個人事務所「シャイン経営研究所」◆ シャイン経営研究所ロゴ


(一社)東京都中小診断士協会一般社団法人東京都中小企業診断士協会
(城北支部執行委員、青年部長を務めています)

企業内診断士フォーラム(KSF)企業内診断士フォーラム
(独立診断士の立場から、企業内診断士の活動を応援しています)

アクセスカウンター(PV)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新記事

Top > 韓国 アーカイブ
2018年02月16日

『世界』2018年2月号『反貧困の政策論』―貧困を解決するには行政がもっと市場に介入して消費者にお金を使わせればよい、他


世界 2018年 02 月号 [雑誌]世界 2018年 02 月号 [雑誌]

岩波書店 2018-01-06

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 (1)
 アメリカの報復の意志は、なぜ確からしいのか。それは、「同盟国である日本が攻撃されて黙っているわけにはいかないはず」だからだ。ただし、報復が北朝鮮を滅亡させるような規模で行われるかどうかについては、状況次第というほかはない。まして、北朝鮮がアメリカ本土に到達する核能力を獲得したとすれば、アメリカが自国民への被害を甘受してまで「日本のために」報復すると考えるわけにはいかない。
(柳澤協二「米朝戦争の危機と日本の針路」)
 引用文最後の部分は、アメリカによる核の傘が破れたことを意味する。この手の主張は右派が展開することが多く、『世界』の論評記事で取り上げるのは不適切であるのだが、核戦略に対する私の無知ゆえに、この「核の傘が破れる」というのがどうも理解できない。

 現在、アメリカと中国が核兵器を保有している。中国がアメリカを核で攻撃すると、アメリカは核で中国に対して反撃してくる可能性がある。そうなれば、双方の国にとって甚大な被害が生じるから、実際には核兵器は使用されない。これを相互確証破壊戦略と言う。中国が日本などのアメリカの同盟国を核で攻撃する場合も同様で、アメリカに核で反撃されるかもしれないから、抑止力が働く。これが同盟国にとっての核の傘の意義である。ここで、中国の同盟国である北朝鮮が核を保有した場合はどうであろうか?北朝鮮がアメリカを攻撃する場合でも、日本などアメリカの同盟国を攻撃する場合でも、アメリカは北朝鮮に核で反撃する可能性がある。だから、北朝鮮は核を実際に使用することができない。つまり、核の傘は破れていないはずである。北朝鮮が核を保有するとなぜアメリカの核の傘が破れるのか、詳しい人に是非ご教示いただきたい。

 右派が「アメリカの核の傘が破れる」と指摘する時、その先には「だから日本も核武装をするべきだ」という主張が続く。核の傘の危機を叫ぶ右派には、日本にどうしても核武装をさせたい勢力と、その背後で日本に核兵器を売ろうとするアメリカの軍産複合体の存在が見え隠れする。確かに、力に対しては力で対抗するのが国際政治のセオリーである。だが、論理よりも情理が優先する日本は、以前の記事「『致知』2018年2月号『活機応変』―小国は国内を長期にわたって分裂させてはならない。特に日本の場合は。」でも書いたように、核を保有することはできない。

 ここで、改めて北朝鮮をめぐって想定されるシナリオを整理してみたいと思う。
 <Ⅰ.北朝鮮が先制攻撃する場合>
 ①北朝鮮がアメリカに向けてICBMを発射する場合
 ⇒アメリカが核で反撃してくる可能性があるため、実際には実行されない。
 ②北朝鮮がアメリカの同盟国である日本や韓国に向けて核ミサイルを発射する場合
 ⇒この場合もアメリカが核で反撃してくる可能性があるため、実際には実行されない。
 ③北朝鮮がアメリカに対して通常の武力攻撃をする場合
 ⇒北朝鮮はアメリカの付近に軍隊を保有していないので、このシナリオは成り立たない。
 ④北朝鮮がアメリカの同盟国である日本や韓国に対して通常の武力攻撃をする場合
 ⇒韓国がアメリカ側につくか、アメリカを裏切るかによって変わる。
  ⅰ)韓国がアメリカ側につく場合
  ⇒構図的には、アメリカ・韓国・日本VS北朝鮮・中国・ロシアとなるが、まず日本は戦争に参加できない。また、ロシアは北朝鮮との関係が中国のそれに比べると弱いので、実際に表舞台に出てくるかどうか不明である。アメリカ・韓国の軍事力は、北朝鮮・中国の軍事力を凌駕しているから、アメリカ・韓国が勝利し、北朝鮮は崩壊する。ただ、その跡地に親米親韓政権ができるかというと、そうとは限らない。資本主義のラインが北緯38度から中国国境まで北上することに中国が反発するであろうし、何よりもアメリカが新国家の建設に後ろ向きになるであろう。というのも、イラク戦争後の政権樹立と国家安定に相当苦労させられていることを知っているからだ。となると、アメリカは敗戦国の中国に親中の傀儡政権を作ることを容認することもあり得る。
  ⅱ)韓国がアメリカを裏切る場合
  ⇒構図的には、アメリカ・日本VS北朝鮮・韓国・中国・ロシアとなる。この戦いはアメリカにとって非常に不利である。アメリカが敗戦すると、北朝鮮と韓国は統一国家を樹立するであろう。この統一国家は、韓国の巨大な資金を北朝鮮の核に投資するから、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生することを意味する。日本にとってはまさに悪夢である。

 ただし、北朝鮮が先制攻撃をする可能性はそもそも限りなく低いと思われる。北朝鮮がアメリカを挑発する時、必ず、「アメリカが攻撃をしてくるならば北朝鮮も黙ってはいない」という言い方をする。逆に言えば、北朝鮮から先制攻撃をする意思はないと考えてよい。後述するように、北朝鮮が核開発をする目的は、何もアメリカと戦争をしたいからではなく、アメリカを対話のテーブルに引きずり出して、南北統一の障害となっている米韓同盟を放棄させることであるからだ。

 <Ⅱ.アメリカが先制攻撃をする場合>
 ①アメリカが北朝鮮に向けてICBMを発射する場合
 ⇒北朝鮮の核ミサイルは60ほどであると見積もられている。この程度であればアメリカが全ての核ミサイルを破壊できるかもしれないが、100%成功する確証はない。もし撃ち漏らしがあれば、北朝鮮が核で反撃してくる恐れがある。アメリカ本土を核で攻撃されることに極度の恐怖を感じているアメリカは、この作戦に踏み切ることができない。
 ②アメリカが北朝鮮に対して通常の武力攻撃をする場合
 ⇒これはⅠ④と同じシナリオになる。アメリカの勝利は、韓国の態度にかかっているが、私は韓国がアメリカを裏切ると思う。近年の韓国は左傾化が進んでおり、保守の朴槿恵前大統領を辞任に追いやったロウソク革命では、親北左派の活動家が多数関与していたと報告されている。その活動の成果が、ウルトラ左派の文在寅大統領の誕生として結実したわけだ。文大統領は、アメリカに要請されてTHAADミサイルを配備した時、中国の猛反発を受けてあっさりと譲歩してしまった。また、国連が北朝鮮に対する制裁を決議を下した際も、北朝鮮に資金的援助をするほど、筋金入りの親北派である。文大統領の本音は、早く南北統一を実現して民族の分断を解消し、今までそうであったように、中国に属するという形を作りたいということだろう。

 アメリカもこのことは当然知っているであろうから、北朝鮮を攻撃する動機が減退する。結局のところ、北朝鮮はアメリカに対して先制攻撃をする意思がなく、アメリカも北朝鮮を攻撃するメリットがないことから、実際には両者の軍事衝突が起きる可能性は限りなく低いと思われる。

 <Ⅲ.米朝対話が成立する場合>
 北朝鮮はまず、アメリカ本土に届くICBMの保有をアメリカに認めさせようとするだろう。もちろん、実際にこのICBMが使われる可能性は前述のように低いわけであるが、北朝鮮の非核化を目指すアメリカはこの要求を呑まない。ただし、アメリカ国内では北朝鮮の核容認論も持ち上がっており、アメリカ本土に届かない核ミサイルであれば保有を認めてもよいという意見がある。しかし、これでは今度は北朝鮮が納得しない。というのも、元々北朝鮮がICBMを開発したのは、北朝鮮がICBMでアメリカを牽制しながら韓国を武力併合するためであるからだ。

 アメリカの要求はあくまでも北朝鮮の核放棄である。当然、北朝鮮は見返りを求める。具体的には米韓合同軍事演習の中止、さらには在韓米軍の撤退である。つまり、事実上の米韓同盟の破棄である。韓国からアメリカの脅威が消えれば、北朝鮮は韓国の併合へと動き出すだろう。また、左傾化した韓国も喜んで北朝鮮と一緒になるに違いない。新しい朝鮮半島の国家は社会主義国となる。アメリカとしては、冷戦の遺産を朝鮮半島という小さな領域に閉じ込めておく方が都合がよいのだが、それよりも北朝鮮の非核化が優先度が高いとなれば、また、左傾化した韓国がアメリカの言うことを聞かなくなっている現状を踏まえれば、韓国を捨てる可能性は高い。

 <Ⅳ.南北対話が成立する場合>
 これは対話において韓国がアメリカを裏切り、アメリカを出し抜いて北朝鮮と交渉を進めてしまう場合である。韓国が北朝鮮の核の脅威から逃れるためには、北朝鮮と早く統一をしてしまえばよい。Ⅲで書いたように、左傾化した今の韓国であれば十分に考えられることである。当然のことながら、米韓同盟は破棄される。アメリカは激怒するに違いないが、長年夢見た南北統一を実現させるためであれば、アメリカを無視することぐらいたやすいことである。この結果、朝鮮半島には、凶悪な核兵器を保有した社会主義国家が誕生する。

 可能性としては、Ⅲが最も高く、その次にⅣが考えられる。いずれにしても、朝鮮半島には社会主義化した反日国家が誕生する。すると、冷戦の遺産は韓国対北朝鮮という構図から、日本対朝鮮半島の新国家という構図に引き継がれる。日本のような小国は、大国同士の代理戦争に巻き込まれないようにすることが存亡のカギを握る。日本は、朝鮮半島の新国家が強烈な反日でも、むやみに対立して米中の代理戦争を演じるのではなく、この国とどうにかしてつき合う方法を編み出さなければならない。本ブログでは、大国が二項対立的な発想をするのに対し、日本は二項混合的に対立を切り抜けることを得意とすると書いた。今、その真価が問われる。さらに、朝鮮半島の新国家が核保有国である場合、日本も反射的に核を保有するのではなく、唯一の被爆国としての矜持を保ちながらいかなる戦略を展開すべきか知恵を絞らなければならない。

 《参考記事》
 『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?
 『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他

 (2)今月号の特集は「反貧困の政策論」であるが、日本人が貧困になった理由は至極単純であり、消費者が「安くてよい製品・サービスを早く提供せよ」と企業に要求したからである。確かに、低価格戦略でも規模の経済をいかんなく発揮すれば労働生産性が大きくなり、労働分配率を高めることも可能であろう。しかし、大多数の企業にとって、市場からの低価格の要求は、人件費の抑制という形になって現れる。正社員の人件費をこれ以上下げることが難しいとなれば、今度は非正規社員を使うことで人件費を変動費化する。こうして、安い給料しかもらえない社員は、市場においてさらに安い製品・サービスを企業に要求する。それを受けて、企業はまた社員の給与を引き下げる。この負のスパイラルの繰り返しである。

 私は本ブログで日本の階層構造を「神⇒天皇⇒立法府⇒行政府⇒市場/社会⇒企業/NPO⇒学校⇒家庭」とラフスケッチしてきた。自由主義的な考え方の人から見れば、行政が市場に対して何か力を及ぼすというのは奇異に映るかもしれない。だが、行政は市場を作ることができる。例えば、道路や鉄道を通し、そこに住宅を供給すれば、商圏を形成することができる。また、補助金や規則によって、消費者が買うべき、あるいは買うべきではない製品・サービスを選別することもできる。私は、こうした行政の力を活用して、市場や消費者に対し、「少々高いけれどもよい製品・サービス」を購入するように動機づける政策が必要なのではないかと考える。

 やや文脈が異なるものの、ドイツは「社会的市場経済」という考え方を導入している。これは市場経済であるから、市場の調整メカニズムと自由競争を尊重し、市場の均衡化機能を重視する立場である。だが同時に、「市場経済」の前に置かれた「社会的」という形容詞は、市場参加者で構成する社会全体の動きに配慮するという倫理的概念である。したがって、必要となれば、政府の政策運用による市場介入も許される。言うなれば、企業や私有財産、自由貿易を擁護しつつ、労働組合の団体交渉や年金・健康保険などの社会保険といった社会政策とを組み合わせた形の資本主義である。このように、行政が市場に介入することは可能である。

 実は日本においても、消費者が安い製品を購入するように行政が介入していた時期がある。ダイエーの中内功が「流通革命」を唱えていた1960年代のことである。日本生産性本部の中に設置されていた消費者教育委員会を母体とする日本消費者協会(1961年設立)は、一般消費者に対して、「賢い主婦」とは「スーパーで安い商品を買う人」であるというキャンペーンを展開していた。高度経済成長期には物価高が深刻な問題となっており、流通革命の旗手たるスーパーは、流通の近代化を進めて、物価問題を解決する救世主と見られていたのである。当時、大規模小売店舗を規制する法律としては百貨店法があったが、通産省の官僚も、中内功に対して百貨店法の規制をかいくぐる方法を指南していたという(満薗勇『商店街はいま必要なのか―「日本型流通」の近現代史』〔講談社、2015年〕より)。

商店街はいま必要なのか 「日本型流通」の近現代史 (講談社現代新書)商店街はいま必要なのか 「日本型流通」の近現代史 (講談社現代新書)
満薗 勇

講談社 2015-07-16

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 経済産業省はこれと正反対のことをやればよい。現代において賢い消費者とは、品質を正しく評価し、高い品質に見合った対価を支払う消費者のことであると啓蒙する。すると、まず一部の金持ちの消費者が高いお金を払うようになる。そうすれば、企業は人件費を上げることができる。給料が増えた社員は、自分が消費者の立場に立った時に、今までよりも高いお金を払うようになる。これが続いていくと、業績が改善する企業が増加するとともに、高い給与を手にする社員も増えていく。こうした正のスパイラルを生み出すことが今求められている。

 ところで、「片山善博の「日本を診る」(99)「平成30年度与党税制改正大綱」から読み取れる政治の劣化」という記事で、サラリーマン(この表現が既に男尊女卑である)の給与所得控除の額を一律に減らすのは、フリーランスとの間で不公平を生むと書かれていた。だが、会社員は企業の収入からコストを引いた残りを給与として受け取っている。また、フリーランスも収入から必要経費を引いた残りを給与として受け取っている。この点では、会社員にもフリーランスにも違いはない。むしろ、給与所得控除が認められている会社員の方が優遇されていると言うこともできる。それに、フリーランスは一般の人がイメージするほど恵まれていない。フリーランス貧乏については、ブログ別館の記事「ダイアン・マルケイ『ギグ・エコノミー―人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方』―フリーランス中心の社会は理想とは思えない」でも書いた。

 (3)
 原発事故情報公開弁護士団は、七七一訴訟の初期段階から不開示部分と理由の対比を求め、政府側に対して、「ヴォーン・インデックス」を作成することを求めてきた。ヴォーン・インデックスとは、インカメラ審理(裁判所のみが文書等を見聞して非公開で行われる審理)の問題点に対処するためにアメリカ合衆国の裁判所にて考案された手法であり、具体的には、文書の様式や記載事項、細かな拒否の理由に分類・整理した文書のことをいう。これにより、どの文書のどの記載事項が、いかなる不開示情報に当たると判断したのかを整理できる。
(海渡双葉「吉田調書を超えて(第5回)公開されない情報」)
 福島原発事故をめぐっては、幅広い関係者にヒアリングが実施されており、ヒアリングの対象者数は772名、総聴取時間は概算で1,479時間に上るという。聴取結果書の原本は内閣官房に保管されている。政府事故調は、2011年12月26日に中間報告を、2012年7月23日に最終報告を提出して調査活動を終了した。しかし、その聴取結果は全く公開されず、調査報告書にも添付されなかった。原発事故情報公開弁護士団は、ヒアリング情報の開示を求めて、ヴォーン・インデックスの作成を政府に要求したというわけである。

 だが、今のネット社会の脅威に鑑みるに、各関係者のヒアリング内容が公開されれば、立ちどころに当該対象者がバッシングの対象となり、ヒアリングの内容から真実を究明するという本来の目的は達せられないのではないかと危惧する。自分より劣っているマヌケをあぶり出し、ホッと胸を撫で下ろす(Mr.Children「週末のコンフィデンスソング」)どころか、勢いそのマヌケを罵詈雑言で総攻撃するに違いない。これは、現代社会の閉塞感がそうさせているのだろう。こんなことを書くと、私がいきなりユートピア主義者になったのではないかと思われるかもしれないが、(2)で書いたことなどを通じて社会が豊かになり、人々の心にゆとりが生まれないと、国民がヒアリング内容を冷静に受け止めることは不可能なのではないかと感じる。


2017年12月05日

『正論』2017年12月号『核戦争勃発に備えろ/負け犬和式リベラルのウソ』―思い通りに動かない同盟国(日韓)に苛立っているであろうアメリカ


月刊正論 2017年 12月号 [雑誌]月刊正論 2017年 12月号 [雑誌]
正論編集部

日本工業新聞社 2017-11-01

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 最近、『論語』や『孟子』を読んでいるのだが、その中では君主が仁政によって国家を統治するべきであることが繰り返し説かれている。そして、仁政が敷かれている国には、その君主を慕って周辺の国々から自然と人民が集まってくると言う。
 今、王政を発し仁を施さば、天下の仕うる者をして、皆王の朝に立たんと欲せしめ、耕す者をして皆王の野に耕さんと欲せしめ、商賈(あきうど)をして皆王の市に蔵(にをおさ)めんと欲せしめ、行旅(たびびと)をして皆王の塗(みち)に出でんと欲せしめ、天下の其の君を疾(にく)む者をして、皆王に赴(つ)げ愬(うった)えんと欲せしめん。

 【現代語訳】
 今、もし王様が政治を振るいおこし、仁政を施かれたなら、天下の役人はみな王様の朝廷に仕えたいとのぞみ、農夫はみな王様の田畑で耕したい、また商人はみな王様の市場に商品を蔵敷きをし〔て商売をし〕たいと願って移ってくることでしょう。旅人はみな王様のご領内を通行したがるようになり、かねてから自分の国の君主を快く思わぬものは、みな王様のもとへきて、うったえ相談したがるようになりましょう。
孟子〈上〉 (岩波文庫)孟子〈上〉 (岩波文庫)
小林 勝人

岩波書店 1968-02-16

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 だが、孔子や孟子が説いた仁や忠恕は、基本的に上下関係、つまり君主と臣下、君主と人民、親と子、夫と妻、長兄とその兄弟姉妹(当時は、現代のように夫婦や兄弟姉妹は平等ではなかった)において重要視されるものである。逆に言えば、例えば国家のように水平関係にある者や組織、機構がどのような振る舞いをすればよいのかという点については極めて弱い。仮に日本が仁政を敷いて、北朝鮮から人民を惹きつけることになっても、彼らは難民としてやって来るわけであり、難民受け入れの体制が全く整っていない日本としては困った事態になる(※1)。

 12月に入ってから再び北朝鮮がICBMを発射した。これによって、北朝鮮のICBMはアメリカ本土を射程圏にとらえたと言われている。ただ、北朝鮮は今回の実験に関して、「我々の国家核戦力の建設は、既に最終完成のための目標が全て達成された段階にある」と述べており、「目標が全て達成された」とは言い切っていない。おそらく、実戦配備に向けては、まだいくつかの技術的な問題が残っているのだろう。そして、その課題を解決するために、近いうちに北朝鮮はICBMを発射する可能性が高い。早ければ12月中にもその実験は敢行されるとも言われている。というのも、来年2018年は北朝鮮の建国70周年にあたる年であり、1月1日に金正恩委員長は恒例のテレビ演説を行う。この演説で、金正恩委員長が北朝鮮の核能力を国民にアピールし、国威を掲揚しようとすることは十分考えられるからだ。

 ブログ別館の記事「宮崎正弘『金正恩の核ミサイル―暴発する北朝鮮に日本は必ず巻き込まれる』―北朝鮮がアメリカに届かない核兵器で妥協するとは思えない」でも書いたように、北朝鮮のICBMがアメリカ本土に届くようになってから、いよいよアメリカが本格的に動き出すと思われる。2018年は東アジア情勢が大きく動く年になりそうである。このような状況で、日本はどうするべきであろうか?通常であれば、近隣諸国が核兵器のような凶悪な力を手にした場合、それには力でもって対抗しようとするものである。
 興味深いのは、マイネッケ(※ドイツの歴史家フリードリッヒ・マイネッケ)はこの「国家理性」の発展の要素として、力と道徳とをあげていることである。つまり権力衝動による行動と道徳的責任による行動のあいだには、国益という価値によって、その高所に1つの橋がかけられているというのである(※2)。
 かつての大国フランスは、この点で非常に合理的な行動を選択してきた。
 国家として核武装という選択をしたドゴール仏大統領は、アメリカの提供する核の傘はフィクションにすぎないと考えていた。彼はNATO(北大西洋条約機構)の司令官やケネディ米大統領を相手に「核の傘」の有効性について議論をし、フランスがソ連から核攻撃を受けた場合にアメリカがフランス防衛のためにソ連と核戦争をする、という軍事シナリオを具体的に示してほしいと迫ったという。そのときNATO司令官も、ケネディも、ドゴールを納得させられるような回答はなかった。ドゴールは、アメリカの核の傘にフランスの安全は委ねられないと決断したのである(※3)。
 フランスの政治学者エマニュエル・トッドは、10年前に朝日新聞で次のように発言している。いかにもフランス人らしい、現実主義的な主張である。
 「核兵器は偏在こそが怖い。広島、長崎の悲劇は米国だけが核を持っていたからで、米ソ冷戦期には使われなかった。インドとパキスタンは双方が核を持った時に和平のテーブルについた。中東が不安定なのはイスラエルだけに核があるからで、東アジアも中国だけでは安定しない。日本も持てばいい」(平成19年10月30日付)(※4)
 隣接し対立する双方の国が核を保有することで、かえって地域の安定が保たれ、さらには核軍縮に向けた対話が始まる。これが大国の思考回路の大きな特徴である。現在のヨーロッパの大国ドイツも、西ドイツ時代にこのような形で核軍縮に成功した経験がある。
 ソ連は欧州に照準を合わせた中距離弾道ミサイル「SS20」を配備した。SS20は米国までは届かないから、米欧の防衛を切り離す例のディカップリングの問題が生じ、欧州内には米国のICBMによる核の傘に対する疑念が出てきた。

 国家の危機に直面した西ドイツはシュミット首相、次いでコール首相がSS20に対抗する米国の「パーシングⅡ」と地上発射巡航ミサイル「GLCM」の導入を進めた。(中略)その結果、ソ連は財政負担の重荷もあり、パーシングⅡを欧州から撤去させるために、自国のSS20を全廃するINF(中距離核戦力全廃条約)締結に応ぜざるを得なくなった(※4)。
 だから、北朝鮮の核に対抗するには、日本も相応の核を保有するのが理論的には最も近道である。そして、インドとパキスタン、西ドイツとソ連の例に倣って日朝が交渉をし、地域の安定や核の軍縮に向けた取り組みを始めるのがよい。これは一見すると非常に危険な道に思えるが、日本がいつまでも日本オリジナルと勘違いしている平和主義に拘泥し、北朝鮮からのミサイルを食らって座して死を待つよりは、積極的な選択肢である。評論家の日下公人氏は、日本が核を保有することを堂々と宣言するべきだとはっきり主張している。
 アメリカに自国の安全を委ね続けた戦後の固定観念や発想、収縮思考から離れ、「日本は原子力潜水艦と原子爆弾を持つ」と宣言すれば日本を取り巻く環境は劇的に変わる。従来発想に凝り固まった空想的平和主義に耽溺している人たちは、一斉に「平和国家に逆行」「非現実的」「感情的強硬論」等々と大騒ぎするだろうが、日本が独立国として領土領海と自国民の安全を守るためにその選択をしたことで、どこかから非難を受ける謂れはないから、いろいろな前提を設けて宣言をすればよい(※5)。
 かつては日本の核武装を拒絶していたアメリカも、ここに来て日本の核武装を容認するような発言が見られるようになった。しかし、当の日本はと言うと、やはり「世界で唯一の被爆国であるという事実」、「非核三原則」などのようなものがどうしても頭から離れず、核保有に踏み切ることができない。評論家の西部邁氏でさえ次のように述べている。
 あえて「人倫」という古くさい言葉を使ったのには理由があります。予防先制核を禁じ、自衛核は厳密に「報復のためのセコンド・アタック」にのみ使用せよと規定することは、相手のファースト・アタックにかんしては、あたかもガンディがそうしたように、「瞬時に大量の」被害に耐えよ、ということなのです。その被害は、一瞬に、自国を「国家瓦解」に近づかせる類のものなのですから、その忍耐がどれほどの難事であるか、見当がつこうというものです。しかも、その国家瓦解の危機のなかで報復核の維持をしようとするわけですから、よほどに強固な危機管理体制を作り上げていなければ、この予防先制核の禁止は有名無実となってしまいます(※2)。
 まるで、核の先制攻撃を受けたことによる甚大な被害を免罪符として、日本の核攻撃を認めると言いたいような内容である。ちなみに、太平洋戦争で原爆が落とされた日本には復讐権があると東京裁判で述べたアメリカ人弁護士がいるそうだ。そして、その発言をウェッブ裁判長も否定はしなかった(※3)。日本がもし核武装をするならば、回りくどい論理を構成しなければならない。かくいう私も、以前の記事「『正論』2017年11月号『日米朝 開戦の時/政界・開戦の時』―ファイティングポーズは取ったが防衛の細部の詰めを怠っている日本」では、韓国に核武装させて、韓国と北朝鮮の間で交渉をさせればよいと、逃げ腰の主張を展開してしまった。北朝鮮の核に対して正攻法で対処できない日本には、アメリカも苛立っているに違いない。

 アメリカがさらに苛立っているのは、文在寅大統領になってから左傾化、親北化が激しい韓国に対してであろう。以前の記事「『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他」で、アメリカが北朝鮮に軍事行動を仕掛けた際、韓国がアメリカ側につく場合とアメリカを裏切る場合の2通りがあると書いたが、どうやら後者の可能性が高そうだというのである。
 トランプ政権が対北攻撃を決断するとき、韓国の文在寅大統領は反対するだろう。米陸上部隊は作戦に参加せず、空軍と海軍による集中的な攻撃で北朝鮮軍が無力化した後、北朝鮮を平定する作戦は韓国軍が担当することになっている。文在寅政権が韓国陸軍の参戦を拒否することもありうる。その場合、トランプ政権は韓米同盟を破棄し在韓米軍を撤退させるだろう。

 (中略)となるとトランプ政権は中国共産党軍に北朝鮮地域の平定を任せ、戦後も同地域に親中政権をつくることを容認、志向する可能性が高い。韓米同盟を破綻させた韓国も親中に傾き、半島全体が中国共産党の支配下に入るだろう。その結果、日本は半島全体が反日勢力の手に落ちるという地政学上の危機に直面する(※6)。
 朝鮮半島におけるアメリカの目標は、①北朝鮮の非核化と②南北分裂の現状維持の2つである。ところが、アメリカがせっかく北朝鮮に勝利しても、肝心の韓国が裏切ることで②が達成されない恐れがある。しかし、アメリカにとっては①の方が優先度が高いため、①のために韓国を捨てることも考えうる。最悪なのは、①のために韓国を捨てた上で、アメリカが北朝鮮に敗れるケースである。本号ではアメリカが北朝鮮に敗れることを想定した論者は誰もいなかったし、よもやアメリカが北朝鮮に負けると考える人はごく少数にとどまるであろうが、ベトナム戦争のような誤算も十分にあり得る話である。仮にアメリカが敗れた場合は、韓国の豊富な資金が北朝鮮の核に投入され、朝鮮半島に凶悪な核保有国が誕生することになる。

(※1)吉田望「武装難民を『射殺するのか』 麻生発言のリアリティー」
(※2)富岡幸一郎「なぜ日本国民は核をタブー視してきたか」
(※3)渡部昇一「『非核』信仰が日本を滅ぼす」
(※4)湯浅博「悪魔は二度と地下に潜らず その歴史と日本のオプション」
(※5)日下公人「さらば、亡国の『非核信仰』よ」
(※6)西岡力、恵谷治、久保田るり子、島田洋一「どうなる半島有事 破局へのカウントダウン」


2017年11月07日

『致知』2017年11月号『一剣を持して起つ』―米朝対話が成立するとはアメリカが韓国を捨てることを意味する(ことを左派は解っていない)、他


致知2017年11月号一剣を持して起つ 致知2017年11月号

致知出版社 2017-11


致知出版社HPで詳しく見る by G-Tools

 近藤:中国の場合、国内にコピー選手をつくるんです。つまり福原愛なら福原愛のコピー、平野美宇なら平野美宇のコピーといった具合に、同じような戦い方をする選手をつくった上でその対策を練ってくる。
 国分:それはすごいな。
 近藤:なんせ中国には指導者と選手のプロが3万人はいますから、そういったことも可能なんです。日本には30人くらいしかプロはいませんから土台からして違う。
(国分秀男、近藤欽司「かくて日本一へと導いてきた」)
 中国と言うと模倣品のイメージがどうしてもつきまとう。そして、それはスポーツの世界でも同じようである。ただ、同記事で紹介されていたが、中国には「人無我有」、「人有我磨」、「人有我創」という諺があるそうだ。最初は自分だけが技術を持っている段階である。しかし、時間が経てば相手が自分の技術を真似してくる。そうしたら、相手に負けないように技術に磨きをかける。さらにそれだけでは飽き足らず、今度は相手に真似されないよう、新しい技術を創ってしまう。

 中国人にはこういうメンタリティがあることを忘れてはならない。私は、中国が21世紀のイノベーション大国になり得る十分なポテンシャルを持っていると思う。そして、日本は、かつて中国から技術や社会制度を学んだように、中国のイノベーションを輸入し、日本流にアレンジすることで生き延びていくのではないかと予想している。非常に格好悪いと思われるかもしれないが、これが小国・日本の一種の宿命である(以前の記事「『視座を高める(『致知』2016年5月号)』―日本は中国がイノベーション大国になることをアシストし、彼らから学べるか?」を参照)。

 さて、米朝関係が膠着状態に陥っている。北朝鮮は体制を維持するために核開発に邁進していると言われることが多いが、体制維持が目的であればアメリカに喧嘩を売る必要はなく、大人しくしていればよいだけの話である。アメリカに喧嘩を売ってでも核兵器の開発を急いでいるのは、体制維持以上の目的があると考えるのが自然である。
 北朝鮮が既に持ってしまった核ミサイルを自ら放棄することはないでしょう。そして、その力の誇示によってアメリカに国交を結ばせ、米軍を撤退させて韓国を併合する。この目標こそ、金日成、金正日、金正恩とその血筋によって継承された、まさに金王朝の究極の目的なのです。
(中西輝政「時流を読む(第2回) 歴史という大きな絵の中に事象を置けば、対処法が見えてくる。北朝鮮問題は日本と日本人に、国として、また人として、いかにあるべきかを問うているのだ」)
 もちろん、アメリカは北朝鮮の非核化を諦めてはいない。アメリカにとって、朝鮮半島での第一目標は北朝鮮の非核化であり、第二目標は南北分裂の現状を維持することである。南北が分裂していることによって、アメリカと中国・ロシアという大国同士の対立、冷戦構造の遺産を、朝鮮半島内の小国同士の対立に代理させることができる。

 以前の記事「『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?」で、朝鮮半島のシナリオの1つを示してみたが、ここで改めて、朝鮮半島で起こりうるシナリオを私なりに整理してみたいと思う。

 ①北朝鮮への経済制裁が一定の効果を上げる場合
 中国、ロシアが経済制裁に協力することが前提であるが、制裁が効果を上げれば、北朝鮮はこれ以上の核開発を断念するかもしれない。ただし、北朝鮮が既に保有している核を放棄することにはつながらない。それに、経済制裁から数年が経ってほとぼりが冷めた頃に、中国とロシアが制裁の隙間を縫って北朝鮮を再び支援する可能性がある。

 ②金正恩斬首計画を実行する場合
 金体制を打倒すれば北朝鮮は核開発を止めるだろうとの予測の下に、金正恩の斬首が計画されたことがある。アルカイーダのウサーマ・ビン・ラーディンはパキスタンで暗殺された。ただ、ビン・ラーディンの場合は、彼の行動をアメリカ側がある程度トレースすることが可能になっており、かつ、ビン・ラーディンの側近にスパイがいて、彼の居場所をアメリカにリークしていたと言われる。これに対して、金正恩の場合は居場所を突き止めるのが困難である。何せ、北朝鮮には地下施設が何千と存在するからだ。また、金正恩を裏切ってアメリカに位置情報をリークするような人物も現れていない。よって、この斬首作戦は実現可能性が低いと言わざるを得ない。

 ③アメリカと北朝鮮が武力衝突する場合
 韓国は米韓同盟に基づいてアメリカと一緒に北朝鮮を攻撃するはずである。「はずである」と書いたのは、最近の韓国は左傾化が激しく、アメリカ側につくという確証がないからである。文在寅大統領も、経済制裁が行われている間に北朝鮮に人道支援を行うぐらいの親北派である。
 ⅰ)韓国がアメリカを裏切らなかった場合
 韓国・アメリカ(・日本)VS北朝鮮・中国・ロシアという構図になる。これはまさに朝鮮戦争と同じであり、アメリカが勝つ可能性は五分といったところであろう。アメリカが勝利すれば北朝鮮の非核化に成功し、北朝鮮は韓国に併合されて単一の資本主義国となる。一方、アメリカが敗れた場合は米朝間で和平条約が締結され、アメリカは北朝鮮の核兵器を認めるとともに、韓国から米軍を撤退させることになる。上手くいけば南北の分裂は維持されるが、韓国から米軍の脅威が消えたのを見た北朝鮮は、南北統一に乗り出すかもしれない。その場合、韓国の資金が北朝鮮の核に投入され、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生することになる。
 ⅱ)韓国がアメリカを裏切った場合
 アメリカ・日本VS北朝鮮・韓国・中国・ロシアという構図になる。これはアメリカにとってかなり不利な状況となる。仮にアメリカが勝利すれば、以前の記事「『正論』2017年10月号『日本は北朝鮮と戦わないのか/傲る中国』―朝鮮半島の北が資本主義国家、南が社会主義国家になる可能性?」で書いたようになる。ただ、これは可能性の低いシナリオを仰々しく書いてしまったと反省している。ⅱ)ではアメリカが敗れる可能性の方が高く、その場合は、ⅰ)よりも速いスピードで南北統一が進み、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生する。

 ④アメリカが北朝鮮と対話する場合
 ⅰ)アメリカが北朝鮮の核兵器を認めて国交を樹立する場合
 北朝鮮がこれだけの核兵器を保有してしまった以上、アメリカは北朝鮮の核を認め、平和条約を締結して国交を結ぶべきだという意見が、主にアメリカの民主党内から出始めているようである。だが、アメリカが北朝鮮と国交を結ぶというのは、かつてアメリカが中国と国交を結んで台湾を捨てたのと同様に、韓国を捨てることを意味する。もっとも、捨てられた韓国は喜んで北朝鮮と一緒になるかもしれない。すると、朝鮮半島に凶悪な核保有国家が誕生する。

 ⅱ)アメリカが北朝鮮の核兵器放棄を迫る場合
 これは非常に難しい交渉になる。核兵器の放棄を迫られた北朝鮮は、間違いなくアメリカに対して在韓米軍の撤退を要求してくる。北朝鮮が韓国を併合するためである。アメリカとしては、これは到底呑める条件ではない。だが、アメリカの第一目標は北朝鮮の非核化であり、左傾化した韓国を見て、第二目標である南北分裂の現状維持を犠牲にしてでも、在韓米軍の撤退を実現させるかもしれない。この場合、朝鮮半島には、非核化された社会主義国家が誕生する。仮にこの交渉が長引くと、その間に北朝鮮は核兵器(アメリカ本土に届くICBM)を完成させてしまう。そうなると米朝の武力衝突のリスクが高まり、そのシナリオは③で示した通りとなる。

 このように見てくると、アメリカが第一目標、第二目標をともに達成できるのは、韓国が裏切らず、アメリカが北朝鮮との戦争に100%勝てる自信がある場合に限られることが解る。逆に、下手にアメリカが動こうものなら、朝鮮半島が社会主義国家として統一されることを誘発する恐れがある。最悪のシナリオは、韓国の資金が北朝鮮の核に注入されることである。だから、アメリカとしては経済制裁以上に動きようがないというのが正直なところだろう。左派はよく、「解決策は対話しかない」などと言うが(『世界』2017年11月号の特集タイトルは「北朝鮮危機―解決策は対話しかない」であった)、アメリカが北朝鮮と対話を成立させるということは、上記で見たように韓国を捨てることを意味する。この点を左派は理解していないように思える。

 中国は北朝鮮問題で手を焼いていると言われる。だが、実はこれも怪しい面がある。中国はずっと、金正男をかくまっていた。北朝鮮に対して、「いつでも金正男を中心とした政権を北朝鮮内に打ち立てることができる」というメッセージを送るためである。いわば、金正男は中国が握っている「玉」であった。だが、金正男が暗殺されたということは、中国がその玉を放棄したということである。つまり、中国は金正恩政権と上手くやっていく道を選択したと言えなくもないのだ。

 日本にとって最悪なシナリオは、アメリカが北朝鮮の非核化に失敗して朝鮮半島に凶悪な核保有国家の出現を許した挙句、中国の一帯一路構想にトランプ大統領がビジネス的な視点で安易に乗っかってしまうことである。アメリカが中国と手を結べば、日米同盟の意義は希薄化し、日本の周りをアメリカ、中国、朝鮮国家という3つの巨大核保有国が取り囲むことになる。さらに言えば、中国が提唱する一帯一路構想は南シナ海を通っているため、アメリカが一帯一路構想に賛同するということは、南シナ海の諸問題をアメリカが黙殺することにつながる。こうなると、日本は太平洋上のシーレーンを確保できなくなる。となれば、残る選択肢はロシアと同盟を結ぶことしかない。ロシアが注力している北極圏ルートの開発に日本が協力するのである。

4大国の特徴(これまで)

 従来、私が考える現代の4大国、すなわちアメリカ、ドイツ、ロシア、中国は、上図のような関係にあった(詳細は以前の記事「マイケル・ピルズベリー『China 2049』―アメリカはわざと敵を作る天才かもしれない」を参照)。基本的には、アメリカ・ドイツという資本主義国と、ロシア・中国という旧共産圏の国が対立している。ただ、アメリカ・ドイツ、ロシア・中国は必ずしも一枚岩ではなく、しばしば対立する。一方で、表向きは対立しているアメリカと中国、ドイツとロシアが協力する局面もある。アメリカと中国の間、ドイツとロシアの間では貿易が盛んであり、経済的な結びつきが強い。このように、4大国はやや複雑な関係にある。

4大国の特徴(これから)

 ところが、アメリカが中国に接近することで、この構図が変わる可能性がある。まずはアメリカ・中国とドイツ・ロシアが対立するのである。ただ、細部を見れば、アメリカと中国の間、ドイツとロシアの間で対立を抱える一方、アメリカとドイツ、中国とロシアが協力するという関係がある。日本はロシア・ドイツ側につくことになる。日本はロシアの北極圏ルートを通じてドイツとつながり、さらにはEUとの関係を深化させる。こういうシナリオが現実味を帯びてくるかもしれない。

 ただ、日本はアメリカ・中国との関係を完全に断ち切ることはできないだろう。基本スタンスはロシア・ドイツに寄りながら、アメリカ・中国のよいところは引き続き吸収し続ける。これが大国に挟まれた小国の生きる知恵であり、私は「ちゃんぽん戦略」と呼んでいる(以前の記事「『巨頭たちの謀事/朴槿恵政権崩壊(『正論』2017年2月号)』―ますます可能性が高まった「朝鮮半島統一」に対してどう対処すべきか?」を参照。同記事は米中に挟まれた日本のちゃんぽん戦略を想定しているが、米中・露独に挟まれた場合も同様である)。



  • ライブドアブログ
©2012-2017 free to write WHATEVER I like